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照「清澄にも麻雀部はあるのか・・・」【咲-saki-】 (1002レス)
照「清澄にも麻雀部はあるのか・・・」【咲-saki-】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/
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963: tell you that I love ...(8-7) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/18(月) 00:14:36.27 ID:bP+/SzDL0 「それで、どこで? どんな流れで?」 「ええ、もういいでしょ・・・」 もう顔が真っ赤になってるに違いないよ あったかいを通り越してなんだか熱いくらい・・・ でも、憧ちゃんは不服なようで 「それじゃあ参考にならないじゃない!」 「参考って、何の?」 「ふきゅ・・・べ、別に私のことじゃないわよ」 慌てる憧ちゃん・・・ んー、憧ちゃんが私たちの告白を参考にしたいの? 「じゃあ、憧ちゃんの友達ってことで、話を進めようか?」 自分でもちょっと意地の悪そうな笑顔を浮かべている自覚はあった 「あー、もういいわよ・・・。私です、私が参考にしたいんです」 観念して、憧ちゃんはため息をついた 「そうなんだ、憧ちゃんも誰かに告白したいの?」 「まあ、そうできたらいいなぁとは思ってるけど」 「しずちゃん?」 「違う違う・・・。しずに恋愛なんてそれこそ100年早いわよ」 まあ確かに、しずちゃんが恋愛してるところなんて想像できないかな・・・ 「・・・・その、今日の先鋒戦、どうだった?」 「今日の先鋒戦・・・」 対局したのは福路さん、荒川さん、そして咲ちゃん 「もしかして、咲ちゃん?」 憧ちゃんは顔を真っ赤にして、こくりと頷いた そっか、咲ちゃんかぁ 「咲ちゃんと打ってみて、びっくりしちゃった。だって、私は普通に打ってるのに、きっちり調整されちゃったんだから」 「それもあるけど、そういういうことじゃなくて」 「うん、休み時間にお話したよ。咲ちゃんは優しいから、勝つことも負けることもできなかった」 だからといっていつも±0に調整できるなんて、それはそれですごいことだけど 「でも咲ちゃん、みんなのために勝ちたいんだって言ってたから。これから勝ちたくても勝てなかったりすることもあると思うけど、憧ちゃんが支えてくれるなら、咲ちゃんはきっともっと強くなるよ」 照ちゃんでも、もしかしたら負けてしまうくらいに・・・ 憧ちゃんも頷いた 「普段は小動物みたいで全然強そうに見えないのに、いざ麻雀になったら全然別人でさ。もっと咲が強くなるってなら、それを支えてあげたいななんて思っちゃったのよね」 「うん、憧ちゃんと咲ちゃん、お似合いだと思うよ」 「でもさ・・・」 「ん、なにか問題ある?」 大きくため息をつく憧ちゃん 「問題ありよ、大アリよ。だって私のこの感情、宥姉と照さんと同じ感情だよ・・・」 「うん、別にいいんじゃない?」 「だって、咲が女の子同士OKとは限らないじゃない。なんか今日の打ち上げの時も目を合わせてくれなかったしさ」 ああ、そういうことか・・・ この学校、女の子同士って容認されてるっていうか、そういうカップルが多いからあんまり気にならなくなっちゃうけど 憧ちゃんも咲ちゃんもまだ学校に入って間もないから、そういう心配をするのも当然だった 「じゃあ、この学校の空気に咲ちゃんが染まるまで待とう」 「え、そういう対策になっちゃうの?」 何ヶ月かすれば結構染まっちゃうんだけどな、これまでの傾向からすると 「ダメかな? じゃあ、照ちゃんに咲ちゃんの様子聞いてみる?」 「あんまり露骨にならないようにしてくれるなら、そうしてくれると嬉しいけど」 「照ちゃんなら大丈夫だと思うよ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/963
964: tell you that I love ...(8-7) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/18(月) 00:29:44.73 ID:bP+/SzDL0 早速電話をしてみよう ちょっと時間がかかったけど、電話がつながる 「もしもし、照ちゃん。遅くにごめんね」 『大丈夫だよ。それで、どうかしたの?』 「私の部屋に、憧ちゃんが来てるんだけどね・・・」 『ああ、それなら私も同じ用件で電話しようと思ってたところだよ』 同じ用件・・・・ それって・・ 目の前に憧ちゃんがいるし、どこまで話していいんだろう。帰ってから電話すればよかったかな・・・ 「咲ちゃんの様子を、今度教えてほしいなって思って」 今聞くのはまずいような気がして、とりあえずほんとに探りだけいれておくようにする 『今度? ああ、別に構わないよ。こっちも、新子さんの様子も教えてほしい』 「うん、それも大丈夫」 照ちゃんも察してくれたんだろう 『まあ、あとはタイミングの問題だけだと思うけどね』 「うん、そうだね」 『じゃあ、私も咲と話をしてたところだから、今日はこのへんで』 「うん、ありがとね」 咲ちゃんも、きっと照ちゃんに同じことを相談したんだろう ふふ、なぁんだ、もう2人とも息がピッタリなんだね 「宥姉、照さん、何か言ってた?」 憧ちゃんが緊張しながら私を見てた 私は、安心させてあげられるようににっこりと微笑んだ 「大丈夫、きっと悪いようにはならないよ」 だってもう、2人の気持ちは1つになってるんだから tell you that I love ...(9)へ続く 4日目終了です なかなか時間が取れず、進みが遅いですがなんとか最後まで書き切ります! さて、これからアニメ14話を見てきます! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/964
965: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 2013/02/18(月) 00:35:04.41 ID:cXeOJP/x0 乙ー 両思いばかりじゃないか(歓喜) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/965
