[過去ログ] 鳴護アリサ「アルテミスに矢を放て」 〜胎魔のオラトリオ〜 (917レス)
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173: 田中(ドワーフ)◆7fp32j77iU [saga] 2014/04/22(火)11:20 ID:PMKl+Jbj0(1/26) AAS
――ユーロスター 客室

上条「少し遅いけど、大丈夫かな……?」

柴崎「護衛ポイント減点1。ボディガードは可能な限り護衛対象にストレスを与えない」

上条「気を遣って護衛失敗の方が怖いだろ」

柴崎「紳士ポイント減点10。アリサさんには内緒ですけど、ウチのスタッフが固めていますから」
省16
174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:22 ID:PMKl+Jbj0(2/26) AAS
柴崎「アイドルの護衛兼マネージャーとしては、少々強面の方が『諦めて』くれます。相手――というか、仮想敵はファンや同業者ですからね」

柴崎「アリサさんは良くも悪くも目立つので、まぁ色々と」

上条「あんま聞きたくないけど、やっぱそういうのってあんの?」

柴崎「全てお断りしているので何とも。でもどこかのグループの社長さんが、脱法ドラッグを使用しても報道されないなど、『お察し下さい』です」

上条「……うっわー、芸能界怖いわー」
省19
175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:24 ID:PMKl+Jbj0(3/26) AAS
柴崎「タレントの護衛と要人警護はまた別なんですよ。カテゴリ的に」

上条「……そうなのか?」

柴崎「そうですね、例えば上条さんが誰かを暗殺しようと思いました」

柴崎「ライ麦畑で捕まえる本を読んだり、丸山ワクチンで一発逆転を狙ったり、動機はさておくとして」

柴崎「ちなみに丸山ワクチンは、同じ成分の薬が免疫増加薬として認可されています。陰謀論を言うと笑われますから」
省16
176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:26 ID:PMKl+Jbj0(4/26) AAS
柴崎「野暮用が少しだけ」

上条「え、いいじゃん。行こうぜ?つーか女の子二人に男一人だとキツい」

柴崎「バトー・ラヴォワールに行きたいんですよ」

上条「どこか分からないけど観光ですよね?」

柴崎「貧しい時代のピカソやモディリアーニが住んでいた安アパートです。日本で言えばトキワ荘ですか」
省18
177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:29 ID:PMKl+Jbj0(5/26) AAS
上条(うわこれ最新型っぽい。携帯っつーかハンディパソコンみたいだ)

上条(……いや、逆にPCと同じだったらイケるかも?仕様は共通してんだろうし)

上条(どれどれ、タスクマネージャ開い――ありゃ?メモ帳が開いてる?)

メモ帳『盗聴の可能性があるので、このままケータイを直すフリをして読み進めろ』

柴崎「どうです?分かりそうですか?」
省13
178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:32 ID:PMKl+Jbj0(6/26) AAS
メモ帳『第一に優先すべきなのは「鳴護アリサの安全」』

メモ帳『安易なヒューマニズムに負けて、命を粗末にしない事――』

メモ帳『――例えそれが鳴護アリサから恨まれる事になっても』

上条(……あぁ、人質云々はこの話に繋げたかったのかよ)

柴崎「どうしました?あー、そのアプリ入れようか迷ったんですけどね」
省17
179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:35 ID:PMKl+Jbj0(7/26) AAS
メモ帳『理由二つめ。この世界には「意味があれば人を殺す奴」と「意味が無くても人を殺す奴」の、二つに分けられる』

メモ帳『大抵は前者、しかし決して後者も少なくはない』

メモ帳『恐らく君は「鳴護アリサが逃げた後、野放しになった彼らが腹いせと見せしめを兼ねてするであろう事」を危惧しているんだろうが」

メモ帳『それはきっと「鳴護アリサという理由がなくても連中はする」』

メモ帳『たまたま理由が「鳴護アリサだっただけ」に過ぎない』
省18
180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:37 ID:PMKl+Jbj0(8/26) AAS
柴崎「まぁ取り敢えずは暫く保留でいいかも知れま――おや、これ何でしょうね?」

上条「えっと……?」

上条(まだ下に……?)

メモ帳『多分君は「鳴護アリサの安全を確保しておいて、自分は残る」という発想へ至っているだろう』

上条(……笑っちまうぐらい読まれてんじゃねぇか、俺)
省14
181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:40 ID:PMKl+Jbj0(9/26) AAS
メモ帳『しかし同時に君達だけでは危険なので、他の隊員が駆けつけるまでは味方のフリをして敵の指示に従う事』

メモ帳『向こうも無茶な要求はしないだろうから、信用したフリをさせて油断させるように』

上条「一応聞くけど、ここはなんで?」

柴崎「……えっと、ですね」 トントントン

上条(キータッチ超早いな)
省17
182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:41 ID:PMKl+Jbj0(10/26) AAS
上条(けど急ブレーキでかかるような圧力はないし……なんだろ?)

柴崎「『――はい。今は――えぇ』」

上条(片手を耳に当てて誰かと話している柴崎さん。その相手は見えない人、な訳はないか)

上条(多分通信機なんだろうけど、骨伝道とか下手すれば『内側』に何か仕込んでいるんだろう)

上条「……?」
省19
183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:42 ID:PMKl+Jbj0(11/26) AAS
――ユーロスターS 個室

ガリ、ガリガリガリガリガリガリッ!

