[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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(1): ゲーム王国編 第七話◆yeTK1cdmjo 2013/06/19(水)00:53 ID:J1f0R2CBo(2/6) AAS
 始まりは早かった。
 全くの偶然。たまたま出会った江良井と錨野。
 顔を合わせた瞬間に、それが当たり前であり至極当然ともいうように、お互いに場所も時間も指定したわけでもなく――始まった。
 走り出したのは両者とも同じタイミング。
 勢いを殺さずにそのままぶつかりあう両者。
 二度、三度、四度。肉が肉を打つ音が聞こえ、五度目の音が鳴ってからようやく距離を取るふたり。

「さすが江良井くんだ。あの頃よりも強い」
「……お前もな」
「やれること考えられること全てやった結果さ。『ゲーム脳』奪還に敗れたままで終わるのを由とするほど諦めがいいわけではない。
 いつか、君に会うため、君と戦うため、君を[ピーーー]ため、君を見下ろすため、君に勝つために鍛えたのさ」
「俺ごときのためによくもそこまで無駄な労力をかけることだ」
「君だからこそ、ぼくがこれだけの労力をかけるのさ」

 離れた距離を一足でゼロにし、打ち込む掌底。
 反射的に出した手から伝わる衝撃を感じるや否や衝撃が向かう方向へと身体を流す。
 掌底のダメージは逃がした。だが、わずかに遅れて放たれていた蹴りが錨野の右肩を強く打った。
 賞賛すべきはあえて遅らせた攻撃を放った江良井ではなく、攻撃を受けても眉ひとつ動かさずに反撃を試みた錨野の方であろう。今の江良井の攻撃を食らえば下手な都市伝説であれば再起不能になっていたはずだ。
 都市伝説の力で強化された江良井同様、錨野もまた都市伝説の力で何らかの強化をされているのだろうか。

「〈地獄の帝王〉は呼ばないのかい?」
「お前の敵は俺だ。奴の力を借りる必要はない」
「へえ、ぼくはてっきり呼べないのかと思ってたよ。
 呼べば呼ぶほど寿命を縮める都市伝説――君が己に課した制約は都市伝説の力を十全に使うためではなく、君への身体の負担を減らすためのものだろう?」
「……」
「君の心の器――常人よりも少ないからこそ、常人よりも小さいからこそ、制約を課しているんだろう? 都市伝説に飲まれないために」

 数多の拳を放ち、防ぎながら錨野は笑う。
 江良井は何も答えない。

「あの当時、君の制約は拡大解釈をするために必要なのかと思っていた。雁字搦めに縛りつけ、より強固な力を出せるようにとね。
 君を知る多くの人間は〈組織〉の連中も含めてそう思ってるはずだ。でもね、制約をつけることで契約者の負担も減ることを知ったのさ。
 ぼくの都市伝説の場合はそれほどでもないが、君のような次々と新作が出る類のゲーム系都市伝説なら常に最新版も取り入れなければならないだろう?」
「取り入れる必要はないがな」
「だが君は取り入れている。常に最新版にバージョンアップしている。ナンバリング、外伝問わずに新作が出る度に、だ。
 常人なら、もしくはぼくらなら平気かもしれない。制約をつけざるを得ないにしろ、そこまで強固な――死を絡めるような制約は必要ではないのかもしれない。
 この『学校町』には多重契約者がごまんといるそうだ。彼らなら余裕だろう。何事もなく、君のようにひとつの都市伝説で多くの能力が使えるだろう。
 生命力や寿命を削らずに、心の器にヒビひとつ入れることすらなく、特化した能力をね」
「……」
「さて、君はどうだい? エスタークの契約者、江良井卓くん。エスタークを呼び出す度に君の寿命は――生命は、削られていってるんじゃないのか?」
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