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【艦これ】加賀「……文化的生活?」 (139レス)
【艦これ】加賀「……文化的生活?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/
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21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:11:55.09 ID:BgcXyfkQ0 加賀「それで、赤城さんは弓道が『生きがい』なのかしら」 赤城「うーん、そうですねぇ。生きがい、というのも少し仰々しいですねぇ」 加賀「……でも、それは戦うことよりも大切なんですよね。その、赤城さんにとって」 赤城「そう、ですねぇ……」 赤城「……加賀さんは、何が大切なの?」 加賀「私は、ただ戦うだけです」 赤城「そう」ニコッ 赤城「……」 加賀「……」 赤城「……」 加賀「……あの」 赤城「私もね、加賀さんとたぶん同じ。他の鎮守府からここへ来て、当時は戦うことこそ全てだと思っていました」 赤城「艦娘は、戦いにこそ己あり。ってところですかね」 加賀「私と同じ、です」 赤城「ええ」ニコッ 赤城「でも、ここに……この鎮守府に来た理由はきっと、加賀さんとは違います」 加賀「それは、どういういことですか」 赤城「ふふっ……」 赤城「……不良品なんですよ、私」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/21
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:12:41.18 ID:BgcXyfkQ0 加賀「そんな……。赤城さんは、私なんかよりも」 赤城「……それは、前の鎮守府にいた赤城さんですよね?」 加賀「それ、は」 赤城「加賀さん、これだけは覚えておいてください」 赤城「艦娘も十人十色、いろいろな方がいるんです。それは艦種だけではなく個性という部分で、ね」 加賀「……」 赤城「私は、確かに戦うことに存在意義を見いだしていました。ですが、それは理想、戦いたくても戦えない艦娘なんです。私」 加賀「意味がわかりません。私達には戦う術が備わっています。それに軍が兵器である私たちを使わないはずがない。そうですよね?」 加賀「弓道で、これだけ力が発揮できるんです。そんな、赤城さん……いえ、あなたが、戦えないなんて」 赤城「……私は攻撃することができないんです。敵に」 加賀「そんな」 赤城「いえ、それでは語弊がありますね」 赤城「生き物に攻撃することが、恐ろしいんです」 加賀「深海棲艦は敵です。それに、アレを生き物と言えるかどうか」 赤城「信じられないと思います」 赤城「でも、生まれてからずっとです。生き物と認識してしまうと、もう……」 赤城「手も足も……震えてしまって、頭も真っ白になって……。全く動けなくなってしまうんです」 加賀「それでは、あなたは本当に」 赤城「役立たず、ですよ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/22
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:13:26.79 ID:BgcXyfkQ0 加賀「……」 赤城「……戦いこそ己の存在意義。なのに、戦うことができない。できることは一部の遠征のみです。こんな不良債権、置きたい鎮守府なんてありません」 加賀「……解体とか、考えなかったんですか?」 赤城「ふふっ、やっぱり加賀さんと私、考え方が似てるのかもしれませんね」 赤城「左遷されたとき、『なんでこんな自分を解体しないのか』『早く解体して欲しい』……そう思っていました」 赤城「戦いを求める心と、戦えない体……もうそのズレで、私の精神は参っていたんです」 加賀「では、今のあなたがあるのは……」 加賀「提督、ですか」 赤城「……はい」ニコッ 赤城「提督は、私のこの『ズレ』を個性だと仰ってくれました」 赤城「そして、どんなことがあろうと私を解体しないと」 赤城「……それに」チラッ 加賀「なるほど……それで弓道ですか」 赤城「はい」 赤城「あの方は、精神的にボロボロで、無気力だった私のために尽くしてくれました」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/23
