梨子「5年目の悲劇」 (315レス)
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244: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:00 ID:qzmsVTnmO携(21/44) AAS
花丸「っ、ルビィちゃんは関係ないずら!」

梨子「私も、最初は花丸ちゃん一人だと思ってた。でも、あなたの偽装死体のことを考えれば、辻褄は合うのよ」

梨子「花丸ちゃんは、幾つもの仕掛けであれを死体だと思わせた。顔がまるで血の気を失っていたように見せかけていたのもその一つ」

梨子「じゃあ、その化粧道具はどこから調達したのかしら」

曜「まさか」
省4
245: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:01 ID:qzmsVTnmO携(22/44) AAS
梨子「なんで、ルビィちゃんの部屋に電話をしなかったの?」

花丸「────!」

梨子「私の部屋は、花丸ちゃんの部屋から見て一番距離がある。演技とはいえ、一刻を争う事態だった筈よ」

梨子「でもあなたは、ルビィちゃんの部屋に電話をかけられなかった。何故なら、ルビィちゃんには部屋の前でドアを叩いてもらう役を演じてもらったから……違うかしら?」

花丸「違う、マルは……」
省1
246: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:03 ID:qzmsVTnmO携(23/44) AAS
花丸「ルビィ、ちゃん……?」

ルビィ「梨子さん、完敗です。犯人は、花丸ちゃんと私。ほとんど、梨子さんの推理した通りです……」

梨子「…………」

実のところ、ルビィが共犯だという明確な物的証拠はなかった。

けれども、二人が共犯だと気づいた時。きっとこうしてやらないと、共犯者は名乗り出ない。
省1
247: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:04 ID:qzmsVTnmO携(24/44) AAS
梨子「動機はやっぱり……善子ちゃんね」

梨子「教えてちょうだい。善子ちゃんと鞠莉さんたちの間に、何があったのか」

ルビィ「それは……」

花丸「善子ちゃんを、あの二人が奪ったから」

放たれた“動機”は酷く分かりやすく、それでいて残酷だった。
省1
248: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:04 ID:qzmsVTnmO携(25/44) AAS
花丸「善子ちゃんが大学受験に失敗したって話は、前にもしたと思う。それでしばらく引き籠ってたことも」

花丸「ある時、鞠莉さんが善子ちゃんを自分の会社に入れてくれた。形はどうあれ、善子ちゃんは外に出るようになった」

花丸「マルは、大学に通うようになってから一人暮らしを始めててね。会社に近いからってことで、善子ちゃんもそこで住むようにしたの」
249: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:05 ID:qzmsVTnmO携(26/44) AAS
AA省
250: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:07 ID:qzmsVTnmO携(27/44) AAS
花丸「いつか、3人で昔みたいにお泊り会が出来ればいいなって、そう思ってた」

花丸「けど、3週間前のあの日。善子ちゃんから『たすけて』って、それだけ書かれたメールが送られてきた」

花丸「最初は仕事に疲れたのかなって、柔らかい布団と美味しいご飯を準備してた」

花丸「……でも、3日経っても善子ちゃんは帰って来なかった」

花丸「会社にも来てないみたいだし、流石に探しに行こうとして、そしたら、玄関の郵便ポストに善子ちゃんのケータイが入ってた」
省1
251: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:10 ID:qzmsVTnmO携(28/44) AAS
花丸「ビックリしたずら。メモ帳の中にびっしりと、鞠莉さんの会社が黒澤家と組んで働いていた色々な不正が載ってたんだから」

花丸「その中には、果南さんのお店が潰れた原因が鞠莉さんだってことも書かれていた」

果南「……!」

花丸「善子ちゃんは、それを暴こうとして消されたんだって、そう思った」

梨子「……」
省5
252: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:11 ID:qzmsVTnmO携(29/44) AAS
ルビィ『……あ、花丸ちゃん』

花丸『どうしたの? 元気ないみたいだけど……』

ルビィ『……』

花丸『ルビィちゃん?』

ルビィ『あのね、お姉ちゃんが──』
253: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:12 ID:qzmsVTnmO携(30/44) AAS
花丸「ルビィちゃんは、ダイヤさんから家族の縁を切られかけていた」

