【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】 (968レス)
【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/
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913: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:11:32.18 ID:HHe/6brVo * 同時刻 * * 鹿屋 W大佐鎮守府 * 最上「へーえ、僕にも第二改装がくるのか〜」 W熊野「ええ、計画されていると、本営からのお達しがありましてよ」 W鈴谷「いつ来るかってのはわかんないんだけどね〜」 最上「三隈にはそういう話はないのかな?」 W熊野「残念ながら、そういう話があったのは今のところ最上さんだけですわね……」 最上「そっかー、残念。三隈と一緒に改装出来たら嬉しいんだけどなー」 三隈「最上さん……!」 W鈴谷「なーんか二人ともすっごい仲良しだよね。なになに、なにかあったの? ワケアリって感じ?」 最上「なにかあったってわけじゃないけど、三隈が単に僕のことを気に入ってくれてるみたいでさ」 三隈「最上さん!?」カオマッカ W鈴谷「ははーん、そういうこと! 大丈夫だいじょーぶ、この鎮守府にふたりの仲を引き裂こうなんてヤボな人はいないから!」ニヒヒッ 三隈「……ここの日向さんが最上さんを狙ってるように見えるんですが」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/913
914: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:12:16.75 ID:HHe/6brVo W熊野「あの方は、瑞雲の素晴らしさを広めたいだけですわ。三隈さんにも日向さんからのアプローチがあったのではなくって?」 三隈「ええ、まあ……でも、熱心だったのは最上さんに対してですわ」 最上「多分だけど、僕が瑞雲をもっと使うようになれば、三隈もそうしてくれるって思ってるんじゃない?」 W鈴谷「そこまで深く考えてないんじゃないかなあ? フツーに見どころあったんじゃない? 艦載機の搭載機数が多いからとか」 最上「ああ、なるほどー」 W熊野「ところで、おふたりはこの鎮守府へ転籍を決めたんですの?」 最上「そうだね。W大佐にもお願いされたし、航空火力艦が多いここなら、僕たちも役に立てそうだしね」 三隈「ええ。最上さんがセクハラ被害にあうこともなさそうですし、三隈もご一緒できればと思いますわ」 W鈴谷「やっりぃ! これで最上型勢揃いじゃーん!」 W球磨「これで頭に『ミ』って書いた頭巾を被らせられずに済むクマ」ニュッ 三隈「はい?」 最上「ああ、ミ、球磨ってこと?」 W球磨「クマー」ウナヅキ W鈴谷「てゆーか、そんなことやってないし〜!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/914
915: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:13:02.23 ID:HHe/6brVo 最上「それじゃ、僕の代わりはどうするつもりだったの?」 W球磨「北上に『モ』って書いた上着を着せてやるクマ」 最上「あはは、それだと『もかみ』だね!」 W熊野「言っておきますけど冗談ですわよ? そもそもこの鎮守府に雷巡は不在ですわ」 三隈「球磨さんも航空攻撃はできませんわよね?」 W球磨「できないけど、そもそもW提督が伊勢を改装するまでは、普通に砲雷撃戦に重きを置いてたクマ。その当時は球磨も優秀だったクマ」 W球磨「自分で言っちゃうけど、球磨はここの艦隊の中でも古株クマ。非航空部隊の中では一番練度が高いクマ」フフン W鈴谷「そうそう! 意外じゃなく今も今で優秀なんだよね〜」ナデナデ W球磨「クマァ〜」ウットリ W球磨「……って、そこでなでなでしないクマ!」プンスカ! 最上「でも、気持ちよさそうにしてたよ?」ジリッ W球磨「ちょっと待つクマ。どさくさにまぎれて撫でようとするなクマ」ジリッ W伊勢「あっ、いたいた!」 W熊野「あら? 伊勢さん、お戻りになられてましたの?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/915
