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前世の願いと今世の宿命 (38レス)
前世の願いと今世の宿命 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/
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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 00:54:12.78 ID:Twdko/5W0 オリジナルです 〜序章〜 ―宿命とは過去の行いが現在のありようを決めてしまうもののことをいう― 21世紀を迎えて、幾年かの時が過ぎた、2003年3月 今日は合格発表の日 午前10時丁度に玄関前の設置された大きな掲示板に受験番号が張り出される 期待と不安を胸に抱いて、まだ雪がちらつく北海道の寒空の下、俺は道立龍鳳高校の校門の前に立っていた 多くの受験生が俺の横を通り抜けて行き、その中で俺だけがそこで止まり、苛立ちながら彼女を待っていた
俺「あいつ、遅いんだよ…もうすぐに10時になるだろうが」 俺がそう愚痴を溢している内に、後ろから俺の名前を呼ぶ声がした 女「翔ー!」 振り向くと懸命に走ってくる彼女がいた 俺「早く来いよ」 桜「ちょっと待ってよ!」 ようやく彼女は俺の下に着くと、息切れをしながら膝に手をついた 吐く息は白く、そしてすぐに大気中に消えて行く 俺「10時過ぎたぞ。桜」 桜「ごめんね。ちょっと寝過ごした」 俺「許さん」 桜「ごめんって」 俺「わかったから。もう受験番号貼りだされているから行くぞ」 桜「うん」 桜は俺の小学校からの同級生で、中
学1年から付き合い始めた 合格圏内行くか行かないかの俺は、桜を追うために必死で桜の指導のもと、勉強に時間を費やし、 とうとう今日と言う人生の節目を迎えた SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366991652 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/1
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:22:31.13 ID:Twdko/5W0 「はじめまして、裕也って言います。俺遠くから来てるんで、知り合いいないんですよ。名前聞いてもいいですか?」 いきなり話しかけられ、すこし戸惑うものの、すぐに笑顔になる 俺「翔です。結構近くから登校してきてるので、裕也君の地域とは遠いんだな」 裕「翔君か!カッコイイ名前で羨ましい」 俺「そんなことないよ」 裕「裕也なんて在り来たり過ぎて…」 俺「そんなことないさ。俺なんか名前負けしてるよ」 裕「ははは」 俺は入学早々、友達が出来
た 裕也との関係はこの先も続いていくことになる 校内放送がかかり、新入生一同は体育館へ移動 一つの大きな体育館には後ろに保護者席、前には入学生が座る椅子が各クラス二列ずつで8つ同じものが並んでいて、 壇を前にして右には先生、左には来賓が座っていた 体育館の目の前で待機している俺達はアナウンスによりA組から入場だった 全クラスの生徒が席につくと、ありがたい話が続き、眠気が襲う なんとなく左の方を向くと桜の姿があった やっぱり真面目だからちゃんと静聴していた そして、皆が待ち望んでいたクラスの担任が発表される 桜のクラス
は英語の女性教師で、俺のクラスは筋骨隆々の体育教師だった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/19
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:23:59.07 ID:Twdko/5W0 教室に戻り、担任の挨拶、そして土日を挟んで次の月曜日から二泊三日の研修旅行の説明が行われた 龍鳳高校ではこの研修は恒例で、どういう学校でどういう部活があるのか、 そして、どのような授業が行われるかなどといったオリエンテーションを主として行われるものだ その日すべてが終わり、教室から出るが、母親はもういない でも、これが俺の家庭では普通だった E組の前に行くと、桜の母親がいた 中学の時、桜の家に遊びに行ったときに会っているので面
識があった 若いし、仕事上見た目は派手なのですぐに分かる 俺「桜のお母さん」 桜母「あ、翔君。元気にしてた?」 俺「元気ですよ!」 桜母「桜追いかけて入学してくるとか、やるー」 俺「もう、からかわないでください」 桜母「これからも桜と仲良くしてやってね」 俺「はい」 桜の母親は笑いながら、俺に別れを告げて、帰っていった 桜には会わなくてもいいのかと疑問に思ったが、それを口に出すことはしなかった 桜が教室から出てきたので、そのまま一緒に学校を後にした http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/20
