[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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132: 僕は小説が書けない第八話「猫股亭奇譚/肆」 [saga] 2013/03/06(水)23:29 ID:n2E8HxpX0(2/8) AAS
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 今朝からの重金属酸性雨に濡れる町並みを見て青年はため息をつく。
 ここはネオサイタマにあるマルノウチスゴイタカイビルのチャミセであり、青年は今此処でサイレントヒルから直輸入されたマッティーをシバイていた。
 彼は窓の外を忙しく行き交うサラリマンを見て苦々しく笑う。
 いくらカチグミだとしてもあんな情けない人々が自分の将来の姿だと思いたくなかった。

「ヒキ=クン! 待たせてゴメンネ!」

 青年、ネオサイタマハイスクールに通うヒキ=コモゴモはガールフレンドのジル=キャニと待ち合わせをしていた。
 彼の恋人であるジルは快活な少女で、どちらかと言えば斜に構えがちなヒキとは様々な面で対照的だった。
 だが周囲の予想を裏切り彼らの仲は上手く行っており、付き合い始めてから今日で丁度一年となるのだ。

「イマキタバカリさ」

 イマキタバカリとは待ち合わせで先に来ていた人間が使うこの国特有の表現である。
 これにより彼らは相手に気を遣わせない言葉の使い方をヘイアンペリオッドから練り上げているのだ。
 ジルは海外から来た転校生であったがヒキのこのようなオクユカしいアティチュードに惹かれていた。

「それなら良かったデス!」

 彼女は待たせてしまったことを察してはいたがそれを態度には出さない。
 それは逆に相手の心遣いを無下にすることになりスゴイシツレイになるからだ。

「それで今日は一体何の用だい?」

 代わりに彼女は服のポケットから映画のチケットを取り出す。
 それはヒキの大好きな映画【ラブクラフトvsエイリアン】だった。

「上の階のシネマ・コンプレックスで今やっているそうです
 一緒に見に行きませんか?」

「それは素敵ですね。その後はスシ=レストランに行きましょう
 僕の父の友人が経営しているんだ」

 ヒキは優しいほほえみを浮かべて彼女を見つめる。
 彼女もまたヒキを見つめる。
 幸福なアトモスフィアが彼らを包んでいた。

    ※    ※    ※

「って、なんだこれ! なんだったんだこれ!」

 僕は目を覚ます。
 気を失っていたのは分かる。
 だが何だ今のサイバーパンクめいた謎の夢。
 ジッサイ意味不明だ。
 しかも恋人がジルりんだとなんかこう……恥ずかしい。

「うわっ、いきなり大声ださないでよ!」

 目覚めると同時に怒られる。
 驚くべきことに声の主は先程の吸血鬼だ。

「アッハイ」

 適当に返事しながら周りを見回す。
 気絶したジルりんがなんか可愛い服を着せられて鎖でグルグル巻にされている。
 俺も手足を皮のベルトで縛られて動けなくなっている。
 僕のジュラルミンケースは幸い近くに置いてある。
 このベルトの拘束さえ解けば取りにいける。
 しかも幸いなことに僕は服の中にナイフを仕込んでいる。
 この程度のベルトを外すなんて容易なことだ。
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