916: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:13:47.49 ID:HHe/6brVo W球磨「ということは、提督も戻ってきてるクマ?」 W大佐「ああ、最上たちはここにいたのか」ヌッ 最上「どうしたの? 僕たちに何か用?」 W大佐「ちょっとまずい状況になった。俺と同じくH大将の部下だった曽大佐が、H大将のもとを離れたことは聞いているか?」 W熊野「まあ……あのリベンジャー提督が?」 最上「なんだいそのリベンジャーって」 W鈴谷「文字通り深海棲艦に復讐したがってるって言うか。その人、とにかく深海棲艦をすっごい恨んでるみたいよ?」 W伊勢「そそ。そういう人だから、深海棲艦と交渉の場を持ったH大将に激怒したらしくてさ」 三隈「ああ……それで、H大将を見限って離反したと?」 W伊勢「そういうこと」ウンウン W大佐「今回の事件は想定外の出来事が多すぎたんだ。J少将による大将暗殺計画といい、提督が深海棲艦と交遊できていたことといい……」 W鈴谷「海底火山の噴火と、メディウムもね?」 W大佐「ああ。そんな状況から、提督を助けようとした深海棲艦たちと対話することになるなんて、誰にも予見できなかったと思う」 W大佐「H大将殿が、不本意であってもご自身の方針を変えざるを得なかったのも、俺は仕方のないことだと思っている」 W大佐「それが曽大佐には受け入れがたいんだろうな。あいつは、深海棲艦の存在そのものを許せない男だ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/916
917: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:14:31.74 ID:HHe/6brVo W球磨「それ、まずくないクマ? 海軍と曽大佐の意思が乖離してたら、曽大佐の行いを海軍が止めないといろいろ厄介になるクマ」 W熊野「そもそも、あの方の気質からして、深海棲艦と話し合う気は毛頭ありませんわよね? 曽大佐はこれからどうするつもりなのかしら」 W大佐「曽大佐は、自分と考えを同じくする他の将官に、自分を売り込もうとしているらしい」 W大佐「ただ、その将官たちも、さすがに今は慎重になるべきと考えているようで、曽大佐はなかなか新しい後ろ盾を見つけられずにいる」 W熊野「そうなりますわよね」 W大佐「曽大佐は焦っているんだ。このまま世界が深海棲艦を迎合してしまったら、自分の理想は遂げられないからな」 W大佐「ここから先は俺の想像だが……そうなると、次に矛先が向くのはあの島だろうと思っている」 三隈「まさか……提督を狙うつもりですか!?」 W大佐「提督と深海棲艦のどちらが先か、というのはあるが、曽大佐に狙われるのは間違いないだろう」 W大佐「彼は深海棲艦を滅ぼすべき敵だと認識している。それを受け入れて保護している提督も、曽大佐が放っておくとは思えない」 W大佐「曽大佐が動けていないのは、おそらく、彼に賛同する将官や、協力して艦隊を出そうとする提督が集まっていないからだろう」 W伊勢「戦争を終わらせるための大事な拠点になるかもしれないってのに、それを台無しにできる度胸があるか、って話だもんね」 W球磨「一歩間違えば全面戦争クマ。慎重にならないほうがおかしいクマ」 W伊勢「それにあの島、注目されたせいで、今頃になっていろんな物騒な逸話が出てきてて、みんな及び腰になってるんだよねー」 W鈴谷「物騒な逸話? なになに? 何があったの?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/917
