[過去ログ] 鳴護アリサ「アルテミスに矢を放て」 〜胎魔のオラトリオ〜 (917レス)
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587: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:16 ID:ZN3mjMeX0(1/17) AAS
――『竜の口』蛇章

――パリ市警 モルグ付属室

検死官B「……これ……どうしたものかな」

検死官C「どうもこうもないじゃないですか、私らに出来る事なんてないでしょう」

検死官B「しかしだね君、これは貴重な症例の一つなのだよ?このまま余所に移管されるのは宜しくない」
省19
588: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:17 ID:ZN3mjMeX0(2/17) AAS
検死官A「――ってぇファン心理を逆手に取って、実ぁうだつの上がらないツンツン頭に泣きついたんだろーぜ」

検死官A「『当麻君どうしよう!?あたしインタビューで「お料理は得意です!」って言っったら、タイアップ企画来ちゃった!』、みたいな?」

検死官C「俺の純情弄びやがって!……やっぱでも美味いです。しっとりしてる」

検死官A「OKARAが入っててヘルシーなんだそうだが」

検死官B「なんです、それ?」
省21
589: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:19 ID:ZN3mjMeX0(3/17) AAS
検死官B「……そうだな……『殺人』はシンプルだろう。動物がしないのと同じだ。数が減れば種族として弱体化するからな」

検死官A「あぁ一応動物もするぜ?ライオンの子殺しや、サメの稚魚の胎内選別とかが有名」

検死官A「ま、ある程度のレベルになると、日常的にする例はぐっと減るかね。人間は例外としても」

検死官C「あー、よく聞きますよね。『人間は戦争って同族殺しをするから、動物よりも劣っている!』論」

検死官A「でもそう言う奴らってニューカルトかネオペイガニズムにやられっちまってんだよなー、これが」
省30
590: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:20 ID:ZN3mjMeX0(4/17) AAS
検死官A「安曇の野郎、実際にゃどんな感じだったんだ?」

検死官B「あ、あぁ。開頭していないのでスキャン画像しか無いが――ほら、見たまえ」

検死官A「……うっひゃー、こらまた酷ぇな」

検死官B「脳が従来あるべき量3分の1ほどに萎縮している。まともに歩行も出来なかったろうに」

検死官A「……なーるほど。だから獣化で補ってたのな」
省26
591: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:21 ID:ZN3mjMeX0(5/17) AAS
検死官A「俺達ニンゲン様が、セーフティまで拵えたのはキチンとした理由があるからだよ。大抵はな」

検死官A「極東の島国を筆頭に『死は穢れ、忌み嫌うべきもの』って考えが広まったのも、屍体は雑菌の塊だからだよ」

検死官A「丁重に弔わないと死病が蔓延する。ペストやコレラがいい例じゃねぇか」

検死官A「こないだ読んだ出来の悪い創作怪談に、『病院で切り落とした四肢は食べる』的な話があった」

検死官A「――んが、現実じゃ医者が即業者呼んで速効火葬。じゃないと物凄い量の雑菌でパンデミック引き起こすんだよ」
省15
592: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:23 ID:ZN3mjMeX0(6/17) AAS
――モルグ

検死官A「……」

安曇「――」

検死官A「……あぁクソ、余計な仕事増やしがったクセに、いい顔でくたばってんじゃねぇか」

検死官A「カミやんとのケンカ、そんなに楽しかったのか?あん?」
省10
593: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:24 ID:ZN3mjMeX0(7/17) AAS
――次章予告

――???

 これはある夜に起きた出来事です。

 あたし達は当麻君の作ってくれた晩ごはんを頂いてからお風呂へ入って、寝る前に少しだけゲームをして、いつものように部屋へと戻りました。
 部屋、とは言ってもキャンピングカー(正確にはモーターホーム?)の個室。
 しかもダブルベッドが置いていたのを改造し、無理矢理個室に分けてシングルベッドを置いたとお姉ちゃんが言っていました。
(そして何故か片側の部屋は『外側から鍵が閉まるオートロック』になってた……あの、お姉ちゃん?もうちょっと信じても、うん)

 そのため部屋は窮屈で、一畳と少しぐらいでベッドの他には、机とあたしの持ってきたキーボードぐらい。
 ちなみに当麻君のお部屋は仕切られた向こう側――というか、レッサーさん達はキャンピングカーの前半分の、固定されているソファー兼簡易ベッドに決まりました。
 数もそうですが、向こうは仕切りが無い大きな部屋(1DK)なので、若干一名の反対を除き満場一致で、個室はあたしと当麻君が使わせてもらえるそうです。
省17
594: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:25 ID:ZN3mjMeX0(8/17) AAS
 夜半過ぎ、ふと目を覚ましたあたしは、今何時だろうと目覚ましへ手を伸ばし――何も手に触れませんでした。
 それもそのはず、プレゼントで貰った目覚まし時計は学園都市へ置いてきちゃいましたから。

 それじゃーと、枕元の携帯電話を取ろうとして――気づいて、しまいます。
 私の上に誰かが覆い被さっている事に。

(――え、えええぇぇぇぇぇぇぇっ!?)

 バラックです。あ、いえパニックです!バラックってなんでしょう?小説か何かで読んだような?

