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鳴護アリサ「アルテミスに矢を放て」 〜胎魔のオラトリオ〜 (917レス)
鳴護アリサ「アルテミスに矢を放て」 〜胎魔のオラトリオ〜 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/
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427: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 10:46:24.20 ID:zTTXki+Z0 鳴護「今、どちらに?」 シャットアウラ「一度学園都市へ戻ってオーバーホール――というか、休養を命じておいた」 シャットアウラ「肉体部分の損傷はともかく、それ以外はどうしても、な」 鳴護「……そっか。じゃ、良かった」 上条「すまん。俺が無茶頼んだばっかりに」 シャットアウラ「いや、お前に謝られる筋合いは無い。そもそも護衛対象でもあるお前を護るのは仕事の内だ」 シャットアウラ「むしろ部下の命を助けてくれた事を感謝しよう。ありがとう、上条当麻」 上条「……っ!」 上条(……そう言ってぎこちなく笑うシャットアウラの顔は、どこかアリサに似ている) 上条(元々が同じで、今は『姉妹』としてそれぞれを大事に思ってるんだから、それは当たり前なんだろうが) 上条(その『無防備さ』ってのが、なんか、こう、アレだ) 上条(なーんか『勘違い』しちまいそうになる、っていうかですね?) シャットアウラ「どうした?」 上条「ん!?あぁいやいや別に何でも!」 上条「ただ『聖地巡礼してー」みたいな事言ってたけど、どうしたんかなーって」 シャットアウラ「ローランサン巡りは有給でも取ってくればいい。申請は取りやすいようにしてやる、と言っておいた」 鳴護「えっと、一人で?お姉ちゃん何か言われてなかった?」 シャットアウラ「うん?……あぁ、確か『一緒にどうですか?』とは言われたな」 鳴護「そ、それでっ?」 シャットアウラ「『なんで?』と応えておいたが?」 鳴護「……お姉ちゃん」 上条「あー……うん、まぁ!まだまだチャンスはあるし!」 レッサー「横からで恐縮ですが、シャットアウラさんはそちらさんがお嫌いで?」 シャットアウラ「特に何とも。それがどうした?」 レッサー「あっちゃー……他人事とは言え、聞いてて痛々しいですな」 上条「……えっと、どうしようこの惨事……?」 鳴護「言っても分かんないと思うけど、当麻君にも責任はあるからね?自覚はしなくていいけど、ってかされると困っちゃうけど」 上条「すいません……?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/427
428: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 10:49:09.39 ID:zTTXki+Z0 シャットアウラ「――話を戻そう。さっきも言ったが、これ以降私達がアリサと行動を共にするのは不可能だ」 上条「そんなっ!?」 レッサー「仕方がありませんよ、上条さん。右手で握手しようって時に、後ろへ回した左手にハンマー持ってるようなもんですから」 レッサー「申告しなければ『あ、言ってませんでしたっけ?』で済む話なんですが、バレちまったら、はいオシマイ。そればっかりはどうしようも」 上条「俺が、余計な事を言ったから、か?」 鳴護「当麻君、そんな事無いよ!」 シャットアウラ「繰り返すがお前は関係ない。『敵』を甘く見すぎていた私達――ひいては学園都市に落ち度がある」 シャットアウラ「決して、決してお前達がやった事に間違いじゃない」 ベイロープ「その証拠が『コレ』なのよね?」 シャットアウラ「そうだな。あれだけの事をしでかしたのに『コレ』で済んでいるのが僥倖でもある……いいや、必然か?」 上条「『コレ』ってのは?」 ベイロープ「問題、あなたはユーロトンネルの中でど派手なドンパチを繰り返しました」 フロリス「具体的には列車をぶった切る×2、架線にモノぶつけて運行に多大なロスを与えたりー」 ランシス「明らかに条約ブッチした『戦車』を乗り回したり……」 上条「……怒るよねー、普通は。治安機関にケンカ売ってるよなぁ」 シャットアウラ「私も、というか私”達”は全員その場で射殺されても文句が言えないレベルの事をしでかしている」 シャットアウラ「公になれば確実に外交問題確定、連日連夜ネットニュースで人気者となるな」 レッサー「だってぇのに取り調べはヌルいは待遇は良いわ。しかも女五人に男一人放り込んでハーレム状態ですか!薄い本ですか!」 上条「前半と後半繋がってねぇ――事も、無いか?」 上条「ハタから見りゃ非常識な対応、厚意的な待遇を受けてるのって」 シャットアウラ「それはお前達がユーロスターへ留まり、多くの乗客の命を救ったからだ――上条当麻」 シャットアウラ「もしこれが『自分達だけ逃げました』なんてものだったら、今頃留置所だったろうに」 上条「……無駄、じゃなかったんだな……!」 レッサー「ま、私らはトンズラしますけどね」 フロリス「だっよねぇ」 ランシス コクコク ベイロープ「黙ってろおバカども。や、まぁ私も逃げるだろうけどさ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/428
