[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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105(1): 僕は小説が書けない第五話「猫股亭奇譚/序」 [saga] 2013/02/25(月)21:25 ID:bsqlir0a0(7/9) AAS
僕は車のトランクに詰めていたジュラルミンケースを手に取る。
この中には光線銃やスタンガン、特殊警棒が入ってたりする。
厨二真っ盛りの頃に通販で買って改造してそのまま趣味になってしまったのだ。
僕は助手席側のドアを開けてジルりんについてくるように促した。
「猫股邸、それはこの街では有名な幽霊屋敷だ」
開けっ放しの大きな門を通りぬけ、誰も手入れしてない朽ちた庭園を歩きながら、僕は彼女に語る。
「この屋敷の主人、猫股冬二は大の猫好き
彼以外の家族も、唯一人の例外を除いて皆猫が好きだったそうだ
彼の家の周りには沢山の猫が住み着いて、そこの住民と仲良く暮らしていたそうだよ」
「私も……猫は嫌いじゃないな
いつもは猫くらいしか私と遊んでくれなかったし」
泣けるねえ。
「だがある日のこと、家に強盗が入ってきて彼らを皆殺しにした
死体はそれは惨たらしいものだったそうだ
警察も最初は怨恨の線で捜査したそうだが犯人の男と家族の繋がりは見つからなかった」
「犯人から何か聞き出せば良いんじゃないのか?」
「それがこの事件の奇妙なところでね
運良く帰りの遅れたその家の末っ子が他の家に助けを求めた時、男は既に白骨遺体と化していたんだ」
「……え?」
「ありえないだろう、仮に殺されていたとしても数時間で死体が白骨化するなんてありえない、あってはならない
何故犯人と思しきその男が死んだのかは不明のまま、警察も結局捜査は切り上げた」
「……それってもしかして末っ子が契約者だったとかじゃないか?
男は罪をなすりつけられるための哀れなスケープゴート
末っ子の方が実は……
なあ、悲喜。さっき言っていたネコ好き家族の例外ってまさにその末っ子だったりしないか?」
「その通り、思ったより頭が働くねえジルリン」
「ジルりんってなんだそれ」
「ジルってのだと味気ないだろう。可愛い者には可愛い呼び名が要る
君にとってのそれがジルリンだったというだけのことだ」
「可愛い……? そ、その、可愛いっていうのをやめろ! 私は怖いんだからな!」
「オーケーそれは解ってる。だがその君が恐怖を与えるべき相手は俺じゃあない
この館に巣食っているかもしれない怖い怖いお化けだ
推理ごっこは小休止、お化けの相手はお化けたる君に任せるよ」
僕はそう言って屋敷のドアに手をかける。
ノブをひねり、ドアを引く。
ガチャッ!ガチャッ!
鍵がかかっていた。
考えてみれば当然だ。
弟が知り合いから頼まれたってだけで何勇み足かましているんだ僕は。
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