966: tell you that I love ...(9) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/20(水) 01:29:36.79 ID:1xlIlZ7v0 -side 洋榎- 昨日はなんやいろいろあって疲れたなぁ・・・ それに寮じゃ昨日は、宮永が松実を襲ったとかなんとかって話でもちきりやったしなぁ まあ、どこぞのカップルがーなんていつものことやけど 「お、恭子。おはようさんー」 「末原先輩、おはようございます」 「洋榎に絹ちゃん、おはよう・・・」 学校へ向かう途中で恭子を見かける 恭子はなんか知らんけど暗い面持ちで携帯を見つめていた 「どないしたん、そんな暗い顔して?」 「まだ連絡きとらへん?」 そう言ってメール画面を見せてくる 「代行からか・・・。放課後、部室に集合のこと、か」 「なんで私にメールよこして、部長の洋榎に連絡せんのや・・・」 「そりゃお前、代行に愛されとるからやろ」 「冗談は顔だけにしてください」 「おう、どういう意味やそれ?」 と軽い掛け合いをしてみるものの、恭子の表情は晴れない 「何をそんなに思いつめとるんや?」 「・・・何を言ってくるか、予想ができるんです。なのに、気持ちの整理がつかなくて」 「んー、そんなん何か言ってきてから考えたらええんとちゃう?」 予想しとっても、そんなん一言一句同じなわけないんやしな 恭子は私の顔をまじまじと見て、ため息をついた 「洋榎と違って、まず手が出るタイプやないんからな・・・」 「おう、どういう意味やそれ?」 まあ気が済むまで考えたらええけどな。それが恭子の性分なんやしな 「ほんま、お姉ちゃんと先輩は仲がええね」 「絹ちゃん、これは腐れ縁って言うんや」 「腐ってへん、ピチピチや!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/966
967: tell you that I love ...(9) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/20(水) 01:30:48.08 ID:1xlIlZ7v0 -side 咏- 昨日、すこやんが帰ってしまって・・・ えりちゃんが運転する車でいくのんを駅まで迎えに行って、学校に戻る途中 「すこやん、なんて言ってた?」 「休みの日には遊びにおいでって言うてたで〜」 ・・・まあ、それだけじゃないんだろうけどな そこから核心に触れることもなく学校に到着してしまって、解散するしかなかった ま、うじうじ考えてもしかたねーか とりあえず今日から普通に授業だし、気合入れて行きますか 「おっしー、ホームルームすんぞー」 思いっきり教室の扉を開けて、中に入る 教室の中では、照ちゃん宥ちゃんを中心に人だかりになっていた 「おう、祝勝会か何か?」 「先生来たよ、みんな散った散った」 塞ちゃんがみんなを追い払った んー、でも何があったか、気になるじゃん。私は人だかりを縫うように照ちゃんと宥ちゃんのところへ向かう 「なんかあったの?」 「2人がラブラブだよーって話をしてたんですよ」 そう答えてくれたのは、豊音ちゃんだった。まったく、天井につくんじゃないかってくらい身長があるから見上げるのが大変だっての・・・ 「そうかそうか。それはつまり、宮永宥になるってこと?」 「そうそう、結婚式には呼んでなのよー」 「否定してくれないかな、由子・・・」 「け、結婚だなんてそんな・・・」 案外ノリノリの由子ちゃんに、照ちゃんがげんなりしていた。宥ちゃんは真に受けたのかオロオロしている あー、多分こんなふうに、みんなにからかわれていたんだろうなぁ そうかそうか、照ちゃんと宥ちゃんがねぇ。なるほどなるほど、これは面白い組み合わせだわ 「まったく、イチャイチャとかよそでやってくれって感じやわ」 「ほんまやなぁ、イチャイチャしてええのはウチらだけやもんな、怜」 「もう、竜華ったら、照れるやん」 「・・・そろそろ久保っち来るぜぃ?」 一方、以前からカップルとして有名だった怜ちゃんと竜華ちゃんもイチャイチャ具合が増しているように見えた ひざまくらしているとき以外はそこまでくっついているイメージはなかったんだがなぁ・・・ まあ、これが対抗戦マジックってやつだろうか 一つのイベントを乗り越えて生まれる愛、深まる愛ってのもあるもんだ 「もうそんな時間か・・・。じゃあ怜、なんかあったら大声で呼ぶんやで」 「うん、すぐ来てな」 ふむ、怜ちゃんも素直なこって 「はいはい、みんな席につけー」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/967
968: tell you that I love ...(9) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/20(水) 01:31:57.96 ID:1xlIlZ7v0 -side 霞- 「大丈夫、小蒔ちゃん・・・」 「はい・・・・」 いつも以上にポケーっとした返事。まあ分かっていたことではあるけれど・・・・ とにもかくにも、小蒔ちゃんの手を取ってなんとか2−10の教室までたどり着いた 「小蒔ちゃん、おはよう」 「石戸さん、どないしたんですか?」 教室には松実玄さんと、荒川さんがいた 松実さんの挨拶にも、小蒔ちゃんは小さくうなづくだけだった 「ごめんなさいね。小蒔ちゃん、今日こんな感じで半日はぼーっとしていると思うから」 「はぁ、なんでまたそないなことに?」 「うーん、ちょっと無理した反動ね」 「小蒔ちゃーん、小蒔ちゃーん?」 松実さんが小蒔ちゃんの目の前で手を振って呼びかけるけど、反応は乏しい 昨日、私が裏九面を使った反動・・・。今日の小蒔ちゃんは、神様どころか小蒔ちゃん自身もいないような感じになってしまっている 「まあ、今日は移動教室ないんでええと思いますけど」 「ごめんなさいね。書道部でできだけフォローするつもりだけど」 「これ、休んだほうがいいんじゃないですか?」 松実さんがため息混じりにそう言う 私も、本来ならそうして欲しいところなのだけれど 「小蒔ちゃん、授業には出るって言って聞かないから。一応先生方には連絡しておくけれどね」 「ん、連絡なんて聞いてへんよ〜」 突然にゅっと顔を出してきたのは、赤阪先生だった 「うわっ、先生突然出てこないでよ。びっくり」 「そんな人をお化けみたいに言わんといてや〜。それで、小蒔ちゃん、どないしたの?」 「すいません、半日はこんな感じで、心ここにあらずって感じの状態なんです。それでも授業には出るんだって言うので、とりあえず教室には連れてきたんですが・・・」 「そうなんや。まあ1時間目は私の授業やからええけどな」 特に理由も聞かず、赤阪先生も小蒔ちゃんの目の前で手を振った 「あー、ほんとに反応あらへんな」 「どうしても無理でしたら私も一緒に寮に戻りますから、それまではお願いしたいんですが」 「そこまでせんでも無理やったら保健室に連れて行くから、心配せんでええよ〜」 間延びした声でにっこりと笑う まあ、お任せしても大丈夫そうかしらね 「それよりも、私は玄ちゃんに用があって早く来たんやけどな〜」 「へ、私?」 「じゃあ、よろしくお願いしますね」 松実さんと何やら話があるようなので、私はお任せすることにして教室を後にした 「まあ、正確に言うと玄ちゃんのお姉ちゃんに用があるんやけどな」 「え、おねーちゃんにですか?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/968