429: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 10:51:28.60 ID:zTTXki+Z0 上条「でもさ、それっておかしくないか?確かに俺達は、つーか『黒鴉部隊』は武器やクルマを隠してたけど」 上条「自分達を護るためにしてた武器が、オーバーキルだから取り締まるってのは!」 シャットアウラ「そっちは政治的な駆け引きだな。何と言うべきか……」 レッサー「本音と建て前の使い分け、国内法と国際法との兼ね合いとでも言うんでしょうかねぇ」 レッサー「例えばテロリストを摘発するためには証拠を集めて、裁判所へ逮捕状を請求してから検挙と相成ります」 上条「あぁ、お前らも元テロリストだもんな」 レッサー「うっさいですね!あんま騒ぐとちゅーで口を塞ぎますわよ!」 レッサー「いや、悪くないですな……むしろ率先して喋って下さいねっ!」 上条「……」 レッサー「あ、あれ……?そこでお口チャックマンするんでしょうかっ!」 フロリス「だからさぁ?レッサーのアプローチ、どっから情報仕入れてんのか分かんないケド、引くじゃん?つか引いてんじゃんか?」 フロリス「そもそも『抱いて下さい!』つって『喜んで!』みたいに即答するようなヤツが、ブリテンのためになる人材なわきゃないでしょー」 ベイロープ「それ、普通に駄目男よね」 レッサー「……うーん、うぬぬぬぬぬっ?」 ランシス「……どったの?」 レッサー「いえ、なんつーんでしょうかねー?こう、なんかフロリスのツッコミが、いつもにまして厳しいような……?」 フロリス「ん?ワタシ?」 レッサー「い、いやっ気のせいですね分かります!まっさか『新たなる光』のツン担当がデレる日なんて来ませんもんねっ!」 フロリス「勝手に決めんな。つーか誰がツンだ、誰が」 ベイロープ「それで?続きは?」 レッサー「あー、テロの話でしたっけ?あー、そうそう、アレですよ、アレ」 レッサー「実際にテロを取り締まる方は様々な法的制約が生じるんですよね。国内法・国際法のどっちもが」 レッサー「軍事行動でぶちかますにしても、する側は関連法を整備した上で、遵守しながら戦わなきゃいけません」 レッサー「当然、他の国のお伺いを立てなきゃ必要もありますし、場合によっては羽織ゴロから反対喰らうんですよ、えぇ」 レッサー「資金にしたってとどのつまりは税金ですしね。ヘタに不透明な使い道をすれば突き上げられますし?」 レッサー「けどテロリスト側は、違う」 レッサー「資金も強盗・脅迫・人身売買に麻薬の密売、ずっと囁かれている東側からの援助等々。実に他材で、多罪」 レッサー「昨今じゃ中東の盟主を気取る所がやってんじゃねぇの?みたいな事が公然と言われ始めて来ました」 レッサー「テロの方法も脅迫してやらせたり、子供を誘拐して洗脳したりと人道なんか知ったこっちゃあーりません。それが、現実」 レッサー「テロをする方は縛りなんて皆無なのに、彼らと戦う方は縛りプレイが多すぎってぇ話です」 上条「……テロリスト――この場合は『濁音協会』か」 レッサー「えぇ。あっちには制約もクソもありません――が、それを取り締まる側はそうじゃない」 レッサー「ブリテンじゃブリテンの法に、フランスじゃフランスの法の下で」 レッサー「ただ、それだけの話でしょう」 上条「……よくよく考えれば酷い話だよな」 シャットアウラ「だが、それもまた理屈ではあるのさ……アリサ」 鳴護「はい」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/429
430: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage] 2014/06/24(火) 10:53:14.65 ID:zTTXki+Z0 シャットアウラ「これ以上、『黒鴉部隊』――学園都市はお前についてはいけない」 鳴護「……はい」 シャットアウラ「加えて、イギリス清教の魔術師達も力を貸してはくれない」 シャットアウラ「私にとってすれば下らない理由だが、『そう』じゃないと友好もなにもなくなってしまうからだ」 レッサー「……コートの中に何を隠しているのか、それが分からない状態ならば握手も出来るでしょうが――」 レッサー「――あからさまに『銃を持ってる』ってバレちゃいましたからねぇ」 シャットアウラ「……なぁアリサ、よく聞いて欲しい」 鳴護「……」 シャットアウラ「お前は『逃げ』だと言うかも知れない。確かにそうなのだろう。否定はしないさ」 シャットアウラ「けれど、どうしてアリサでならないんだ?他にも適役は居るだろうし、その」 シャットアウラ「……私の父親は『奇蹟』で命を落とした。お前が生まれた時に、戦って、死んだ」 シャットアウラ「私は父を誇りに思い――それ故にアリサにも牙を剥いた!『奇蹟』なんて要らないと!」 上条「シャットアウラ……」 シャットアウラ「けれど、お前は!あの時戦ったろう?『奇蹟なんて起きない!』と私を叱り飛ばして――」 シャットアウラ「――『奇蹟』を起こした。助けられない大勢の命を、助けてくれただろう?」 シャットアウラ「だから――帰ろう?」 鳴護「帰る、の……?」 シャットアウラ「……あぁそうだ。学園都市側からの許可も下りている」 シャットアウラ「ここまで大事になってしまった上、守りようがないんだったら仕方が無――」 鳴護「……私は、帰らないよ」 シャットアウラ「アリサ!」 鳴護「お姉ちゃんも知ってるよね?私が学園都市と『取引』した内容」 上条「……『取引』?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/430
