花陽「死を視ることができる眼」
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レス集計
1: みんな、泣いちゃうかなあ── (13.17点)
1: 運動神経は良い方ではなかったけれど、幸か不幸か、最悪の展開だけは避けられたんです。 (13.17点)
1: 花陽「凛ちゃん危ないっ!!」 (13.17点)
1: 気がついたときには無我夢中で走り出していました。 (13.17点)
1: 許された思考は一瞬。 (13.17点)
1: 凛ちゃんを突き飛ばして、迫り来る鉄塊と対峙。 (13.17点)
7: しかし、一度だけ立ち止まると、元いた席の方──つまり私がいるテーブルの方に振り返ると、一言だけ告げました。 (5.57点)
7: そう言って、女医さんは渡したはずのペーパーナイフを私に差し出しました。 (5.57点)
7: ペーパーナイフは大きさの割にそこそこの重さがあるので、もしかしたら純銀で作られたものなのかもしれません。 (5.57点)
7: 花陽「あの、これは?」 (5.57点)
7: 花陽「こんな高価そうなもの……本当に頂いてもいいんですか」 (5.57点)
7: 花陽「は、はいっ、ありがとうございます」 (5.57点)
7: 外から差し込む日光に照らされ、ナイフが白く鋭く光ったのが、やけに印象的でした。 (5.57点)
7: 差し出されたペーパーナイフを受け取ると、女医さんは嬉しそうな表情を浮かべました。 (5.57点)
7: 女医「そろそろ時間かしら……支払いは済ませておくから、君はゆっくりしていくといいわ」 (5.57点)
7: 女医「また会いましょう」 (5.57点)
7: 女医「道具は持つべき人が使いこなしてこそ、真の価値が生まれるものなの。そのナイフは、君が使ってこそ輝ける……私はそう思った。大事に使ってね」 (5.57点)
7: 女医「名工が暇潰しに作った一品物にルーンを刻んだだけのものだけど、魔除けとしては一級品でね……きっとあなたを守ってくれるわ」 (5.57点)
7: 女医さんが店を出て行くのを見送ってから、もらったペーパーナイフに目を向けます。 (5.57点)
7: 腕時計を確認した女医さんは伝票を持って席を立つと、レジに向かって歩き出そうとします。 (5.57点)
21: その両方を抱えたまま、私は日常に戻ることになりました。 (5.43点)
21: μ'sのみんなも退院を心から祝福してくれて、誕生日でもないのに主役気分です。 (5.43点)
21: 花陽「大丈夫だよ。強く抱き締められたから、ちょっと苦しかっただけ。もうどこも悪いとこはないから、心配しないで」 (5.43点)
21: 花陽「凛ちゃん、ちょっと苦しいよお」 (5.43点)
21: 危惧されていた事故の後遺症もなく、私はすぐに退院することになりました。 (5.43点)
21: 私を抱きしめる凛ちゃんの身体の至る所に刻まれた、まるでツギハギみたいに蔓延る線を視ていると、心がざわつきます。 (5.43点)
21: 視てはいけないモノを、直視している恐怖。 (5.43点)
21: 治っていない場所なら、ある。 (5.43点)
21: 頭の奥がジリジリと焼け焦げるような感覚。 (5.43点)
21: 唯一無二の親友に、私は嘘をつきました。 (5.43点)
21: 凛「かよちん……かよちんかよちんかよちんっ!!ホントに良かった……かよちんが無事に退院できて、ホントに良かったにゃ!」 (5.43点)
21: 凛「ご、ごめんね……痛かった?まだどこか悪いところあるの?」 (5.43点)
33: /3 (5.29点)
33: ──その先には、地獄のような非日常が待っているとも知らずに。 (5.29点)
35: SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482928326 (4.82点)
35: きっかけは、ありふれた日常の狭間にありました。 (4.82点)
35: そう言って、凛ちゃんは横断歩道に飛び出しました。 (4.82点)