918: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:15:16.86 ID:HHe/6brVo W伊勢「うーん、例えば、あの島は海流の影響で、行ったらなかなか戻ってこれない場所だったんだって。かつては流刑地同然だったとか?」 三隈「ああ……」 最上「流刑地かあ。ある意味、僕たちもそんな感じだったよね?」 三隈「最上さん!?」 W熊野「……そ、そういう自覚がおありだったんですの?」ドンビキ 最上「まあね。僕たち、当時の提督に歯向かっちゃったから」 最上「日常的にセクハラされてたってみんなに証言してもらってなかったら、解体処分だったと思うよ?」 三隈「……」 W鈴谷「うえー、セクハラされて反撃したから島流しになったの? 仕方ないかもしんないけど、なーんかヤだ〜」 W伊勢「あと、幽霊が出るって話もなかったっけ?」 最上「そうなの? それは僕たちは聞いたことないかも」 三隈「でも、轟沈した艦娘が流れ着く島だったんですもの。少なくとも、あの丘の上に並んだ艤装の数だけ、轟沈艦がいたわけですし」 三隈「幽霊くらいいてもおかしいとは思えませんわ」 W球磨「……深海棲艦が住むことになっても不思議じゃない島な気がするクマ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/918
919: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:16:01.60 ID:HHe/6brVo 最上「住んではいなかったけど、僕が来た時には戦艦ル級が普通に遊びに来てたよ?」 W伊勢「は?」 W熊野「マジですの?」 W鈴谷「あはは、熊野が『マジ』だって! ウケるー!」 W球磨「そこ笑うところクマ!?」 W熊野「鈴谷!? 私がマジとか言ったらおかしいとでも言うんですの!?」 W球磨「今その話はしてないクマ。話が逸れるから静かにするクマ」 W熊野「厳しくありませんこと!?」 W伊勢「ちょっと待って。ル級?」 最上「うん、深海棲艦の戦艦ル級。割と昔から、あのル級とは交流があったみたいだよ」 三隈「あくまで提督との個人的な付き合い、ということらしいですわ」 最上「大佐が連れてきた泊地棲姫を追い返すときも協力してくれたから、仲は良いんだろうね」 W球磨「どうやって仲良くなったんだクマ……」 W鈴谷「きっかけはとにかく、仲良くなれたのをわざわざぶち壊そうとしなくてもいいと思うんだけどー」 三隈「それだけ、曽大佐の深海棲艦への恨みは深いということなんでしょうね……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/919
920: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:16:46.80 ID:HHe/6brVo W鈴谷「あそこの鎮守府の艦娘、あたし苦手なんだよねー。みーんな曽大佐に感化されてて、すっごいピリピリしまくっててさぁ」 W球磨「わかるクマ。全然余裕がなさそうで息苦しい鎮守府クマ」ウンウン W伊勢「とにかくそういうわけだから、最上と三隈はしばらくあの島には戻らないほうが良さそうだ、って伝えたかったの」 三隈「……とりあえず、わかりました」 最上「あーあ、提督も大変だね。曽大佐がどんな恨みを持ってるのかしらないけど、提督にしてみればとばっちりだよ」 W熊野「とばっちり……」 最上「そうじゃないのかな? あの島に集まった深海棲艦のうちの誰かが曽大佐に何かしたって言うんならわかるけど、そうじゃないんでしょ?」 最上「例えば、ある国の人に家族や友達を殺されたからって、その国に住む人間は全員悪だ、なんて理屈は横暴だと思わない?」 最上「その人が嫌いになるのはしょうがないと思うけど、それで皆殺しにするほどかな? 提督にしてみたら絶対にとばっちりだよね?」 三隈「とばっちりかもしれませんけど、どちらにしても、あの提督にはきっと関係ないでしょうね」 W大佐「……最上たちに訊きたいんだが、島に住む深海棲艦が提督に、ある場所を攻撃してほしい、と頼んだらそれは聞き入れると思うか?」 最上「そこは深海棲艦のお願いの内容によるんじゃないかな?」 最上「お願いを聞くにしても、提督は島にいる艦娘や深海棲艦が巻き込まれないようにするだろうし、無理なお願いなら突っぱねると思うなあ」 三隈「かつての島の、ゆるりとした生活を取り戻したいとは思っているでしょうけど……そのために他の国や拠点を攻撃するとは思えません」 三隈「そもそも厭世的な方でしたから、他国を攻めたりして目をつけられることのほうが嫌だと思うのではないでしょうか」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/920