431: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage] 2014/06/24(火) 10:55:03.62 ID:zTTXki+Z0 鳴護「レディリーさんの帰還をお願いしたんだよ……伝えたい事が、あるから」 上条「エンデュミオン上層階に取り残されてるんだったっけ?」 上条「ラグランジュポイントを漂う、残骸の中で――独りで」 鳴護「……あの時、私は――あたしは『みんなが助かりますように』って祈ったんだけど――」 鳴護「――レディリーさんは、助けられなかった、よね」 上条「……そう、だな。それは確かに、そうだ」 シャットアウラ「だが!レディリーはアリサを!」 鳴護「お姉ちゃんも、だけどね?」 シャットアウラ「……」 鳴護「あ、ごめんごめん!責めてるんじゃなくて!そういうんじゃなくって、そのっ」 鳴護「お姉ちゃんとも仲直り出来るんだったら、レディリーさんとも出来るんじゃ、って」 シャットアウラ「アリサ……でもっ!」 鳴護「あたしは暴力へ何も出来なかったよ。レディリーさんに捕まってから、逃げ出せないままで」 鳴護「お姉ちゃんと争った時だって、当麻君が助けてくれるまでは。ただ、無力だった」 鳴護「……けど、あたしも、戦った!」 鳴護「誰かを誰かの代わりに殴りつける強さや」 鳴護「不当な暴力から誰かを庇える強さも」 鳴護「そんなものは無かった……でも!」 鳴護「あたしにはすべき事があって!あたしにしか出来ない事があったの!」 鳴護「だから……ッ!」 シャットアウラ「……アリサ」 上条「……強いんだよな、アリサは」 シャットアウラ「……当然だ、馬鹿者」 上条「おう?」 シャットアウラ「私の自慢の妹なんだからな」 上条「……だな」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/431
432: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage] 2014/06/24(火) 10:56:56.73 ID:zTTXki+Z0 ――数分後 シャットアウラ「――とはいえ、だ。いざ現実的にどうしたものか、という問題がある」 シャットアウラ「大きな敵は五人。魔術師が四人とそこの冴えない男が一人……うむ」 上条「あれ?俺も敵にカウントされてんの?」 鳴護「学園都市側は、全然援助してくれないのかな?」 シャットアウラ「と、言う訳でもない。ないが……まぁ、望み薄だ」 上条「俺の知り合いの能力者とか、はマズいんだよなぁ」 シャットアウラ「『ほんの少し』の私達ですらこの有様だ。御坂美琴辺り呼んでバレてみろ、下手すれば第四次世界大戦だ」 上条「そーかぁ?アイツ結構海外旅行とかしてっけど?」 シャットアウラ「学園のカリキュラムで当たり障りのない観光地を点々とするのと、一応の外交使節を混同するな! 上条「ビリビリはヘンな事しない――と、思うが!多分!」 鳴護「御坂さんはいい人だけど、他の人が信じるかって言えば……うん」 シャットアウラ「対爆対弾のキャンピングカーはこちらで用意するし、衣食住にかかった費用もあちら持ち」 シャットアウラ「加えて必要な人員――通訳と”称し”てボディガードを雇うのもアリだそうだ」 上条「……ま、普通のコンサートツアーなら妥当なんだろうけどさ」 鳴護「レディリーさんみたいな魔術師さんだと、うーん?って感じかなぁ」 上条「俺の知り合いの――」 シャットアウラ「却下だ」 上条「まだ言ってねぇ!?知り合いの魔術結社のボスに頼るっつー話なんだけど!?」 シャットアウラ「下手な部外者呼んでこれ以上の騒ぎになってみろ。『ARISA』の活動もし難くなる」 鳴護「あたしは別に。アイドルじゃなくってもインディーズで歌えるんだったら」 シャットアウラ「それに今回の抗争、相当な借りを作る事になるぞ?お前がもし『学園都市を離れて私のイスになれ』とか言われたらどうするんだ?」 鳴護「あー……ありそう」 上条「いやいや、ナイナイ。バードウェイ良い子だもの、口じゃ文句言いつつ付き合ってくれるって」 鳴護「当麻君にはちょくちょく注意しているけど、『好き過ぎてこじらせる』みたいのも注意した方が良いと思いますっ!」 シャットアウラ「その内刺されてしまえ」 上条「シャットアウラさんは本気で言ってますよね?その『叶ってくれれば良いなー』みたいな顔どーよ?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/432
