[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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(1): 機械仕掛けのルルル 第四話 1/3 [sage saga] 2013/06/19(水)00:14 ID:MVgIRfta0(2/6) AAS
「じゃあ母さん、今日は帰るから」

「身体に気をつけるんだよ、お茶買いすぎちゃってたから持って行って」

「じゃあ一本もらおうかな。身体には気をつけるよ、来週また来るよ」

病室の白いドアを締める。
茜さす廊下をゆっくりと歩いて行く。
病院の外に出ると、通りすがりの子供が目の前で転んだ。
助け起こして傷口を貰ったペットボトルのお茶で洗って、それから手を当てる。
怪我した部分の周りの細胞を素材にして、とりあえず傷口を塞ぐ生体絆創膏を錬成する。
人体は有機物質の集合体に過ぎないのだからこの程度は簡単だ。
こうしておけば通常より早く、また安全に自己再生が起きる。

「大丈夫か?」

頭に手を当てて能力を使う。
人体の機能の一部も利用してエンドルフィンの合成を加速させる。

「…………うん」

子供は自分の身体に起こっていることが理解できずに曖昧に頷く。

「たっくん!」

遅れて母親が駆けてくる。

「たっくん大丈夫だった? 申し訳ありませんうちの子が迷惑を……」

「いえいえ、怪我も浅そうで何よりです
 たっくんって言うのかい? お母さんにあんまり心配かけちゃ駄目だぞ」

「はぁい……」

俺はその場をそそくさと立ち去る。

「あ、待って下さい!」

後ろから母親が俺を呼び止める。
そんな時、丁度良く目の前に車が停まる。

「すいません、これから少し用事が有りまして」

俺はすかさずその見慣れた車に飛び乗った。
運転席にはいつもの彼女。
今日は首からおしゃれなネックレスをぶら下げている。

「病院って……身体でもわるいんですか?」

「禁煙外来に行ってるのさ」

そう言いながら煙草に火をつけようとして、やめる。
煙草の匂いが車に染み付くのはあまりよろしくないだろうから。

「……嘘つき」

「悪かったね」

「お母さんは元気でしたか」

「ああ、まあなんとかね」

「もうこんな仕事辞めたらどうです?」

「そうなると、君に会えなくなるんじゃないかな」

マキちゃんは悲しげな顔をして俺を見る。
やめてくれ、俺はただ自分の性分にあった仕事をしているだけなのに。
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