[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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(1): ゲーム王国編 第七話◆yeTK1cdmjo 2013/06/19(水)00:55 ID:J1f0R2CBo(4/6) AAS
「バキュラか……」
「ご名答」

 かつてのシューティングゲームで敵キャラとして登場する『バキュラは256発撃ち込むと撃破できる』と噂が流れた。
 縦回転を繰り返し直進する敵キャラはどう足掻いても破壊不可能ではあるのだが、二百五十五発を越える二百五十六発目を撃ち込めば破壊できるとの噂である。
 当時発刊されていた雑誌にも記載されていたために全国的に広まり、挑戦する者が後を絶たなかった。
 公式で否定されるのみならず、インターネット上に実際に挑戦した人々の動画も数多く出回り、実際に不可能との認識は広まってはいるのだが、ゲーム系の都市伝説として広く流布している。
 二百五十六発撃ち込むと撃破できるとは、二百五十五発撃ち込まれても大丈夫ということ。

「前は出して飛ばすだけだった。でも、君の制約を知ったおかげで様々なバリエーションを生み出すことができた」

 合わさっていた掌が離れるにつれ、バキュラも大きくなり回転も激しさを増す。
 肩幅よりも広く開かれた掌の中で回転するそれは、錨野が軽く押し出すと回転をしながら宙に浮いた。

「大きさも自由自在。こんな風に連続で出すことも」

 ぱん、と掌を閉じて軽く開くと大きさの異なるバキュラが最初に出されたものと同じように宙に浮かび、その回転が止まることはない。
 錨野が手を叩くたびに次々にバキュラが形成されていく。
 数はわずか十前後だが、ひとつひとつの大きさが大きく、江良井の姿がほぼ隠れてしまう。

「勿論、射出も速度も自由自在さ!」

 くるくると回転しつつ高速で飛来するバキュラに、江良井はわずかに後方に下がり、助走をつけて走り出す。
 バキュラと地面のわずかな隙間を滑り込むように疾走。

「甘い!」

 その程度のことは当たり前とでもいうように、江良井の疾走にあわせてバキュラを隙間に飛ばす。

「――メラ」

 指先から放たれた火炎の弾丸がバキュラに命中するも飛散する。
 その都市伝説通りだとすると、二百五十六発を撃ち込まねば砕くことはできない。
 新作が出るたびに増える呪文や特技。全てのシリーズを紐解いても二百五十六発を打ち出す特技は存在しない。

「何だ?」

 錨野の位置からは無数のバキュラに隠れてしまい見えないが、江良井の放った火炎の弾丸がバキュラに当たり飛散したことは江良井の唱えた呪文とわずかに散った炎とバキュラに当たった衝撃音で想像がつく。
 だが、一度撃たれて散った炎はすぐに消える。音も一度きりのはずだ。
 それがどうして二度も三度も――否、それ以上に聞こえてくる?
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