921: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:17:32.01 ID:HHe/6brVo 最上「そうだね。島の住人が増えたとしても、提督自身は人の世界に関わろうとはしないんじゃないかな?」 三隈「その島の住人が、提督に黙って勝手にどこかへ攻め込むことはあるかもしれませんね」 最上「……そうなったら、提督はどうするかなあ」ウーン W大佐「なるほど。提督が、自分の意志で外へ攻め込む可能性は低いとみていいのか?」 最上「だと思うけど、そこまで突っ込んだ話だと、僕たちに訊くより比叡さんのほうが詳しいんじゃないかな?」 最上「僕たちよりずっと前から鎮守府にいたって言うし」 W大佐「ふむ……後で聞いてみるか」 W伊勢「ちなみにその比叡は?」 W熊野「榛名さんと一緒に工廠の方に行っているはずですわ」 W鈴谷「めっちゃテンション高かったよねー。あんなに笑ってる榛名さんは初めて見たよ?」 W熊野「せっかくですわ、あの比叡さんもこちらに移籍していただいたほうがよろしいんじゃありませんこと?」 W球磨「球磨もそれがいいと思うけど、あの比叡は轟沈を経験してるクマ。そのあたり、大丈夫なのかクマ?」 W鈴谷「うあー、そっかー。そのへんダイジョブになんないと、確かにいろいろ怖いよねー」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/921
922: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:18:16.88 ID:HHe/6brVo W熊野「……うーん、仮に比叡さんが深海棲艦になったとしても、話が通じれば良いのではなくて?」 W球磨「ちょっと何を言ってるかわからないクマ」 W熊野「艦娘が深海棲艦になったとしても、人を襲わないのなら問題視しなくても良い、と思ったのだけれど……そうではないのかしら」 W熊野「話が通じなくて、かつ、分別なく人を襲うからこそ危険なのは、なにも深海棲艦に限った話ではなくてよ?」 W伊勢「あぁ……まあ、そうなるかな?」 W球磨「熊野の言わんとしてるところはわからなくないクマ。でも、艦娘が深海棲艦になるって状況自体、相当のことだと思うクマ」 W球磨「球磨は、艦娘が正気を保てなくなったから深海棲艦になると思ってるクマ」 W球磨「轟沈自体が艦娘にとって絶望的なものなんだから、深海棲艦になった時点でまともじゃなくなってると思ってるクマ」 W熊野「でも、あの島には話の通じる、まともな深海棲艦がいたんでしょう? 深海棲艦がまともじゃない、という理屈は通じませんわ」 W球磨「そう言われればそうなるクマ……」ウーン 三隈「いずれにせよ、艦娘が深海棲艦になった記録もあの島にはありませんし……」 最上「あの島にいて誰も深海棲艦にならなかったんだから、あの話自体がでたらめなのかもね?」 全員「「……」」 W大佐「いずれにしろ、安易に引き取るというわけにはいかないだろう。向こうの都合もあるだろうしな」 W鈴谷「手続きもいろいろ面倒臭いもんねー」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/922
923: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:19:01.82 ID:HHe/6brVo * W大佐「最上たちの話を聞く限り、提督が島から外へ出てどこかへ攻め込むということはなさそうだな?」 W伊勢「そうみたいですね。船であちらの提督の話を聞いたときの話と、だいたい符合してますし」 W大佐「Xが作った共存への道を曽大佐が潰すのは避けたいが、深海棲艦の跋扈を許したくない曽大佐の気持ちもわかる」 W大佐「できればうまく潰しあって痛み分けになってくれればいいんだが……」 W伊勢「W提督は、あの島に深海棲艦がいないほうがいいとお考えでしたよね?」 W大佐「ああ。そうでなければ、あの島に深海棲艦がいたとしても、海軍が支配した状態になっているのが望ましい」 W大佐「あの提督がいる限り、それも難しそうだがな」 W伊勢「海軍に協力してくれなさそうだ、って意味で?」 W大佐「……ああ。二度も海軍の人間に殺されそうになったんだ。俺たち海軍は……いや、人間は恨まれていると思ったほうがいいだろう」 W大佐「Xのように協力的な姿勢を見せる人間がいなければ、彼が人間を滅ぼそうと考えてもおかしくないように思えるしな」 W大佐「そもそも、妖精と話ができる人材をあんな離島に追いやったことを、なぜ上は誰も疑問視しなかったのか……」 W伊勢「そこはもう、手遅れだったとしか思えないけどなあ。W提督も聞いてるでしょ? あの島の提督、もとから相当な人間嫌いだって」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/923
