[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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950: コドクノオリ「姦姦蛇螺」 2013/10/10(木)23:17 ID:35Ch0SGzo(4/8) AAS
 ならば、郭に今こうして対峙する修実は、郭が偶然にも作り上げた呪術の被害者たちの恨みそのものでもある。
 恨みの対象である郭は、修実から逃げる算段をつけようとするように、視線をあちらこちらにさ迷わせている。
 対する修実は郭を見据えたまま、目線を動かす気配がない。
 無慈悲ともいえる表情を浮かべる修実の姿は、久信も間近でまじまじと見るのは初めてだった。
 以前この姿になった吉井を見たのは、姉が居た町へ彼女の安否を確認に居た時だった。
 封印を破壊したばかりで意識も朧だった彼女。
久信はこの状態の姉を、姉と認識するところから始まって、修実が落ち着いて意思の疎通ができるようになり、
怨念によって膨れ上がった彼女の力を抑えこむために修実の中に根付いた新たな力を極力封印し、
蠱毒の影響で生成された手足も全て封じてダルマ状態になってもらうまでの間、一連の綱渡りのような事態がせわしなく続いたせいで、じっくりと彼女の姿を眺める余裕はなかった。
 月光の下、改めて見る修実の姿は、美しかった。
 長い髪が足代わりの蛇身と人の体の継ぎ目でさらさらと揺れて、六本の腕が、いずれも劣らぬたおやかさと、相手を逃す隙の無い力強さで郭を締め上げる。
「郭さん。私と、久くんの濡れ衣を晴らすために、捕まえさせていただきます」
 自分たちの目的を突き付ける修実の体からは、周囲に向けて重苦しい瘴気が放出されている。
 蠱毒の中を満たしていた、町一つを滅ぼした毒の発現だ。
「……くっ、!」
 先程まで優位に立っていた郭が、蛇ににらまれた蛙のように為す術もない状態だ。
あとは捕まるだけに見えた郭だが、彼は止めず、今一度起死回生を狙ってか、唄を口ずさみ始めた。
「かごめ かごめ 」
「無駄です」
 周囲を包もうとする結界を、もはや視線一つで打ち砕いて、修実は蛇身で都市伝説の体を絡め取った。
 六つの腕で郭の東部を包み込むように締め上げて、指で喉を押えこむ修実に、郭が必死に声を絞り出す。
「ば、化け物……!」
「幼い頃からずっとあの町に居たのに、ご存じなかったのですか?
 私は、ずっとそうでしたよ」
 隻眼を見開いて叫ぶ郭へ、無理のない笑みで修実は言う。
「町の皆の仕打ちを非難なんてできませんね。今では逆に私があの人たちを皆殺しにしてしまったのですから。
そう、きっと、あの事件に関わった人は、誰にも誰かを非難することはできないのでしょう。
皆が被害者であり、そして、本人が意識しているのかしていないのかに関係なく、皆が加害者でもあるのですから。
当然主犯である貴方には、全うすべき責任があると、私は思いますよ?」
 それなりの数はいたであろう、子供や、町の実態を知らなかった人間を無視した暴論を告げ、修実は軽く身じろぎした。
 蛇身の下から骨が砕ける乾いた音がする。その音を背景に、彼女は続ける。
「そう、ですから。その残りの目も抉り出してしまいましょうか」
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