969: tell you that I love ...(9) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/20(水) 07:13:20.76 ID:56nf4pTu0 -side 恭子- そしてもやもやが晴れることもなく、放課後を迎えてしまった ホームルームが終わると同時に私は教室を飛び出して部室に向かった きっと、代行は・・・・ 部室に着くと、そこにはもう代行がいた 「早いね、さすが末原ちゃんや」 「・・・一番乗りかと思ったんですけどね」 「2年の教室の方が部室に近いからな〜」 「それにしては絹ちゃんや漫ちゃんの姿が見えませんが?」 代行がホームルームを早めに切り上げたとしても、担任するクラスには絹ちゃんと漫ちゃんがおる その2人と同時はあっても、早く来るというのはないはずやけど・・・ 「んー、さすがに末原ちゃんや。実はホームルームは憩ちゃんに半分丸投げした」 「仕事せぇや!」 「え〜、でも早く部室に来たかったんやもん」 まったく、子供かっ・・・ 「おー、もうおったんか、早いな」 「こんにちわなのよー」 そこに洋榎と由子が入ってきた。まだ絹ちゃんと漫ちゃんは来ない ちなみに今日来るのはこの5人だけだ。他のレギュラーはクラス対抗戦で早々に負けとるし、そこまで話を大きくしても仕方ないしな 「んー、なんで代行がおって絹たちがおらんねん?」 「荒川にホームルーム丸投げしてきたんやと」 「あー・・・。先生に代わってホームルームを回せちゃう憩ちゃんを褒めるべきなのか迷うところなのよー」 まあ確かに荒川はなんでも出来てまうやつやけど・・・ 麻雀の学年ランクだけじゃなくて、普通のテストとかでも学年1位を取ったことがあるらしいしな 「すいません、遅くなりました。漫ちゃんもすぐ来ます」 「お、絹が来たな。・・・漫も来たか」 「お疲れさまです。っていうかなんで赤阪先生が先におるんですか・・・。私らがホームルーム終わらないとどっちみち話が進まないのに」 「もっと言ったれや、漫ちゃん・・・」 「え〜、なんや・・・。気分?」 気分でホームルーム投げ出されてもなぁ・・・ まあ、とりあえず気を取り直して行こう。ここからは、きっと頭フル回転でいかなあかんやろうからな 「それで代行、今回のクラス対抗戦について。何を話してくれるんですか?」 「まあ、察しのええ末原ちゃんやったら私が言わんでも全部分かっとるんやろうけどな」 そして代行から聞いた説明は、概ね予想の範囲内だった 曰く、理事長からの通達で、代行が宮永照の連覇を妨害する責任者であったこと そして、そのために由子を3−1のオーダーから外そうとした。 さらに怜の薬の入れ替えを画策したこと。それが失敗して、絹ちゃんを無理やり病欠扱いにして漫ちゃんを出したこと 流石に責任者なんてあるとまでは思わへんかったけど・・・。でも、概ね予想のできたことだった 「で、なんで理事長は宮永照の連覇を妨害したがったんですか?」 「さあな〜、それは分からへん。ただ通達が来ただけやからな・・・」 ・・・この点で追求するのは無駄か? まあわかったところでどうなるんやって事柄やしな・・・。それよりも、もっと肝心なことがある 「結局、クラス対抗戦は宮永照が勝った。責任者たる代行の処遇はどないなるんですか?」 昨日荒川が言っていたこと・・・ 『赤阪先生、辞めへんよね?』 あの荒川の予感や、無下には出来へん。だからきっと代行は・・・ 「まあ、簡単に言うとクビやね」 「・・・あっさり言いますね」 まあ・・・・・。これも、予想通りや でも、他の4人からすればそんな予想なんてしているはずもなく http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/969
970: tell you that I love ...(9) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/20(水) 07:16:37.27 ID:56nf4pTu0 「は? 宮永が勝ったらクビってどんな学校やねん!」 「そんなのおかしいよのー・・・」 「だから、私を引っ込めたんですね。少しでも勝率を上げるために」 「なんか、私がチャンピオンに勝てんかったんが原因みたいやないですか・・・」 全員が動揺してしまう。まあ、それもそうやろうな。心の準備をしていた私でも、未だにどうしたらええんか分からへんのに 「まあ、善野先生が戻ってきたら引き継いで学校を辞めるつもり。みんなにはお世話になったな」 「それはどうにもならんのか!」 「ならへんな。仕方あらへんことや」 洋榎が激高するも、代行はいたって冷静だった。もう観念してしまったかのよう クラス編成までいじって宮永照の連覇阻止に動いとるんや。それが失敗した時の代償がそう簡単に覆るとは思えない・・・ ・・・・代行にはいびられてばかりやし 善野先生が戻ってくるんやったら、それでええやん・・・ なんて、そんな感情が浮かんできてしまう。でもそんな感情になることに罪悪感があったり・・・ なんや、自分でもよく分からん。分からへんけど、分かったところでなんかできるとも思えへんのや! 「分かった。どうにもならんこと嘆いてもしょうがあらへん。とりあえず代行」 洋榎が真剣な表情で代行を見つめた 「エクストリーム土下座や。理事長通達やかなんやか知らんけど、とりあえず対抗戦に出れんかった由子には謝れ」 「・・・・まあ、そう来ると思っとった。一応サッカー部の代行顧問やしな、郷に従うよ」 相対する代行も、真剣な表情でそう答えた。その言葉に、由子が慌てて首を振った 「そ、そんな。私はいいのよー」 「よくあらへん。出れたのに出れなくしたのは代行や。由子を出すなって通達が出てたわけやないやろう?」 「確かに、手段は私が選んどるからなぁ。