[過去ログ] 花陽「死を視ることができる眼」 (1002レス)
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646: 2016/12/29(木)02:20 ID:/mvj5kUsO携(1) AAS
そう言って、女医さんは渡したはずのペーパーナイフを私に差し出しました。
花陽「あの、これは?」
女医「名工が暇潰しに作った一品物にルーンを刻んだだけのものだけど、魔除けとしては一級品でね……きっとあなたを守ってくれるわ」
差し出されたペーパーナイフを受け取ると、女医さんは嬉しそうな表情を浮かべました。
ペーパーナイフは大きさの割にそこそこの重さがあるので、もしかしたら純銀で作られたものなのかもしれません。
省9
647: 2016/12/29(木)02:20 ID:sJmgqFIcO携(1) AAS
/9
病院から何事もなく退院したあと、私は普段より少し遅れて登校することになりました。
いわゆる、遅刻寸前というやつです。
普段は朝練に出てるからこんなことはないんだけどなあ。
遅刻したくなくて焦る気持ちと、早くみんなの待ってる学校に行きたいという気持ちとが重なり合って、自然と駆け足になります。
ですがこちらの気持ちなんて配慮することもなく、信号の色は変わるものです。
省12
648: 2016/12/29(木)02:20 ID:OHZp1OwsO携(1) AAS
花陽「凛ちゃん危ないっ!!」
気がついたときには無我夢中で走り出していました。
運動神経は良い方ではなかったけれど、幸か不幸か、最悪の展開だけは避けられたんです。
凛ちゃんを突き飛ばして、迫り来る鉄塊と対峙。
許された思考は一瞬。
省1
649: [sage saga] 2016/12/29(木)02:20 ID:WwwgwYCn0(121/127) AAS
/39
時間が過ぎるのは早く、目まぐるしい。
ちょっとでも気を抜いていると、見逃してしまいそうなくらいです。
ロアを退治したあと、私は数日の入院を余儀なくされました。
予定した日数よりも大幅に早く退院できたのは、真姫ちゃんの懸命な看護の賜物です。
真姫ちゃん自身も魔術師を倒したあとで満身創痍だったというのに、少しも嫌な顔をせずに看護してくれたのは、今でも忘れられません。
省11
650: 2016/12/29(木)02:20 ID:sas13F9lO携(1) AAS
/3
危惧されていた事故の後遺症もなく、私はすぐに退院することになりました。
μ'sのみんなも退院を心から祝福してくれて、誕生日でもないのに主役気分です。
凛「かよちん……かよちんかよちんかよちんっ!!ホントに良かった……かよちんが無事に退院できて、ホントに良かったにゃ!」
花陽「凛ちゃん、ちょっと苦しいよお」
凛「ご、ごめんね……痛かった?まだどこか悪いところあるの?」
省8
651: 2016/12/29(木)02:20 ID:mCuyog/FO携(1) AAS
/1
きっかけは、ありふれた日常の狭間にありました。
多分、それは誰にも止めることなんてできなかったと思います。
今になって考えてみれば、ひょっとすると私がこんな眼になってしまったのも、避けられない巡り合わせだったのかもしれません。
花陽「凛ちゃん、今日はちょっと食べ過ぎだよお」
凛「ヘーキヘーキ、これぐらい腹八分目にゃ」
省11
652: 2016/12/29(木)02:20 ID:PKXuSTYHO携(1) AAS
弁当箱から取り出したおにぎりを視ていると、我ながら会心の出来だと惚れ惚れします。
最高級の南魚沼産コシヒカリを贅沢に使い、先進の技術を用いて生み出された新型の炊飯器で炊き上げられ少し硬めに調整されたお米は、邪なものを寄せ付けない輝きを放っていました。
色、艶、香り──どれをとっても一級品であることに間違いありません。
もうこれだけで口の中が唾液だらけになるんですが、さらにここから一工夫。
お米からおにぎりに昇華するための工程を辿ります。
省9
653: 2016/12/29(木)02:20 ID:O9V0U8v5O携(1) AAS
/8
真姫ちゃんの両親が経営する病院で眼が覚めたあと、私は警察から簡単な事情聴取を受けました。
内容は思っていたよりあっさりとしたもので、拍子抜けするぐらいのもの。
それもそのはずです。
現場には犯人はおろか、死体さえなかったんですから。
真姫「残っていたのは血痕だけ……ね。例のペーパーナイフにも血液は付着していなかったし、他に凶器らしい凶器も所持していない……証拠不十分もいいとこだわ」
省16
654: 2016/12/29(木)02:21 ID:M79Sr7DWO携(1) AAS
染みは路地裏に向かうよう、続いていました。
点々としている染みを追いかけていると、その色が段々と濃くなっていきます。
これ以上は良くない、人もいないし視界も悪い。なにより嫌な予感がする。
そう思っていても、足は歩みを止めようとしてくれません。
曲がり角の先にある行き止まりに辿り着いたところで、私は息を呑みました。
省17
655: [sage saga] 2016/12/29(木)02:21 ID:WwwgwYCn0(122/127) AAS
