[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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985: コドクノオリ「壺中天」 2013/10/27(日)01:26 ID:69WSsOAlo(2/7) AAS
 意識が一瞬の暗転から覚めた時、久信は町のど真ん中に立っていた。
「……雨も止んでる……修実姉? 昌夫?」
 近くに居たはずの姉と友人の名を呼んでみるが、二人とも近くには居ないようで、返事の声は来ない。
 ……ああくそ。ってかここどこだよ?
 人造の建造物がほとんどなくなっていた、先程までの場所とは明らかに違う。
大都市とまではいえないが、人が生活するための施設を集めた、地方都市の中心部のような場所であるということが分かる。
 ただ、違和感があるとしたら、これだけ町の施設を集めているにもかかわらず、肝心の人間の気配が周りからは一切しないということ。
そしてもう一つ、景色が、まるでそういう色の霧でも出ているかのように、赤錆色に染まっているということだ。
 赤錆色の町を改めて眺め、久信は首を傾げた。
 ……どこかで見たことがある?
 その景色はなんとなく既視感を感じるようなものだった。とはいっても、似たような景色はどこの地方都市でも見ることができる。
どこかの町の風景と目の前の景色の記憶が混同してしまっているのだろうと自分の中で結論し、
久信は手近なところから自分が今いる場所について情報を収集しようと、目の前のビルに入ろうとした。
その過程で、自分の体の感覚が先程までと大きく違うことに気付く。
 ……お、体が軽い。
 目が覚めてからずっと久信の体にこびりついていた、瘴気に中てられた後遺症の、あの引きずるような体の重さがなくなっている。
 よく確認してみれば、雨が止んでいるだけではなく、その雨で濡れていたはずの久信自身も全く濡れていない。
 周囲の状況ががらりと変化したことや、自分の体が先程までの所々疲労していた状態から普段の状態にまで戻っていることを受けて、
久信は自分が今、どのような状態にあるのか当たりを付けた。
「そうか、一瞬気を失ったと思った瞬間に精神の方だけこの異界に引きずり込まれたんだな。
精神だけ移動したから、肉体的な疲れは全部消えたってところか……精神だけでこんなところまで引きずりこまれたってことは、
実際の俺の体の方は……たぶんもう蠱毒の瘴気で瀕死にまで追い込まれてるってとこだろうな」
 で、あるならば、久信が居るこの異界は蠱毒という都市伝説そのものの中。ということになる。
 そう考えると、この空間も、蠱毒とその宿主である修実の精神を媒介にして形作られたものであると予想できる。
 久信はそこまで考えて、先程この町を見た時に感じた既視感の正体に気付いた。
「そうか、この町は……」
 この赤錆色の町は、修実を探しに訪れた時に見た、結界に包まれて蠱毒が生まれて、
それらの結果として荒廃した町を荒廃する以前に戻したような光景なのだ。
 ここは、修実が滅ぼした町の再現だった。
 ならば、この町を覆っている赤い霧のようなものの正体も察しがつく。
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