反論はできへんね」 代行はさっと立ち上がると、外へ向かって歩いていく 「じゃ、行こか。土下座会場」 「・・・もう場所決まっとるんですか?」 漫ちゃんの質問に、代行は頷く 「手配済みやよ〜。ま、楽しみにしといて」 ・・・・代行、もう覚悟は固まっとるんやな なら、今更どうこう言っても仕方あらへんのやろうな・・・ -side 宥- 「これでいいの、玄ちゃん?」 「オッケーだよ、おねーちゃん。ありがとね」 「じゃあ、あとはお片づけお願いね」 「うん、おまかせあれ」 放課後、よく分からないけれど赤坂先生に頼まれたという玄ちゃんと一緒にプールまでやってきた でも、赤坂先生、どうしてこれを使いたいんだろう・・・ そう思っていると、赤坂先生とサッカー部のメンバーがやってきた 由子ちゃんもいる、ちょっと事情を聞けるかな? 「玄ちゃん、あとお姉ちゃんもありがとな」 「いえ、大丈夫です!」 「はぁ・・」 玄ちゃんは元気に返事をするけれど、意図が分からない私は生返事なってしまう 「由子ちゃん、こんなところで何をするの?」 「それが私も知らないのよー。とりあえず、ここでエクストリーム土下座をするらしいんだけど・・・」 エクストリーム土下座、か サッカー部名物の、ド派手な土下座。それで失敗も全部水に流すっていうなかなか豪快なサッカー部の伝統だよね 「代行・・・。もしかして」 「んー、まあ察しはつくと思うけど、とりあえず見届けてや」 上重さんが、軽く屈伸を始めた赤阪先生に声をかけた でも、まだ4月なのに・・・・ 「玄ちゃん、ちょっと私離れてるね」 「おねーちゃん?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/970
971: tell you that I love ...(9) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/20(水) 07:25:46.31 ID:56nf4pTu0 「じゃあ行くで!」 気合の叫声を上げ、赤阪先生はプールに向かって走り出した 「すいませんでしたーーーーー!!」 大声を上げながら、先生は体をプールに向かって投げ出した 弧の頂点に達したところで体を大きく曲げて頭を下げる 膝も曲げて、土下座のような体勢になったのは一瞬だった ザパーーン! 水しぶきが四方八方に飛び散る とりあえずすぐ離れたから濡れなくて済んだけど まだ4月なのにプールの水なんて私じゃなくてもとても冷たいはずなのに・・・ 「マジか、まだ4月やぞ!」 「え、本当に飛び込んだ・・・」 愛宕さんたちもあっけにとられていた 「あわわ、先生大丈夫ですか!!」 「っていうか無茶しすぎやないですか」 「久々にすごいエクストリーム土下座を見たのよー」 玄ちゃんは慌てふためいて、上重さんも由子ちゃんも驚きを隠せないでいた 「ぷはっ・・。寒い!!」 水面から顔を出した先生がプールサイドに戻ってくる 「・・・・それでストーブか」 「そういうことみたいだね」 末原さんだけは呆れ顔で事態を見守っていた そう、玄ちゃんが用意していほしいと言われたものは私が部室で使っているストーブだった きっと飛び込んだあとに暖をとりたかったのだろう 末原さんが足元に置かれたカバンの中から大きなタオルを取り出した 「しかもタオルに着替えまで用意してあるとか、始っから飛び込む気満々やないか・・・」 「タオルちょうだい、ストーブストーブ!!」 赤阪先生がようやくプールから外に出ると、ガタガタ震えながらタオルを羽織ってカバンを受け取り、ストーブを効かせた更衣室へ走っていった 「まったく、アホやろ・・・」 そう呟く末原さんの表情は、なぜか少しだけ嬉しそうに見えた 「代行がこんなに吹っ切れてるんやったら、こっちも吹っ切れなしゃーないな」 そして今度は意地の悪い表情を浮かべた まるで、子供が面白いイタズラでも思いついたかのようだった tell you that I love ... (Epilogue)へ続く 投下途中で回線が不調になって途切れてしまいました あとはエピを書いて、できればまとめて最後まで投下したいです なんとかこのスレで収まりそうですね・・・ 次は何書こうかなぁとかもボチボチ考えてます 結局途中までで投げてしまった劍谷編を復活させるか、あるいはまたなぜか浮かんでしまったマホ×洋榎ネタとか では、もう少しだけお付き合いください http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/971
972: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 2013/02/20(水) 09:52:01.56 ID:RP1u/0uIO 乙です! いくのんが少し気持ちを持ち直してるみたいでよかった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/972
973: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/22(金) 00:15:15.84 ID:9S+0C2nA0 -side トシ- 『赤阪先生の辞職撤回に関する嘆願書』 目の前に積まれた書類と、それを持ってきた生徒をまじまじと見比べた 生徒会長の竹井久、サッカー部部長の愛宕洋榎、そして同じくサッカー部の末原恭子 今回の嘆願書の発起人だった 「・・・よくこれだけ集めたね」 「週明けの月曜日から3日間で、全校生徒すべての署名を集めました。ご精査ください」 全員とは・・・ まったく、赤阪先生は愛されているんだねえ とりあえず最初の数枚だけ見て、一息つく。 全校生徒は約2000人。よくもまあ、これだけ集めたものだねぇ・・・・ 「分かったわ。これは私が責任をもって理事長に届けます」 「ありがとうございます」 「よろしゅう」 「よろしくお願いします」 3人がそれぞれに頭を下げた 退室を促して3人が部屋から出ていくのを見届けると、すぐに扉をノックする音がした 「どうぞ」 「失礼します。お呼びでしょうか?」 入ってきたのは、赤阪先生。表情はこわばっているように見えた 私は署名の束を軽く叩いた 「この3日間、どんな気分でこの活動を見守ってたんだい?」 「生きた心地はしなかったですね。私はもう辞める気やのに・・・。クビにされるなんて言わんと、辞めたいから辞めるって言えばよかったです」 「まあ、そのへんは手は回してあるけどね」 流石に理事長が先生をクビにしようとしているからと理由で動かれるわけにはいかないからね 今来ていた3人には、赤阪先生の自発的な辞職を思いとどまるようにという名目の署名を募るように頼んである 「ご迷惑おかけしました。