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「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/
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131: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水) 23:28:34.93 ID:n2E8HxpX0 【僕は小説が書けない 第八話「猫股亭奇譚/肆」】 「いいいいいいいいいいやああああああああああなあああああああああああのおおおおおおおおおおおおおおお! っもううううなんでええええええいきなりいいいいいいいいいいきられるのおおおおお!」 女は飽きもせずに泣きわめきながらも再生を続けている。 「やかましい!」 ジルりんはそれに劣らぬ速度で切断と解体を繰り返しているが明らかに疲れが見えている。 彼女の戦闘スタイル的に長期戦は向いてないのだろう。 しかもあの再生には僕の血肉が使われている。 僕の身体に刺さった牙さえ抜ければまた形勢は変わるのだが……少し試してみたが僕自身の手では抜けないらしい。 刺さり方は浅いのに妙だ。 恐らく何がしかの都市伝説的な力が働いているのだろう。 ならば取る手段は限られている。 「ジル! この牙を“抉れ”!」 「分かった!」 ジルは僕の言葉を聞くと躊躇わずにナイフで僕の肉ごと牙を抉り取る。 すると一瞬だけ再生が停止する。 振り返ったジルりんが喜悦をにじませた声で叫ぶ。 「これで終わりだ!」 彼女の振り下ろすナイフが確かに女の胸を裂く。 だが女は表情を変えずに自らの胸を裂いた相手を眺めることもせず 「あー……すっきりした」 とだけ呟いた。 そして次の瞬間、部屋中に大量の蝙蝠が溢れ、わけも分からぬままに僕は失神した。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/131
132: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水) 23:29:05.71 ID:n2E8HxpX0 ※ ※ ※ 今朝からの重金属酸性雨に濡れる町並みを見て青年はため息をつく。 ここはネオサイタマにあるマルノウチスゴイタカイビルのチャミセであり、青年は今此処でサイレントヒルから直輸入されたマッティーをシバイていた。 彼は窓の外を忙しく行き交うサラリマンを見て苦々しく笑う。 いくらカチグミだとしてもあんな情けない人々が自分の将来の姿だと思いたくなかった。 「ヒキ=クン! 待たせてゴメンネ!」 青年、ネオサイタマハイスクールに通うヒキ=コモゴモはガールフレンドのジル=キャニと待ち合わせをしていた。 彼の恋人であるジルは快活な少女で、どちらかと言えば斜に構えがちなヒキとは様々な面で対照的だった。 だが周囲の予想を裏切り彼らの仲は上手く行っており、付き合い始めてから今日で丁度一年となるのだ。 「イマキタバカリさ」 イマキタバカリとは待ち合わせで先に来ていた人間が使うこの国特有の表現である。 これにより彼らは相手に気を遣わせない言葉の使い方をヘイアンペリオッドから練り上げているのだ。 ジルは海外から来た転校生であったがヒキのこのようなオクユカしいアティチュードに惹かれていた。 「それなら良かったデス!」 彼女は待たせてしまったことを察してはいたがそれを態度には出さない。 それは逆に相手の心遣いを無下にすることになりスゴイシツレイになるからだ。 「それで今日は一体何の用だい?」 代わりに彼女は服のポケットから映画のチケットを取り出す。 それはヒキの大好きな映画【ラブクラフトvsエイリアン】だった。 「上の階のシネマ・コンプレックスで今やっているそうです 一緒に見に行きませんか?」 「それは素敵ですね。その後はスシ=レストランに行きましょう 僕の父の友人が経営しているんだ」 ヒキは優しいほほえみを浮かべて彼女を見つめる。 彼女もまたヒキを見つめる。 幸福なアトモスフィアが彼らを包んでいた。 ※ ※ ※ 「って、なんだこれ! なんだったんだこれ!」 僕は目を覚ます。 気を失っていたのは分かる。 だが何だ今のサイバーパンクめいた謎の夢。 ジッサイ意味不明だ。 