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:14:31.15 ID:BgcXyfkQ0 ………… 提督『赤城、芸術系はどうだ!? なんだか惹かれるものなんか感じないか?』 赤城『……』 … 提督『そしたらゲームはどうだ! これだったら擬似的に戦うことだって』 赤城『……ごめんなさい』 提督『そっ、かぁ……まぁ、気長に探そう! お前の好きなこと』 赤城『……提督』 … 提督『赤城! スポーツだ! お前は運動神経はいいんだからスポーツだったらできるかもしれない!!』 赤城『スポーツ、ですか……?』 提督『おっ、良い反応だな。種類も沢山あるし、赤城がハマるのもあるかもしれない』 赤城『そう、でしょうか……』 提督『とりあえずやれるものからやっていこう。琴線に触れなくても、やってみることは無駄なことじゃない』 赤城『……はい』 … 赤城『てい、とく……』 提督『……凄いじゃないか、赤城』 赤城『これが、弓道ですか……』 提督『どうだ?』 赤城『わかり、ません』 赤城『でも……なんだかいい感じです』 提督『そうか……。よし! 鎮守府に弓道場を造るか』 赤城『えっ! そんな、私なんかのために。というか、まだ続けたいと思ったわけでは……』 提督『じゃあ、他のものにチャレンジすればいい。だが、弓道場は建てる』 赤城『えっ、ええっ!』 提督『これから来る娘の中にも弓道が好きな娘がいるかもしれないだろ。先行投資だよ先行投資!』 赤城『そ、それって……その弓道場って! 私も使っていいんですよね!?』 提督『ふぅん』ニヤニヤ 提督『ふっ、もちろんだよ』 赤城『……やった』 ………… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/24
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:16:07.47 ID:BgcXyfkQ0 赤城「弓道をやっている自分と、そんな私を楽しそうに見ている提督と……。なんだか不思議な、でも心地良い時間でした」 赤城「それにあれからずっと私は、弓道という拠り所を見つけてから生きるのが楽しいんです」 加賀「……そういう物なのでしょうか」 赤城「それは、分からない」 加賀「……」 赤城「でも私は、弓道をしている時間が好き、弓道をしているときの自分も好き、それに弓道に出会ってからの自分が好き……」 赤城「何もできないボンクラの人生を、かけがえのないものにしてくれたのは弓道と、提督なの」 加賀「……羨ましい、かもしれません」 赤城「そう?」 加賀「はい……。でも、今の私は『戦い』こそが生きがいです。その気持ちは今でも変わりません」 赤城「……ふふっ」 赤城「良いと思うわ。それでも」 赤城「だって、それは加賀さんだけの物だもの」 加賀「あの、あなたが当初持っていた『戦い』への気持ちは、どうなったのでしょうか」 赤城「んー……そうですねぇ」 加賀「……捨てる、のですか?」 赤城「……そんなことはないわ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/25
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:17:03.50 ID:BgcXyfkQ0 赤城「私だって、弓道の大会に出たいと思ったし、他の人と競いたいとも思った」 赤城「負けたくないとも思ったし、……三位で終わってしまった時は悔しいとも思ったわ」 赤城「私は『戦い』を諦めるつもりもない、その志を捨てるつもりも」 赤城「ただ『戦い』が生きる意味とは思わない」 赤城「私にとって弓道と生きる中で『戦い』があるの」 加賀「弓道と生きる中での『戦い』、ですか」 赤城「他者との戦い、自分との戦い……私は負けたくないわ」 赤城「私は、理想を抱きながらも海で戦えなかった自分に、負けない生き方をしたい」 赤城「私がどんなに艦娘として出来損ないでも、何もできない過去の自分よりも、人間として誇りを持った生き方をしていきたい」 赤城「そう、思っているわ」 加賀「……」 赤城「……ごめんなさいね。なんだか、熱くなってしまって……」 加賀「いえ……」 加賀「個人的には、あなたは良い生き方をしている、と思います」 赤城「な、なんだか恥ずかしいですけど……あ、ありがとうございます、加賀さん」 加賀「やはり、どんなに違っていても……赤城さんは、赤城さんです」 加賀「……前の鎮守府の赤城さんは、私より練度も高かったのですが」 赤城「あ、あはは……それは、許してくださいよ。加賀さん」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/26