それも含めて、私は辞めるべきやと思ってます」 「・・・・昨日、理事長と話をしたよ」 「私のこと、役立たずとでも言ってましたか?」 「辞職するそうだよ」 「・・・は?」 はは、予想外に射抜かれたみたいな表情をしてくれるねぇ まあ私もそれを聞いたときは、もしかしたら同じような表情をしたのかもしれないねぇ 「誰が辞職するんですか?」 「だから、理事長だよ。理事長が辞職する」 「そんな突然、なんでですか?」 「さぁ。一身上の都合じゃないかい。あの人も年だしね」 私も辞めるとしか聞いていないからね。いろいろと予想はできるけれど・・・ 「それで、私が臨時で理事長になるということで手筈を進めているんだよ」 「すいません、急すぎてちょっと事態についていけてないです・・・」 「畳み掛けるようで悪いんだけど、まだ話はあるんだ」 「・・・・なんでしょう?」 この一瞬でフルマラソンでも走ってきたかのように疲れはててしまった赤阪先生だけど これを聞いたら、どんな反応をするのかね 「小鍛治健夜を呼び戻そうと思うんだけど、どう思う?」 「え、すこやんを・・・・」 思わずすこやんと呼んでしまってしまい、赤阪先生は慌てて口を塞いだ 「あ、すいません・・・。小鍛治先生を?」 「ふふ、別にすこやんでいいんだよ?」 「・・・・小鍛治先生は、了解しているんですか?」 流石にすこやんとは言わないか・・・ 私は苦笑を浮かべながら、首を振った 「まだだよ。けれど、理事長が正式に辞任したら、声をかけようと思っているわ」 「そうですか・・・・」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/973
974: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/22(金) 00:17:53.91 ID:9S+0C2nA0 肩を震わせうつむく赤阪先生。まったく、若いってのはいいわねえ・・・ 「じゃあ、私は・・・・辞めなくても、ええんですね・・・」 「まあ、この署名を前にして辞められるなら、私には止められないけどね?」 「・・・・ほんま、アホばっかやわ。こんな私に、なんでここまでするんやろうな・・・」 軽口を叩く余裕があるのかと思ったけど、単に強がっているだけもしれないねぇ もうしゃくりを上げて何を言ってるのか分からなくなってしまっているんだから・・・ 「とりあえず、この辞表は返すわよ」 「・・・・はい」 辞表を受け取ったまま、いつまでも泣き続ける赤阪先生の背中をさする さて、これから忙しくなるね・・・・ -side 恭子- 理事長の辞任と、赤阪先生の辞職撤回が発表されたのは、署名を渡した次の日だった 代行がエクストリーム土下座を披露してから、私の脳裏に浮かんだのは 「・・・・署名を集めましょう」 ありきたりといえば、ありきたりのアイディアだった でもな、ここまでした代行をそう簡単に辞めさせてたまるか エクストリーム土下座を披露した人のミスはすべて許し、そしてそのミスを取り戻すために全員で動く。それがサッカー部の伝統なんやしな 「おお、それええな。じゃあ早速動くで。ウチは久んとこ行って生徒会として協力してもらるか聞いてくる」 「絹ちゃんと漫ちゃんは荒川憩に声をかけてや。あと神代経由で石戸霞を押さえとけ」 「分かりました!」 「じゃあ漫ちゃん、行こう!」 洋榎、漫ちゃんに絹ちゃんがプールを出ていく 「由子、ちょうど松実がおるから一緒に宮永に声かけや」 「分かったのよー」 「ええっと、どういう状況なのかな・・・」 「私もよくわからないのです・・・」 ああ、松実姉妹は事態を知らんのやったか・・・ まあどうせこれから宮永にも説明せなならんしな 「説明は道々由子から聞きや。私は代行が着替えるの待っとるから」 「よく分からないけど、おねーちゃんは行っていいよ。私がストーブ片付けとくから」 「う、うん。ごめんね、玄ちゃん」 「じゃあ行くのよー」 こういうのは、もたもたしとったらあかん 相手がこれ以上手を打ってくる前に、速攻の超早上がりを見せたる 私一人じゃどうにもならんけど、全員の力集めたらどうにかなるかもしれんからな 「はあ、寒かった・・・・。あれ、みんなは?」 着替え終わった代行が出てくると、キョロキョロとした そりゃそうやろうな、もう私と松実玄しかおらへんのやから 「洋榎たちにはもう動いてもらってます」 「動くって、なにを?」 「見事なエクストリーム土下座でした。ですんで、私たちはこれから署名を集めます」 「・・・・署名?」 目を点にする代行。ふむ、なんか察しが悪いな・・・ 「赤阪先生の辞職を撤回するための署名ですよ、監督」 「・・・監督って」 「ゆうときますけど、あなたを監督なんて呼ぶのは今日だけですからね」 「末原ちゃん・・・。でも署名なんて、集めなくてもええって・・・」 何一人で諦めとるんや、まったく そんなふうに狼狽えるなんて、らしくないで・・・ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/974
975: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/22(金) 00:20:05.75 ID:9S+0C2nA0 「じゃあこう言い換えます。監督に辞めてもらったら困るんです、それを私たちは行動で示します。それを見て、それでも辞めるって言うなら好きにしてください」 それでもなんとも微妙な表情を浮かべたままで黙りこくってしまう はぁ、大方辞める決意固めたのにそう簡単には翻せないってところやろう まあ、だったら困ったらええやん。普段は私が困らされてるんやからな いずれにしたって、宮永照が勝ったからとかそんな理由で辞めるなんて目覚めが悪すぎる その日が金曜日の放課後で次の土曜日が休みだったため、実際に署名を集めに動いたのは月曜日からだった でも、その土曜日に生徒会が生徒会議と部長会議を招集してくれた だから、月曜日からの署名集めはスムーズに進んだ 辞職撤回が発表され、私はほっとした。やったことは無駄にはならんかった・・・ さて、次は部活対抗戦や 今年の部活対抗戦、勝つんはサッカー部やからな! -side 菫- 「さて、今日からは部活対抗戦に向けての調整も行っていく。各自抜かりのないように」 もちろんアーチェリーの練習も行うが、半数を麻雀の練習に分ける 特に今年は照の完全制覇がかかっている。