[過去ログ] 鳴護アリサ「アルテミスに矢を放て」 〜胎魔のオラトリオ〜 (917レス)
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59: 田中(ドワーフ)◆7fp32j77iU [saga] 2014/04/08(火)11:12 ID:mxHdJsL50(1/18) AAS
――次章予告
「――まぁ、なんだ。怖い話ってモンはある程度定番みたいなのが決まっていてだ」
唐突に、そう何の脈絡もなく男はそう切り出した。
EUが誇る高速鉄道の個室、いつの間にか正面に座っている。うたた寝をした訳でもなく、特にモバイルを弄っていたでもないのに。
ほんの僅か、窓の外の流れる風景へ目をやっていたら現れた――などという話ではない。
ノックをするかしないかは置いておくとしても、彼は堂々とドアから入ってきたのだろう。
それそこ幽霊でも無い限りは。
省8
60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:13 ID:mxHdJsL50(2/18) AAS
「今更血統主義でもあるまいし、修行も何も詰んでない奴がおかしくね?出家してるっ訳でもねーしさ」
「そもそも仏教――ブッティストって確か、ガキ作るの禁止だったよな?明らかに色欲に負けまくってんだけど、そんなクズにも神様は手ぇ貸すん?」
「まぁ?そこいら辺はウチらも人の事ぁ言えねぇ――じゃねぇな。何の話だっけ?」
とはいえこの客室には二人しか居ないのだから、独り言にしてはおかしい。不気味すぎる。
「なんか怖い話とかってさぁ、作り物って分かった瞬間冷めるってあるよな?いや基本フィクションなんだろうけども、だ」
省7
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:15 ID:mxHdJsL50(3/18) AAS
――
これはある子供の話なんだが――そうだな、名前……どうでもいっか。どっちみち死ぬんだし
オチ言うな?いーじゃん別に。これはそーゆー話なんだからな
ジャンルとしちゃ、あー……アレだ、『語り手が死んでんのに、なんで話が広まってんの?』系だな
だよな?語り手居ないんだから、それこそ霊媒師でも呼ばない限りは分からない
省8
62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:17 ID:mxHdJsL50(4/18) AAS
少年の家は、アレだな。どっかの田舎町にあんだよ
空気が良くって、緑が多くて――そのくせ住民は排他的、とテンプレ的な田舎町
そこへ一家が引っ越しする所から話は始まる
もしかしたら家族の誰か、少年が病気だったのかも知れねぇし、単にじーちゃんちがあっただけかも知れない
可能性としちゃ母親が暴力振るう旦那から逃げてきた、のはアレか?少年に取っちゃ不幸なんかねぇ?
省11
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:18 ID:mxHdJsL50(5/18) AAS
『それ』が何かは分からない。いつからあったのか、どこから来たのか
気がつけばそこにあったと人は言うし、呼ばれた者は帰っては来なかったんだよ
とにかく『廃屋』か、『桟橋』か、『森』か。そのどれかへ少年は不用意に近づき――
――『それ』を見てしまったんだ
朽ち果てた家具の中で埃に真新しい跡をつけて這いずる『それ』を
省11
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:20 ID:mxHdJsL50(6/18) AAS
どこに隠れたのか?それは俺も知らないよ。だって俺少年じゃねーもの
つってもまー、そうだな。ベッドの下?クローゼットの下?
少し意表を突いて天井裏?ロフトっつーと意味合いは少し違ってくるが、まぁ隠れたんだろうさ。母親の言う通りに
その時、少年は確かナイフか何か、刃物を持っていたんだってな
悪い知り合いから貰ったのか、親のをちっと拝借していたのか、それとも誕生日プレゼントだったのか
省11
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:21 ID:mxHdJsL50(7/18) AAS
ただまぁ気がつくとさ。増えてるんだよ、呼吸が。一人分
真っ暗な部屋の中で、聞こえるんだって、誰かの息を吐く音が
自分しか居ない筈の部屋に。いつの間にか入って来てたんだ、『それ』が
こん、こん
二回、ノックする。まさに少年が隠れている、その扉を
省5
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:23 ID:mxHdJsL50(8/18) AAS
――
「――翌日、近所の人間が様子を見に来たんだが、少年の住んでいた家には誰も居なかったんだそうだ」
「以上でこの話は終わり――って何?怒ってんの?なんで?」
「いやいや。これまたお約束じゃねぇか。最後はデカい音出してビックリさせるってのも、パターンの一つだぜ」
悪びれもせずに男は笑う。定番と言えば定番の展開ではあるが、急に大きな声を出されれば誰だって驚く。
それこそ話の内容は関係ない。
省7
67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:25 ID:mxHdJsL50(9/18) AAS
腕を取って起き上がらせる弟。こちらの視線に気づくと綺麗なお辞儀を一つ。
「いやなんかすいません。ウチの愚兄がご迷惑かけたようで」
「人をどっかの怪談オヤジみたいに言うんじゃねぇ」
怪談話――というか、この中途半端なホラー映画にありそうな展開は、兄の方の作り話か。それはそうだろう。
この話で語り手たる『少年』は居なくなってしまったのだから、この物語が成立する訳は無い。
それは当然だ。
省7
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:26 ID:mxHdJsL50(10/18) AAS
「今のは『語り手たる被害者が消え、存在が矛盾する』ってパターンだったが――」
さぁっ、と窓の外の景色が黒一色に塗り潰される。海底トンネルへ電車が乗り入れたのだろう。
「――実はコレ、逆の立場ならきちんと成立すんだわな」
プシューと閉じられたドアに遮られ、その表情は見えなかった。
今のはどういう意味だろうか?