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:17:39.16 ID:BgcXyfkQ0 加賀「……そろそろ部屋に戻って休むわ。貴重なお話、ありがとうございます」 赤城「いえ、いいんですよ。またいつでも来てください。部屋か弓道場にいつもいますから……えっと遠征中以外」 加賀「……ふふっ、わかりました。赤城さん」 赤城「ああっ、老婆心ながら一言アドバイスを」 加賀「はい?」 赤城「……無理して見つけなくてもいいんですよ。『戦い』が生きがいでも、それは加賀さんが決めることです。私や提督が決めることではありません」 赤城「たとえあなたがこの鎮守府を去ってしまうことになったとしても、それが間違っているわけではありません」 赤城「加賀さんは私とは違うんですから。……ここでしか生きていけない訳ではないんです」 赤城「あなたは私の生き方を羨ましいと言ってくれましたが、過去の私にとっては加賀さんのほうが羨ましかったと思います」 赤城「私は、加賀さんが納得できる選択ができることを願ってます……」ペコッ 加賀「……ありがとうございます、赤城さん」 ガチャ… バタン 赤城「私ことを羨ましいって……」 赤城「加賀さん、あなたは……」 ………… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/27
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:18:16.83 ID:BgcXyfkQ0 加賀の自室 加賀「赤城さん……。赤城さんに頼ってよかった。やはり、彼女はいつも的確なアドバイスをくれる」 加賀「……いえ、いくら同じ『赤城』でも、重ねてしまうのは良くないわ」 加賀「ここの赤城さんも優しくてよかった」 ポスッ 加賀「……ベッド、やけに柔らかい気がする」 加賀(なんでかしら。ベッドの感触なんて、これまで一度も考えたことなんてなかったのに……) 加賀「何か、変わっているのかしら。私も」 …… 赤城『……無理して見つけなくてもいいんですよ。『戦い』が生きがいでも、それは加賀さんが決めることです。私や提督が決めることではありません』 赤城『私は、加賀さんが納得できる選択ができることを願ってます……』 …… 加賀「……私は、艦娘です。艦娘は、戦うために生まれた。それは覆しがたい事実であり、義務なんです」ボソッ 加賀「……今日は色々なことがありすぎたわ……少し、休んで……ふわぁ」 加賀「……スー…スー…」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/28
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:18:46.49 ID:BgcXyfkQ0 ………… 次の日 大淀「昨日は案内できませんでしたが、ここが談話室になります」 加賀「談話室……一体、何のための場所なの?」 大淀「あれ? 他の鎮守府にはないんですか?」 加賀「たぶん。前の鎮守府には無かったか、ほとんど利用されなかったか、どちらかね」 大淀「へぇ、そうなんですか……。いい部屋だと思うんですけど」 加賀「それで、何をする場所なの?」 大淀「あっ、失礼しました」 大淀「そうですね、具体的な用途は説明し辛いのですが……あっ」 龍驤「おー、大淀さんに……えっと、だれや?」 大淀「昨日来た加賀さんです」 龍驤「ほー、加賀やんかー……。またけったいな体つきしてんなぁ」 加賀「けったい?」 龍驤「あーええのええの、気にせんといて」テクテク 龍驤「あっ、大淀さん、テレビみてもええ?」 大淀「大丈夫ですよ」 龍驤「ほな、遠慮なく」ピッ 大淀「龍驤さん、いま加賀さんに談話室の説明をしていたんですけど、その、なんて説明すれば良いか分からなくて……」 龍驤「えっ、あー、そなんや」 龍驤「えーっと、加賀やん。談話室っちゅーのは、謀反以外ならなんでもしてもええっちゅー部屋や」 龍驤「これで分かるやろ」 大淀「少し大雑把過ぎると思いますが」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/29
