( ^ω^)ヴィップワースのようです (1000レス)
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1: 2011/06/07(火)00:59 ID:iULO39J.0(1/29) AAS
タイトル変更しました(過去ログ元:( ^ω^)達は冒険者のようです)
したらばスレ:sports_37256

無駄に壮大っぽくてよく分からない内に消えていきそうな作品だよ!
最新話の投下の目処は立ったけど、0話(2)〜(5)手直しがまだまだ。
すいこー的ななにがしかが終わり次第順次投下しやす
2: 2011/06/07(火)01:01 ID:iULO39J.0(2/29) AAS
たとえばの話をしよう。

たとえば君という人物が、たった一人で絶望を覗く深淵の淵に立たされたとする。

仮にそれを一人で乗り越える事が出来たとして、天恵に恵まれていたに他ならない。

たった一人で困難に打ち勝ち続ける事が出来るほど、人は強い生き物ではないからだ。

だが、仲間という存在があるのならばどうか?
省8
3: 2011/06/07(火)01:03 ID:iULO39J.0(3/29) AAS
   ( ^ω^)ヴィップワースのようです

           「序 幕」
4: 2011/06/07(火)01:04 ID:iULO39J.0(4/29) AAS
───────────────

──────────

─────

夜の帳も降りた頃、とある森の奥深くに5人の若者の姿があった。

虫たちの声だけがしんしんとあたりに響く中、
彼らの周りを包むのは、薄ぼんやりとした暗闇ばかり。
省10
5: 2011/06/07(火)01:05 ID:iULO39J.0(5/29) AAS
その中で、一番早く思い立った銀髪の男は立ち上がると、彼女に言った。

「無理しなさんな、この人数なら二人のローテーションで十分さ」

ローブのフードを深く被り、膝を抱えてぼうっと薪の火を見つめていた
金髪の女性も、はっと気づいたように飛び起きると、彼の言葉に続く。

「そうよ、あなただけじゃなく、皆長旅で疲れてるんだから……なんなら、私が引き受けるわ」

最初に歩哨を請け負おうとした女性が、彼女のその言葉になんとも言えぬ表情を
浮かべたのを確認すると、地べたで地図を開いていたローブの男は割って入った。
省11
6: 2011/06/07(火)01:06 ID:iULO39J.0(6/29) AAS
「なぁ、いい考えがあるんだけどさ……」

「……聞こうか」

「俺らの内誰か一人ずつをニ交代にして、もう一人はこいつに全部やってもらうってのはどうだ?」

頭を押さえてうずくまる男を尻目に、銀髪の男はそんな冗談めかした事を言った。

「……フッ、それもいいな」
省10
7: 2011/06/07(火)01:08 ID:iULO39J.0(7/29) AAS
先ほどまでいびきをかいていた男も、すでに背の剣をいつでも抜ける体勢だった。

「ただの狼……って訳でもなさそうだおね?」

銀髪の男は、かったるそうにしながら女性達に声をかける。

「悪いなお二人さん。どうやら、今晩の野営はお預けみたいだぜ」

長髪の女性は、それに腰元の小剣を取り出しながら答えた。
省12
8: 2011/06/07(火)01:09 ID:iULO39J.0(8/29) AAS
「────行くお、みんな!」

臆することなく、先頭に立つ剣士は走り出した。
それに続くようにして、他の面々も側面から彼を支援する。

真っ向から巨大な獣とやりあおうと長剣を振り下ろした彼の眼前に、
打ち込みの合間を縫って飛んできた、獣の鋭爪が迫っていた。

だが、銀髪の男は瞬き一瞬ほどの間に胸元からナイフを取り出すと、
獣の眼を目掛けて指先から投擲し、見事狙った場所へと突き立てた。

「ったく、ヒヤヒヤさせんなよ」
省11
9: 2011/06/07(火)01:10 ID:iULO39J.0(9/29) AAS
(………うん)

互いに無言の中、ローブの女性はこくりと小さく頷くと、

【 聖ラウンジの名において 】

口にした────救いの力をもたらす、その聖なる御名を。

【 ヤルオ=ダパートの名において 】
省12
10: 2011/06/07(火)01:11 ID:iULO39J.0(10/29) AAS
獣の攻撃の直後を狙い澄まし、ほんのわずかな隙を小剣が一度、また一度と突く。

一合ごとに、獣の身には刺し傷が増えている。
が、その身から血を流す度、更に獰猛に力強く、牙や爪は襲い掛かる。

剣士は、得手とする己の剣を力強く握り締めていた。
自分のものよりも遥か小ぶりな小剣で、果敢に剣技を繰り出し続ける彼女を前に。

自らの持つ速力を大きく上回るであろうその攻防に、自らが枷となるのを拒んでいたのだ。

だが、さしもの獣も深傷をいくつも負わされ、そこいらの猛獣を凌駕するであろう
その敏捷性にも、徐々にではあるが陰りが見えつつあった。
省7
11: 2011/06/07(火)01:13 ID:iULO39J.0(11/29) AAS
その頭上、天を突くような威容で構えていた剣。

「────おおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァッ!!」

自らの全体重を乗せた落下の勢いに任せて、裂帛の気合と共に振り下ろす───

やがて、鉄塊のような剣を比類なき速度で打ち込まれたその巨体は、ゆっくりと崩れ落ちた。

再びその場に訪れる静寂─────その静けさこそが、戦闘の終わりを告げる、合図だった。
省3
12: 2011/06/07(火)01:16 ID:iULO39J.0(12/29) AAS
その後、傷ついた体を一晩の間だけ休ませて、すぐに次の旅の目的地へと向かった彼ら。
自分達が倒したあの巨大な獣が何であったのかなど、知る余地もないだろう。