924: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:19:48.15 ID:HHe/6brVo W伊勢「艦娘を唆して人間を裏切るんじゃないかってことを懸念して、中将閣下とその息子である大佐に押し付けたって、誰かも言ってたし」 W大佐「だったら、海軍が信頼できる組織だということを、彼に示せば良かったんだ」 W大佐「妖精から不祥事を聞かれたくないというのなら、普段からそういう行動をしていればいいだけのこと……」 W大佐「裏切る要素があるからと、保身のため、責任逃れのためにたらい回しにしたのでは、不信感を持たれて当然だ……!」 W大佐「もっとも……あのとき、J少将の目論見を見抜けなかった俺が言っても、説得力がないのかもしれないがな」ハァ… W伊勢「……」 W大佐「いずれにしろ、いまは提督の言い分を聞くしかないだろう」 W大佐「不本意だが、リンガ泊地の城塞鎮守府も、あの提督のおかげで落ち着きを取り戻したとO大尉から報告を受けた」 W大佐「彼が海軍のために動いてくれたのであれば、我々も応えるのが礼儀、と言うものだ」 W伊勢「……曽大佐はやりづらいでしょうね」 W大佐「だろうな。曽大佐は、あの島を攻撃する口実を作ろうとしているようだが……いま動くのは下策と言わざるを得ん」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/924
925: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:20:31.73 ID:HHe/6brVo * 一方 * * 曽大佐鎮守府 * 曽大佐「なぜだ!? あれほど深海棲艦の撃滅に協力的だった仲間が、あいつらの撃滅を躊躇するんだ!!」 通信『し、仕方ありませんよ大佐! もしかしたら、この戦争を終わらせることができるかもしれないんですよ!?』 曽大佐「なにが終戦だ! 人に仇なす存在でしかない深海棲艦がいる限り、戦いが終わるわけがないだろう!」 曽大佐「これまでさんざん戦ってきた深海棲艦がどういうものか、お前は忘れたのか!?」 曽大佐「あいつらと人間が共生できるわけがない!? 寝言は寝て言えと言うんだ!」 通信『し、しかし、共生は無理でも、住み分けが……』 曽大佐「あいつらのために譲っていい場所などあるものか!! 奴らは侵略者だぞ!? 甘い顔を見せつけあがらせる気か!」 曽大佐「海の平和を乱すものを徹底的に叩いて排斥し、海に秩序をもたらすのが俺たちの使命じゃないのか!!」 通信『で、ですが、その秩序を作るために話し合いを……』 曽大佐「あいつらに我々の望む秩序を守れると思っているのか!? 人ですらないんだぞ!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/925
926: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:21:16.48 ID:HHe/6brVo 曽大佐「駆逐艦を見ろ! あれを人と呼べるのか!? 戦艦棲姫を思い出せ! 誰もが化け物だと言わなかったか!!」 曽大佐「人間は、深海棲艦に恐怖したんじゃなかったのか!! 陸の人間はもう忘れたのか!! 俺たちはまだ戦争中なんだぞ!!」 通信『……』 曽大佐「情けないことに、我々人間が奴らに直接対抗する術はない。未だに艦娘頼みだ……!」 曽大佐「その状況で深海棲艦と和睦だと!? 思い上がりも甚だしい!! 身の程を知れと言うんだ!!」 通信『お、落ち着いてください大佐……!』 曽大佐「落ち着いていられるか……! 深海棲艦が領土を持つことの重要性と危険性を、本営は何も理解していない!」 曽大佐「最悪、我々だけであの島から深海棲艦を追い出す算段を考えねばならん……!」 曽大佐「だからこそ戦力を募っているというのに、終戦などという世迷言に惑わされる愚物ばかり……お前はどうなんだ」 通信『っ……じ、自分は、まだ……』 曽大佐「そうか。俺はまもなくあの島への攻撃を予定している。準備しておけ」 通信『……い、急ぎ、準備、いたします……!』 プツッ 曽大佐「そこで『はい』と言えんのか……!? 腰抜けばかりか、この国は……!!」ギリッ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/926