花陽『はいっ!』
シエル『それではまた』
花陽『先輩っ!』
シエル『…………?』
花陽『今度……またいつか会ったときは、一緒にカレーを食べましょう!』
省6
656: 2016/12/29(木)02:21 ID:lmTc/Nh8O携(1) AAS
花陽「凛ちゃん危ないっ!!」
気がついたときには無我夢中で走り出していました。
運動神経は良い方ではなかったけれど、幸か不幸か、最悪の展開だけは避けられたんです。
凛ちゃんを突き飛ばして、迫り来る鉄塊と対峙。
許された思考は一瞬。
省1
657: 2016/12/29(木)02:21 ID:kTF4SoLwO携(1) AAS
/9
病院から何事もなく退院したあと、私は普段より少し遅れて登校することになりました。
いわゆる、遅刻寸前というやつです。
普段は朝練に出てるからこんなことはないんだけどなあ。
遅刻したくなくて焦る気持ちと、早くみんなの待ってる学校に行きたいという気持ちとが重なり合って、自然と駆け足になります。
ですがこちらの気持ちなんて配慮することもなく、信号の色は変わるものです。
省12
658: 2016/12/29(木)02:21 ID:p9xpbkWUO携(1) AAS
そう言って、女医さんは渡したはずのペーパーナイフを私に差し出しました。
花陽「あの、これは?」
女医「名工が暇潰しに作った一品物にルーンを刻んだだけのものだけど、魔除けとしては一級品でね……きっとあなたを守ってくれるわ」
差し出されたペーパーナイフを受け取ると、女医さんは嬉しそうな表情を浮かべました。
ペーパーナイフは大きさの割にそこそこの重さがあるので、もしかしたら純銀で作られたものなのかもしれません。
省9
659: 2016/12/29(木)02:21 ID:pLSPx8HZO携(1) AAS
/3
危惧されていた事故の後遺症もなく、私はすぐに退院することになりました。
μ'sのみんなも退院を心から祝福してくれて、誕生日でもないのに主役気分です。
凛「かよちん……かよちんかよちんかよちんっ!!ホントに良かった……かよちんが無事に退院できて、ホントに良かったにゃ!」
花陽「凛ちゃん、ちょっと苦しいよお」
凛「ご、ごめんね……痛かった?まだどこか悪いところあるの?」
省8
660: 2016/12/29(木)02:21 ID:8mK+EcpfO携(1) AAS
/1
きっかけは、ありふれた日常の狭間にありました。
多分、それは誰にも止めることなんてできなかったと思います。
今になって考えてみれば、ひょっとすると私がこんな眼になってしまったのも、避けられない巡り合わせだったのかもしれません。
花陽「凛ちゃん、今日はちょっと食べ過ぎだよお」
凛「ヘーキヘーキ、これぐらい腹八分目にゃ」
省11
661: 2016/12/29(木)02:21 ID:3kpsklcWO携(1) AAS
染みは路地裏に向かうよう、続いていました。
点々としている染みを追いかけていると、その色が段々と濃くなっていきます。
これ以上は良くない、人もいないし視界も悪い。なにより嫌な予感がする。
そう思っていても、足は歩みを止めようとしてくれません。
曲がり角の先にある行き止まりに辿り着いたところで、私は息を呑みました。
省17
662: [sage saga] 2016/12/29(木)02:21 ID:WwwgwYCn0(123/127) AAS
収まるところは綺麗に収まり、一件落着──という風になれば最高なのですが、現実はそうもいきません。
私達にはまだやることが沢山残っていました。
私の眼と、凛ちゃんの死徒化の治療。
ラブライブ本戦に向けての練習。
今年で卒業する三年生のみんなを送り出すためのスペシャルサプライズの準備。
省10
663: 2016/12/29(木)02:22 ID:X/O3nbOgO携(1) AAS
/8
真姫ちゃんの両親が経営する病院で眼が覚めたあと、私は警察から簡単な事情聴取を受けました。
内容は思っていたよりあっさりとしたもので、拍子抜けするぐらいのもの。
それもそのはずです。
現場には犯人はおろか、死体さえなかったんですから。
真姫「残っていたのは血痕だけ……ね。例のペーパーナイフにも血液は付着していなかったし、他に凶器らしい凶器も所持していない……証拠不十分もいいとこだわ」
省16
664: 2016/12/29(木)02:22 ID:UuLw0eHGO携(1) AAS
花陽「凛ちゃん危ないっ!!」
気がついたときには無我夢中で走り出していました。
運動神経は良い方ではなかったけれど、幸か不幸か、最悪の展開だけは避けられたんです。
凛ちゃんを突き飛ばして、迫り来る鉄塊と対峙。
許された思考は一瞬。
省1
665: 2016/12/29(木)02:22 ID:QwEAkLLeO携(1) AAS
さっきと同じことができれば、私はこの化物に勝てる。
──この化物を殺し切れる。
そこまで考えて、私は我に返りました。
自分がどれだけ恐ろしいことを考えていたのか、気がついたんです。
[ピーーー]?
省10
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