433: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage] 2014/06/24(火) 10:58:16.77 ID:zTTXki+Z0 レッサー「あのぅ、すいまっせーん?ちょっと良いですかねぇ?」 レッサー「今までのお話をまとめさせて頂くと、ぶっちゃけ『ある程度の関係者で一定の能力を持ったぷちりーなボディガード』であればいい、と」 フロリス「もすこし謙遜したほーがいいんじゃなーい?」 シャットアウラ「ぷりちー成分は要らん」 上条「言ってやって。シャットアウラさんガツンと言ってあげて!」 シャットアウラ「アリサで充分過ぎる程満たされてる、っていうかカブるわっ!」 上条「やっべェ!いつの間にか四面楚歌!?」 鳴護「あたしも当麻君サイドだと思うんだけど、っていうかお姉ちゃん人前でぷりちー言わないで欲しいかも」 レッサー「――ま、別に難しい話じゃないんですよね、これが」 レッサー「私達は所謂『魔術結社未満』の、団体」 レッサー「言ってみりゃ趣味が高じてやってるような『テキトー』な連中であり――」 レッサー「そんな私達が『好きなアイドルの追っかけ』て、EUを渡り歩く――なんて話、よくあると思いません?せんせん?」 鳴護「……危ないよ、そんなのっ」 フロリス「最初はねー、ワタシらも『あ、知り合いが来てる!』ってノリで顔出したんだケドー」 ベイロープ「ぶっちゃけそんなノリじゃ済まなくなってんのよ、これが」 上条「どういう事?」 シャットアウラ「ユーロトンネルでテロを起すような組織。連中の目的が世界平和である筈がない」 シャットアウラ「むしろ中心人物らしき『双頭鮫』の活動範囲を考慮すると、騒ぎを起こすのはEUだろう」 レッサー「んー、まぁ本音を言いますと私達――てか、私も世界がどうなろうと知ったこっちゃあないんですね」 レッサー「てーか上条さんも『知り合いのために戦う』事があっても、『世界にために戦おう』とはあんまりー、ですよね?」 上条「当然だ。『セカイのため』に戦うヤツって、ロクな事しなかっただろ」 上条「……だからって『個人のため』でもアレなヤツばっかだった気が……?」 レッサー「んがっしかぁし!私達は知り合いのため!たかだか乗り合わせた鳴護さんのために細やかながらお手伝い致しましょう!」 レッサー「それが義侠心ってもんですからねっ!えぇっ!」 鳴護「レッサーさん、ありがとう!」 ランシス「で、本音は?」 レッサー「鳴護さんへ恩を売るついでに上条さん籠絡出来たらラッキー、みたいな?」 上条「また思惑が軽いな!分かってたけどさ!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/433
434: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage] 2014/06/24(火) 11:00:51.86 ID:zTTXki+Z0 シャットアウラ「信用出来るのか?能力的にも、信条的にも」 ベイロープ「こっちのおバカの下心はさておき、そんなに悪い話じゃないでしょう?」 フロリス「少なくともワタシら”そっち側”じゃ無理だった連中を倒したしー?」 フロリス「むしろアリガトウと言いたまえよ、ウン?」 シャットアウラ「なら、こっちも婚后インダストリィ製が半壊被害を受けている」 レッサー「あれはホラっ!共闘してる立場ですし、何よりもコントロールはそちらさんだったじゃないですか」 レッサー「外装甲がヘコんだのも、私が操作したんじゃありませんとも!」 シャットアウラ「火気厳禁のキャノピーの中で、焚き火をかましたバカが居てな」 シャットアウラ「”ガワ”だけが破損していれば、予備パーツを換装すれば修繕費は安く済んだんだよ」 シャットアウラ「お陰でコンパネから全部オーバーホールしなくてはいけなくなったんだが……?」 レッサー「そ、それはっ仕方がないでしょう!?私だって必死でやってんですから!」 シャットアウラ「――余談だが、”クルマ”の中は常にモニタされていてな」 レッサー「へ、へぇー?それがなんだって言うんです?」 シャットアウラ「移動中に暇だったのか、デタラメにスイッチを入れたり消したりした上」 シャットアウラ「シフトレバーを『レッサー!一番機、吶喊するでありますよ!』とか言ってガチャガチャやった姿が映っているんだが?」 レッサー「よぉしっ!過ぎた事は水に流しましょうかっ!明日とは『明るい日』って書きますしねっ!」 上条「話題の逸らし方が他人とは思えない。つーかビルよじ登るわジャンプはするわ」 上条「アホみたいな超起動兵器なのにあっさり捕まったのおかしいと思ったら、お前のせいか!」 シャットアウラ「ま、なんにせよあの状況では、逃げ出す『アレ』を止めるためにはチャージが最適だろうがな」 ベイロープ「なんか、ゴメンナサイね?後でシバいとくから」 レッサー「ともあれっ!選択肢なんかないんじゃないですかねぇ?」 レッサー「考えてみてくださいな!今回のツアーなんて危険が危ないに決まっています!」 上条「お前の脳の方がピンチだと思うよ?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/434