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:25:46.60 ID:Twdko/5W0 月曜日 俺達新入生一同は研修へと向かった 泊まるのは他の高校もよく利用する閉校となった研修専用の宿泊施設 主にオリエンテーションは体育館で行われ、その後は遊ぶだけで、夜に軽く授業があるだけだった 部屋は出席番号で区切られていて、同じ部屋になった人と親睦を深める もちろん男女の部屋の行き来は禁止で、階を挟んで分けられていた なので、桜と話せたのはオリエンテーションの合間だけだった 俺「桜」 桜「あ、翔。どう?楽しい?新しい友達出来
た?」 俺「楽しいし、友達も出来たよ。桜は?」 桜「めちゃくちゃ楽しい。友達もたくさん出来たし」 俺「E組はなんか良いメンバー揃ってるよな。個性派もいれば、美男美女もいるし」 桜「美女はあたしでしょ?」 俺「自分で言うなよ」 桜「いいでしょー」 俺達の下に、裕也が来る 俺「おう、裕也」 裕「どもども。てか、ここでクラス委員とも決めるらしいぞ」 俺「マジか」 裕「翔は学級委員長やる?」 俺「立候補はしようと思う」 裕「マジか。そういう仕切り役だったの?」 俺「小中ではね」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/
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22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:27:24.74 ID:Twdko/5W0 ここで、裕也が桜に挨拶をした 裕「はじめまして、俺裕也って言います」 桜「あ、桜です。はじめまして」 裕「クラスは?」 桜「Eですよ」 裕「Eか!覚えたぞ」 俺「何興奮してるんだよ」 三人で話し終わった後、裕也に聞かれて当然のこと聞かれる 裕「桜ちゃんと翔はどういう関係なの?」 俺「付き合ってるよ」 裕「マジかよ。羨ましいわ…。普通にめっちゃ可愛いのな…。奪っていい?」 俺「ダメです」 そして夜 各クラスが別々の部屋で、話し合いが行
われた 自己アピールやクラス委員を決める時間だ 俺は高い身長をネタにしてみたが、いまいちだった その後の委員決めは結局、委員長に立候補したのは俺だけで、その時はいい反応を貰えた こういう所は父親に似ているかと思うと、すこし気が悪かった どうしても父親の良いところを見つけようとしても荒ばかりが目につく だから、考えるのをずっとやめていたが、この時不意に考えてしまった こうして、長いようで短かった研修は終わり、来週から平常授業が始まった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/22
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:28:13.09 ID:Twdko/5W0 5月になると、桜は予言通り見事に花を咲かせ、美しく、風にのって舞い散っていた それを桜と二人でゆっくりと眺めながら登下校していたんだ 夏になれば虫が出てきて、暑くなればなるほど蝉はうるさく鳴く 桜と二人でいった海で、水平線に沈んでいく太陽を眺めながら、浜風に当たっていた そして、夏休みに入ると裕也と桜の友達を含めた4人でキャンプを行った 必ず焼く側と食べる側に分かれるバーベキュー それが終わってからの花火は皆がはしゃいでいて、こ
の時、裕也の今までにないくらいの楽しそうな顔をみた いつもどこかお茶らけていて、お調子者の裕也だが、情に厚い最高の親友だった 寝むれずに川のそばで座っていると、テントから桜が出てきて俺の隣に腰を下ろした 桜「寝れないの?」 俺「ああ。熱帯夜で眠れたものじゃないよ」 桜「でも、ここら辺は比較的涼しいじゃない?」 俺「比較的にな。どちらにしろ俺には絶対的に暑い」 桜は俺の肩に寄り掛かる それを抱きしめる俺 しばらくお互いに黙ったまま、川の流れる音を聞いていた その後に二人でした線香花火は今年の夏の終わりを告げているよう
だった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/23
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:29:21.46 ID:Twdko/5W0 二学期の秋 秋と言えば文化祭 その文化祭で裕也に桜をボーカルとして、一緒に有志でバンドを組まないかと話を持ちかけられた 俺は休み時間の間に桜を呼びだして全てを話すと、やってみたいと意欲を見せたので、そのことを裕也に報告 ボーカル桜、ギター裕也、ベースはG組の男子で、ドラムは俺 曲は桜が好きだったJUDY AND MARYの『Over Drive』を演奏することに決まった 少ない練習でやれることはやり、万全とはいかないないものの、それなりの形にしあげて