35: 花陽「この時期に落とすのは大変だから……凛ちゃんも気をつけた方がいいよ」 (4.82点)
35: 花陽「凛ちゃん、今日はちょっと食べ過ぎだよお」 (4.82点)
35: 今になって考えてみれば、ひょっとすると私がこんな眼になってしまったのも、避けられない巡り合わせだったのかもしれません。 (4.82点)
35: 瞬間、視界の端に映ったのは、止まる気配を見せない鉄の塊。 (4.82点)
35: 信号の色は、確かに青だったのに── (4.82点)
35: 信号の色は赤から青に切り替わり、私達は凛ちゃんに続いて歩き出そうとしたんです。 (4.82点)
35: 真姫「それ、ラーメン3杯平らげたアイドルが言うセリフじゃないわよ」 (4.82点)
35: 真姫「と、当然でしょ。もうすぐラブライブだっていうのに、花陽の次は凛がダイエットなんてことになったらたまったもんじゃないわ」 (4.82点)
35: 多分、それは誰にも止めることなんてできなかったと思います。 (4.82点)
35: 凛「あれ、もしかして真姫ちゃん……凛の心配してくれてるの?」 (4.82点)
35: 凛「うわあ〜、真姫ちゃん怖いにゃあ……」 (4.82点)
35: 凛「ヘーキヘーキ、これぐらい腹八分目にゃ」 (4.82点)
35: 凛「二人に言われたら仕方ないにゃ……でも沢山食べたなら、沢山動けばいいんだよ。ほら、こんな風に──」 (4.82点)
51: /1 (4.76点)
52: [ピーーー]? (4.73点)
52: さっきと同じことができれば、私はこの化物に勝てる。 (4.73点)
52: そこまで考えて、私は我に返りました。 (4.73点)
52: それはおそらく、私の根底にある弱さに繋がること。 (4.73点)
52: そんなことする必要がどこにあるの? (4.73点)
52: だって、仮に目の前にいるのがホンモノの化物でも。 (4.73点)
52: ──この化物を殺し切れる。 (4.73点)
52: ──私、どうして殺しにきた人に謝ってるんだろう。 (4.73点)
52: 花陽「……ごめんなさい。そこまで傷つけるつもりはなかったんです」 (4.73点)
52: 今は逃げることだけを考えなきゃ。 (4.73点)
52: 私がなんとかしなくても、きっと誰かが手を下してくれる。 (4.73点)
52: 自分がどれだけ恐ろしいことを考えていたのか、気がついたんです。 (4.73点)
52: 生きてることには変わりないじゃないですか。 (4.73点)
52: 路地裏から脱出するために全速力で走り出したあと、自分の言葉に強烈な違和感を覚えたんです。 (4.73点)
52: 贖いの言葉は、きっと自分自身に当てたものでした。 (4.73点)
67: ああ───このおにぎりを口に運んでしまった瞬間、魔法は解けてしまうんですね。 (4.50点)
67: お米からおにぎりに昇華するための工程を辿ります。 (4.50点)
67: けれど、わかっていてもこの口はあなたを求めてしまう。 (4.50点)
67: これが孤独なheavenなんだね。 (4.50点)
67: それは、決して崩れぬ白色の黄金比── (4.50点)
67: もうこれだけで口の中が唾液だらけになるんですが、さらにここから一工夫。 (4.50点)
67: 仮にこのおにぎりがシンデレラだとすれば、私はさながらガラスの靴を拾う王子様というところでしょうか。 (4.50点)
67: 海未ちゃん、私ようやくわかったよ。 (4.50点)
67: 最高級の南魚沼産コシヒカリを贅沢に使い、先進の技術を用いて生み出された新型の炊飯器で炊き上げられ少し硬めに調整されたお米は、邪なものを寄せ付けない輝きを放っていました。 (4.50点)
67: 旨味が強い塩として有名な、石川県産・奥能登揚げ浜塩を使い、中まで握らず外側は形が崩れぬ程度にかためて、中はかるく、ふんわりと適度な力で握られたおにぎりは絶妙なバランスの上で成り立ちます。 (4.50点)
67: 私達日本人の心を掴んで離さない、美のホワイトトライアングル。 (4.50点)
67: 色、艶、香り──どれをとっても一級品であることに間違いありません。 (4.50点)
