[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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146: 連載 [sage saga] 2013/03/10(日)16:04 ID:j8R5+wwy0(1/9) AAS
満月の夜
波の音だけが響き渡る人気のない埠頭に、黒尽くめの集団が現れた
彼等は寂れた倉庫へと足を踏み入れると、そこにはまた黒尽くめの男が一人、立っていた
集団の主要人物らしい男女が自らのフードを取り、前に出て男に歩み寄った
男はそれを確認すると、深々と御辞儀をして彼等を歓迎した

「「亞楼覇」の皆様ですね? お待ちしておりました」
「貴方が“売人”ね?」
「然様に御座います。真に失礼ながら、名前は伏せさせて頂きます」
「構わん。例のブツは何処だ?」
「無論、御用意させて頂いております。こちらに」

売人は何処からともなくアタッシュケースを取り出し、
それを開いてリーダー格らしき男に差し出した
男がそれを受け取り中身を見ると、表情に笑みが浮かんだ
何らかの機械のようなものが、2つ
その姿形を敢えて形容するならば、“刃の部位が無いチェーンソー”だ

「……これが……これが『エフェクター』なの?」
「御明察に御座います。御使用方法はその見た目で容易に御判断できるようになっております」
「ほう……これだけか?」
「とんでも御座いません。奥にまだ御用意させて頂いております
 御案内致しましょう、こちらへ」

天窓から差す月光しか目の頼りがない、暗黒に包まれた倉庫の奥へと、売人は手を招く
男はアタッシュケースを閉じ、女と手下を侍らせて売人について歩き始めた
その瞬間、彼等の足元に、すとん、と何かが突き刺さった
各々が下がり、手下達は男女を庇うように前へ出る
それは黒い蝙蝠の形をした物体だった
が、すぐにそれは闇に溶けるように消えていった

「その先にはもう何もない。『エフェクター』は回収させて貰った」

聞こえたのは若い声
闇の中から靴の音が響き渡る

「っ……誰? いつからいたの!?」
「お前は自分の影に同じ事が訊けるか?」

嘲るようにウヒヒと嗤う声の主は、月光の下に辿りついてようやく判明した
声の通りまだ若い、顔の右半分が髪で隠れた黒尽くめの少年だった
首に提げられた金色の木の枝のペンダントが、きらりと胸で輝いている

「ちっ、ガキか……いや、「組織」か?」
「だったらどうする?」
「分かっているだろう?……殺せ」

男の指示と共に、周りの手下数人の姿が変化する
ハイエナのような怪物となったそれは、涎を垂らして低く唸り始めた

「「グール」か…悪趣味な都市伝説だ」

少年が呟くと、「グール」達の姿が忽然と消えた
にやっ、と男が薄く笑った
直後、辺りに血飛沫が飛び散った
腹をばっさりと切り裂かれた「グール」が姿を現し、少年の周りにばたばたと倒れる
そこに立っていたのは、血に塗れた黄金の大鎌を持った少年だけだった

「っ!? 「グール」の擬態を見破ったってのか!?」
「都市伝説の力を利用する犯罪集団「亞楼覇」…
 リーダー格である生須 蹄(ナマス テイ)、及び沢 禰香(サワ デイカ)、以下数十人の組員と売人
 『エフェクター』の闇取引の容疑により、「組織」R-No.の名において拘束する」
「R-No.……『Rangers』!」
「とんだ邪魔が入ったようで……私は御暇させて頂きますよ。がっひゃっひゃ……」
「逃がすとでも思って――――」
「貴様の相手はこいつらだ」

先程の倍以上の組員が前に出、その姿が「グール」へと変化する
その中の2、3体が、先行して少年に襲い掛かった

「……俺の邪魔をするな」

鎌を下ろし、彼は右腕を伸ばし、掌を広げた
すると、彼の影から黒い塊が「グール」と同数飛び出し、蝙蝠の形に変化して、少年の右腕の周りを舞う

「『欠片蝙蝠(ブリックバット)』」

蝙蝠は忍者の投げる手裏剣の如く回転し、「グール」へと放たれる
小気味の良い音と共に突き刺さり、体液を噴き出しながら「グール」は次々と倒れていった
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