(だ、ダメダメダメダメダメーーーーーーーーっ!当麻君、インデックスちゃんに悪いってば!)
省7
595: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:26 ID:ZN3mjMeX0(9/17) AAS
「……当麻君、その、あたしでいいの、かな……?」

 埒が明かない――妙な自問自答は変なベクトルへ突っ切ってしまいますので――当麻君へ、あたしは勇気を出して聞いてみました。
 けれどいつまで経っても(もしかしたら凄く短い時間かも知れませんが)答えは返ってきません。

 その代わりに――あたしは、ぎゅっと。

「当麻君っ!?………………ちょっ」

 とても繊細に、けれど決して逃すつもりはないらしく。
 抱き竦められてしまいました、はい。
省9
596: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:27 ID:ZN3mjMeX0(10/17) AAS
 あたしがまた『こっち』へ来た理由。それは分かりません。
 お姉ちゃんと一緒になった、元の『私』へ戻ったのは憶えています。はっきりと。

 けど、気がついたら当麻君とインデックスちゃんの前に『あたし』が居て、

『――幻想なんかじゃ、ない……っ!』

って言っていたそうです。その後直ぐに大泣きしちゃったから、あんまり憶えてないんですけどね?
 そういえば……誰かに後ろから押されたような……?あれは誰だったんでしょう……?

 ……だからもし、当麻君が、その……あたしを求めてくれるんだったら、それが別に、その――あんまり良くないお付き合い方でも!いいかなって!
 あ、いや!キチンとしたのだったら、やっぱりそっちの方がウェルカムな訳で!勿論違っててもバッチコイではあるんだけど!
省12
597: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:29 ID:ZN3mjMeX0(11/17) AAS
(……当麻、君。もしかして場慣れしてないかなぁ……?)

 なんて考える余裕はすぐ無くなりました。
 クンクン、と当麻君はあたしの髪を嗅ぎ始めた――抱き締められたままだから、まぁ結果として首筋へ顔を近づける感じ。

(あ、あれぇ……?順番、思っていたのよりも、違う、かも?てかこっちが正解?)

 普通はまずキスをしてからー、みたいな感じだと思ったのに。当麻君はやや特殊なのでしょうか?それともこっちが本当?

 スンスン、と鼻先が首筋に触れるか触れないか、そのギリギリのラインを行ったり来たり。不規則なリズムがあたしを徐々に麻痺させていくのか分かります。
 抱き締められた時に広がった時、感覚が敏感になり過ぎちゃったのとは真逆。まるで首筋から甘い、毒、って言うとアレだけど、そんなような何かに囚われる錯覚。
省9
598: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:31 ID:ZN3mjMeX0(12/17) AAS
 このまま終りにしよう。実らない初恋なんだし。そう、思い込もうとしていた……それはもう過去形で。
 打算が無かったとは言わない。善意だけだったなんてとても言えない。EUライブツアーの話が出て来た時、レディリーさんを助けられるんだって思うよりも早く、私はこうあたしに囁いたんだと思う。

『――これで、独占しちゃえばいいよね?』

 あたしは、囚われている。自分がそう望んでいるから。

(だから、当麻君も――)

 かり。
省10
599: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:33 ID:ZN3mjMeX0(13/17) AAS
「――ぅぇ?」

「……あ、ごめん……寝ぼけて……ふぁぁぁぁぁぁぁふっ……」

 目眩と羞恥心に卒倒しそうになりつつ、どうにか声を絞り出して訊ねます。がんばれあたし。

「ランシス……ちゃん?」

「んー……?なにー……?」
省18
600: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:34 ID:ZN3mjMeX0(14/17) AAS
 彼女は、んー?と少し考える素振りを見てた後、ベッドの上でなにやらモゾモゾし始めます。

「あのー……ランシスさん?どうしたんで、しょう、か?」

「……気持ち、分かる。恥ずかしいん、だよね……?」

「はいっ!……いや、違うけど!そんなんじゃないけど!」

「――だったら、私も、見せる。それで、おあいこ……」
省12
601: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:34 ID:ZN3mjMeX0(15/17) AAS
※真夜中
※あたし――乱れた衣服
※ランシスさん――パンツ脱いでる
602: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/22(火)13:36 ID:ZN3mjMeX0(16/17) AAS
 ……あれ?おかしいですよね?なんかこう、明らかに致命的な勘違いをされる感じがアリアリと。

 けど流石は当麻君でした。あたしとランシスさんを見比べた後、とても爽やかな表情で――お姉ちゃんへ殴り込みに来たのと同じ顔で――こう、親指を立てました。

「……大丈夫!女の子同士も嫌いじゃないさ!」

「当麻君の、バカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 勿論、あたしは伊達にボイトレをしておらず、レッサーさん達全員を叩き起こしたのですが……後はもう、はい。いつもの、というか、えぇ。
省4
603: 田中(ドワーフ)◆7fp32j77iU 2014/07/22(火)13:39 ID:ZN3mjMeX0(17/17) AAS
今週の投下は以上となります。お付き合い頂いた方に感謝を
>>582-586
ありがとうございます
まだ半分終ってないんで、ランシスさん編終ったらスレ2行くと思います
余ったスレで『学探』の調査して欲しい話&リポーター募集するかも?体調次第ですが。夏はキツい

業務連絡ー、業務連絡
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