ここで負けるわけにはいかない 個人戦で照とぶつかれば、もちろん全力で戦うが・・・ 「特に淡、お前には期待してるからな」 「ごめんなさい。私は対抗戦には出れません」 「・・は?」 予想外の返答に素っ頓狂な声を上げてしまう 「何かあったの、淡?」 照も戸惑っているようだ・・・ あれほど照と一緒のチームで打てるんだと、クラス対抗戦の前には言っていたのに 「テルと一緒に戦うのも楽しみだけど、それ以上に私はもっと強くならないといけないから!」 むふーと鼻息荒く、そう主張する淡 「私は今、オカルトを捨ててデジタルを身につけるべく特訓中の身。だから部活対抗戦にはまだ出れません」 「あのクラス対抗戦のときに配牌でテンパイしていたのを捨てるっていうのか?」 「はい、その通りです」 いやいやいや・・・・ いろいろ予想外過ぎてどう対処していいのか分からないぞ 「淡、それは淡が強くなるのに必要なこと?」 照が尋ねる そうだ照、淡を説得してくれ! 淡は大きく頷いた 「もちろん。私はテルに勝ちたいから、だからオカルトを捨てるんだよ」 「分かった。淡が納得できない状態で対抗戦に出てもしょうがないからね。その代わり、個人戦には間に合わせるんだよ」 「はい、ありがとうございます!」 おおおおおおいいい!! なんでそんな簡単に納得するんだ 「おい照! お前、完全制覇がかかってるんだぞ、それでいいのか!?」 「菫、ありがとうね。でも・・・」 そう微笑む照に、迷いの欠片もなくて 「私は、淡に無理強いしてまで完全制覇なんてできなくてもいいよ。それよりも、みんなで悔いなく戦えれば、その方がいい」 「・・・・はぁ。まあお前がそう言うなら仕方ないな」 「大丈夫だよ。菫と一緒に戦って、負けたことなんてないんだから」 まあ仕方ない・・。淡のあの闘牌に期待はしていたが、戦力が足りないわけではない 部活対抗戦、勝つのはアーチェリー部だ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/975
976: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/22(金) 00:26:56.97 ID:9S+0C2nA0 -side 淡- ノドカのデジタル講座、初日 「いいですか、淡さん。まず淡さんが信じてらっしゃる絶対安全圏とビックバンとやらは捨ててください」 「えー、どっちも強いよ。絶対安全圏を使いながらデジタルで打った方が強いでしょ?」 「淡さんは、チェスか将棋はご存知ですか?」 全然関係ない質問で返された むー、納得いかないけど、負けたらデジタルを学ぶってのは約束だったからなぁ・・・ 「チェスなら知ってるよ?」 「ではチェスで例えましょう」 まあ知っているといっても、全然強くないけど・・・ ちょっと暇つぶしに付き合わされることがあったくらいで 「いいですか。淡さんの絶対安全圏は、相手からクイーンを取り上げた上で勝っているようなものです」 「うん。まあ、相手の手が遅くなるってことはそういうことだよね」 「しかし真の強者は、逆ではないですか? 自分のクイーンが無くても相手に勝ってしまう、それでこそ強いと言えます」 た、確かに・・・・ 「加えて配牌でテンパイという、麻雀のゲームにありそうな手牌で戦っても、それは同じことです」 「・・・私はハンデをもらって勝ってきただけだって言うの?」 「有り体に言えば、そういうことになりますね。ですから、いざハンデを奪われたときに右往左往してしまうのです」 テルと同じクラスのトヨネに、絶対安全圏とビックバンを同時に封じられた それにカスミがオーラスで使ってきた一色独占の強化版に対しても、果たして私の能力は通用しただろうか・・・ 私の力の及ばない相手は、テルだけじゃなかった だったら、私はもっと強くならないと・・・ 「もちろん、デジタルも万能じゃないです。しかし、長いスパンで見たときには勝率を上げられる、そういう打ち方です」 「それでテルに勝てるの!?」 「それは分かりません。ですが、チャンピオン相手ならミスは許されないでしょう。そういう意味では牌効率や期待値による押し引きを習得することは攻略の手助けにはなると思いますよ」 「分かった、やるよ!」 テルに勝つためだったら、なんだってやるよ それに私がもっと強かったら、クラス対抗戦だって優勝できたはずなんだ 「そうですか。デジタルなんてって言われると思ってました、良かったです」 嬉しそうに笑うノドカを見ていると、私があのとき勝ててたらもっと喜んでくれたのかなとか考えちゃうんだよね 「その代わり、しっかり教えてよね!」 「もちろんです。淡さんこそ、しっかりついてきてくださいよ」 ノドカのことなんか、あっという間に抜いちゃうんだからね そしたら今度は、私がオカルトを教えてあげるんだから -side 咲- クラス対抗戦が終わって、1週間が経った その間、署名を集めてとかいろいろ騒ぎはあったけど、それもようやく落ち着いた 憧ちゃんのことはどうしても意識しちゃうけど、なんとか普通にしゃべっている 憧ちゃんが私のことをどう思っているのか結局分からないままだけど、少なくとも友達としては好きだってお姉ちゃんは言っていた それ以上は、自分で確かめないとダメだからって言われて 確かに、そうだよね。この思いは、自分で伝えなきゃ・・・ そして、そのお姉ちゃんから、今度の土曜日に憧ちゃんと宥さんと一緒に買い物に行かないかと誘われた 「咲、照さんから聞いた?」 「うん、憧ちゃんも宥さんから聞いたんだよね?」 もちろん憧ちゃんもそのことは知っていて 「楽しみにしてるからね、咲」 「うん、私もだよ」 きっと、これはお姉ちゃんと宥さんがくれるチャンス・・・ だから、頑張らなくっちゃ! (もう少しだけ続く) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/976
977: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 2013/02/22(金) 18:37:59.03 ID:W6NP6xqZ0 もう少しだけは二倍以上続くフラグ……!俺達のイチャイチャはこれからだ! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/977