しかも恋人がジルりんだとなんかこう……恥ずかしい。 「うわっ、いきなり大声ださないでよ!」 目覚めると同時に怒られる。 驚くべきことに声の主は先程の吸血鬼だ。 「アッハイ」 適当に返事しながら周りを見回す。 気絶したジルりんがなんか可愛い服を着せられて鎖でグルグル巻にされている。 俺も手足を皮のベルトで縛られて動けなくなっている。 僕のジュラルミンケースは幸い近くに置いてある。 このベルトの拘束さえ解けば取りにいける。 しかも幸いなことに僕は服の中にナイフを仕込んでいる。 この程度のベルトを外すなんて容易なことだ。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/132
133: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水) 23:29:45.77 ID:n2E8HxpX0 「まあ良いわ。これで起こす手間が省けた」 やはりローブを脱いでいると美人だ。 魂を腐らせる美貌。 凍りつくような瞳。 緋色の唇。 好みじゃねえけど美人だ。 「貴方に聞きたいことが有るの」 「( ´Д`)なにか?」 耳元を何かが高速で駆け抜ける。 いつの間にか女の手には革の鞭が握られていた。 「ねえ僕、立派な傷跡がほっぺにあるけど逆のほっぺにもつけてほしくない?」 「失礼、そちらの頬は恋人の為にキープしてあるものでね」 とまあ僕のセリフが言い終わるか否かのところで腹にパンチをされる。 割りと痛いのだが余裕ぶって見せ……られる訳もなく、ゴホッとか言って顔をしかめる僕。 「まあ恋人って右手のことですけどね、ハハッ」 「うっざいわ……ね!」 もう一発腹パン頂きました。 「おいあんた、人間相手なんだぞ加減しろ加減」 「ごめんなさい、なんか無性に腹立ってつい……」 「まあ我々のような人間にはご褒美ですけどね」 思い切りいい音がしてもう片方のほっぺを鞭で叩かれる。 皮が裂けて肉がえぐれて血が流れる。 僕はそれを他人ごとのように感じている。 僕の意識は逆転の糸口を探っていた。 彼女はそれを指で掬い取って少し舐める。 「んー……美味しい」 このまま童貞奪ってくれねえかな。 もう人外でも良いよ穴さえ有れば。 「お姉さん、それで僕から聞きたいことってなんですか 僕は幽霊屋敷を調べてくれってこの屋敷の権利者に頼まれてきただけですよ 僕は何一つ悪いことしてませんよ」 「違うわよ。そうだとしても普通の人間にこの家の鍵は突破できない筈なのよ…… 少なくとも今朝の段階ではたどり着くことさえ本来できなかったの なのに此処へ来たってことはあなた達は何者かの協力を受けている それを話せばあなた達を帰してあげても良い」 目星ロール。 そこら辺の棚から都市伝説の気配。 聞き耳ロール。 ジルりんの呼吸音が変化している。 動こうと思えば動ける可能性が高い。 だがこれについては気づかれている可能性も高い。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/133
134: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水) 23:30:24.93 ID:n2E8HxpX0 「……それはつまり、僕とそこで縛られている彼女は見逃してくれると」 ジルりんじゃあこの女を殺しきれるか分からない。 「ええ、まあ我慢してあげる そこの女の子は私好みだからこのまま少し弱らせてから楽しみたいところだったんだけど 貴方が正直に洗いざらい話してくれるならここから返してあげても良いわ」 「僕達はほんとうに偶然来ただけですよ?」 「正直は美徳だと思うわよ?」 「……解りましたよ」 少し勝負に出ますか。 「じゃあ今からそいつが来るそうです」 「嘘ね、それならもうとっくに助けに来てるわ あなた達は見捨てられていると考えてるんだけど」 それは即ち喋るだけ喋らせて殺すつもりだと言ってるようなものだ。 「――――それはどうでしょう?」 僕は服に仕込んでいたナイフを都市伝説の気配がする棚へ投げ捨てる。 偶然にも棚の瓶が割れて中から幽霊のような物がふわりと飛び出すがこれはどうでもいい。 こうなれば少しマシ程度の違いだ。 「は?」 一見意味不明な行為だ。 僕も正直適当にやっただけだ。 僕は吸血鬼の女の背後を見て笑う。 こっちが僕の狙いだ。 「しまっ―――――――――!」 女は背後を見やる。 “居るはずのない”救援を警戒して。 そして彼女はジルの存在を意識から外す。 「うおおおおおおお!!」 ジルもまた即座に自らを縛る鎖を切り裂く。 彼女の身体のあちこちが粒子化し始めている。 かなりの無茶をしているのだろう。 彼女はそのままこちらに飛び込みながら僕の拘束も外す。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/134
