男「元奴隷が居候する事になった」【安価有】 (596レス)
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168: [saga] 2017/11/16(木)01:58 ID:qrdjbAqX0(5/10) AAS
マスターがお冷を二杯、カウンターごしに渡してくる。

僕はそれを手に取って少し喉を潤した。

不敵な笑顔が対面に見える。笑いかた一つとっても迫力ある人だ。

「えらく久しぶりじゃねぇか、一年ぶりくらいだな」

「ちょっと長丁場な事件を請け負っちゃってね。ここが潰れてなくて安心したよ」

「ふっ、ぬかせ。常連のマダムたちがいる限りは安泰よ」

僕らが軽口を交わすなか、サンディは未だ気後れしているのか下を向いてテーブルをじっと見つめている。

マスターは彼女をちらりと見て、それから僕に目線を向けた。

それからくるりと踵を返して、ご注文は、と催促してくる。

空気の読める人だ。あまり詮索しないからこそ、ここは居心地がいい。

「じゃあ、オムライス。サンディは?」

「わ、私も同じもので……」

あいよ、と返事が一つ。

久々に絶品のオムライスが楽しめるのを心待ちにしつつ、隣のサンディに話しかける。

「ああいう見た目だけれど、凄くいい人だよ」

「そ、そうですね。見た目で判断しちゃいけませんよね」

「そうそう。パッと見だとお勤め上がりの極道さんだけれど、あの人って花と絵本が大好きだから」

「!?」

サンディが驚いた表情を見せる。そして厨房から、

「おい聞こえてんぞ、情報漏えいで訴えるぞポンコツ探偵」

と野次が聞こえてきた。

ハードボイルド私立探偵をポンコツ呼ばわりとは失礼な。

だがポンコツと呼ばれる事は身に覚えは幾つかあるので、そっと押し黙ることにした。

 
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