435: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage] 2014/06/24(火) 11:02:49.71 ID:zTTXki+Z0 レッサー「若い男女!助け合う二人!ピンチの中で育まれる絆!あと、着やせっ!」 鳴護「あの、最後のいるかな?」 レッサー「いつしか二人は護衛とアイドルを超えた間柄に……ッ!!!」 上条「危険だと思う所が間違ってるよ!そんな話してたんじゃねぇし!」 シャットアウラ「一理あるな!」 上条「ヤッベぇこの部屋ボケしかいねぇぞ!?また俺ツッコミで喉を涸らす日々が帰ってくるのか!?」 ランシス「『へーい、レッサー。隣の家に塀が出来たってねぇ……!』」 上条「唐突に何言い出した!?」 レッサー「『よし、それじゃ記念にミントの苗をプレゼントしようか!向こうの庭をミント畑にしてあげよう!』」 ランシス「『このテロリストめ!』」 上条「オチてねぇしお約束じゃねぇし!つーかお前それ園芸ネタだから分かるヤツ少ないだろっ!?」 鳴護「当麻君、芸人さんばりに拾わなくても」 レッサー「で、どうです?この二人っきりで旅をさせるよりか、安心出来ると思いますよ?」 レッサー「今ならなんと!必要最低限のご予算で魔術結社未満がお仲間に!」 フロリス「未満言うな」 ランシス「レッサー、逆に胡散臭い……」 シャットアウラ「……そうだな!まずはアリサの身の安全が最優先だ……!」 上条「ねぇ?ちょっと聞いて良いかな?俺、シャットアウラさんの中でどんだけ危険人物だと思われてんの?」 シャットアウラ「いや、特にどうって事はない。気を悪くしていたら謝ろう」 上条「だ、だよねっ?オートマタん時から、どっちかってつーと共闘してたもんな?」 シャットアウラ「ただちょっと『私の本当の敵は魔術結社よりもまずお前だろうな』ぐらいにしか」 上条「随分具体的に嫌われてるじゃねぇかよ!?そこまで言われる程何かしたか!?」 鳴護「相性悪いもんねぇ、当麻君とお姉ちゃん」 レッサー「ま、ぶっちゃけ旅が終わる前に私がオトすんで、色々な意味で安心出来ると思いますよ?」 上条「打算的すぎるわ!愛情の欠片もないっ!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/435
436: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:05:39.72 ID:zTTXki+Z0 レッサー「いやでも10代の恋愛ってそんなもんじゃないですかねぇ?なんかこう、『ちょっといいなー』で付き合ったり」 レッサー「自慢じゃありませんがおっぱい大きいですし、将来性も考えると先行投資しておいて損はないんじゃないかと」 レッサー「ね?一回だけでいいですから、一回だけノリで付き合いましょーよ、ね?」 上条「フザケんな!人生には取り返しのつかない一回があんだよ!」 レッサー「こう見えても尽くしますよー?ご奉仕しちゃいますよー?」 上条「だーかーらっ!」 鳴護「レッサーさん、押し強い……」 ベイロープ「ま、あの子の持ち味みたいなもんだし。本当にブリテン好きっつーか」 鳴護「本当に当麻君の事好きなんだねぇ」 フロリス「多分その『好き』は珍しい動物の『好き』だと思うンだよね」 鳴護「え?違うよ、それ」 ベイロープ・フロリス・ランシス「え?」 シャットアウラ「――分かった。ならば正式に――ではなく、非公式に――」 上条「マジで?こんな流れでいいの?」 シャットアウラ「大事だろう、そこも」 上条「否定はしないけど……いや、否定するよ!俺そんなに節操なくないもん!」 レッサー「”もん”て」 シャットアウラ「だがしかし貴様からアリサを守りつつ、ついでに魔術結社へ対抗出来る人材なんて貴重だろ?」 上条「逆逆、優先順位逆じゃないですかね?いい加減俺のハートが傷つきっぱなしなんだけど」 シャットアウラ「『勝手についてくる』、しかも『あやふやな連中』なのでグレーゾーンだからな」 上条「そりゃそうかもしんないが、納得がね?」 男「――話は全て聞かせて貰ったのよな……っ!!!」 ベイロープ「誰よッ!?」 男「カステラ一番!電話は二番!三時のおやつはチラメイドっ!」 上条「歌詞違ぇよ。てーかお前はコスプレに拘りすぎだろ!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/436