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:19:33.83 ID:BgcXyfkQ0 加賀「……昨日、提督も同じことを言ってたわ。『謀反以外なら〜』と」 龍驤「あら、ウチが提督のネタパクったのバレてしもた」 大淀「まあ、えーっと、複数人でお話ししたり、テレビを見たりする場所、という認識でいいですかね」 加賀「……いつも誰かがいる場所って事ね」 大淀「まあ、そうですね。特にする事のない方は大体ここにいるという感じです」 加賀(いつも誰かが暇している鎮守府というのもどうかと思うけどね) 龍驤「そんな難しい顔すなや」 加賀「……えっ?」 龍驤「この鎮守府はよくも悪くも特殊や。それに艦娘同士のつながりも強い、って趣味仲間みたいなものも多いけどな」 龍驤「そういうのの交流の場としてここがあるんよ」 大淀「……確かに、そうですね」 龍驤「ここで『ああ、あいつあんな趣味があるんやなー』とか『あいつら仲ええんやー』とか、発見もあってつながりも増えてくって感じやな」 加賀「……作戦会議とかにも使うのかしら」 龍驤「ぷっ、加賀やん真面目すぎ」 龍驤「そんなん会議室でも使ったらええて。ここでの会話なんて世間話みたいなもんばっかや」 龍驤「……ま、そういう話をする人がおってもええと思うで。なに話してもええんやからな」 加賀「……そう」 龍驤「……ここでみーんなが仲良くする姿を見るのが、うちの生きがいや」 加賀「……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/30
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:20:49.65 ID:BgcXyfkQ0 大淀「確かに、龍驤さんは大体ここにいらっしゃいますね。いっそのこと談話室の責任者になるのはどうでしょう」 龍驤「アホ。こういうのは責任が伴わないのがええんや」 大淀「はあ、そういうものですか」 龍驤「そういうもんや」 龍驤「うちはみんなと同じ目線で、みんなと一緒に楽しみたいんや」 加賀「……龍驤、あなたは艦娘として何をしているの?」 龍驤「おっ? なんやなんや、喧嘩腰やなぁ」 加賀「艦娘なのに平和ボケして、本分を忘れているわけではないわよね」 龍驤「平和ボケって……随分な言い草やな」 加賀「でもそうでしょう? あなたは何のために存在しているというの? 私から見ると、ろくな生きがいもなくフラフラと無責任な生活を送っているように見えるのだけれど」 龍驤「うっ……本当のことやから言い返せへん」 加賀「赤城さんは生きがいを見つけて、今も自分を高め続けているわ」 加賀「あのような方のためこの鎮守府があるのだと、思っていたのだけれど」 龍驤「まー、せやな」 加賀「……ねえ、あなたは何をしているの?」 龍驤「……」 大淀「オロオロ」 大淀「あ、あの」オロオロ 大淀「か、加賀さん」ヒソヒソ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/31
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:21:39.52 ID:BgcXyfkQ0 加賀「何かしら、私はいま龍驤と」 大淀「その、龍驤さんはなんですけど……」ヒソヒソ 加賀「ただの惰性で鎮守府にいるとしか思えないわ」 大淀「あの、何もしていないわけではなくてですね」ヒソヒソ 加賀「……はっきり言ったらどうなの?」 大淀「す、すみません……。それで加賀さん、龍驤さんはですね」ヒソヒソ 加賀「ええ」 大淀「提督と一緒に、一からこの鎮守府を支えてくれている方なんです」ヒソヒソ 大淀「それに他の鎮守府から艦娘をスカウトしているのも、主に龍驤さんです」 加賀「なるほど、つまり」 加賀「えっ」ピタッ 大淀「この鎮守府の艦娘事情が成り立っているのは龍驤さんのお力も大きいんです」ヒソヒソ 龍驤「……あー、なんか水戸黄門が正体を明かした時みたいやな、たははは……」 加賀「……えっと」 龍驤「はは……はぁ」 龍驤「まあ、そういうこっちゃ、加賀やん」 龍驤「加賀やんの言うとこの、ウチの『生きがい』っちゅーのは、まあ赤城みたいなどーしよもなくなってしもた艦娘をここに連れてきてやることかな」 加賀「そ、そう……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/32
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:22:42.42 ID:BgcXyfkQ0 龍驤「どや、加賀やんの思う生きがいとして立派なもんやろ?」 加賀「……ええ。うん……十分」 加賀「ごめんなさい。何も聞かずに責めてしまって」 龍驤「あー、ええんやええんや。ウチかて加賀やんと同じ艦娘や。そんな畏まらんといてぇな」 加賀「……そうね」 龍驤「切り替えはやっ!」 龍驤「もうちょい遠慮とかあってもええと思うんやけどなぁ」ボソボソ 加賀「ねえ、龍驤」 龍驤「あん? なんや?」 加賀「私は、『戦い』こそが艦娘の存在意義だと思っているわ。それに対して、あなたはどう思うかしら」 龍驤「知るかっ!」 加賀「えっ」 龍驤「そんな存在意義とか、そんなん個人の勝手や。