俺達は体育館の舞台に立った 舞台上を強く照りつける灼熱のライトが温度を異常に上げていた 演奏が始まり、今までにみたことがないくらい全力で、そして、大声で桜は歌っていた 終わると、みんなで手を取り合い、上にあげ、観衆からは温かい喝采が送られた 文化祭が終わると、みんなで打ち上げに行き、バンドは有志限定だったので解散となった 大きなイベントが終わり、気付けば紅葉していた葉は落ち、裸になる木々 それは冬の到来の知らせ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/24
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:29:57.51 ID:Twdko/5W0 気温も氷点下となり、雪が降っていた12月24日 この日は桜と6時からデートだった 俺はこの日の為に貯めていた貯金を下ろし、予め頼んでおいた商品を受け取るために6時になる1時間前にジュエリーショップへと向かった そこで商品を受け取り、待ち合わせ場所に直行する 到着すると、すでに桜が待っていた 俺「あれ?今日は早いね。6時前なのに」 桜「いつも待たせているから、早めにきたの。今日はどこ連れて行ってくれるのかな?」 俺「ついてくれば分かるさ
」 桜「じゃあ、手繋ごうよ。寒い」 俺「良いよ」 俺は冷たくなっていた桜の手を温めるようにやさしく握り、とある洋食屋に向かった その洋食屋は人気があまりない通りの一画に位置していた 味や雰囲気は評判がよく、オシャレで、小さい時に一度だけ訪れたことがあった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/25
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:30:25.14 ID:Twdko/5W0 俺「はい。到着」 桜「ここ?」 俺「そう。初めてだろ?来るの」 桜「うん。でも名前だけは聞いたことあるかな。有名だよね」 俺「らしいね。おいしいからさ」 桜「じゃあ、中に入ろう」 俺「うん」 中に入ると、クリスマスイヴなのか男女の二人組が目立っていた 若い女性のウェイトレスが出てきて、席に案内してくれた 厨房には店長の思われる白髭を生やした恰幅のいい中年が立っていた メニューを開いて、互いに食べたいものを頼んだ もちろんこの日は特別
な日だから、すべて俺の奢り 料理が運ばれ、たまに窓辺を見ながら楽しい時はすぐに過ぎて行った 食事を終え、桜を送り届けるために電車に乗る 駅について、家に向かって歩きだしてから少し経って、俺は道中で桜を呼び止めた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/26
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:31:45.40 ID:Twdko/5W0 俺「桜」 桜「うん?どうしたの?翔」 俺「渡したいものがあるんだよ」 桜「渡したいもの?何?」 俺は紙袋からリングの入った黒い箱を取り出して、桜に渡した 桜はゆっくりと蓋をあけて、中身を確認する すると、すぐに驚きの表情に変わった 桜「え?これ何?」 俺「シルバーリングだけど」 桜「これ高かったんじゃないの?」 俺「いや。それにもう一個あるんだよね」 俺はもうひとつの箱を取って開けて見せた 桜「同じものが入っている。ペアーリング…
?」 俺「ああ」 俺が買ったものは二つのリングがクロスしたデザインで、交差するリングは二人の想いという意味が込められているもの 内側にはお互いの名前が彫られている 桜「ありがとう…。ものすごく嬉しいよ…」 俺「もう付き合って3年以上経つからな。そろそろ形として表すのもいいかなって」 桜「そうだね。どうしよう…。嬉しいよ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/27
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:32:46.48 ID:Twdko/5W0 俺は桜の持っている箱を取り、中からリングを出した 俺「左手出して」 桜「はめてくれるの?」 俺「ああ」 俺は白く細い薬指にそれをはめた 桜「次あたし」 桜も同様に俺の左手の薬指にそれをはめた 俺「なんか変に満足してしまった」 桜「はは。新婚さんですね」 俺「そうだな。俺はまだ年齢的に結婚できないけど」 桜「現実的だなー。いいじゃん。もう結婚したことにしちゃおう」 俺「わかったよ。お嫁さん」 お互いにはめたリングの上に雪が落ちてき
ては、溶けて消えて行く 俺と桜は頭の上に積もる雪も気にすることなく、再び手をつないで歩きだした クリスマスがすぎれば正月があっという間に来て、そして、学校が始まる 裕也とも冬休みには遊びにいったりしたが、なんせ距離があるため、なかなか会う機会がなかった 3月下旬までの2カ月もいつもと変わらず、平和に学校生活を過ごしていった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/28
