[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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953: コドクノオリ「姦姦蛇螺」 2013/10/10(木)23:20 ID:35Ch0SGzo(7/8) AAS
 ダルマのようだった時とのギャップが純粋に衝撃だ。
今の状態の方が、ダルマの時よりも、より人間らしい恰好と言えなくもない辺りもまた、出来の悪いジョークのようでもある。
「なあ、なんでずっとその姿で行動しなかったんだ? 修実さんも自分の意思で動ける分、そっちの方が何かと便利じゃないか?」
 確かに高圧的な姿をしているので。この姿の修実が敵意を持っているのを見たら化け物の来襲に見えなくもないだろう。
普段から今の姿をオープンにするわけにもいかないだろうが、修実は、昌夫が知る限り、壊滅した町からここまで、一度も今の姿をとったことはない。
 今の姿をとるためには、何かの条件が必要なのか、あるいは、ただ単に目立ちすぎるのを避けようとしたのだろうか。
 修実の姦姦蛇螺状態がどのような経過を経て存在しているのかをしらない昌夫の純粋な疑問の言葉を切るように、久信が早口に言った。
「それよりも、早いところこの男をしかるべきところに連れて行って洗いざらい吐いてもらおう……。それまで安心はできない」
「おっと、そうだな。とは言ってもこいつが捕まればもうお前たちは隠れる必要もなくなるからな。
これで少しは楽な生活が送れるようになるだろう。完全に容疑が晴れるまでは俺が直接身柄を預かるように計らっておく」
「ああ……よろしく……」
 応じる久信は疲れ顔だ。戦いの怪我以外にも、ここ数週間の心労が一気に出てきたのだろうか。
時間が経つごとに目に見えて久信の疲労の度合いは強くなっているようにも見える。
「おい、俺の息のかかった医者がもうすぐ来る。それまで寝るな。……おい、聞こえてるか?」
「久くん……?」
 昌夫と修実の言葉にもあまり反応を示さなくなった久信は、苦しそうに数回呼吸をした後、
「任せた」
 小さく言って、ほっとしたように息を長く吐いた。
 今にも眠りに落ちてしまいそうな久信に、昌夫は言い聞かせるように言葉をかける。
「おい、お前はよくやったよ。だからもう少しがんばれ」
「俺は……結局何もできなかった……でも、これで、追われることもなく、修実姉と、一緒に帰れる」
「そうよ久くん。一緒に帰りましょう」
「うん……」
 久信は修実の手に触れた。
「一緒に帰りたいな……」
 そう呟いた久信は、糸が切れた人形のようにその場に倒れてしまった。
「おい、久?」
 慌てて久信の体を抱き上げた昌夫は、久信の体がありえない程に冷たくなっていることに初めて気付いた。
「おい?! 久、お前どうした?!」
 呼びかける昌夫の横で、うめき声があがった。
「あ……あ……ッ」
「修実さん?!」
 何事かと慌てる昌夫の傍で、修実は取り乱した上ずった声で言う。
「ど、どうしよう……私の……私のせいだ。ああ、どうしよう。私の、私の、わたしのせいだ……!」
 呻きながら、修実は久信に取りすがる。
「久くん? 久くん!? ねえ、久くん、起きてよ、ねえ?!」
 危うく震える声で何度も呼びかけられるが、久信は反応する気配を見せない。
 かろうじて息をしている、というのは分かる状態で、昌夫は医者の早い到着を祈りながら、半ば茫然と、友人姉弟を眺めていた。
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