437: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:07:32.97 ID:zTTXki+Z0 男「天草式十字せ――」 シャットアウラ「――っと捕まえた」 ギリギリギリギリギリッ 男「名乗りは最後まで言わせて欲しいのよなっ!?って締まる締まる締まってるのよ!」 タシタシタシタシ シャットアウラ「見るからに怪しげな大男!『濁音協会』の幹部かも知れないぞ!」 男「誤解なのよな!?俺はこう見えて由緒ある魔術結社の教皇代理を――」 シャットアウラ「よし、ギルティだ」 プチッ 男「ノォォォォォォォォォォウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?」 上条「……あの、すいませんシャットアウラさん?その人知り合いだから、そのぐらいで勘弁してあげて!」 シャットアウラ「私達にも気配を掴ませずにここまで接近出来た相手なのにか?味方相手にするなんて怪しいだろうが!」 上条「いや、まぁ、うん。『どう見てもそのアフロと服、隠密どころか写メされまくるよね?』とか思うけど、それも多分術式の一つだと思うし、うん」 上条「な、そうだよな?建宮?」 建宮斎字(男)「まだまだあぁっ!この俺を屈服させるにはシメが足りないよのな!」 ランシス「……要約すると?」 建宮「黒髪ロングって最高なのよ!」 シャットアウラ「取り敢えず、落とすな?」 建宮「アッーーーーーーーーーーーーーーーー!?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/437
438: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:09:19.66 ID:zTTXki+Z0 ――10分後 建宮「――ま、とどのつまりはメッセンジャーなのよな」 上条「つまりアレか?ステイル達が不用意に動けないから、天草式が代理で来た?」 建宮「いんや。もしヘマしたら『個人の独断でやった』で足切りなのよ」 レッサー「相変わらずエゲツないですなー、『必要悪』さんは」 建宮「そう心配はいらんのよ。『普通』の病院へ潜り込んなんざ。我らに取っちゃ朝飯前なのよ」 上条「んじゃ五和や神裂達も来てんの?」 建宮「いやー何人かは来てるが……女教皇は禁書目録のガード、五和は……ま、その、アレがアレして槍振り回しそうだから、自重させたのよ」 フロリス「うえ?禁書目録が『聖人』頼る程ピンチなの?」 上条「つーか五和の方はさっぱり分からない」 建宮「お前さん方の敵が『クトゥルー』である以上、禁書目録がターゲットである可能性も否定出来ないのよな」 建宮「何せ記憶する10万3000冊の中には『ネクロノミコン』も含まれるのよ」 シャットアウラ「ネクロノ?」 ベイロープ「クトゥルー神話に登場する魔導書、狂えるアラブ人が夜に鳴く魔神の声を書き綴った書物ね」 上条「そーいや最初の頃、そんな名前の本も憶えてるってドヤ顔で言われた気が……?」 建宮「連中の狙いが禁書目録で、こっちは大がかりなフェイク。女教皇達はそう考えてるのよな」 シャットアウラ「すまん。ちょっといいだろうか?」 レッサー「どぞ?やっぱり科学サイドには荷が重いですかね?」 シャットアウラ「正直その通りだ。お前達が何を言っているのかすら、分からない。というか――」 シャットアウラ「――お前達の方こそ、正気なのか?」 レッサー「何を根拠に?自身の正常性を疑うのは良い事だと思いますがねぇ」 シャットアウラ「初めて話を聞いた時にも思ったが、『それら』はフィクションだろう?個人が作って暇人が広めた創作物だ」 シャットアウラ「……私も日本での生活が長い分、多少はオリエンタル・アミニズムにも詳しくなっている。例えば、そうだな」 シャットアウラ「ツクモガミ?全てのモノに神が宿り、神性を持つという思考も理解出来る」 ベイロープ「汎神論ね。インドや古代ギリシャ辺りが発祥の」 上条「オリエンタル関係ねぇな」 フロリス「オリエント文明って習わなかった?欧州から見れば『東っぽい蛮族』を一括りでそう呼んだんだよ」 フロリス「もっと勉強した方が良いんじゃん?」 上条「……お前、俺に厳しかねぇかな?チャラにするとかって聞いたんだけど」 レッサー「んぅ良し!良い感じのツンですよフロリス!」 レッサー「そのまま適度に痛めつけ、傷ついた所を私が慰める!これこそ完璧ですなっ!」 ランシス「……汚れた思惑がただ漏れになってる……」 上条「たまーにこの子、ネタでやってんじゃないかって思うんだよなぁ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/438
439: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:11:46.06 ID:zTTXki+Z0 シャットアウラ「日常品に感謝して供養したり、土木作業の時に祈祷するのも理解はする。だけれども!」 シャットアウラ「『そんなモノ』に神は宿ると?フィクションに過ぎない存在にもか?」 建宮「そうよなぁ……まず結論から言うと、『ネクロノミコンは実在し、それ相当の力を持った魔導書』なのよ」 シャットアウラ「信じがたい話だ」 建宮「あ、そこら辺は絶対なのよ。なんせ俺達が戦ったんだから」 上条「そうなのか!?日本にも連中が居たって!?」 建宮「いやいや。やり合ったのはイギリスなのよ。『必要悪の教会』の入団試験で攻撃されたのよな」 建宮「そこら辺の事情も含め、『敵』の情報を託すに相応しいと思われたのが天草式なのよ」 レッサー「ほへー、って事は既に『濁音』とやりあってたと?そいつぁ初耳です」 ランシス「(多分ニホンダルマの出店準備で忙しかったころ……)」 ベイロープ「(よね)」 建宮「それも違うのよ。