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:33:27.06 ID:Twdko/5W0 4月 俺も桜も裕也も、なんの問題もなく、進級して2年生になった しかし、5月の初めにそれは突如としてやってきた 〜二人を繋ぐもの〜 『完』 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/29
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:34:33.82 ID:Twdko/5W0 〜夜の涙〜 2年になり、文系と理系でクラスが分かれた 事前に1年の終わりに自分で希望を出して、クラス分けされるのだ AからDまでが文系クラスで、残りのEからHが理系クラスとなった 俺は理系でF、桜は文系でB、裕也も俺と同じく理系だった だが、理科の選択が違った為、裕也はEでクラスが分かれてしまった 授業が始まると、1年とは違い、進むスピードも速くなり、それなりに要領よく勉強を 進めることが要求された 1年次の成績はそこそこで、下げないよう
に縋りついていたが、2年になってからはすこし自信を喪失していた そんな中、桜は要領がいい そこが俺とは違う そして、5月の初め それは忘れることが出来ない、特別な金曜日のことだった 放課後いつものように桜とともに帰宅していると、いつもに増して真剣な顔の桜 桜「ねえ、今日このままうちに真っ直ぐきてくれないかな」 俺「え?別に構わないけど、大丈夫?お母さんは?」 桜「今日は早くから仕事でいないの。だから大丈夫。気にしないで」 俺「そうか。わかった。なら行こう」 桜のこの時の顔の陰には、哀しさが見え隠れしていた 桜も去年同
様、綺麗に咲き、風が吹いては舞い散り、この年の桜は儚さ故の美しさを強く感じさせた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/30
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:35:14.97 ID:Twdko/5W0 家に着くと、いつも右手にある桜の自室に通られるのだが、今日はいきなり居間に通された 沢山の段ボールが積まれていて、家には大きな家具以外何もなかった 俺「引っ越しでもするの?」 桜「うん!お母さんが良い物件見つけたらしくて、そこに引っ越すの」 俺「そうなんだ」 これを嘘と見抜けなかった俺は馬鹿としか言いようがなかった 桜「ねえ、晩御飯つくるんだけど、カレー食べない?」 俺「え?作ってくれるの?」 桜「うん。初手料理を翔に振舞おう
と思って」 桜は無垢な子どもの様な笑顔を浮かべていた 俺も自然とつられて顔が緩んでしまう 俺「じゃあ作ってもらおうかな」 桜「任せて!じゃあジャガイモの皮剥くの一緒にやろう!」 俺「俺も?」 桜「一緒にやったら楽しいじゃない」 俺「だな」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/31
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:38:52.50 ID:Twdko/5W0 俺は久しぶりに台所に立った 肩を並べて、話をしながら皮を剥いていく 初めてする桜との料理は予想以上に楽しかった 日も落ち始めた頃にカレーが完成して、居間に水と共に運んだ 味は桜がちゃんと味見しながら作ったから、安心だ ただ俺が切った人参だけが、ゴロっとしていて大きく、それをスプーンで掬い、見て笑う 桜「これ大き過ぎだよ、翔」 俺「はは、男の料理って感じがしていいじゃない」 桜「でも、これは固そう」 俺「食べてみればわかるさ。大丈夫
だと思うよ」 桜が一口食べると、口を押さえた 桜「人参固いし、生っぽいよ」 俺「え?」 桜「もう。まあ二人で作ったものだし、おいしいってことにしてやろうじゃないか」 俺「ありがたきお言葉」 桜「いえいえ」 食べ終わると、アイスが二本あり、それを桜が持ってきて、食後の口直しとして食べた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/32
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:39:26.97 ID:Twdko/5W0 日もすっかり暮れて、外は暗くなり、街灯がすでに点灯していて、その明りが歩く人々を照らしていた 夜空には満月が綺麗に顔を出していた それを見ていると、後ろから桜が抱きついてくる 桜「ねえ、何を見ているの?」 俺「満月」 桜「どれどれ」 桜は背伸びして、俺の肩に顔を乗せ、空を見上げた 桜「あ、本当だ…」 何故か言葉の語尾が弱弱しく聞こえた 俺「どうした?」 桜「ううん…。ねえ、部屋行こう?」 俺「ああ」 http://ex14.vip2ch.com/tes