花丸「ファンレターに混じって、鞠莉さんたちに潰された企業の書いた恨み言のような手紙があったんだって」

花丸「それを問い詰めたら、ダイヤさんは……」

花丸「だから確信したの。やっぱり善子ちゃんは二人に消されたんだって」

……ダイヤはともかく、鞠莉はこの機会を逃せばいつ接触出来るか分からない。
省1
254: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:13 ID:qzmsVTnmO携(31/44) AAS
花丸「でもこれだけは信じて。ルビィちゃんは誰も殺してない。ただ、偽装トリックに協力してもらっただけなの」

花丸「あの二人は許せなかったし、マルの頭の回転が遅かったせいで、こんな方法しか思いつかなかった。でも、ルビィちゃんを犯罪者にすることだけは、どうしても抵抗があった」

花丸「だからせめて、いざという時は自分ひとりで罪を被れるようにって、そう思ったのに……!」

喋り続ける犯人以外、誰も言葉を発しない。

ただ、この哀れな少女の告白に、じっと耳を傾けることしか出来なかった。
省1
255: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:15 ID:qzmsVTnmO携(32/44) AAS
花丸「だから、ルビィちゃんだけは……」

言葉が途切れ、力尽きたかのように、彼女は倒れた。

ルビィ「花丸ちゃん!」

長身の少女を受け止めたのは、小柄な少女だった。

花丸「ごめん、なさい……」
省1
256: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:16 ID:qzmsVTnmO携(33/44) AAS
花丸は、ルビィの部屋に運ばれた。

彼女が目を覚まし救助が来るまでの間、皆が枕元についていた。

ルビィ「花丸ちゃん、昨日の夜に鞠莉さんを殺してから、ずっと寝てなかったんです」

ルビィ「それに、お姉ちゃんが鞠莉ちゃんを殺したのが花丸ちゃんだって気付いちゃったみたいで、慌てちゃったみたいで……」

梨子「……そっか」
省2
257: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:17 ID:qzmsVTnmO携(34/44) AAS
果南「鞠莉に店を潰された、か……。間違ってはいないんだけどね」

ルビィが席を外したタイミングで、果南が口を開いた。

梨子「?」

果南「まだニュースになってないから、知らないのも無理はないか」

曜「どういうこと?」
省3
258: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:18 ID:qzmsVTnmO携(35/44) AAS
梨子「そんな……じゃあもし────」

ルビィが戻って来たのが視界に入り、続きの言葉を押しとどめる。

これ以上、彼女たちを追い詰めるような真似は出来なかった。

……救助が来て、花丸が目を覚ましたのは、翌朝のことだった。
259: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:20 ID:qzmsVTnmO携(36/44) AAS
花丸「じゃあね、ルビィちゃん、みんな」

ルビィ「うん、待ってる。時間のある時は、会いに行くよ」

花丸「……ありがとう」

その日のうちに、花丸は警察に自首をした。

本人たっての希望で、ルビィが共犯だということは皆の中での秘密になった。
省2
260: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:21 ID:qzmsVTnmO携(37/44) AAS
花丸『……そういえば、梨子さん』

梨子『どうしたの?』

花丸『高森さんって、どうやって殺されたんずら?』

梨子『────え?』

この事件は、まだ終わっていない。
省1
261: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:22 ID:qzmsVTnmO携(38/44) AAS
────8月1日、夜、梨子の家。

梨子母「明日には東京に戻るのよね」

梨子「……うん」

梨子母「まさか、お友達があんなことになるなんてね……」

梨子「…………」
省2
262: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:23 ID:qzmsVTnmO携(39/44) AAS
『警察では、国木田さんから詳しい事情を──』

ニュース番組を消し、母が作った料理を食べる。

梨子母「どうだった?」

梨子「……美味しい。ありがとう」

梨子母「なら良かった。その魚、渡辺さんからお裾分けしてもらったのよ」
省2
263: ◆8TImjtGSKs [saga] 2017/07/09(日)02:24 ID:qzmsVTnmO携(40/44) AAS
梨子「お母さん、カレンダーまだ7月になってるけど……」

梨子母「ああ、もう8月だったわね。変えといてくれる?」

梨子「いいけど……この印は何?」

2022年7月と書かれたカレンダー。30日と31日の部分に、赤い丸印が付いていたのが妙に気になったのだ。

梨子母「ああ、それなら────」
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