梨子「5年目の悲劇」 (315レス)
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36: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)01:58 ID:oZ0o4GAZO携(14/35) AAS
千歌「とにかく、こうして9人集まったワケだし、暗い話はナシでいこうよ」
ルビィ「9人?」
梨子「鞠莉さんは居ないんじゃ……」
善子「いるのよ、ここに」チッチッチッ
指を振りながら、善子が取り出したのはタブレット端末。
37: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:00 ID:oZ0o4GAZO携(15/35) AAS
善子「生憎と音声オンリーだけどね。CEOにこの時間空けておけって伝えてあるから」
梨子「どういうこと……?」
曜「善子ちゃん、いまは鞠莉ちゃんの会社で働いてるんだよ」
ルビィ「そうだったの!?」
善子「そうよ。というか、二人とも知らなかったのね」
38: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:01 ID:oZ0o4GAZO携(16/35) AAS
自慢げに見せてくれた社員証は、確かに彼女が小原グループに所属していることを証明するものだった。
善子「日本支部の担当は違う人だけれど、鞠莉が雇うように直接人事に掛け合ってくれたのよ」
花丸「大学受験に失敗してしばらくやさぐれて、鞠莉さんに拾われるまでゆーちゅーばーしてたずら」
善子「それは言うなずら丸!」
39: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:01 ID:oZ0o4GAZO携(17/35) AAS
鞠莉『Ciao〜♪』
果南「お、繋がったね」
電話越しの元気そうな鞠莉の声は、あの頃と変わっていなかった。
遠い存在、そう思っていた自分が馬鹿らしくなって来る。
40: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:02 ID:oZ0o4GAZO携(18/35) AAS
鞠莉『久しぶりにAqoursが集まるってヨハネから聞いてたからね。もうみんな揃ってる?』
善子「揃ってるわよ。あとヨハネはやめてって言ったでしょ!」
鞠莉『私はそのままでいいってずっと言ってるのに。それに、前みたいにマリーって呼んでくれなくなったし』ムッスー
花丸「流石に、善子ちゃんも社長さんにそんなことは言えないずら」
曜「いよっ、CEO!」
省1
41: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:03 ID:oZ0o4GAZO携(19/35) AAS
梨子「あの……鞠莉さん」
鞠莉『その声は梨子ね。What? どうかした?』
梨子「浦の星が廃校になるって、本当なの?」
鞠莉『…………』ハァ
42: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:05 ID:oZ0o4GAZO携(20/35) AAS
Aqoursの活動により、入学者が増えた筈の浦の星女学院。
けれどもそれは一時的なものに過ぎず、Aqoursの解散後はすぐに低迷。
行政等の関与もあり、今年度をもっての廃校は避けられない……。
“元“理事長の口から語られた現実は、あまりにも無情だった。
43: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:09 ID:oZ0o4GAZO携(21/35) AAS
鞠莉『校舎だけでも何かの形で残せないかって思ってるんだけどね……』
ダイヤ「それについては、いずれじっくり話しておきたいところです」
鞠莉『ダ〜イ〜ヤ〜?』
ダイヤ「失礼」コホン
梨子「……?」
省1
44: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:10 ID:oZ0o4GAZO携(22/35) AAS
果南「そういえば鞠莉、日本にはいつ帰って来られそうなの?」
鞠莉『来月の末くらいかな。今そっちに建ててる施設がもうすぐ出来上がるから、それの視察も兼ねてね』
ルビィ「施設?」
鞠莉『Yes♪ 高原の別荘をテーマにした、新しいリゾート。景観を壊さないように、麓からロープウェイで繋いだのよ』
45: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:11 ID:oZ0o4GAZO携(23/35) AAS
善子「私もそっちで忙しいのよね……。8月にはお披露目させたいって、結構な無茶だったわ」
鞠莉『あら、不満?』
善子「イイエナンデモー」
46: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:11 ID:oZ0o4GAZO携(24/35) AAS
千歌「ってことはさ、今度こそAqoursのみんなで集まれるんだよね?」
鞠莉『どうかしらね。TOKYOでお仕事してる二人次第だと思うけれど?』
梨子「私は次の公演がかなり先だから、休日ならいいけれど……」
ダイヤ「ルビィ、お仕事の方は大丈夫ですの?」
千歌「あー……」
47: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:12 ID:oZ0o4GAZO携(25/35) AAS
引っ張りだこのルビィは、空いている日を見つけることが難しい。
それでも、9人再集結を夢見て(主に千歌の)期待の眼差しがルビィへ向かう。
視線を受けたルビィは、「ちょっと待ってて」とスマホの画面との睨めっこを始めた。
48: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:14 ID:oZ0o4GAZO携(26/35) AAS
ルビィ「あの……鞠莉さんが来るのって、7/30、31ですか?」
鞠莉『ん〜……決まってるワケじゃないけれど、そこなら都合がいいワケね?』
ルビィ「はい!」
鞠莉『OK♪ 他のみんなはそれでいいかしら?』
鞠莉の問いに、ほぼ全員が肯定する。
省1
49: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:15 ID:oZ0o4GAZO携(27/35) AAS
鞠莉『決定ね。折角だから、Aqoursの復活として特番でも組みたいところだけれど……』
ダイヤ「また貴女は唐突な……」
ルビィ「流石に厳しいと思うけど……」
鞠莉『そこはNo problem♪ 小原グループのコネを侮って貰ったら困るわ』
当日をお楽しみに。そう言い残し、鞠莉は電話を切ってしまった。
50: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:16 ID:oZ0o4GAZO携(28/35) AAS
善子「……あとで集合場所聞いてメールするわ」ハァ
鞠莉なら本当にやりかねない。
頭を抱える善子に、少し同情した。
51: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:19 ID:oZ0o4GAZO携(29/35) AAS
その後、お茶を飲みながら昔話に花を咲かせようとしたのだが、夜から仕事があるからとルビィが部屋を発つのを皮切りに、結局お開きとなった。
私も色々話したいことはあったが、来月まで取っておくことにして、彼女に付き添うことにした。
52: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:20 ID:oZ0o4GAZO携(30/35) AAS
千歌「ねえ、梨子ちゃん」
梨子「どうしたの?」
千歌「あのこと、私は忘れてないからね」
梨子「あのこと?」
千歌「……ううん、なんでもない」
省1
53: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:22 ID:oZ0o4GAZO携(31/35) AAS
見送ってくれる6人に手を振り、やがてその姿は見えなくなる。
ルビィ「みんな、色々変わってましたね」
梨子「そうね……」
54: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:23 ID:oZ0o4GAZO携(32/35) AAS
飛び込み選手を辞めたらしい曜、やけに背の伸びた花丸。
何となく昔のような元気がなくなった果南。昔のキャラを捨てた善子。
大物になっていたダイヤと鞠莉。そして、何とも言えない違和感のある千歌。
みんな、大なり小なり変化があった。
鞠莉は何かしらの形で私たちの再会をテレビに流したいと言っていたが、あの頃のように上手く行くのだろうか。
省1
55: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/06/04(日)02:25 ID:oZ0o4GAZO携(33/35) AAS
梨子「あ」
そういえば、公演によく来てもらっていたこともあって、両親に顔を見せるのをすっかり忘れていた。
家は十千万のすぐ隣だったのに、バカをやらかした。
来月内浦に来たときに顔を見せようと強引に結論づけ、私はこの件について考えないことにした。
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