t/read.cgi/news4ssnip/1366991652/33
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:40:49.50 ID:Twdko/5W0 桜の部屋に移動し、俺はベッドに腰を下ろした 桜も俺と向かい合うように、椅子に座る 俺がなんとなく桜の顔を見ると、また下校する時に見せた真剣な顔で俺を見つめていた 見つめる桜の目にはすこしずつ涙が溜まっていく 俺「どうした?桜」 しかし、桜はなにも言わない 俺「おい、どうしたんだよ。本当に?」 そして、零れおちる涙 俺が涙を拭こうと、その場に立とうとすると、いきなり抱きついてきた 俺の腕の中で啜り泣く桜の声が静かな部屋の中に響く
俺「桜…。なんかあったのか?」 桜「…ううん」 俺は何も言わず、強く抱きしめながら背中を擦った 嗚咽を漏らす桜 しばらくして落ち着くと、顔を上げて、そのまま何も言わずキスをしてきた 受け入れるように、俺も目を瞑り、唇を重ねる 優しく頭を撫でると、下に桜の涙が落ちた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/34
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:41:54.67 ID:Twdko/5W0 桜「ねえ」 俺「うん?」 桜「しよう?」 俺「え?」 俺は一瞬耳を疑う 俺「しようって、キスのこと?」 桜「ううん。違うよ」 俺「違うって。まさかあれ?」 桜「そう。それ」 桜は俺をベッドに押し倒して、今までないくらい、強く抱きしめてきた その後、お互いに初夜を迎え、これでもかというくらい深く愛し合った すでに終電が近い時間となり、俺は制服に着替えた ずっと一緒に居たかったのだが、桜が駄目と言うので帰ることにしたのだ 玄関に向い、
靴を履く 俺「じゃあ、おやすみ」 桜「うん。おやすみ。バイバイ、翔」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/35
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:45:48.82 ID:Twdko/5W0 ゴールデンウィークが明けた日 桜とは何故かずっと連絡がつかず、結局一人で登校することとなった ホームルームが始まり、一時間目の授業が始まった それが終わると、眠気に襲われ、机に突っ伏した すると、裕也が俺の下に血相を変えてやってきた 俺「どうした?そんな顔して」 裕「桜ちゃんが学校やめたらしい…」 俺は裕也が何を言っているのか理解できないでいた 俺「え?何言ってんだよお前」 裕「だから、桜ちゃんが学校やめたの!B組の奴から聞い
たんだよ」 俺はB組の友人に本当かどうか聞くと、どうやら事実で、俺は頭が真っ白になった 教室に戻り、俺は鞄を持って鉄砲玉のように学校から飛び出した 全速力で道を駆け抜け、電車に乗り、桜の家に行くが、すでにもぬけの殻だった 俺はその現実を認めたくなくて、近くにある繁華街やその付近の住宅地などを夜になるまで探し回るが桜はいなかった 俺は不安と焦燥感に襲われ、気が狂いそうだった その後、探し回る日々が続くが、見つけることは出来なかった 数週間後、俺はもう肉体も精神に疲弊していて、探す気力もなくなっていた もう頭では分
かっていたんだ 桜は俺の前から消えたんだって… どこか遠くに行ってしまったんだって… 桜を失ったことが現実であると認識した日の夜は、愛し合った時の桜のように大粒の涙を流した あの日、桜はすべてに悔いを残さないよう俺の全てを抱きしめて、そして、全てを消した 桜の最後に見せた涙は別れの涙だったのだ 〜涙の夜〜 『完』 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/36
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [] 2013/04/27(土) 01:47:31.08 ID:Twdko/5W0 ここで〈第一章〉終わりです 次から〈第二章〉を書けます 稚拙な文ではありますが、よろしくお願いします では、おやすみなさい http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/37
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 2013/04/27(土) 06:56:35.13 ID:3wfj38Uho 深夜にも同じ奴立てた? http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366991652/38
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