135: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水) 23:31:11.02 ID:n2E8HxpX0 「悲喜!」 「ああ!」 二人の声が重なる。 考えていることは多分同じだ。 「「お試し期間は終了だ!」」 瞬時に契約成立、僕の心の力が一気に彼女へと流れこむ。 それと同時に彼女の力の一部が僕のモノへと変化する。 脳内に浮かび上がるいくつかの情報。 ▽データが公開されました 都市伝説名:切り裂きジャック 契約効果:限定解除 契約者への恩恵:消体無名(アナザー・ジャック・ザ・リパー) →この都市伝説と契約した場合、互いが互いの姿に変身できます →ただしどちらも同じ姿で居ることはできません →意識は保たれますが戦闘能力は外見に依存します ???:????????????? ???:????????????? →??????????????????????? →????????????????????? →????????????? ノイズが多いが気にしてられない。 これが僕達に残された最後の武器だ。 「小賢しい真似を!」 先程と同じように女は自らの身体を大量の蝙蝠に変化させる。 だが今回は囲まれた所で意識を失いはしない。 「えっ?」 戸惑う女の声。 最初から僕達が契約してたと思っていたらしい。 ならば隙はそこにある。 ジルが切り開いた道を駆け、僕はジュラルミンケースを取り返す。 中に入っていた光線銃を乱射して蝙蝠を焼き払う。 「こっちだ悲喜!」 ジルに言われるがまま屋根裏へと走る。 僕は彼女と部屋に滑りこんで部屋の鍵を閉める。 蝙蝠の姿から戻るのには時間がかかるらしく女はまだ来ない。 「良いか悲喜、お前が起きる前に私が手に入れた情報をお前に伝える あいつは只の吸血鬼じゃない」 只の吸血鬼じゃない? それは一体どういう…… 「あーもういいや、面倒くさい。手加減無しね」 ひどくなげやりな声が扉の向こうから響く。 寒気が走る。膨大な殺気が破裂したのが素人の僕にでも解った。 「不味い、逃げ――――」 扉が砕けて漆黒の影が僕の隣を通り過ぎる。 そしてジルが居た筈の場所がまるっと抉れていた。 ▽切り裂きジャックがロストしました http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/135
136: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水) 23:31:37.21 ID:n2E8HxpX0 こうなって初めて攻撃を仕掛けられたことを理解した。 でもそれだけじゃない。 肩口から火を注がれたような激痛が走る。 耐え切れずに僕はその場に倒れてしまう。 左腕がグチャグチャになってしまっている。 その左腕で持っていたジュラルミンケースもこれでパァだ。 終わった。 こうなってしまって何ができる。 これから始まるのは一方的な蹂躙だ。 たとえ帰ってこれても日常はもう二度と帰ってこない。 面白くもなんともない幕切れである。 親愛なる弟に少々申し訳ないのだが僕はどうやら死ぬらしい。 まあ男同士だ細かいことは言うな、許せ。 それにしても人ならざる者に触れてしまって調子に乗った男の愚かな末路って意味では悪くない筋書きだ。 僕の書く小説もだいたいこんなくだらないオチで終わるものばかりなのだ。 「あっ……」 攻撃の衝撃で床が崩落する。 こんな幽霊屋敷、良く考えれば構造がもろくなっていて当然だ。 無数の瓦礫とともに僕はその破壊の渦の中に飲み込まれていった。 この高さから落ちれば無事では済むまい。 こんな時にでも、死にたくないと願ってしまう僕は醜い生き物なのだろうか。 正直なところなんでもいいから助けてくれ、そう思う自分に自己嫌悪を禁じ得ない。 ※ ※ ※ 崩落に巻き込まれて僕はなお意識を保っていた。 