67: 弁当箱から取り出したおにぎりを視ていると、我ながら会心の出来だと惚れ惚れします。 (4.50点)
67: 無垢な色をしたおにぎりを最後に飾り付けるのは、佐賀県産・初摘みの高級焼きのり。 (4.50点)
81: ??「…………」 (4.22点)
81: いえ、人物と呼ぶのは間違いだったかもしれません。 (4.22点)
81: いわゆる、遅刻寸前というやつです。 (4.22点)
81: ですがこちらの気持ちなんて配慮することもなく、信号の色は変わるものです。 (4.22点)
81: でも、今の私にははっきりと視えました。 (4.22点)
81: ニヤリと笑みを浮かべた口元には、鋭い牙が二本。 (4.22点)
81: ──普通の人なら見落としていたかもしれない距離。 (4.22点)
81: 花陽「……もう、タイミング悪いなあ」 (4.22点)
81: 広くて見晴らしの良い交差点前で信号待ちをしていると、向こう側の方に見知った人物がいました。 (4.22点)
81: 黒髪で、髪が背中にかかるぐらい長くて、女性で、肌が白くて、左腕がなくて── (4.22点)
81: 視力の悪い人なら、その表情をはっきりと確認するのは難しかったのではないかと思います。 (4.22点)
81: 終わったはずなのに。 (4.22点)
81: 終わらせたはずなのに、彼女は向こう側から私のことをじっと見つめていました。 (4.22点)
81: 遅刻したくなくて焦る気持ちと、早くみんなの待ってる学校に行きたいという気持ちとが重なり合って、自然と駆け足になります。 (4.22点)
81: 病院から何事もなく退院したあと、私は普段より少し遅れて登校することになりました。 (4.22点)
81: 普段は朝練に出てるからこんなことはないんだけどなあ。 (4.22点)
97: /9 (4.17点)
98: あの路地裏で人を食らっていた化物は、昼間の交差点に平然と姿を現したんです。 (4.11点)
99: /8 (3.27点)
99: いつもと変わらないものというのは、思いの外に心の清涼剤となるようでした。 (3.27点)
99: それもそのはずです。 (3.27点)
99: ベッドの横で悩ましそうに考え事をしている真姫ちゃんは、小さく唸りました。 (3.27点)
99: 花陽「…………」 (3.27点)
99: 花陽「……うん」 (3.27点)
99: 花陽「そ、そうだね。やっぱり私の見間違いだったのかなあ」 (3.27点)
99: 花陽「そっか……えへへ、嬉しいなあ」 (3.27点)
99: 花陽「それはそうなんだけど……最近は病院にいるばっかりだったから、早くみんなのところに帰りたくて」 (3.27点)
99: 花陽「真姫ちゃん、ここ病室だよお」 (3.27点)
99: 現場には犯人はおろか、死体さえなかったんですから。 (3.27点)
99: 個室とはいえ、隣は普通の部屋だから大きな声は響いちゃいます。 (3.27点)
99: 真姫「うえっ!?ちょ、ちょっと興奮しちゃっただけよ」 (3.27点)
99: 真姫「でも悪質なイタズラで済ますには不可解な点が多過ぎる……花陽、あなた本当に嘘はついていないんでしょうね」 (3.27点)
99: 真姫「なに呑気なこと言ってるのよ。自分がどれだけ大変な目にあったか、ちゃんとわかってる?」 (3.27点)
99: 真姫「残っていたのは血痕だけ……ね。例のペーパーナイフにも血液は付着していなかったし、他に凶器らしい凶器も所持していない……証拠不十分もいいとこだわ」 (3.27点)
99: 真姫「真面目に答えて!」 (3.27点)
99: 真姫「身体はどこも問題ないし、症状も疲労による失神だったから、明日には退院できるってパパが言ってた」 (3.27点)
99: 真姫「馬鹿げてるわ……そもそも死体が独りでに消失するなんてあり得ない」 (3.27点)
99: 真姫ちゃんの両親が経営する病院で眼が覚めたあと、私は警察から簡単な事情聴取を受けました。 (3.27点)
99: 内容は思っていたよりあっさりとしたもので、拍子抜けするぐらいのもの。 (3.27点)
