梨子「5年目の悲劇」 (315レス)
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63(1): ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:28 ID:SnVGEAuwO携(1/33) AAS
「が、くる、し……」
「っ…………」
ただ、”彼女“の首を無言で絞め続ける。
64: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:29 ID:SnVGEAuwO携(2/33) AAS
“彼女“は己の首に掛けられたロープを外そうと必死でもがく。
だが、酸欠状態になりつつある身体では碌な抵抗も出来ない。
こういう時、刑事ドラマなら犯人に傷をつけることで真相解明に近づけさせると言うけれど。
それはさせぬと言わんばかりに、ロープにぐぐっと力をこめる。
数分、いや数十分。どのくらいの時間が経っただろう。
省1
65: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:30 ID:SnVGEAuwO携(3/33) AAS
「ハァ、ハァ……」
ロープから手を放し、止まらない汗を拭う。
荒ぶっていた呼吸と心臓の鼓動が少しずつ整ってくる。
……殺してしまった。
後悔はない、と言えば嘘になる。
省1
66: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:31 ID:SnVGEAuwO携(4/33) AAS
「…………」
物言わぬ亡骸を担ぎ、”準備“を始める。
まだ終わっていない。もう後戻りは出来ない。
自分はこの計画を、何としてでも完遂させなければならないのだから。
67: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:32 ID:SnVGEAuwO携(5/33) AAS
────7月30日、午前11時。
梨子「集合時間だけど……揃ってないわね」
集合場所であるロープウェイ乗り場に集まっていたのは7人。
鞠莉と善子、2人の姿が見当たらないのだ。
68: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:33 ID:SnVGEAuwO携(6/33) AAS
自動運転のロープウェイは既に扉を開けて停車しており、時刻表によれば間もなく発車する。
「テレビの人たちと打ち合わせもあるだろうし、リゾートの方で先に待っているのではないか」
誰かが言ったその内容に皆が納得し、それならとロープウェイに乗車する。
ただでさえ雨が降っていて皆相応な荷物を持っているのに、屋根の外に居たくはなかった。
69: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:34 ID:SnVGEAuwO携(7/33) AAS
「おーい! 待ってー!」
扉が閉まる寸前、大きなキャリーバッグを抱えた女性が駆け込んで来た。
傘を畳むのも忘れてゼェハァと息を切らせる彼女に、皆揃って呆気に取られる。
70: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:35 ID:SnVGEAuwO携(8/33) AAS
千歌「あのー、あなたは?」
「久しぶりね、Aqoursのみんな」
呼吸を整え、高森と名乗った女性。
後ろで纏めた髪に赤ブチのメガネ、もしかして。
71: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:36 ID:SnVGEAuwO携(9/33) AAS
梨子「もしかして、大会でいつもいたレポーターさん?」
千歌「そういえば……!」
高森「そうよ。覚えててくれて嬉しいな」
Aqoursがまだ6人だった頃、東京スクールアイドルワールドで初めて出会った彼女。
忘れもしない『0票』の集計結果を渡されたのは、今となってはいい思い出。
省1
72: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:38 ID:SnVGEAuwO携(10/33) AAS
その後も、最終予選、決勝戦、その他スクールアイドルのイベント……。
彼女はいつも会場にいて、私たちも何度か顔を合わせていた。
Aqoursの優勝インタビューをしたのも、彼女だった筈だ。
73: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:39 ID:SnVGEAuwO携(11/33) AAS
花丸「でも、なんでここに?」
高森「頼まれたの、小原さんに」
果南「鞠莉が?」
高森「そう。Aqours再会記念を、リゾート宣伝も兼ねて番組にしてくれないかってね」
……本当に依頼したのか。
省1
74: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:40 ID:SnVGEAuwO携(12/33) AAS
高森「それで、11時頃に出るロープウェイに乗って来てくれませんかって連絡を受けてたんだけど……何だか妙なのよ」
ダイヤ「妙、とは?」
高森「カメラマン何人か連れて来る予定だったんだけど、時間になっても来ないもんだからどうしたものかってね」
高森「電話したら、みんな口を揃えて『小原さんから、翌日にずらして欲しいって連絡があった」なんて言うんだもの」
高森「私はそんな連絡受けてないし、Aqoursのみんなは集まってるし、なんでかなーって」
75: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:40 ID:SnVGEAuwO携(13/33) AAS
ルビィ「そんな筈はないと思うけど……マネージャーさんとは明日までって話をしているのになあ」
高森「まあ、黒澤ちゃんのマネージャーって結構そういうところ厳しいからね」
ルビィ「マネージャーさんと知り合いなんですか?」
高森「ええ。スクールアイドルから芸能人になった人は他にもいるし、そういう人たちのこともよく知ってるわ」
76: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:41 ID:SnVGEAuwO携(14/33) AAS
曜「でも、確かにヘンだよねえ。私たちにもそんな話伝わってないし」
梨子「誰か、善子ちゃんか鞠莉さんに電話した?」
果南「一応してるんだけど……出ないね」
花丸「どうせ二人で何か企んでるずら」
梨子「……」
省5
77: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:43 ID:SnVGEAuwO携(15/33) AAS
◆
千歌「おー……」
ダイヤ「雨天でなければ完璧でしたわね」
ゴンドラを降りると、そのリゾートは眼前に広がっていた。
手入れの行き届いた洋風庭園に囲まれた、瀟洒な別荘という言葉がピッタリな建築物。
省3
78: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:44 ID:SnVGEAuwO携(16/33) AAS
曜「外も凄かったけど……」
ルビィ「中も綺麗……」
大理石の床、待合い用の大きなソファ、ガラス張りのテーブル、煌びやかなシャンデリア。
天窓からは、フロストガラスである程度緩和された太陽光が差し込むのだろう。
今は生憎の雨で、明かりの主役はシャンデリアなのだが。
79: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:45 ID:SnVGEAuwO携(17/33) AAS
高森「……いないわね、小原さん」
千歌「善子ちゃんもどこ行ったんだろう」
こういう時、「Ciao〜♪」とハイテンションで出迎えるのが鞠莉だった筈なのに。
従業員との打ち合わせ……にしては、私たち以外誰もいないように感じられる。
80: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:46 ID:SnVGEAuwO携(18/33) AAS
果南「ねえ、気になったんだけど」
梨子「これは……ルームキー?」
ロビーの中央、一番大きなテーブル。
そこに、8つの鍵が置かれていた。
高海様、渡辺様、桜内様……
省2
81: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:46 ID:SnVGEAuwO携(19/33) AAS
そして、一緒に置かれていた一枚の手紙。
『Aqoursの皆様、正午になりましたら再度ロビーにお集まりください』
梨子「何だか、かなり凝ったことするのね」
果南「そういうことだったら、大人しく待ってあげよっか」
82: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/11(日)02:47 ID:SnVGEAuwO携(20/33) AAS
ダイヤ「……ところで。私とルビィ、どちらがどちらの鍵か分かりかねるのですが」
ルビィ「どっちも『黒澤様』って書いてる……」
果南「んー……部屋番号を見た感じ、片方は私の隣でもう片方はマルの隣みたいだし」
花丸「じゃあ、こっちがルビィちゃんの鍵ずら」
ダイヤ「では、私はこちらを」
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