[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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986: コドクノオリ「壺中天」 2013/10/27(日)01:27 ID:69WSsOAlo(3/7) AAS
 ……これは瘴気か。
 蠱毒の壺の中なのだ。中の空気が瘴気に染まっていてもなんの不思議もない。
 全ての生き物にとって有毒であるはずの空気の中で呼吸していても久信自身に瘴気に中てられている感じがしないのは、
久信が蠱毒の毒気に対する耐性を得たから、というわけではないだろう。久信もそこまで楽観視はしていない。
 ……この空気の中で特に害を感じていないということは、たぶん、俺自身が蠱毒になりかけているってことだろうな。
 修実と向き合い、彼女の体から溢れる瘴気を体に受けたため、肉体はすでに蠱毒に冒されている。
精神のほうも蠱毒の瘴気に飲み込まれしてまうのは時間の問題だ。
「あんまりのんびりしている暇はないな」
 蠱毒に飲み込まれてしまったら、修実と一緒に人の間で暮らすことはできなくなってしまう。
 久信は蛇を生み出して周囲に侍らせる。
 こうして蛇神憑きとしての能力を精神だけ引っ張られてきているような状況でも扱えるということは、この能力は血だけではなく、
その血が流れる久信の精神とも結びついているということだろう。都市伝説が結ぶ契約というのは精神――魂で結ぶものなのかもしれない。
 ……だとしたら、この蠱毒は町の生き物の恨みの魂と結びついてるってことになるのか。
 修実の体を異形化している蠱毒は、この町の住人や都市伝説を糧にして形成された。
 彼らの魂の記憶を材料にして作られたものがあの町を模したこの空間だとしたら、ここは肉体が滅びた後の残骸によって作られた毒の坩堝であり――
「そしてコドクに放り込まれて死ぬに[ピーーー]ない亡者が仲間を引き込もうとしている巣穴でもあるってわけだ」
 呟く久信の周りには、いくつもの人の残骸の姿があった。
 久信は先ほど入ろうとしていたビルから出てきた、一番近くにいる亡者を見た。
 死に際がそのような状況だったのか、体がただれている人間が足を引きづりながら、虚ろな目で歩いて来る。
それと同じような状態になっている亡者が周囲の建物から次々と這い出してくる。まともな人間の形を保っているものはどこにも居ない。
皆、どこかに欠損やあるいは増殖を抱えた異様な体をしている。
「蠱毒の中で生存競争に負けるとこうなるってことだな」
 久信は生み出しておいた蛇を手近の一体に集らせた。
 機械的な動きで久信に向かって手を振り上げていた亡者は十匹からなる蛇に集られ、地面に引き倒された。
 もがくように手足を動かす亡者の首に蛇の一匹が絡みつき、そのまま絞め殺しにかかる。
 亡者は苦しむような素振りで首に指を突き立てて蛇を払おうとして、それが成功する前に虚ろな目を澱ませて事切れた。
「生きた人間を模したおかげか、元々人間を材料に使ってるからか……ともかく、絞め[ピーーー]という方法が有効なのは助かるな」
 周囲に放った蛇が次々に亡者へと集る。
 幾匹かは毒の牙を突き立てているが、それによって亡者の動きが止まる気配はない。
どうやら蠱毒の中では蛇の毒などは大した効き目をもたないらしい。
 周囲からは、蠱毒の中に放り込また異物に気付いたのか、追加で次々と亡者が現れる。
 蛇が次々と放たれていくが、亡者には恐怖心というものが存在しないのか、歩みを止める気配を見せずに久信に向かって突き進んで来る。
このままでは久信は数に押されて亡者の波に飲み込まれてしまうだろう。
 ここからどう動いたものだろうかと考える久信の傍らで、変化が起こった。
 最初に倒した亡者が徐々に赤い光に包まれて分解されていくのだ。
 十秒ほどで完全に分解された亡者は、赤錆色の砂塵のようになって、空に飛んでいった。
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