 得体の知れない音が――正直想像したくもない鉤爪の音が立てこもっているドアを削る。

 ドリルで穴を開けるのではなく、カッター一で切りつけるのとも違う。
 鉤爪――下手をタダの爪でステンレスの扉を絶え間なく傷つけている。

 実際の所、それはあまりにも途方もない行為であり、同時に意味を成してなどいない。
 隠れた個室の上下は開いており、また適当な膂力さえ持っていればドア一枚を引き剥がした方が早い。
省9
184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:47 ID:PMKl+Jbj0(12/26) AAS
 映画に於いてその黎明期から交わされる議論がある。「自分であればこうする」、「もっと上手く立ち回れる筈だ」、そう多くは言うだろう。
 時としてショッピングモールー籠城したり、サメの出る海から逃げ出したり、極限の基地への赴任を断ったりするかも知れない。
 フィクションを眺める第三者は、えてして物語が境界を超えるであろう事を夢見る。

 だが――しかし。
 こうやって『境界』を乗り越えてきた相手には、呆然と立ち尽くす。またはパニックに陥って泣き叫ぶ。
 現実を現実と受け入れられず、無闇矢鱈にわめき散らすのが精々だろう。

(怖い!怖い!怖い――)

 護衛からは「広くて人の多い所へ逃げろ」と何度も念を押されにも関わらず、こうして個室に逃げ込むしか出来なかったのが証明している。
 それも反射的だったのかも知れない。まだ十代の少女であれば、とっさに体が動いただけで僥倖と呼べるだろう。

 けれど幸運はそう続かない。逃げた先には映画のような窓は無く、あったとしても最大時速300kmを誇る電車の中。悲惨な結末を迎えるだけ。
省5
185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:49 ID:PMKl+Jbj0(13/26) AAS
(当麻君!当麻君!当麻君!)

 両手を胸の前で組み、神には祈らず――彼女にとっては――人の身へ一心に祈る。
 何回、何十回、何百回繰り返したのかも、分からないまま……ふと、鳴護は気づいてしまう。

 ドアを掻き毟る醜悪な音が、粘液を撒き散らす恐ろしい音が、もう聞こえなくなっている事に。

(……?)

 長く――永く感じられたのは恐怖に戦いていたせいか?それとも現実に過ぎてしまっていたのか?
 安堵の溜息をこぼす、その一瞬に。
省3
186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:50 ID:PMKl+Jbj0(14/26) AAS
 祈りが通じた!そう歓喜したのもつかの間であり。

「良かったぁ、来てくれたん――」

「そう、ダ……俺が、カミジョウ。ゴボッ」

 声は丁度人の背丈の中程、腰辺りから響き、

「めい、ゴ……たすけに、キた」
省12
187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:51 ID:PMKl+Jbj0(15/26) AAS
「……なんで、なんであたしなのっ!?」

「私なんか!あたしなんかっ!……どうしてっ!?」

 狂気に追いやられながらも、最後の理性を動員させて鳴護は叫んだ。
 ……いや、ただの現実逃避なのかも知れない。

 常識的に考えて、ここで悪党が口を滑らす必然性は無い。

「ムスメ、たいどう……おらとりお」
省9
188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:53 ID:PMKl+Jbj0(16/26) AAS
 意外とまともな返答が返ってきた。それはただの偶然なのかも知れないが。

「いきもの、いきる、すべて、キセキ」

「おかしなトコ、ろ、ない」

「きせき、みんな……ゴボ、もって、ル」

「……え?それって一体――」
省4
189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:55 ID:PMKl+Jbj0(17/26) AAS
――ユーロスターS 女子トイレ

上条「アリサっ!?アリサ大丈夫か!?」

鳴護「当麻、君……!?本当に!?ニセモノじゃ無くって!?」

上条「落ち着け、なっ?俺も柴崎さんも来て――どわっ!?」 ガシッ

鳴護「……」
省11
190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:57 ID:PMKl+Jbj0(18/26) AAS
アナウンス『……!――――!――!』

上条(超早口の車内放送が流れ、ザワザワとした気配が広がって――)

上条(――来ない。通路の方を走って行く足音が時々聞こえるだけ、だ)

……ギッ、ギッ、ギッ、ギッ、ギッ……

上条(妙なギシギシ音は相変わらず。これも意味が分からないよな)
省18
191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)11:58 ID:PMKl+Jbj0(19/26) AAS
上条(と、言いつつも柴崎さんは男二人の身体検査をしている……礼状ないんだけどなぁ)

鳴護「逃げなくて、いいんですか?」

柴崎「その前に現状説明を幾つか。後々必要になるでしょうから」

上条(と言ってさっき見たモバイルを取り出す)

柴崎「このユーロスターSは前後に機関車2台、客車が18台の計20台から構成されています」
省11
192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/22(火)12:00 ID:PMKl+Jbj0(20/26) AAS
柴崎「機関車はカウントされないので12両目です――で、今航行しているのは、こんな感じ」

□※□□−□□□□□−□◇◇◇■

上条「少なくなって、る?」

柴崎「後方車両で何人か暴れだし、突然客車と客車の間をぶった斬ったんだそうで」

柴崎「連結器のない所を、こうバッサリと」
省12
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