【艦これ】提督「……さて、と」 夕張「何でしょう?」 (172レス)
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1: ◆hsyiOEw8Kw 2017/02/01(水)23:15 ID:YQB9fyw70(1/42) AAS
走る。

不知火と榛名が。

不知火「……雷さんは……」

榛名「……撒きましたね……!」

よし、と片手で小さくガッツポーズを取りながらも、足は止めない。
省3
2: ◆hsyiOEw8Kw 2017/02/01(水)23:17 ID:YQB9fyw70(2/42) AAS
艦これ二次創作ss、オリジナル設定多数、長編です。

一節
【艦これ】提督「…さて、と」
外部リンク:n2ch.net

二節
【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」
外部リンク:n2ch.net

三節
【艦これ】加賀「……さて、と」
外部リンク:n2ch.net
省3
3: ◆hsyiOEw8Kw 2017/02/01(水)23:19 ID:YQB9fyw70(3/42) AAS
一先ず建物の陰に隠れ、息を整える二人はしかし、警戒は怠らない。

不知火「……鳳翔さん、何処に居ると思います?」

榛名「鳳翔さん……ですか……うーん」

顎に指を当てて小首を傾げる。

榛名「撒きましたよね……」
省4
4: ◆hsyiOEw8Kw 2017/02/01(水)23:20 ID:YQB9fyw70(4/42) AAS
榛名「足柄さんはそこが濃厚ですね。
工廠と船渠を抑えてないはずが無いので……雷さんは寮に居ましたし。
……となると鳳翔さんの選択肢は二つ」

不知火「島中に潜んでいるであろう我々を炙り出す為に探索する。或いは、キッチンに戻るか……」

榛名「そう。そして……追う前に恐らくキッチンないし食堂は封鎖しているはず」

不知火「逃げ場を減らすために」

榛名「そうですね。
であれば……鳳翔さんは探索に出ているでしょう」
省6
5: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:21 ID:YQB9fyw70(5/42) AAS
不知火「嗅覚?」

榛名「ええ。純粋に、あの人、凄く鼻が利くじゃ無いですか」

不知火「……それは、まぁ……でも、そんなにですか?」

榛名「……私は、わりと……恐れてます……隼鷹さんは隠れても毎回見つかってたし……」

不知火「確かに……しかし、ならばどうします?」
省4
6: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:23 ID:YQB9fyw70(6/42) AAS
榛名「勿論正気です」

不知火「……しかし、どのようにして封鎖されているのかもわかっていませんよね?」

榛名「行けばわかります」

不知火「ええー……」

榛名「際は投げられました。行きますよ!」
省3
7: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:24 ID:YQB9fyw70(7/42) AAS


榛名「さて……」

不知火「着きましたね……」

やや荒い息を整えながら、二人は食堂の入口へと歩み寄る。
目の前にある扉は果たして、固く閉ざされていた。

榛名「やはり……」
省6
8: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:26 ID:YQB9fyw70(8/42) AAS
その視線の先にあるのは、少しばかり空いた窓。
しかしそれは、2階だ。

不知火「まさか、」

榛名「そのまさかです」

不知火「……どう登るおつもりで?」

榛名「屋根から雨水を流す配管が向こうにあります。まずはそこから屋根に上り、上から逆にぶら下がることで中に入れると思いますよ」
省7
9: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:28 ID:YQB9fyw70(9/42) AAS
不知火「まるで艦娘なら全員出来るかのような言い方ですねぇ……私には無理なのでーー」

ちらりとあたりを見渡す不知火。

不知火「――かなり見つかりづらい場所に、鍋は隠しておきます」

榛名「急いで下さいね」

そそくさと鍋を隠しに茂みへ向かった不知火を目端に捉えながら、榛名は己の服の袖を裂き始めた。
省2
10: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:28 ID:YQB9fyw70(10/42) AAS
榛名「ベルトが無いので」

不知火「ベルト?」

榛名「――まさか、素手でパイプに登るつもりですか?」

不知火「え、ええまぁ……」

榛名「登れることに私は驚きを隠せません……猿ですか?」
省13
11: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:30 ID:YQB9fyw70(11/42) AAS
榛名「まぁ、見ててください」

