[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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963: コドクノオリ「コドクノオリ」 2013/10/15(火)22:59 ID:Wy4ZVU48o(2/5) AAS
   @

 しばらくの間黙り込んで何事かを考えていた久信は、やおらベッドを降りると、医務室の扉に向かって歩き出した。
 ベッドから降りて自分の足で立ってみてようやく気付いたが、体が驚く程に重い。
瘴気自体はユニコーンの角の粉末で抜けてはいても、体の疲労が抜けているわけではないようだ。
 ふらつく体を引きずっていく久信の肩を、昌夫が掴んで止めた。
「まだ安静にしていたまえ。体中が瘴気に蝕まれていたのだぞ」
「そうだ! それに、お前、そんな体で何をしに行くつもりだ?」
 諭す医者と怒鳴る昌夫を押しのけ、久信は医務室の扉に手をかけた。
 扉を開けると、廊下に一匹の蛇がいた。
省29
964: コドクノオリ「コドクノオリ」 2013/10/15(火)23:01 ID:Wy4ZVU48o(3/5) AAS
 吹っ切れたようにそう言う。長い付き合いでもある。久信が言うようなことにはもう気付いていたのだろう。
「でもな、そんな気持ちだけで修実を追いかけても結局毒に殺されるだけだぞ? そうだろ? 爺さん」
 話を振られた医者が頷く。
「あの瘴気は呪詛と毒気の集合じゃ。
あの都市伝説自身がそれを制御しきれていないということは、近づくだけであの娘は自分の周りの全てを祟ることになる。
 封印されていた荒御魂を解放するからこうなる。触らぬ神に祟り無しというのに」
 医者は昌夫から深い事情までは知らされていないのか。修実をどこかで鎮められたいた蛇神か何かと勘違いしたような一言を付け加えた。
 昌夫が医者を手で止めて久信をうかがう。
 久信は特に気にした様子もなく、口元を緩めた。
「うん、確かに、修実姉は俺の女神だ」
省20
965: コドクノオリ「コドクノオリ」 2013/10/15(火)23:03 ID:Wy4ZVU48o(4/5) AAS
 ……結局、こういう結果になっちゃった。
 結界に閉じ込められた後、郭が張った結界を破壊して弟に再び会えた時、あの時は奇跡的に蠱毒を抑えこむことができた。
あの時、今度こそ、最愛の弟と一緒に暮らすことができるようになるのだと期待した。
しかし、期待は裏切られた。久信は修実が解放してしまった瘴気に中てられてしまって、一時は生命が危うかった。
彼が命をとりとめたのは本当によかったと、そう思う。あの場で助けてくれた昌夫には、また一つ借りができてしまった。
 ……もし何かの形で恩を返すことができれば、そうしたいのだけど。
 今生において自分が恩を返すことはできないだろうことが、修実にとっては弟のこと以外での数少ない心残りだ。
 ……あの封印から出られた時、この姿になることは二度とないって思ったんだけどな……。
 あのクラブ跡に展開された結界の中、久信が殺されるかもしれないと思った時、修実はどうしても……そう、
周りにどれほどの被害が出ることになろうとも、久信が居なくなってしまうのは嫌だと、そう思い、力を解放してしまった。
省41
966: コドクノオリ 2013/10/15(火)23:11 ID:Wy4ZVU48o(5/5) AAS
連日投下失礼します
三日休みがなかった分今休みなんだなぁ