978: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/24(日) 16:21:02.89 ID:wh5IVdvA0 -side 照- 土曜日 待ち合わせの駅前で、咲はいつになくそわそわしていた ふふ、緊張しちゃって。かわいい 「お姉ちゃん、寝癖とか大丈夫かな?」 「角が5本くらい生えてる」 「え、ウソ!!」 ちょっとからかってみると、面白いように動揺する咲 「冗談だよ。いつも以上に可愛いから」 「お姉ちゃん!」 頬をふくらませて私を小突こうとするので、私はさっと避けた 「私、緊張してるんだからね。そういう冗談やめてよ」 「ごめんね、咲」 それでも本気で怒っているわけじゃないって分かるから。それに、このくらいした方が、緊張もほぐれるでしょ? 現にそわそわしなくなったわけだし 「咲、照さん、お待たせ!」 「遅くなっちゃった、ごめんね」 そこに宥と新子さんがやってきた 新子さんはやっぱりオシャレで、ずいぶん気合が入っているようだった 「今来たところだよ、憧ちゃん」 「咲、嘘はいけない。10分くらい待った」 「お姉ちゃん、そういうのは待ってても今来たところっていうものなんだよ!」 「私と宥の間に嘘はいらない」 微笑みながら、私はそう言う 宥も微笑んでくれる 「ごめんね、待たせちゃって」 「アツアツだねぇ、宥姉。本当に一緒にお買い物で大丈夫だった?」 「誘ったのは私たちからだから、気にしなくていいよ。新子さん」 んー、っと新子さんはちょっとだけ首をかしげた 「憧って呼んでくれていいですよ、照さん。私たちの間に、遠慮は要りませんってね」 「そうだね。じゃあ、憧って呼ばせてもらうね」 「そろそろ行こうか、電車が来ちゃうから」 もともとは、私が本を買いたいだけだった 近くの本屋さんではなかなか欲しい本がないのと、大きい本屋さんで知らない本を手にとってみるのも楽しいから 土曜日に宥に用事があるかどうか聞かれたから、本屋に行くと答えた 宥はじゃあ一緒に行こうかなって言ってくれたけど、私が本屋さんに入ると開店から閉店までいるときがあるから退屈しちゃうかもしれない でも宥は日曜日が部活らしくて・・・ 「本屋さんの予定、日曜日にならないかな?」 「いいよ」 土曜日に買った本を日曜日に読もうかと思っていたけれど、1日ずれても問題ないか・・・ 「土曜日にね、憧ちゃんを誘おうと思ってるの。だから照ちゃんも咲ちゃんを誘ってほしいなって思って」 「ああ、そういうこと」 お互いに友達として好きだけど、それ以上は直接確かめること 咲にも憧にもそう伝えてある けれど今のところ、進展はないみたいで・・・ あまりおせっかいを焼くのもどうかなと思うけど 「2人を見てると、きっかけがほしいのかなって思うから」 そう宥が思うのなら、反対する理由もなかった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/978
979: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/24(日) 16:22:22.54 ID:wh5IVdvA0 -side 憧- 電車に揺られて、今は商業ビルのエントランスでフロア案内を見ていた 「それで、最初はどこに行くんですか?」 「本屋の下見」 「・・・・照ちゃん?」 「ごめんなさい、服です」 真顔で本屋と言った照さんを宥姉がたしなめた。 ホントに本が好きなんだなぁ・・・。姉といい、妹といい 「咲も本屋に行きたいんじゃないの?」 「え、私は大丈夫だよ・・・」 と言いつつも、視線はしっかり本屋がどこにあるか確認してたりするんだよね 「いいよ、別に本屋見てからでも」 「ホントに!」 「憧は話がわかるね」 喜色満面の咲に、照さんもやけに興奮しているように見えた 「憧ちゃん、大丈夫?」 宥姉が不安そうにしてるけれど、別に本屋を見るくらいどってことないでしょ? そう思っていたけれど、私はこの宮永姉妹の本好きを甘く見ていた 「あー、よく飽きないわね・・・」 「姉妹だからよく似ちゃうのかな。特に大きい本屋さんだから、いろいろ見たいんだろうね」 30分もしたら私と宥姉はギブアップして本屋の近くにある長椅子に腰掛けていた 「まあ、今度は気をつけるよ。本屋が最後になるようなルートとか考えてさ」 「うん、ごめんね。もともと照ちゃん、1人で本屋さん巡りするつもりだったらしいから、本屋さんが入ってるところの方がいいかなって思って」 しょうがないか。でもそろそろ本屋から引き剥がさないとね・・・ じゃないと、もったいないもんね! 「宥姉、ありがとね」 「え、突然どうしたの?」 「宥姉のことだから、私と咲のこと気遣ってくれたんでしょ?」 「・・・・うん、そうだね」 一瞬どう答えようか迷ったみたいだけど わざわざこうやって私と咲を誘ってくれたことからすれば、咲の気持ちも何となく察することはできる でも、それは希望的観測かもしれないなんて、ちょっと不安になったりもするんだよね こんなに誰かを好きになったり、そしてそれを打ち明けたりなんて、今までしたことなかったんだから ここまでお膳立てしてもらったんだし、午後から巻き返さないとね 「ちょっと本の魔物に囚われたお姫様の救出に行ってくるわ」 「・・・どうする、憧ちゃん?」 「どうって?」 宥姉の質問の意図が分からず、私はキョトンとしてしまう 宥姉は柔らかな表情を浮かべて、 「このまま、咲ちゃんと2人きりになってもいいんだよ?」 「あー、そういうことか・・・」 それもアリかもしれない。多分、今日のこの機会を逃しちゃったら、次はいつになるか分からなくなっちゃうし・・・ それに、宥姉だって照さんと一緒にいたいだろうし 「うん、じゃあここで解散にしよう。照さんによろしくって言っておいて」 「分かった。じゃあ、頑張ってね・・・」 頑張って、か・・・ よし、気合入れろ私! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/979
