【女の子と魔法と】魔導機人戦姫U 第14話〜【ロボットもの】 (642レス)
1-

1
(4): 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga] 2014/07/20(日)21:02 ID:PGdg3XaSo(1/40) AAS
前々々スレ(1〜16話)
【魔法少女風】魔導機人戦姫【バトル物】
vip2chスレ:news4ssnip

前々スレ(17〜33話)
【オリジナル】魔導機人戦姫 第14〜33話【と言い切れない】
vip2chスレ:news4ssnip

前スレ(34〜35話、番外編2本、第二シリーズプロローグ〜14話)
【オリジナル】魔導機人戦姫 第34話〜【なのかもしれない】
vip2chスレ:news4ssnip

夏休みの暇つぶしに、仕事サボりの合間に、眠れない夜のお供に
省2
2
(1): 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:04 ID:PGdg3XaSo(2/40) AAS
第14話〜それは、忘れ得ぬ『哀しみの記憶』〜

―1―

 メインフロート第一層、外郭自然エリア――

 アルマジロ型イマジンを追い詰め、ロイヤルガードとの連携でこれを撃滅した空達は、
 コントロールスフィアのハッチを開き跪かせたエール・Sの掌に乗り、
 同じように機体の外に出ていた茜を見上げるのと同様に、茜もまた、空達を見下ろしていた。

茜「彼女が……朝霧空、か」
省31
3: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:05 ID:PGdg3XaSo(3/40) AAS
茜(腕は確かなんだがな……)

 そんな事を考えながら、茜は小さく溜息を漏らす。

 遺伝か才能か、彼の航空戦と狙撃の技術は確かだ。

 その才覚はオリジナルギガンティックに選ばれなかった事が惜しまれる程で、
 だからこそ202……クレーストの護衛である第二十六独立機動小隊の
 実質的隊長とも言える副隊長に二十三歳と言う若さで任じられていた。

 二機以上での運用が暗黙のルールとなっているオリジナルギガンティックだが、
 クルセイダーが皇居正門から動けない事もあってクレーストの運用は基本単機となってしまう。
省21
4: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:06 ID:PGdg3XaSo(4/40) AAS
―2―

 本條茜と言う少女は、有り体に言って“お嬢様”だった。

 父方を遡ればどこまでも……
 それこそ日本と言う国家の開闢まで遡れてしまう程の、旧い旧い魔導の家。

 母方は華族でも貴族でも武家の出でも無いが、無名と言うには憚れる程の英雄の家柄。

 世界有数の魔導の家である本條と、魔導の杖の技師の中でも名門たるフィッツジェラルド家と、
 救世の英雄と謳われた閃虹の譲羽の血を継ぐ、魔導の家柄の中でも比肩する物の無い血統。
省35
5
(1): 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:07 ID:PGdg3XaSo(5/40) AAS
 2060年、7月9日――

 その日は、ずっと以前から予定されていたパレードの日だった。

 このNASEANメガフロートに皇居が移設されて三十年の節目の日。

 各国の皇族や王族を載せた数百台のオープンカーと、百を越す軍と警察の最新鋭ギガンティック、
 パワーローダー、さらにGWF−210Xクルセイダーを加えた大規模な一団からなるパレードだ。

 正門を出立し、第一街区の市街地を回って、また正門へと帰って行く、
 都合十キロの道程を巡る二時間ほどの長丁場。
省33
6: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:07 ID:PGdg3XaSo(6/40) AAS
茜「おとぉさまぁっ!」

 茜は思わず観客席の手すりにまで身を乗り出し、大きく両手を振って父に呼び掛ける。

 しかし、少女の目一杯の声も、盛大な歓声の前には呆気なく掻き消されてしまう。

茜「おとぉさまぁ! おとぉぅさまぁぁっ!」

 それでも、茜は目一杯に父に呼び掛け続けた。
省31
7: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:08 ID:PGdg3XaSo(7/40) AAS
 三十分にも及ぶ執拗な爆撃が終わると、辺りには濛々と粉塵や煙が立ちこめ、
 何かが焼ける焦げ臭い匂いと、噎せ返るほどの血の匂いが立ちこめていた。

明日華「臣一郎……茜……無事?」

 障壁に全魔力を傾けていた明日華が、絶え絶えの声で呟く。

 その時に名前を呼ばれていた事を、茜も覚えていた。

 だが、その声はとても遠く、別の世界の事のように聞こえたのも確かだった。
省22
8
(1): 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:09 ID:PGdg3XaSo(8/40) AAS
 2062年、初冬――
 茜が父と声を失ってから、二年と少しが経過した。

 あの日を境に、幸せの絶頂にいた彼女の全てが変わってしまった。

 優しく朗らかだった母は笑顔を見せる事が減り、
 兄は本條家の当主としてオリジナルギガンティックを駆る訓練に明け暮れている。

 幼い兄を当主に据える事に反対する分家の者達を押し留めるため、
 本家直系である叔母の藤枝百合華を当主名代に置く事となった。

 あの日、焼け焦げた二刀の鬼百合の拵えは直され、二年前から仏間に飾られている。
省29
9
(1): 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:10 ID:PGdg3XaSo(9/40) AAS
茜(届かない……届かないよ……お父様に……手が、届かない、よ……)

 泣きながら、諦めながらも、少女は手を伸ばし続けた。

 それだけしか、今の彼女には残されていなかった。

 魔法に……いや、マギアリヒトに溢れた現代社会において、動かずに物を取る方法は二つ。

 魔力でマギアリヒトに作用し、魔力そのもので対象を掴んで手元に引き寄せる方法。
省34
10
(1): 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:11 ID:PGdg3XaSo(10/40) AAS
茜(……誰?)