ウチが口出しすることやない」 龍驤「別に『戦い』こそが生きがいでも、それはええと思うわ」 加賀「そう、ですか」 龍驤「……でも、一つ言っとくけどな。ウチ自身はそんなこと全く思ってへんよ」 龍驤「艦娘だって、やりたいことをやってええと思う。まあウチらの場合は最初っからやらなあかん仕事は決まってるけどな」 龍驤「それでも人間と同じ。仕事とプライベートは分けたらええんや」 龍驤「仕事人間なんて性に合わへんから、ウチはプライベートの方を大切にしとる。それだけ」 加賀「なるほど、私の考えには否定的なのね」 龍驤「加賀やんを否定するわけやないで。ウチの信条が加賀やんの考えと逆ってだけや」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/33
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:23:12.52 ID:BgcXyfkQ0 加賀「龍驤、あなたはハッキリしてるのね」 龍驤「……別に、アホやから深く考えられないだけや」 龍驤「うちの考え方って、艦娘として生まれた時から変わってたみたいで」 龍驤「いつの間にか他の艦娘からハブにされてたところを、提督に引っ張り出されただけや」 龍驤「一から支えたいうても、ウチはただ最初からここにいたってだけ……」 加賀「そうかもしれないわね」 龍驤「慰めるくらいしてや、加賀やん」 加賀「ただ、あなたみたいに考え方が良くも悪くもブレないのは、いいと思うわ」 龍驤「……そうかな」 加賀「ええ」 龍驤「……って、なに新入りに励まされてんねん!!」 大淀「龍驤さん!?」 龍驤「なんか知らんけど腹立ってきたわ。ほれ、シッシッシ、これからウチのプライベートタイムや、邪魔せんといて」 大淀「えっと、行きましょうか、加賀さん」 加賀「ええ」 龍驤「あっ、加賀やん!」 加賀「……なにかしら」 龍驤「あんたのその仏頂面、この鎮守府にいる間に治るとええなぁ!」 加賀「……余計なお世話」 龍驤「アホ! ここはそんな余計なお世話でできてる鎮守府や! 逃げられると思わんようにな」 加賀「……ふふ」 大淀「ふふっ」ニコッ 龍驤「せいぜい楽しむことやな、ここの生活を」 加賀「……そうね」 ………… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/34
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:23:52.72 ID:BgcXyfkQ0 ………… 数ヶ月後 加賀「……提督、今度の出撃の事ですけど」 提督「ん? ああ」 加賀「ここの方針として、出撃の目的は迎撃が主になっています」 加賀「しかし、それではキリがありません。少し無理をしてでも先に進めた方が」 提督「……」 加賀「? 提督?」 提督「……いや、ここに来てからしばらく経つけど、加賀さんは変わんないねぇ」 加賀「……そうかしら、それなりにここの鎮守府にも慣れたと思うのだけど」 提督「数ヶ月間、毎度毎度出撃について話をしてくる艦娘なんて、ここじゃ加賀さんだけだしなぁ」 加賀「ここの鎮守府が異常なのよ」 加賀「それに、私にとって出撃し、敵を倒すことが生きがいだから」 提督「……そう言って、他の何にもチャレンジしないじゃない」 加賀「疑いない生きがいが『戦う』ということなの」 提督「……ふぅん」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/35
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:24:21.33 ID:BgcXyfkQ0 加賀(私は、逃げたのかもしれない) 加賀(自分が変わってしまう可能性から) 加賀(新たな生きがいを見つけることから) 加賀(何も考えずに戦ってさえいれば、私は前にいた前線の鎮守府へ戻れる) 加賀(あそこへ戻れば再び自分は戦うことこそが必要になる) 加賀(私を私たらしめるのは『戦うこと』) 加賀(戦い、戦果を挙げることが私の生きがいなのだ) 加賀(私の中心は戦うことでなくてはならない) 加賀(そうしないと、私は変わらなくてはいけなくなる) 加賀(変わることは、怖い) ………… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/36
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2016/07/18(月) 13:33:06.94 ID:eofDT+KH0 期待 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/37