この屋敷にあった地下室の瓦礫の中に落ちたせいで落下の衝撃を和らげていたらしい。 いっそ死んだほうが楽だったというのに。 遠くから足音が近づいてくる。 ジルりんには済まないことをしたものだ。 僕なんかとつるんだせいでこんな目に遭うなんてあの娘も哀れだった。 彼女には幸せに生きて欲しかった。 自分の目で、耳で、頭で、何が善で何が悪か、判断して生きていく姿を見たかった。 僕はきっと彼女が好きだった。 そっと傍に寄り添いたかったのに、そんなことも素直に言えなかった。 「おーい、生きてる? 生きてるならもう少しお姉さんと遊んでもらおうかなあ 女の子をあれだけ泣かせたんだもんそれくらいのワガママには付き合ってもらわないと」 あいつはきっと生まれたばかりだったのに。 本当にあっけなく、虫けらみたいに死んでしまった。 「……心臓の音、かな。悪運が強いねえ。殺すには惜しいし、これは尚の事遊んでおきたいなあ」 なんでだ。 僕のせいだ。 僕が馬鹿な事を言ってないでちゃんと彼女の言うとおりに戦う準備を、契約をしておけば。 僕は近づいてきた吸血鬼の女に胸ぐらを掴まれる。 そして彼女の瞳が僕の瞳を覗き込もうとしたその時、女の身体が揺れて彼女はその場に崩れ落ちた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/136
137: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水) 23:33:58.50 ID:n2E8HxpX0 「う……そ?」 長くて美しい足が、黒いパンツを遠慮無く見せびらかしながら女を蹴り飛ばす。 見覚えのあるその姿を見て、僕は身体の何処にこんな力があったのかと思う程の声を上げる。 「ジルりん!」 「ただいま」 ▽契約回路再度開通、データが公開されました ▽???によるブーストで契約回路が活性化しています 都市伝説名:切り裂きジャック 契約効果:限定解除 恩恵:消体無名(アナザー・ジャック・ザ・リパー) →この都市伝説と契約した場合、互いが互いの姿に変身できます →ただしどちらも同じ姿で居ることはできません →意識は保たれますが戦闘能力は外見に依存します 性質:水属性、都市伝説種、強化系 契約活性:霧都の怪異 →心の力を膨大に流しこむことで大量の霧を発生させます、霧の中ではナイフによる攻撃が強化されます →霧の中からの脱出及び霧の中への侵入には探知系の能力を必要とします →太陽光の量によって心の力の消費量は変わります そこに居たのはジルだった。 「それにしても悲喜、ピンチっぽいな」 女は僕の腕を見ている。 そこで僕は初めて気づいた。 僕の左腕が毛むくじゃらの猿の腕に変わっていることに。 そこで僕は気づいた。 都市伝説同士は惹かれ合う。 それは一度都市伝説に出会った人間もまた同じこと。 ならばジルと過ごしていた僕が都市伝説と惹かれ合いやすくなるのもまた理というものだ。 さらにここは元々旧家、それならば“猿の手”くらいのマジックアイテムは有っておかしくない。 ▽データが更新されました ▽猿の手の残り使用回数一回 ▽最後の願いを入力してください http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/137
138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/03/06(水) 23:38:41.26 ID:n2E8HxpX0 というわけで第八話 前回のあらすじを忘れてたので今 ・謎の館に怯える悲喜、呑気なジルりん! ・現れた怪しげな女に斬りかかるジルりん!→ゲーム中盤でラスボスと思しきものに当てずっぽうで斬りかかっちゃいけません ・しかし切りかかった相手は吸血鬼で悲喜は一瞬でやられてしまう→謎の女吸血鬼が若干柱の男っぽい だいたいこんなんです ジルりんの霧は身体能力強化に回したエネルギーの余剰を排気ガスとして出しているのが霧になっているイメージ 太陽光でエネルギーは分解しちゃいます http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/138
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