 茜は見渡しながら音の出所……いや、声の主を捜して辺りを見渡す。

 しかし、いくら見渡しても声の主らしき者はいない。

 だが、不意に一点、仏間と隣の部屋を繋ぐ襖に視線を奪われる。

 その先は明日華と茜の寝室だ。
省30
11: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:11 ID:PGdg3XaSo(11/40) AAS
 すると――

?????<泣かないで下さい……お嬢様……>

 懇願するかのような、哀しげな少女の声が十字架から響いた。

 それと同時に、茜は自らの身体から暖かい力が湧き上がるのを感じる。

 その力が自身の魔力だと気付いたのは、
 十字架の回りに赤みの強い橙色の……茜色の輝きが満ちているのが分かったからだった。
省24
12: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:12 ID:PGdg3XaSo(12/40) AAS
 やっと、やっと手が届いた。

 だが、それと同時に突き付けられる現実。

 今更届いても遅い。

 あの時に、手が届いていなければならかったのに。

 その事実に、いつの間にか止まり掛けていた涙が、堰を切って溢れ出す。
省24
13: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:13 ID:PGdg3XaSo(13/40) AAS
クレースト『……ね様、茜様』

茜「ん……?」

 白昼夢にも似た回想に意識を委ねていた茜の意識は、
 クレーストの声によって呼び戻される。

 コントロールスフィアの壁に身体を預けていた茜は、目を開いて辺りを見渡す。

 そこはメインフロート第一層の外郭自然エリアから少し離れた位置にある、広い幹線道路だった。
省24
14: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:14 ID:PGdg3XaSo(14/40) AAS
 しかし、そんな部下達の様子を見かねて、レオンが口を開く。

レオン「いや、それは向こうさんも一緒だって」

 レオンはハンガーのフレームにもたれかかり、飄々とした様子で言った。

 全員の視線が集まると、レオンはさらに続ける。

レオン「これから何時間かは整備や何やらでゴタゴタして、
    俺らを受け入れる体勢どころじゃないだろ?
省23
15: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:15 ID:PGdg3XaSo(15/40) AAS
―3―

 イマジン殲滅からおよそ三時間後、ギガンティック機関隊舎――

 中央――皇居方面――からやって来たリニアキャリアの一団が、
 隊舎前でゆっくりと停車する。

 ロイヤルガードのロゴが刻印されたそれらは、
 先ほども空達の援護をしてくれた第二十六独立機動小隊の物だ。

 そして、その中の一輌……人員輸送車と思しき車輌のハッチが開き、
 中から詰め襟の黒い制服を着た四人の男女が降りる。
省36
16: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:16 ID:PGdg3XaSo(16/40) AAS
AA省
17: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:17 ID:PGdg3XaSo(17/40) AAS
 素早くノックしてから中に向かって呼び掛ける。

茜「皇居防衛警察ロイヤルガード、
  ギガンティック部隊第二十六独立機動小隊隊長、本條茜です」

明日美「どうぞ」

 茜の呼び掛けに応えたのは明日美だった。

 扉越しにくぐもった明日美の声に応え、茜は“失礼します”とだけ言って扉を開く。
省33
18: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:18 ID:PGdg3XaSo(18/40) AAS
明日美「今日はレベル1注意報にまで下がっているし、
    一度出撃もあったから今日はもう休んでも構わないわ」

 明日美は書類にサインをしながらそう言った。

アーネスト「事前申請のあった必要人数分の部屋は寮に確保されている。
      荷物もそちらに運び入れるといいだろう」

茜「ありがとうございます、ベンパー副司令」

 アーネストの言葉に、茜は深々と頭を垂れると、部下達に向けて振り返る。
省30
19: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:19 ID:PGdg3XaSo(19/40) AAS
アーネスト「しかし、本当に君がこちらに出向してくれるとは思わなかったよ。
      こちらとしては予備戦力でも構わなかったのだが……」

 二人の様子を見守っていたアーネストが、不意にそんな事を呟いた。

 ギガンティック機関側としては、空達三人には二班に分かれて貰い、
 出撃時の援護用に一小隊派遣して貰えればそれで良かったのだが、
 まさか大本命のオリジナルギガンティックが配属されている第二十六小隊が来るとは思ってもいなかったのだ。

 第二十六独立機動小隊の任務は皇居護衛よりも、遠隔地に出撃してのテロリスト対策が主任務だ。

 昨今はテロリストの使うギガンティックやパワーローダーも性能が上がって来ており、
 軍に比べて強力なギガンティックの配備数の少ない警察関連の組織にして見れば、
 より圧倒的な性能を誇るオリジナルギガンティックが必要とされるのは当然と言えた。
省33
20
(1): 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:19 ID:PGdg3XaSo(20/40) AAS
 茜は“ご無礼、失礼します”と言って、言葉を遮った事を謝罪すると、さらに続ける。

茜「こちらの諜報部に保管されている調査書類……
  月島レポートの閲覧を許可してはいただけないでしょうか?」

アーネスト「月島レポート……!?」

 どこか思い詰めた様子の茜の言葉……いや、
 “月島レポート”と言う名前に、アーネストは驚きの声を上げた。

 亡くなった勇一郎の事を考えて寂しげな表情を浮かべていた明日美も、途端に表情を険しくする。
省35
1-
あと 622 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.456s*