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「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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994: コドクノオリ「孤独の檻」 [sage] 2013/10/28(月) 18:10:46.74 ID:GWgB8pC0o 自分の体がある、という感覚すら曖昧なまま、久信は粘性の水の中を漂っているような感覚をおぼろげに得ていた。 意識はかろうじて、湧き出した蠱毒の毒によって今のような状態に追い込まれてしまったということを覚えている。 ……くそ、毒そのものよりも、この纏わりついてくる呪いが邪魔くさい。 ともすると、ものを考えることすらできなくなりそうな異常な不快感が体にまとわりついて離れない。 蠱毒は新たに放り込まれた蠱毒の礎を逃さないように、次々と体に腕や蛇が絡みついては爪や牙を突き立てるように久信の中に侵入してくる。 久信が思っていた以上に、蠱毒の呪詛が強力に久信を侵しているのを感じる。 蠱毒の本質が毒ではなく、呪詛にあるということを身をもって思い知らされる気分で、 自分の意識を蠱毒に塗りつぶされるのを防ぐために、ひたすら思考を回転させる。 纏わりついてくる腕や蛇は時間が経つごとに増加していき、久信にはもう自分が立っているはずの地面や手に持っているはずの壺の感触すらもなくなってしまった。 五感はほとんどが使い物にならなくなっており、何とか死守していた自分の内側に対する感覚も怪しくなってくる。 徐々に茫洋としてくる意識は、何故自分がわざわざ蠱毒の澱を体内に入れてまで力を欲するのかを考える。 ……俺は、なんでこんなにしてまでこの毒を、力を欲しがったんだっけ……? そもそも、久信が力を欲したのは、力によって周囲から孤立してしまった姉を独りにしないため――彼女を捕える力という名の孤独の檻へと一緒に入るためだった。 既に持ってしまっている力はどうしようもない。だから、同じだけの力を持って、姉と同じ所に行けるようになろうとしたのだ。 そして、久信は力を欲し、自身の力を磨き、それでも届くことのない姉の力に焦り、挙句勝てる見込みもなさそうな相手にも立ち向かった。 地力が違うのだということを郭から身をもって教えられた久信は、自分が持つ力の底上げをしようとして、今はこうして毒と喰らい合いをしている。 ここで毒を喰らってその毒を自分の力の足しにすることができれば、修実と離れることもなくて済むのだ。 だから久信はこの毒の力を身に着けることだけに全力を傾け、成功すれば、彼の望むものが手に入る。 この方法だけが、彼の悲願を叶える唯一の―― ……いや、違う。 全ての感覚が曖昧になった中、自分自身を見つめてひたすら思考を回転させることによって自分自身をかろうじて保っていた久信は、 自問をひたすら深め、初めてこれまでたどり着いたことのない疑問にたどり着いた。 ……ああ、そうだ。俺にとって、力は手段であって、目的じゃ、ない。 それは決まり切っていた思考の順路に初めて疑問点を付けた。そんな瞬間だった。 久信にとって最大の目的は最愛の人と一緒に居ること、ただそれだけだ。 彼は修実とずっと一緒に居たかったのだ。彼女が離れて行こうとするどの時も。 そしてその目的は久信に力さえあれば叶えられるような、そんな目的だったから、 だから隣にいることができるだけの、孤独の檻に入ることができるだけの力を欲した。 力、というのは目的を達成するために絶対に必要なものではない。修実を追う立場にあった久信にはその事が見えなくなっていた。 ……修実姉は、ずっと別の方法で一緒に居られるようにしていてくれたのに。 修実は溢れる力を完全に支配下に置くという手段で人の間に居られるように行動していたのに、そのことすら見えなくなっていたのだ。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/994
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