男が語った話では生還者はいない。少なくとも話が出来る人間は消えてしまった。
主旨からすればモンスター的な何かに、という事だろう。冷静に分析するのもアレだが。
省5
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:27 ID:mxHdJsL50(11/18) AAS
少年、母親、祖父。家族が他にも居たとして数人か。
事件の『被害者』は確かにそれだけだ。他には居ない。
けれど事件の『加害者』側はどうだろう?
事件を知る事が出来るとすれば、もう一人。加害者たるモンスターは可能だ。
少年を追いかけていた側、得体の知れない何か、後日誰かに語ったとすれば――。
こんこん
びくり、と突然のノック音に体が動いてしまう。何はバカな、と慌てて取り繕う。
省6
70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:29 ID:mxHdJsL50(12/18) AAS
……いや、『居なさすぎる』、か?
個室は限りなく満員に近かった筈なのに。
どうしてここまで周囲が静かな――。
こん、こん
予想に外れてドアを開けたままでもノック音は止まなかった。
それは決して隣の部屋から聞こえたものでも、テレビやモバイルから聞こえてきたものでは無い。
また隣室や近くのドアを誰が叩いている訳でも無く、それはとても近くから。
そう、それは今、丁度背を向けている後ろ側、窓のある辺りから響いている。
こん、こん
省7
71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:30 ID:mxHdJsL50(13/18) AAS
「――お待ちなさいっ!!!」
ドゥンッ!
狭い室内で火炎が炸裂する――が、周囲へ撒き散らす事もなく、不自然な方向へと収束していく。
粘液の塊は溜まらず再び外へと放り出される。常識的に考えれば衝撃で一溜まりもないだろうが、何故かこれで終わっていない確信があった。
それでも一応は恩人らしき――原理は不明だが――彼女たち。お揃いのユニホーム、一番前にいた黒髪の子に声をかけようとした。
「いつもニコニコあなたのお側に這い寄――」
省4
72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:31 ID:mxHdJsL50(14/18) AAS
「いやぁワケわかんないだろーけど、実はワタシらにもよく分かってなかったり」
今一やる気のなさそうな子が槍を肩にかけてぼやく。が、その視線は言葉とは裏腹に周囲に警戒していた。
どう答えたものか迷っていると、最後尾の――ネイルアートを盛りすぎたような『爪』をした少女が、二人に注意を促す。
「ふ、ふひひっ!やっぱダ、ダメみたい。ひひっ」
良く言えばくすぐったそうに。悪く言えばドラッグ的なものをキメているように。
「あ、『あれ』は相当強いバリア的なものを張ってる感じ、私じゃ感知は無理っぽい」
省8
73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/08(火)11:32 ID:mxHdJsL50(15/18) AAS
こめかみにはしっかりと跡を残しつつも、何故かキメ顔でこう言った。
「古きものはより古きを誇り、朽ちるものは朽ちるがままに――」
「――されど千夜に褥を重ねようとも、旧き燭台の火は消えず――」
「――『ブリテンの敵』に報いの慟哭を、願わくば安寧の死を――」
「――『新たなる光』の名の下に集えよ、戦士」
省1
74: 田中(ドワーフ)◆7fp32j77iU 2014/04/08(火)11:36 ID:mxHdJsL50(16/18) AAS
今週は短いですがこの辺で。お付き合い頂いた方に感謝を
>>44
断章書いた中の人です
一応リセットした別の話です。てか他のも基本そうじゃないと酷い事に。例えば
『アイテム』の続きだと“強くてニューゲーム”
『学探』じゃ“佐天「どんなシリアスもギャグでgdgdにする能力かぁ……」”状態
『向日葵』は“あの後二人でセカイにケンカ売る”ので無理
『村』は無かった事にしたい。他ジャンルのSSは書いた事もない
特に『断章』の続き物だと、魔術・科学両方の専門家&組織力持ってるからお話になりません
いや話も出来るし楽しそうですが。バランス的なモノが崩れるのがまず一つ
省8
75: 田中(ドワーフ)◆7fp32j77iU 2014/04/08(火)13:05 ID:mxHdJsL50(17/18) AAS
>>51
それタダの荒しですね。”Dts77xAd0”でグクってみると
>10 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/04/03(木) 00:29:34.89 ID:Dts77xAd0
>そもそも原作の白井が一般人が無闇に事件に首を突っ込むことを良しとしない性格なのに、好き勝手やってるのに凄い違和感
>610 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/04/03(木) 18:34:07.85 ID:Dts77xAd0
>荒らしはともかく、批判は普通の読者から出てもおかしくないような内容だからな
>まあもう来ることもないだろうし、今さら気にしても仕方ない
>50 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/04/03(木) 19:15:31.27 ID:Dts77xAd0
>ああ、雑談スレに突撃してきた人か
>ssの内容以前に>>1の気持ち悪さが露呈してるから、あんまり読む気がしないわ
省6
76: 田中(ドワーフ)◆7fp32j77iU 2014/04/08(火)13:44 ID:mxHdJsL50(18/18) AAS
>>50
あーうん、面倒臭いからぶっちゃけるな?
詳しくは別スレ↓でも書いたんだけど、お前そんなに俺嫌いで書いた物気に入らねぇんだったら、自分で書けよ
つーかあっちで粘着してんのもお前じゃねぇのか
(禁書・超電磁砲ss雑談スレ6の>>435-436)
(vip2chスレ:news4ssnip)
んでお前が書いた「気持ち悪い」ってのは、『第三者が俺の内心を勝手に決めた』事に対して反論しただけなんだけどな
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