927: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:22:02.12 ID:HHe/6brVo * 翌日 * * 墓場島 埠頭 * 提督「はぁ……こんなに早く人間を上陸させることになるとはな。ま、与少将がうまく抑止力になってくれりゃいいんだが」 ヲ級「!」 提督「ん? お前、あの打ち合わせに出てたヲ級か? お前が時雨を見つけてくれたんだったな?」 ヲ級「提督ヒトリカ……コンナトコロデ、ナニヲシテイル」 提督「散歩だよ。新しい鎮守府がどういう感じか、見て回ってる」 ヲ級「艦娘ハドウシタ」 提督「人間が島に来てるんで、護衛を押し付けてきた。俺もたまにゃあひとりで適当にぶらぶらしたいときがあるんでな」 ヲ級「……」 イ級「」ザバー ロ級「」ザババー 提督「おー……作った水路、いい感じに機能してるみたいだな」 ヲ級「……」コク http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/927
928: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:22:47.44 ID:HHe/6brVo 提督「深海の駆逐艦って、改めて見るとでけえな。イルカよりでかいか? イルカの実物、見たことねえけど」 ヲ級「イ、ルカ……? アア、アイツラヨリハ大キイナ」 提督「けど、分類としては駆逐艦なんだよな。こうやって見ると、お前やル級より装甲硬そうに見えるんだが」 ヲ級「イイヤ、ソウデモナイ。ソレニ、私タチヨリ身体ガ大キイブン、被弾モ多イ」 提督「ああ、なるほど……確かに、そこはでかけりゃいいって話じゃねえか」 提督「それにしても……なあ、知ってたらでいいから教えてほしいんだが、いいか?」 ヲ級「ナンダ?」 提督「深海の駆逐艦が人型じゃないのはどうしてなんだ?」 ヲ級「……」 提督「軽巡は顔が隠れてるが人の体や腕を持ってるし、潜水艦も人の顔を持ってるけど、駆逐艦は人らしい要素がないんだよな」 提督「逆に艦娘はどんな艦であっても人型だ。この違いは一体何だろうな、と思ってな」 ヲ級「……ソレハ、考エタコトモ、ナカッタ……」 提督「そうか。まあ、生活に不自由しなきゃいいなと思ってるだけだから、あまり深く考えなくていいぞ」 ヲ級「……生活?」 提督「ああ。俺や艦娘、それからメディウムたちも一応は人の姿を取ってるから、人間と同じような生活をしてるんだが」 提督「お前たちは海中で過ごすんだろ? 寝るときに布団に入ったりしないだろうし、風呂の習慣もないよな?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/928
929: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:23:47.53 ID:HHe/6brVo 提督「食事だって、まさかテーブル囲んで食べてるとは思えねえ。お前もそうだが、あの駆逐艦たちは普段は何を食ってんだ?」 ヲ級「食事? ……燃料補給ノコトカ。ソレナラ海底ノ重油ダナ」 提督「油か。まさか、自分で堀りに行ったりしてるのか?」 ヲ級「場所ガワカッテイルカラ、ソコマデ行クトキモアルシ、オマエタチガ鬼級ヤ姫級ト呼ブ艦ニ用意シテモラウトキモアル」 ヲ級「泊地棲姫ノトコロニイタトキハ、駆逐艦ガ集メタ燃料ヲ分ケテモラッテイタ」 提督「その時も燃料なのか。魚とかは食べないのか?」 ヲ級「タマニ魚モ食ベルガ、エネルギーヘノ変換効率ハ良クナイト思ッテイル」 ヲ級「ソレニ私ハ、アマリ生魚ヲ美味シイト思ワナイカラ、イツモ燃料ヲ貰ッテイル」 提督「そうか。