[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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861: コドクノオリ「説教受けるよ! 犬に」 2013/09/12(木)02:21 ID:9Hv9BnD2o(3/7) AAS
 犬はビニール袋の中で蠢いている蛇をしばらく眺めた後、妙に慣れた仕草の溜息と共に言った。
「そうしてくれ こちらも びこうを けいかいして いぬ しか つかえん」
 つまり本心では自分でこっちまで出向いてきて文句の一つでも言ってやりたいといった気分なのだろう。
その場でしばらく唸っていた犬は、やがてやけに人間くさい動きでやれやれというように首を左右に振った。
「あせる きもちも わかる が このまちでは けいさつより ほかの そしき の ほうが ちからが ある わすれないで くれよ」
「この町の異常さは身に染みたよ」
「ならいい」
 これまでも二人に振り回されることが多かった昌夫は、最後には諦めたように嘆息すると、久信たちが隠れている部屋の前に行った。
 ドアのノブにはスーパーのビニール袋がかけられている。それを鼻先で示して犬は言う。
「ひと が おおくて まるで せんそう じょうたい だった すーぱーから そうざい かって きた
 さすがに かっぷらーめん だけというのは あわれでな」
「おお! 助かる! マジで!」
 久信は力強く感謝の言葉を口にする。帰りに食べ物を買い忘れたのは、食べ物を余らせる結果にならなくて済んだということになる。
 これで今晩の夕食に彩りが得られた。
 上機嫌になった久信は、犬の頭を撫でてやりながら、
「じゃあこっちは飯の礼にこの犬には手厚いもてなしをしてやろう」
 鍵を開けて室内に犬を案内すると、犬は「よろしくたのむ」と言って、部屋の中に入った。
「おお――と言っても、逃亡生活中の身では今日の晩ご飯のおこぼれをやるくらいしかできないけどな」
「本当ならそのワンちゃん、一度綺麗に洗ってブラシをかけてあげたいんだけど」
 修実が呟く。
 犬はたしかに野良犬のように薄汚れてはいるが、これは昌夫が密偵役としてこの犬を放ったがための、
計算された汚れだろう。わざと汚して町の中に溶け込んでいる彼を洗うわけにもいかない。
「まだ仕事中だもんね」
「そういうことだ」
 残念そうに言う修実に言葉を返して、犬は部屋の中に入った。
「では おれは しごと に もどるから こいつを ねぎらって やってくれ いいか がいしゅつは つつしめよ じゃあな」
 最後に念を押して、犬の向こうに居た昌夫は席を立ったようだ。
「了解」
 苦笑しながら、久信は犬を追って部屋の中へ入る。
「また心配かけちゃったね」
「なんでか、いつもこうなっちゃうんだよな」
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