980: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/24(日) 16:25:12.71 ID:wh5IVdvA0 咲を探す。結構広い本屋だからちょっとウロウロしたけど、ようやく見つかった こっちには気がついてないみたい 私は咲の背後にそっと近寄った 「だーれだ?」 「ひゃん!」 可愛い声を上げて咲がビクンと体をこわばせた 「憧ちゃん、ビックリさせないでよ。本を落とすところだったよ!」 「あはは、ごめんね。あんまり集中してるもんだからさ」 「もう次のところに行くの?」 「ああ、そのことなんだけどね」 私は、ここで宥姉と照さんとは別行動をすることを告げた 「え、そうなんだ・・・。憧ちゃんは、どこか行きたいところある?」 「とりあえず服見たいかな。あと、咲のコーディネートもしてみたい」 「私はいいよ、憧ちゃんみたいなオシャレなのは似合わないし・・・」 「いやいや、別に私と同じ服着させるわけじゃないからね」 グー・・・ その音が鳴ったのは同時だった・・・ 「そ、その前にご飯にしようか、咲」 「そうだね・・・」 ああもう、恥ずかしい・・・・ -side 咲- 同じビルの一番上の階が食べ物屋さんのフロアになっていて その中からパスタ屋さんを選んだ ちょうど窓際の席が空いていて、近くの景色が一望できた 目の前にもビルはあるけれど、半分くらいは遠くまで見渡せた 「お姉ちゃんたち、まだ本屋さんにいるのかな・・・」 「聞いた話によると照さん、一日中本屋さんにいられるらしいけど、ご飯も食べずに本読んじゃうの?」 「滅多にないけど、すごく面白い本があったりするとずっと立っても平気なんだって」 「はぁ、すごいなぁ・・・。咲は?」 「私は流石にお腹が減ったら切り上げるよ」 まあそれでも、あとちょっとだけって思って1時間くらい経ってたってことはあるけど・・・ 「あ、咲の分、来たよ。食べていいよ」 「憧ちゃんの分もすぐ来るよ」 「いいからいいから、あったかいうちに食べなって」 悪いなと思いながら、手を合わせる。なぜか憧ちゃんがじっと私の口元を見ているように感じた 「いただきます。って、そんなのじっと見られると照れちゃうんだけど・・・」 「えー、いいじゃん。咲の食べるところ見たいなぁて思っただけで」 「もう・・・。ほら、憧ちゃんの分も来たよ」 憧ちゃんのパスタも来たので、とりあえずこれでじっと見られることはないだろう ドキドキしちゃうから、そういうのはまだ困るよ・・・ 「じゃあ私も、いただきます」 世間話をしながらあっという間にパスタを食べ終えた 「ふう、結構お腹いっぱいになったね」 「もうちょっと休んでから行こうか」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/980
981: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/24(日) 16:26:05.06 ID:wh5IVdvA0 ふと外を眺める。ビルが立ち並ぶ。こういうのも、悪くないけど・・・ 「長野の方が景色は良かったかな」 「それはしずが喜びそうだね。こっち来てから山が足りないって嘆いてるしね」 「あはは、山不足とか聞いたことないよ」 「今日も自転車でどこか出かけてるんじゃないかな」 穏乃ちゃんは元気だからなぁ・・・ 「あと、淡と和が最近仲がいいみたいだよね」 「和ちゃんのこと師匠って呼んでるの聞いてビックリしちゃった」 うん、淡ちゃんはすごいと思う・・・ お姉ちゃんに中学の時に負けてから、様子見して強くなるってイメージを形にできるだけの力があって でも、それをあっさり捨てて新しい自分のスタイルを身に付けようとしている 私も、そんな風になれるのかな・・・ いままで自分を守るために続けてきた±0を止めて、勝つために打ちたいって思うけれど また何かのきっかけで、±0にしてしまうかもしれない 「咲、どうしたの?」 「ううん、なんでもないよ?」 「・・・・何かあったなら、相談に乗るよ?」 憧ちゃんがじっと私を見つめてきて・・・ 「うん、そうだね・・・」 憧ちゃんなら、こんな私の不安も、受け止めてくれるかな・・・ 「私ね、淡ちゃんみたいに、今までの自分を変えていけるのか不安になるの」 「咲・・・」 「クラス対抗戦のときはみんなのために勝たないとって思えたけど、じゃあ自分が一人っきりで打つときはどうなのかなって」 普段の練習だって、チームを組むわけじゃない 次の部活対抗戦はまだまだ先だし、冬には個人戦もあるけどそれも自分一人っきり だから・・・ 「咲・・・。咲は一人なんかじゃない」 「憧ちゃん・・・」 憧ちゃんの表情は真剣そのもので だから、目をそらすなんてできなくて・・・ 「一人じゃ打てないってなら、私のために打ってよ!」 えっ、それって・・・ 憧ちゃんも言ってから、顔を真っ赤にしていた 「その・・・。私が咲のこと支えるから、傍にいるから・・・。だから、一人だなんて悲しいこと言わないでよ」 「憧ちゃん・・・」 「それじゃあ、ダメ?」 その微笑みは、今まで私の心の中にくすぶっていた不安を全部吹き飛ばしてくれて きっと、憧ちゃんがいてくれたら私は思うように打てるんじゃないかって、そう思えて 「私も、憧ちゃんが隣にいてくれたら嬉しいよ」 私も、上手く笑顔で返せているのかな? 泣き顔なんて、見せたくないから・・・ ちゃんと笑顔でいられるかな? 「咲、ハンカチ・・・」 「・・・憧ちゃんこそ」 鏡に写したみたいに、きっと私と憧ちゃんは同じ表情をして、同じ感情でいて・・・・ だから・・・ これからよろしくね、憧ちゃん! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/981
982: tell you that I love ... (Epilogue) ◆oeEeLVGR7U [saga] 2013/02/24(日) 16:27:28.63 ID:wh5IVdvA0 -side 照- 「照ちゃん」 宥の声に振り返ると、頬に宥の指がささる 「・・痛い」 「彼女をほっておいて、本に夢中になる照ちゃんへのお仕置き」 「・・・・ごめん」 本気で怒っているわけじゃないんだろうけど、ほほを膨らませる宥はそれだけで可愛かった はぁ、でもこれだけ大きな本屋さんがあるとどうしても夢中になっちゃう・・・ 明日もう一回来るから、このくらい我慢しないといけないのに 「ところで、咲と憧は?」 「別々に行動することにしたよ」 折を見て咲と憧を2人きりにしてあげようって話だったけど、思ったより早かったな 「そう、じゃあどうしようか。宥はどこか行きたいところ、ある?」 とりあえず買い物に誘ってあとは成り行きで、という話だったのでこのあとの予定は特に決まっていなかった 「んー、実は私も大体のものは買ってあるから、特に買いたいものはないかな・・・」 「困るな、どこか行きたいところがないと私は本屋から出られない」 「ホントに本が好きなんだね・・・」 呆れ顔をされてしまう・・・ まあ、でもとりあえずそろそろお昼ご飯だから 「ご飯を食べながら考えよう、そうしよう」 「うん、そうだね」 誤魔化すように宥の手を取って、本屋さんを出る 名残惜しい気持ちもあるけど、明日も来るんだから我慢する・・・ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343752471/982
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