99: 狼狽える真姫ちゃんはいつも通りで、視ていると少し安心します。 (3.27点)
121: これ以上は良くない、人もいないし視界も悪い。なにより嫌な予感がする。 (3.23点)
121: じゅるじゅる。 (3.23点)
121: じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅる。 (3.23点)
121: そう思っていても、足は歩みを止めようとしてくれません。 (3.23点)
121: その場で膝をつきそうなのを堪えて、震える足に無言で喝を入れて、一歩ずつ後退します。 (3.23点)
121: そんなの見ればわかるに決まってる。 (3.23点)
121: なにかを啜るような音が聴こえる。 (3.23点)
121: なにか──なにかってなんなの? (3.23点)
121: なら逃げられるはず。 (3.23点)
121: まだ、向こうはこちらに気がついていません。 (3.23点)
121: アレは、血を啜ってるんだ。 (3.23点)
121: 花陽「──えっ?」 (3.23点)
121: 花陽「──っ!」 (3.23点)
121: 叫び声を上げそうなところを、間一髪のところで防ぎました。 (3.23点)
121: 曲がり角の先にある行き止まりに辿り着いたところで、私は息を呑みました。 (3.23点)
121: 人が、人を食べてる。 (3.23点)
121: 染みは路地裏に向かうよう、続いていました。 (3.23点)
121: 点々としている染みを追いかけていると、その色が段々と濃くなっていきます。 (3.23点)
121: 逃げなきゃ。 (3.23点)
121: 逃げなきゃ! (3.23点)
121: 逃げなきゃ!! (3.23点)
121: 髪の長い女の人が、スーツを着た中年の男の人の首筋に喰らいついてる。 (3.23点)
143: /4 (2.35点)
143: そして私自身にも。 (2.35点)
143: にこ「ダメよ。さっさと帰って養生しなさい」 (2.35点)
143: はっきり言って、気持ち悪い。 (2.35点)
143: みんなの身体に刻まれた線が、動きと一緒に揺れる。 (2.35点)
143: もちろん、他のメンバーも同じでした。 (2.35点)
143: 花陽「う、うん……最近ちょっと食が細かったから、そのせいかな、なんて……えへへ」 (2.35点)
143: 花陽「うっ……!」 (2.35点)
143: 花陽「で、でもラブライブも近いし……休むわけには──」 (2.35点)
143: 花陽「は、はいっ!」 (2.35点)
143: 海未「花陽!ステップがワンテンポずれていますよ!」 (2.35点)
143: 海未「花陽!大丈夫ですか!」 (2.35点)
143: 海未「冗談を言っている場合ですか。今日はもう安静にしていてください」 (2.35点)
143: 私の眼をしっかりと見据え、にこちゃんは言いました。 (2.35点)
143: 至る所に蔓延る線。 (2.35点)
143: 身体に刻まれた線を視ていると、どうしようもない不快感が胸の内から溢れ出します。 (2.35点)
143: 線、線、線、線、線。 (2.35点)
143: 退院後、私は元通りに学校に通い始め、μ'sの練習にも復帰しました。 (2.35点)
143: 地獄のような冗談で、冗談のような地獄でした。 (2.35点)
143: 躍る線を視ていると、強烈な眩暈に襲われます。 (2.35点)
143: 有無を言わさない態度には、強い意志が表れています。余程心配してくれていたのだと思います。 (2.35点)
143: 幼い子どもが描いたようなラクガキは、決して眼の前から消えることはありません。 (2.35点)
143: 凛ちゃんにも、真姫ちゃんにも、穂乃果ちゃんにも、海未ちゃんにも、ことりちゃんにも、にこちゃんにも、絵里ちゃんにも、希ちゃんにも── (2.35点)

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