じゃあ、補給用の設備が整ってれば、いまのところは安泰と思っていいか」 提督「ん? となると、俺たちと同じ飯を食うル級は変わり者ってことになるのか?」 ヲ級「イヤ……タブン、私タチニハ調理トイウ概念ソノモノガ、抜ケ落チテイタンダト思ウ」 ヲ級「深海ニイタトキニ、アタタカイ食ベ物ヲ摂ルコトハ、ナカッタ。ソレガ普通ダッタカラ、ナ」 提督「なるほど。駆逐艦の見た目も食い物も、指摘されるまで疑いすらしなかった、ってことか」 ヲ級「私タチノ名前モソウダ。私タチニハ、名前トイウ概念ガ、ナカッタ。名前ヲツケル自由ガアルコト自体、考エニ至ラナカッタ……」 ヲ級「ダカラ、人間タチガツケタ名前ヲ、私タチモ使ウヨウニシタ。私タチガ、イッタイ何者ナノカ、考エラレナカッタカラ……」フラッ 提督「お、おい、大丈夫か!?」 ヲ級「……少シ、記憶ガ、混乱シテイル」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/929
930: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:24:31.93 ID:HHe/6brVo ヲ級「オマエト、話シテイルト、イロイロナコトヲ……忘レテイタコトヲ、思イ出スヨウデ……」 ヲ級「……私ハ……ワタシ、ハ……」 提督「おい!? しっかりしろ!」 ヲ級「……ッ!?」 提督「大丈夫か……? 何かしら思い出すのはいいのかもしれねえが、ふらふらしてたぞ?」 ヲ級「……大丈夫ダ。私ガ何者ナノカ、思イ出セソウナ、感ジガシタダケダ」 提督「……」 ヲ級「艦娘ニハ、艦名ガアル。ダガ、私タチニハ、ナイ」 ヲ級「タブン、私タチガ、自分自身ヲ何者ナノカガ、ワカラナイカラダト思ウ」 ヲ級「私タチ……『ヲ級』ト呼バレル個体ノ姿ガ似テイルノモ、艦娘ノヨウニ、本来ノ自ラノ艦名ヲ、思イ出セナイカラダト、思ウ」 提督「そうなのか……?」 ヲ級「……ナントナク、ソウ思ッタダケダ。当タッテイルカドウカハ、ワカラナイ」 ヲ級「私ガ推測シテ、納得デキソウナ答エヲ考エタ結果、ソウイウ結論ニ至ッタダケダ」 提督「そうか。どっちにしても、無理はすんなよ」 ヲ級「……?」 提督「なんでそこで不思議そうなするんだよ。お前が何かを思い出そうとしてたとき、倒れそうだったじゃねえか」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/930
931: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:25:17.10 ID:HHe/6brVo 提督「体を壊したら元も子もねえ。少し休んでからでもいいだろ、って思っただけだ」 提督「忘れてる、ってことは、もしかしたら思い出したくないことかもしれないからな。やばいと思ったら無理すんな」 ヲ級「……ソウカ」 提督「さてと、俺はもう少し館内を見回ってくる。お前はまた哨戒に行くのか?」 ヲ級「……」コク 提督「んじゃ、気を付けて行けよ。何かあったらすぐ連絡しろよ」 ヲ級「待テ」 提督「なんだ?」 ヲ級「ナゼ私ガ、時雨ヲ見ツケタ個体ダトワカッタ?」 提督「ん? 普通に顔を見てわかったんだが」 ヲ級「……ソウカ」 提督「おう。んじゃな」 スタスタ… ヲ級「……」 ヲ級「ナルホド。アノ、ル級ガ、ヨク笑ウワケダ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/931
932: ◆EyREdFoqVQ [sage saga] 2023/05/14(日) 13:26:01.68 ID:HHe/6brVo イ級「」ザバー ロ級「」ザババー ヲ級「……!」 イ級「ホキュウオワリ」 ロ級「ミマワリデカケル」 ヲ級「……ソウダナ」 ロ級「?」 イ級「ナニカアッタッポイ?」 ヲ級「……イヤ。今日ハ、アタタカイナ」 イ級「タシカニ、イイオテンキ」 ロ級「オデカケビヨリ」 ヲ級「……サア、行クゾ」ザァッ イ級「リョウカイ」ザバー ロ級「ナノデス」ザババー http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/932
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