別口の魔術師であって、クトゥルー教団じゃないのよな」 シャットアウラ「意味が分からん」 建宮「そっちのおねーちゃんの疑問には答えた筈なのよ――『ある』と」 建宮「実際、魔術的にもネクロノミコンは力を持った魔導書なのよな」 シャットアウラ「納得出来るか!私はよく知らないが、世界が滅びるような魔術が使えるんだろう!?」 シャットアウラ「そんなものが存在して良い訳がない!」 建宮「あー……混同してるのよな、お前さんはよ」 シャットアウラ「何が!?」 建宮「『ある』と『できる』は別の話なのよ。これが」 ベイロープ「……あぁ成程。そういう事ね」 上条「すいません、俺にも分かるように」 レッサー「さぁっ!言っておやりなさいな、ベイロープさん!」 フロリス「いやアンタも分かってないじゃんか」 レッサー「いやですよぉ。人が折角見せ場を作ってやろうって配慮してんのに、言わせんな恥ずかしい」 ランシス「……魔導書は『ある』。そして『できる』と書かれてる」 ランシス「……ても、本当かどうかは分からない、って話…?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/439
440: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:14:09.42 ID:zTTXki+Z0 レッサー「まさかのランシスが核心を突いたっ!?」 上条「やっぱ分かってなかったんじゃねーか。つーかアリサ大丈夫か?」 鳴護「うーん?お勉強しなきゃいけないのかなぁ?」 上条「専門分野は専門家に任せておいた方が良いぞ。素人が首突っ込んだって邪魔になる」 レッサー「――と、毎回首突っ込んでる方が言うと説得力ありますよねっ!流石ですっ!」 上条「グーで殴るぞこの野郎」 建宮「そうさな、あぁっと……おねーちゃん、アステカ神話は知ってるのよ?」 シャットアウラ「今ある世界は第四の太陽であり、世界はジャガーが呑み込む、だったか?」 シャットアウラ「あと私を『お姉ちゃん』と呼ぶんじゃない」 建宮「エッダ、北欧神話は?」 シャットアウラ「フェンリル狼が太陽を呑み込む――と、こっちも狼なのか……?」 建宮「あ、それは本題と関係ないのよ。んじゃヒンドゥーは?」 シャットアウラ「ヒンドゥー……?あぁインドは確か」 上条「シヴァって破壊神が全部ぶっ壊す?」 建宮「正解。で、最後に仏教、ブッティズムの『オワリ』はどんななのよ?」 シャットアウラ「あれに明確な終りは無かった筈だが……?」 ベイロープ「ブッダの入滅から56億7千万年後に現れる弥勒菩薩、よね」 建宮「大体合ってるのよな。釈迦の入滅後、定期的に末法思想が広がり、それらは信仰に影響を与えてきた」 建宮「キリ――十字教でも黙示録や千年王国は有名なのよな」 上条「ま、確かに世界各国、色んな所で色んな終末論はあるわな。それが?」 レッサー「あるぇ?まだ分からないんですか?」 上条「レッサーさんはご存じなの?出来れば教えてみろや、出来るんだったらば」 レッサー「さぁっフロリスさんあなたの出番ですよっ!」 フロリス「おっけー。まーかせて。えっとねー」 レッサー「ここでまさかの裏切りがっ!?」 鳴護「どっちかって言えば、レッサーさんの方が裏切って言うか、なすりつけようとした、って言うか」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/440
441: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:15:22.89 ID:zTTXki+Z0 フロリス「今言った全部の『神話』は例外なく魔導書が作られ、実際に魔術が使われてんだよ、うん」 フロリス「ワタシらだって北欧神話をベースに――あ、逆か。ベースにしたのを北欧神話でアレコレしてんだけど」 ベイロープ「余計な事は言うな。先生にシバかれる」 フロリス「これ、つまりそれぞれの魔導書や魔術が『ある』って証明だよねぇ?ねっ?」 上条「少なくとも神話を模して霊装や魔術使ってんだから、まぁ、証明にはなるのか……?」 フロリス「でも――あ、こっちからがキモだかんね?よく聞いててね?――世界にはイッパイ魔術があって、そのオリジンになった神話もある」 フロリス「ついでに言えばその殆どが『終末』が書かれてるんだけどぉ――」 フロリス「――その『オワリが来た』のって一回もないじゃんか」 フロリス「具体的に『世界が終わった』事は」 上条「……確かに」 建宮「その通りなのよな。魔術は『ある』のよ、それは絶対に」 建宮「だがしかし『できる』かどうかは別問題」 建宮「例えそれが魔導書に載っていたとしても、『過去一度も世界を終わらせた魔術師は存在しない』のよな」 シャットアウラ「クトゥルーは『ある』。が、世界全てを発狂させるような事が『できる』かは未知数、だと?」 建宮「……ま、術者が力及ばず、どっかのエロい下乳魔神みたいに尊大な魔力を持たない限り、絵に描いた餅なのかも知れんのよ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/441
