[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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959: コドクノオリ「寝起きの真実」 2013/10/14(月)23:17 ID:5rYxM7zno(4/6) AAS
「は?」
 返された質問に怪訝な顔をしながら久信は正直に答えた。
「いや、いまいち分からない。さっき、そっちの医者は俺が毒にやられた。みたいなことを言ってたけど、俺はいつの間に郭に毒を盛られたのか覚えがないんだ」
 怪しいとしたら、彼が持っていたあの手斧だ。刃に毒を塗ってあったのではないかと考えるが、その斧の攻撃は全て修実が盾になって受けていたため、これが原因で毒を盛られたということはありえない。
 だとしたら、次に怪しいものは、
「そうだな。心当たりといえば、毒をあの結界の中に撒かれていたのかもしれないなってことくらいか」
 郭が展開していたかごめかごめの結界の中に充満していたあの甘ったるい、香のようなもの。あの香の中に紛れて、あるいはあの香自体が毒だったのかもしれない。
 能力の行使のし過ぎで体力が尽きてしまったために、毒が一気に体に回ってしまったのではないか。実際、体力を削られすぎたせいで現在も体が引きずるように重い。
「どう? 正解?」
 訊ねると、昌夫は「いいや」と首を横に振った。
「お前、瘴気に中てられたんだよ」
「瘴気?」
「ああ、修実さんの中から溢れた毒に、だ」
「――え?」
 頭が、真っ白になった。
「どういうことだ? 瘴気はもう修実姉が収めたはずだぞ?」
 昌夫に詰め寄ると、医者が横から久信を落ち着けるためにか、ゆっくりとした、落ち着いた口調で話す。
「君のお姉さん、だったかな? 彼女は強力な毒を持っている。
おそらくは君の方がより詳しいのだろうが、呪詛、という毒だよ。そして、弟の君にまで被害が及んでいるということは、
どうやら君のお姉さんはその毒を自分の思う通りに制御できていないとみて、まず間違いないだろう。
 制御の利かない毒は君が言った通り、収められはしたようだけれど、結局のところ、一度は毒は漏れ出していた。
それは収められたからといって何もなかった事にできる類の事象ではない。そして、その溢れた毒はしっかりと影響を周囲に与えていた。
今回の場合は、お姉さんの近くに居たという君と、君や昌夫君が捕まえたという郭正吾という男。
それと、あの場においてお姉さんに敵意を向けられていた、密輸船に乗っていた船員たち。これら全員が瘴気に中てられておったよ」
「……抑えきれない……毒……?」
 真っ白になった頭の中で、その言葉が頭の中で引っかかった。
 そのキーワードで想起されるのは、修実の中にある都市伝説のことだ。
「……毒って、修実姉の中の蠱毒のことか?」
「ああ、お前が倒れた時、修実さんがものすごく取り乱していてな。
どうも、修実さんは自分の中にある抑えきれない毒についてはある程度気付いていたみたいだ。
だからこそ、ずっとダルマ女のような状態でいたらしいな。全部、修実さん本人が話してくれたよ」
 あの場で倒れた後、事の顛末を見た昌夫が言うには、姦姦蛇螺としての正体を現した修実から漏れ出ていた瘴気は、
修実が抱いた敵意に反応してある程度の指向性をもって周囲に広がったらしい。
「指向性はあったとはいえ、まず瘴気が襲い掛かったのは近くに居た生き物だな。お前、蛇がほどんど死んでいたのには気づいたか?」
「そういえば、郭と戦ってる時、蛇の気配が周りから消えてたな……」
 戦闘に集中していて蛇のことが意識から外れていたせいで蛇たちの気配を感じなかったわけではないらしい。
 壊滅した町の中で修実を見つけてお互いを認識できた時あの姦姦蛇螺の状態からすぐに両手足を失った姿になって、
久信に自分の体を運んで欲しいと彼女が頼んできたことを思い出す。
 姦姦蛇螺の姿はどうしても目立つのと、蠱毒の内で行ったことを喧伝しているかのようなこの姿をあまり晒したくないからと修実は説明していたが、
それ以外にも、制御の利かない蠱毒の瘴気の件が理由としてあったのだろう。
 修実は蠱毒と契約しているわけではない。誰も意図しないままに生まれた毒を暴走させないように修実が自分の身の内に収めて抑え込んでいただけだ。
そうやって何とか抑え込んでいた毒を、修実はあのクラブ跡に侵入した時に久信や自身を守るために開放することになってしまった。
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