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:39:43.11 ID:BgcXyfkQ0 弓道場 赤城「加賀さん、肩の力を抜いて、矢と的だけに集中してください」 赤城「精神を落ち着かせて、自分の中で調和を保つんです」 加賀(赤城さんの指導はやや抽象的です) 赤城「心の中の海を凪の状態にするんです。そうすれば自ずと無駄な力が抜けます」 赤城「周囲を無視するんです。世界を自分と的以外消し去るつもりで」 赤城「息を軽く吸って……緊張しないように」 ヒュッ パンッ 赤城「わぁ、やっぱり上手です。加賀さん」 加賀「赤城さんの指導のおかげですよ」 加賀(嘘です。なんとなく発艦するときと同じ感覚でやりました) 赤城「……加賀さん嘘吐かなくていいんですよ」 加賀「えっ」 赤城「この前、第六駆逐艦隊の子達にも教えたのですけど……」 赤城「指導が抽象的すぎて分からない、と……」 加賀「……はぁ」 加賀「仕方がないですよ。赤城さんの弓道の腕は先天的なものですから」 赤城「ううっ、すみません。役立たずで」 加賀「……」 加賀(赤城さんの弓道のセンスは物凄い。一度訓練場で発艦訓練をしたときは他を抜いて圧倒的だった) 加賀(出撃にも演習にも生かせないのですが) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/38
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:41:37.39 ID:BgcXyfkQ0 加賀「赤城さんはこれからどうしますか」 赤城「んーっと、そうですね……少し練習していこうと思っていたのですけど」 加賀「鳳翔さんの所に行きませんか?」 赤城「あっ、行きます!」 加賀「じゃあ、着替えてから行きましょう」 赤城「はい!」 ………… 食堂 鳳翔「それで、どうですか、調子の方は」 加賀「……相変わらずです」 鳳翔「そうですか」 加賀(鳳翔さんの生きがいは料理らしい。彼女はここの鎮守府で建造され、そのままここで働いている) 加賀「食堂に来て、鳳翔さんの料理が出てくると安心します」 鳳翔「あら、ありがとうございます」 赤城「ここには優秀な調理師がいてくれてとっても嬉しいです!」モグモグ 鳳翔「そうだ、また新しい料理を作ってみたので、食べてみてくれませんか?」 加賀「……さすがです」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/39
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2016/07/18(月) 13:42:54.98 ID:BgcXyfkQ0 赤城「この前、レシピ本出版してましたよね?」 鳳翔「そうなんですが……こう、インスピレーションが止まらなくて……うふふ」 加賀「……」 赤城「凄いですねぇ。私は食べることしかできないですが、その分野に関してなら鳳翔さんのお力になりたいと常々思ってます」フンスッ 加賀「……やっぱり食いしん坊ですね」 鳳翔「クスクス、また作りすぎてしまったときは呼びますからね」 赤城「まかせてください!」 加賀(『また』?) 鳳翔「ふんふんふーん♪」トントントントン 加賀「……鳳翔さんの手際を見ていると、いつも感心してしまいます」 鳳翔「あら、ありがとうございます。でも、慣れれば加賀さんだってこれくらい出来るようになると思うわ」 加賀「……いえ、私も食べるの専門なので」 鳳翔「あらあら、それは残念」ニコニコ 加賀「……鳳翔さんは出撃するときとか、何を考えていますか?」 鳳翔「そうですね……今晩の食事はどうしようとか、ふと新しいレシピを思いついたりとか……ですかね」 加賀「ふふっ、どうなんでしょうねそれは」 鳳翔「そうですね、戦っているときは大体集中しますけど、それ以外ははもっぱらそんな感じです。不真面目ですよね」クスクス 赤城「……」モグモグ 加賀「あっ、ごめんなさい」 赤城「いえいえ、別にもう気にしてませんから」 赤城「前はそういうお話は苦手でしたけど、今は全く平気ですので」ニコッ 加賀「そう」ニコッ 鳳翔「ふふっ、仲良しですね。お二人とも」 赤城「勿論ですよ!」 加賀「あ、赤城さん……」 鳳翔「羨ましいです」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468813851/40
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