私が自分の乙女回路をぶん回してキャラを考えるとなぜかヤンデレか依存体質に近くなる
 ゆゆしき事態だ
 こう、女性が強くて一切ぶれないような女性強権的な作品を読んで均衡をとらねば。
 ヤプーとか
967: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/16(水)22:13 ID:aIhrwHfAO携(1) AAS
コドクの人乙ですー
もげろとは言わん、幸せになれ
968: 金は天下の回りもの◆12zUSOBYLQ 2013/10/17(木)19:19 ID:TRbTS6TAO携(1) AAS
「まったく、近頃の若いもんときたら・・・」
 御年80を越える老婆、金子金子(かねこ かねこ)は不機嫌だった。
 「金子」というさして珍しくもない名字の男に嫁いだばかりに珍名になってしまい、昔はずいぶん親を恨んだものだったが、この歳になるともう気になどならない。
 黙って郵便局の自動ドアをくぐり、ATMで現金振り込みの手続きをする。
 孫が無免許運転で妊婦をはねてしまった。運悪くヤクザの情婦で、多額の治療費と慰謝料と示談金を要求された。払わなければ警察に通報すると脅されている。
 電話の向こうの声が力なく語る。金子は、
「うるさいよ」
 と一言言い捨て、電話を切るとこの郵便局にやってきた。
 金なら、ある。
 一昨年死んだ夫は事業に成功し、巨億とは呼べずとも、十分すぎるほどの遺産を遺してくれた。
省21
969
(1): ◆yeTK1cdmjo [sage saga] 2013/10/18(金)00:06 ID:kcKtveUWo(1) AAS
婆ちゃんwww
こういうの好きだわ
970
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/19(土)13:52 ID:Z9v+Ibn9o(1/6) AAS
乙です
金がどうなるか分かってても振り込むばあちゃんにちょっと切なさを感じました
971: コドクノオリ「かたわらのきみ」 2013/10/19(土)13:53 ID:Z9v+Ibn9o(2/6) AAS
 北区にある山の麓に辿り着いた修実は隠形を解いた。
 周りに人が居る気配は一切ない。
 ……あとは、この山の中に入れば、全て終わる。
 思わず、といった調子で溜息を吐いた修実は、不意に背後を振り返った。
「これは……」
 修実を振り返らせた原因は、彼女めがけて急速に近づいてくる気配だった。
 早い。
 ほぼ一直線に突き進んで来るらしいその気配は、どうやら建造物の屋根を足場として跳ね飛んできているらしい。
 未だ遠くにある気配。その気配に修実が気付ことができたのは、その気配を彼女自身が知っていたからだ。
 育てられた組織と、そのお膝元の町くらいしか世間を知らず、その狭い世間の中で築き上げた人間関係も全て壊してしまった修実だが、
省23
972: コドクノオリ「かたわらのきみ」 2013/10/19(土)13:54 ID:Z9v+Ibn9o(3/6) AAS
  @

 久信を置いてきた昌夫は、これまでよりも更に早い速度で修実との距離を詰めた。
 背に人がいたのではなかなか出すことができない、手を地面に付けて体を前に倒した獣の走法だ。
 一駆けごとに雨が盛大に跳ね、地面が確かな手ごたえを返してくる。
 一歩が百メートルを駆ける力を生み出す現在の昌夫の姿は、犬の頭部に獣の腕と脚とを持つ、まさに人狼のような代物だった。
 彼の憑き物筋としての能力。本人が犬懸りと呼んでいる状態だ。
「おい! 俺を置いて、もうお前帰っていいんだぞ!」
 遠く背後から、大声が聞こえてくる。
「病み上がりのお前じゃどうせ逃げられるだろうが!」
省30
973: コドクノオリ「かたわらのきみ」 2013/10/19(土)13:55 ID:Z9v+Ibn9o(4/6) AAS
 それに、
「修実さんも、本心では弟離れなんてする気ないくせに」
「そんなことないわよ。私は久くんのためなら、久くんから一生離れているって決めてるもの」
「それ、弟離れできてないことをカミングアウトしてるみたいなもんだろ」
「……そうね」
 困ったような笑みを浮かべて、修実はでも、と続ける。
「だからこそ、私は私の中の想いにかけてこの道を譲ることはできないわ。昌夫くん。行かせてちょうだい」
「無論、却下だ」
 昌夫は姿勢を倒して修実に向けて踏み込み、修実からの応撃がくるより早く、
一番手近にあった修実の体。その長大な蛇身を抱え上げる。
省28
974: コドクノオリ「かたわらのきみ」 2013/10/19(土)13:56 ID:Z9v+Ibn9o(5/6) AAS
   @

