[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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957: コドクノオリ「寝起きの真実」 2013/10/14(月)23:15 ID:5rYxM7zno(2/6) AAS
どこかで誰かが泣く声が聞こえた。
その声は、ただただ、何度もごめんねと謝り続けている。
久信は、その声を知っていた。その声の主がいつだって独りで泣いていたこともだ。
その人が他人に自分が開いている姿を見せることがなくても、彼女はずっと泣いていたということを、久信は知っていた。
……泣かないで。
そう思うことも、もう何度もしていた。
ただそう思うだけでは無意味で、言葉にすればするほど、
彼女は完璧な微笑を身に付けてしまって久信にもやがてその真偽を見抜くのが難しくなってしまったから、いつしかそれを口にすることをやめていた。
ただ、泣かないでと、泣かせたくないと、泣かせなくても済むようにしたいと、そう思うことはずっとずっとやめることはなかった。
そして、それを実現するために努力を重ねてきた。
だが、そうやって一つ一つ出来ることを増やしていくうちに、その人もまた、出来ることが増えていく。
一向に近付くことのない背中。
近付くどころか、時間が経つごとに遠く離れて行ってしまうとすら感じていたその背中を、
それでも追うことを諦めきれず、久信はその人に追いつくための努力を続けた。
優しいあの人が壊れてしまう前に、その隣に居て、涙を拭って止めることができる家族になれればいいと、そう思った。
@
目を覚ました久信は、仰向けの姿勢のまま、白い天井で煌々と輝く蛍光灯の光をぼやけた視界でしばし見つめた。
後をひくような、ねっとりとした疲れを感じる。その不快感に眉をしかめながら、久信は体を起こした。胸の辺りに走る痛みに小さく呻く。
「ここは……?」
「おはようさん」
声に続いて椅子を動かす音がした。
ぼうっと前方を眺めていた視線を音がした方に動かすと、そこには一仕事してきた後なのか、
薄汚れた白いシャツを着た、短髪の、久信と同じ年のはずなのに妙に老け込んで見える男、昌夫がいた。
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