442: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:16:28.00 ID:zTTXki+Z0 ジジッ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/442
443: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:18:36.67 ID:zTTXki+Z0 建宮「……ま、術者が力及ばず、どっかのお美しい魔神様みたいに莫大な魔力を持たない限り、絵に描いた餅なのかも知れんのよ」 上条「なんでお前二回言ったの?てか今ノイズが……?」 建宮「俺達が出会った『クトゥルーの魔術師』も、効果範囲は精々数十メートルってトコだったのよな」 ベイロープ「『人類全てを発狂させる』だけの効果を得んのに、どんだけのテレズマ遣うかって話よね」 上条「……そっか。確かに得体の知れない相手だが、だからって『魔術サイドのセオリー』からは逃れられないのか……!」 建宮「そもそものネクロノミコンだって、どっかの誰かが『造った』シロモノなのよ」 レッサー「裏を返せば『20世紀の魔導書書きの技術で造られた』のであり、決して例外やキワモノではない、と」 建宮「俺が個人的に睨んでいるのは、クトゥルーに関わった者が例外無く『発狂』するのよな」 建宮「あれ、何かに似てると思わないのよ?」 上条「頭がおかしくなる……?」 レッサー「なんかありましたっけ?つーかなんで皆さん私を見てんですか?」 ベイロープ「――そうか!『原典』の精神汚染よ!」 フロリス「レッサー、もうちょっと勉強しなよ」 ランシス「素人と同レベルて……」 レッサー「ぐぎぎぎぎ……」 建宮「巷にある『クトゥルー』の魔導書、それらは本当に『クトゥルー』なのか?」 建宮「――『読んだ者は力を得て、同時に身の破滅を呼ぶ』――」 建宮「――それは『原典』の魔導書と同じなのよな」 シャットアウラ「待ってくれ!その言い方だとクトゥルー神話の作者が『そっち』の知識を持っていて!」 シャットアウラ「『既存の魔導書の関係をクトゥルーの設定に引用した』みたいな言い方に聞こえるぞ!?」 建宮「可能性はある、とだけ言っておくのよ……ま、別に力を求めた者が破滅する話なんぞ、古今東西珍しくも無いのよな」 上条「とにかく脅威は脅威だけど、既存の魔術師とそんなには変わりが無い、って事なんだよな?」 ベイロープ「対策がやりにくいっちゃやりにくいけど、そんなもんは誰が相手でも同じよね」 レッサー「とはいえですよ、知ってるに越した事こたぁないでしょーがねぇ。うむむむ」 フロリス「今っから全員で小説でも読む?ワタシはちょっとパスしたいなぁ」 建宮「あー……”それ”が来た理由の二つ目なのよ。向こうさんの出方を教えに来たって言うのよな」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/443
444: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/06/24(火) 11:20:09.38 ID:zTTXki+Z0 上条「あぁ、こないだやりあったからって?」 建宮「そっちは一つ目なのよ。禁書目録の『非公式見解』は伝え終わったのよな」 上条「え!?今のインデックスの解釈だったの!?」 ベイロープ「向こうさんの立場上色々あるのだわ」 フロリス「てかボカしてんだっからツッコムの止めなよ。つーか空気読めっての」 鳴護「誰かに責められる当麻君って新鮮……!」 シャットアウラ「いいぞもっとやれ!」 建宮「いやでもアレ、なんつーか――アレ、なのよな?」 ランシス「やっぱ、そう思うよね……?」 建宮「どう見ても――まぁ、五和には言わないでおくのよ。そっちの方が面白そうだし」 建宮「ともかく!こっからは俺達が日本に居た頃の話に聞いた話!」 建宮「『野獣庭園(サランドラ)』の安曇阿阪、別名”墓穴漁り”――」 建宮「――野郎は『タダの魔術師』なのよな」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/444
445: 田中(ドワーフ) ◆7fp32j77iU [sage] 2014/06/24(火) 11:23:18.71 ID:zTTXki+Z0 今週の投下は以上となります。お付き合い頂いた方に感謝を なんかこのSSウンチクばっかですいません。で辻褄合わせないと伏線等々ポシャるんで、えぇ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/445
446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 2014/06/24(火) 12:41:57.39 ID:GXOM1Uomo 乙です http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396305392/446
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