「そうだよ、修実姉」
 昌夫が時間を稼いでいる間に、久信は修実のもとへとたどり着いた。
 修実は今、蠱毒の瘴気が溢れることを恐れてせいいっぱい集中しているため、ろくに動くこともできない。
 修実の逃亡を防いだ上で、姉弟は向き合い、もしかしたら最後になるかもしれない会話の機会を得た。
「修実姉」
「久くん……」
 言葉が返ってくることに安堵しながら、久信は続ける。
「俺の前から消えるのか?」
省28
975: コドクノオリ 2013/10/19(土)13:59 ID:Z9v+Ibn9o(6/6) AAS
この姉弟はジェネティック・セクシャルアトラクションな感じで考えて書いています
976
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/19(土)20:58 ID:2ZGKm3XAO携(1) AAS
コドクの人乙ですー
ここからどうハッピーエンドに持って行くか期待して読んでおります
977: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/21(月)17:17 ID:k8HVbNy+o(1/5) AAS
>>976
がんばりますとも!
次スレはどのくらいでたてればいいのだろう?
1000になってから立てるのですかね?
意見を聞きたいのです
978: コドクノオリ「かたわらのあなた」 2013/10/21(月)17:20 ID:k8HVbNy+o(2/5) AAS
 さようならという修実の言葉を、久信は正面から受け止めた。
 喪ってしまうのは怖い。出来ることならば一緒に居たいと言いながら、彼女は離別の言葉を口にしている。
 周囲から言い聞かされていた昔とは違い、今回は自分の意思で発された別れのための言葉であり、
その理由は久信を殺してしまうかもしれない自分に耐え切れないというものだ。
 ……まただ。
 また、弱い者として扱われている。
 自分が修実と比較して弱いということは昌夫からも指摘されていたし、久信自身でも分かっていた。
だが、修実本人にそう指摘されたようなものである今の状況は、意外なほどに久信に衝撃を与えていた。
 久信が弱いせいで、姉弟はお互いの最愛の人と一緒にいることができず、修実の方は自分から孤独の檻の中へと閉じこもってしまう。
省21
979: コドクノオリ「かたわらのあなた」 2013/10/21(月)17:21 ID:k8HVbNy+o(3/5) AAS
 修実はゆっくりと呼吸を整えるように呼吸を繰り返しながら問う。
「何、を……?」
 久信は雨に濡れて垂れてきた修実の髪を掻き上げて、瞳を見つめて言った。
「俺がその毒を食って支配する」
 再び修実の顔に驚きの虚が浮かぶ。
今度は瘴気が漏れ出ないように早々に復帰した修実は、久信になんらかの反応を返そうとして、それよりも早く昌夫が声を荒げた。
「ば――ッ、馬鹿野郎! 方法ってのはそれか?!
 お前、瘴気に中てられただけでぶっ倒れただろうが! 毒の大元を飲んだりなんかしたら死ぬだけだぞ?!」
 久信の背後から重ねられる怒声に、修実が頷く。
省35
980: コドクノオリ「かたわらのあなた」 2013/10/21(月)17:22 ID:k8HVbNy+o(4/5) AAS
「言葉を選んでくれてありがとうね」
 修実がどうしたものかという表情で応じた。
「蛇の性だ。これで終わりにするからもう少しだけ付き合ってくれ」
 久信が臆面もなく言い切る。それを聞いた修実の表情に、ようやく笑みに近い表情が浮かんだ。
「ああもう勝手にやれ」
 渋面で言って、昌夫は山の中の手近な木の下に入った。
「でもな、お前らの監視役として言わせてもらうが、勝手に命投げ捨てんなよ? 特に久、お前だ。
どう転んだって自分は損しないからいいやなんて考えてやがったら切れるぞ」
「お、おう……」
 久信が目を逸らしつつ頷く。
省22
981: コドクノオリ [sage saga] 2013/10/21(月)17:23 ID:k8HVbNy+o(5/5) AAS
死ねるが引っかかったあああああ!
見逃してたな。ちょっとくやしい
ともあれ、そろそろ終わりも近いですね
982: 鳥居を探すの人◆12zUSOBYLQ 2013/10/21(月)22:12 ID:p36usBWAO携(1) AAS
>>969
>こういうの好きだわ
ありがとうございますー

>>970
>金がどうなるか分かってても振り込むばあちゃんにちょっと切なさを感じました
ある意味「偽者かも」と思っててもつい振り込んでしまう被害者の心理と似通っているかも知れません。実は淋しいのかもね。
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