[過去ログ] 真・恋姫無双【凡将伝Re】3 (1002レス)
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(1): 一ノ瀬◆lAEnHrAlo. [saga] 2018/11/18(日)22:09 ID:ySuoGZVI0(2/6) AAS
◆◆◆

払暁。明ける夜、昇る日輪。山の端にその片鱗が顔を出し、雄鶏が一斉にその存在を主張する。
繰り返される日常。毎日。
這い寄る戦乱など意に介せずにいつもの毎日が始まる。
俺が守りたかったのはつまりこういうことで。
ぐび、と手にした杯から酒精をわが身に取り入れる。火酒、と呼称されるそれは熱く喉を、肺腑を焼く。焼いていく。
内から起こる業火でも世界は揺るがず、起こるのは取りこぼしたものが苛む声。

「ほう、いい身分ですな。それがしもご相伴に預かりたいと存ずるが、如何?」

玲瓏たる声は星。その真名にふさわしく、夜闇においても自ら輝き、迷(まよ)い子を導く英傑である。
俺の応えを聞くまでもなく、手にした器に酒精を注いでいく。
ぐび、と呑み干し再び注いでいく。
……って。

「こら、その調子で呑んだらあっという間に無くなるでしょ!」
「なに、酒は飲まれるためにあるのだ。問題なかろう」
「一見いいこと言った風だけど自分が呑み尽くすってことだよね?ちょっとは遠慮しやがれこのこのー!」
「はは、主(あるじ)よ。いまこそ、その度量を見せるべきと思うが如何に」

いや、朝っぱらから何を言っているんだお前は。

「それに朝っぱらから酒に逃避しているのは主だろう」

むむむ、ぐうの音も出ないぞ。

「なれば一の家臣としてはご相伴に預かるべきかと思うのだ」
「いや、その理屈はおかしいだろう」

そうか?と小首を傾げながらも俺の手から酒壺を奪い、手元の酒器に注ぎ、呑み、注ぎ、呑み、っておい!

「けち臭いことを言わぬがよかろう?
 少なくとも吝嗇という評判は主にはないだろう」

そうかい、そりゃよかったよ。

「ふむ、本格的に拗ねているようだな。いや、実に不景気な面だ」
「うるへー、地顔だ」

星はくすくすと、この上なく可笑しそうに笑う。

「で、何を拗ねているのだ?」

ずい、と、近い、顔が近いよ!
ずり、と後ずさりながら態勢を整える。

「ん、黄巾の乱。起きたじゃん」
「そうですな」

くぴ、と杯を干した星に酒を注いでやる。

「ああいう、漢朝全土にまたがる乱を起こしたくなかったのよ。ほいで、俺なりに頑張ってきたのさ。
 でもさ、結局起こってしまってさ、ちょっとへこんでんのさ」

にまり、と笑みを浮かべて星はぴとり、と俺に寄り添う。
柔らかく、温かい感触に何だか気おくれしてしまう。

「ふむ、主の腕はどうやら漢朝を覆うほどに長いらしい。
 流石に大した気概ですな?
 おや、それにしてはどうにも辛気臭い顔をしてらっしゃる。
 これはいかん。いけませんとも」

ちゅ、と唇に柔らかい感触が。
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