そう言うと、榛名は輪を両手に持ったまま胸の位置まで上げ、後ろ歩きでパイプとできる限り離れた。
パイプと向かい合う榛名。

当然、紐はピンと張り榛名の背中に食い込む。
そのまま紐に全体重を預けるようにして、榛名は地面から足を離し、代わりに壁に足をついた。
軋む雨樋。
だが、持ちこたえて。
壁を踏む力により、パイプに掛けられた輪が榛名を支えた。

不知火「おお……」

感心する不知火を尻目に、榛名はその姿勢を維持したままスイスイとパイプに沿って壁を蹴って進んでいく。
省10
12: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:31 ID:YQB9fyw70(12/42) AAS
榛名「よし……降ります」

先程雨樋から回収した紐を、榛名は不知火に渡した。

榛名「この紐を屋根から垂らして窓に入ります。
不知火さん、しっかりお願いしますよ」

不知火「……待って下さい。私が紐を持つんですか?で、榛名さんが降りると」

榛名「はい。私が窓に到達したら、不知火さんは飛び降りて下さい。
受け止めます」
省3
13: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:32 ID:YQB9fyw70(13/42) AAS
不知火「いえ、私は……その……」

榛名「……?」

不知火「……」

案外、重いので……と暫しの沈黙の後に続けた。
赤面する不知火に、少しびっくりしたようになった榛名。
しかし、直ぐに微笑み。

榛名「大丈夫ですよ。軽かったです。蹴り飛ばしましたから」
省5
14: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:33 ID:YQB9fyw70(14/42) AAS


サセン島、執務室

提督が誰かと電話をしている。

相手が何かを告げ。
提督は目を伏せると、答えた。

提督「……わかった」
省5
15: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:34 ID:YQB9fyw70(15/42) AAS
提督「……しかし、もうすぐだ……もうすぐで、俺は……」

窓の前へ歩み、ふぅ、と再び深い嘆息。
外を覗き込み、強い日差しに顰められた双眸は、向かいの建物のシルエットを写した。

正確には、建物のシルエットと、その屋上に立つ何者かのシルエットだが。
その姿は逆光でよく見えない。

提督「……?」

怪訝な顔になる。
省6
16: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:34 ID:YQB9fyw70(16/42) AAS
飛び降り自殺?誰が?何故?という疑念が胸中に渦巻く。

が。

提督の動揺とは裏腹に。
飛び降りた人物は、地面に激突はせず。
途中で伸びてきた腕にしっかりとキャッチされ、そのまま建物の陰に吸い込まれていった。

提督「……」

唖然としていた提督は、しかしすぐに落ち着きを取り戻した。
省7
17: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:35 ID:YQB9fyw70(17/42) AAS


不知火「あぁぁぁ……死ぬかと思いましたよ……!」

榛名「ちゃんとキャッチしたじゃないですか!」

不知火「そうですけど!艦娘は空を飛ぶようには出来て無いと言うことがよくわかりました……」

榛名「それは……まぁ……」
省10
18: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:36 ID:YQB9fyw70(18/42) AAS
榛名「現段階で既に、鳳翔さんに捕まったら地獄しか見えないから逃げてる訳で……
お仕置きは確定してるんですよね」

不知火「逃げた分だけ怒りのボルテージ上がりそうですけど……」

榛名「まぁ、そこらへんは大丈夫ですよ」

不知火「大丈夫……?」

榛名「はい」
省3
19: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:37 ID:YQB9fyw70(19/42) AAS
榛名「それに最悪でも死ぬだけです!」

不知火「それは本当に最悪ですからね。大丈夫じゃないですからね」

等と、話している間に二人は食堂に到着した。
キッチンは目の前だ。

不知火「では……私は鍵を開けて鍋を取ってきます」

榛名「私はキッチンで最終確認を!」
省10
20: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2017/02/01(水)23:38 ID:YQB9fyw70(20/42) AAS
榛名「♪〜」

ご機嫌に作業を続ける榛名。

榛名「よし!
最後に……チョコレートソースなる物があれば……
見栄えがするのですが……」

足柄「チョコレートソースは無いわね〜」

榛名「ですよね……」
省9
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