ここ10年ばかりも山の頂上付近に出没し、近隣の村人達に恐れられていたという、
恐るべき”山の主”であったという事実など───あるいは、知ろうとも思わなかったのか。

その権利を持ちながら名声を得る事もなく、彼らは人知れず山を降りていった。

彼らは”冒険者”達。

身に余る名声など良しとせず、時には地位や富すらもを自らの誇りや、
その信念の為にはかなぐり捨てると言われる者達だ。
省5
13: 2011/06/07(火)01:19 ID:iULO39J.0(13/29) AAS
   ( ^ω^)ヴィップワースのようです

           「序 幕」

            ─了─
14: 2011/06/07(火)01:26 ID:iULO39J.0(14/29) AAS
   ( ^ω^)ヴィップワースのようです

           第0話(1)

          「出会いの酒場」
15: 2011/06/07(火)01:27 ID:iULO39J.0(15/29) AAS
ここでは、”聖ラウンジ”の教えが広まり、その統治下に置かれている。
呼び名を交易都市”ヴィップ”、近年急速に拡大してきた新興都市だ。

多くの商業施設では、冒険者や魔術師達に、果ては、聖ラウンジお抱えの騎士団の姿も見られる。

それというのも、同じ職を生業とする者達で助け合いながら、
仕事を斡旋する共同体、”ギルド”が多種多様に存在しているのが理由だ。

魔術師達にとっては己の研究を広め、研鑽を積むもの同士で情報を共有しあう場。
その一方では、主に戦ごとに用いられる傭兵斡旋所や、盗賊ギルドなどもあり、
表だってこそないが、やはり街が大きいほどに、日陰に生きる者も多分に存在する。

だが、大陸の中心に位置し、貧民層から富裕層までの多くの人々が住み暮らす
この街は、今や行き交う商人達にとっても決して素通り出来ない場所だ。
省6
16: 2011/06/07(火)01:28 ID:iULO39J.0(16/29) AAS
みすぼらしい服装や、生々しい擦り傷の数々。周囲の人々には
かなりの長旅を経てこの場所へ辿り着いたのだと思わせる事だろう。

だが、肩を落としながらでも彼の足取りは一歩一歩が力強く、
疲れなど感じさせない。その一挙手一足は、それなりの場数を
踏み越えてきたであろう、戦士としてのものによく似ていた。

この大陸では、貴族や商人などといった身分の住み分けこそあれど、
それぞれの人々は安定した暮らしを築く為、日々を精一杯仕事に打ち込んでいる。

だが、自由の風に吹かれて生きる事を目標とする者は、非常に多い。

────それが、彼のような冒険者という人種。
省6
17: 2011/06/07(火)01:28 ID:iULO39J.0(17/29) AAS
彼らの中での冒険の目標は、この大陸の未開の地が踏破される度、常に移り変わる。

ある者は、伝説と語り継がれる秘宝を手に入れ、莫大な富をその手にした識者。
また、ある者は精鋭の騎士団を幾度駆り出して討伐しようとも倒せなかった魔物を、
たった一人で倒したという猛者。

冒険者達は、そうして聞こえてくる風の噂に、一抹の思いを馳せる。
ある者は名誉のため、またある者は、知識の探求に明け暮れて。

大陸全土において、日々冒険者を志して行動し始める者は後を絶たないのである。

やがて、一軒の宿の前で、彼の足は止まった。
木製の看板には、書き殴ったような筆記体でこう書かれていた。
省9
18: 2011/06/07(火)01:28 ID:iULO39J.0(18/29) AAS
(’e’)「───いらっしゃい」

マスターが一瞬入り口の方を一瞥する。

彼が一見の客である事、それに、風貌から冒険者である事。
それらの確認をまばたき数度の内に終えると、また少し俯き加減に
エールグラスを磨きながら、酒盛りをしている冒険者達と談笑に戻った。

マスター同様に、店の娘も一瞬だけマスターの方をちらりと見たが、
彼が談笑に戻ったのを見て、若者の元へと駆け寄ると、注文を尋ねる。

ζ(゚ー゚*ζ「いらっしゃいませ!…ご注文は?」
省9
19: 2011/06/07(火)01:32 ID:iULO39J.0(19/29) AAS
こういった冒険者宿では、張り出した依頼を閲覧する際に、
飲み物の一杯も頼むのが冒険者同士では暗黙の掟というものなのだ。

もちろん、気恥ずかしそうにするその態度から、彼がこういった
”常識”を疎んじていたという訳でも、なさそうだったが。

店の娘も困惑気味だったが、気まずい空気は一人の男性客によって破られる。
  _
( ゚∀゚)「小僧」

エールグラス片手にカウンターでマスターと談笑を続けていた男。
その彼が、突然若者の方を振り向いて一言漏らした。

彼の物と思しき灼熱色の軽甲冑は傍らに脱ぎ捨てられ、
省7
20: 2011/06/07(火)01:33 ID:iULO39J.0(20/29) AAS
「ははッ、ジョルジュの旦那らしいぜ」

「まぁ……俺らもあいつくらいの時分にゃよぉ……」

お辞儀をしてカウンターの奥へと去ってゆく店娘の背中を見送ると、
目の前のエールグラスを手に取り、ちびり、とグラスの端を口につけた。

(  ^ω^)「あの……」
  _
( ゚∀゚)「礼ならいらねぇ、高々銀貨1枚の酒だ」

(  ^ω^)「……いや、ありがとうございますお」
 _
( ゚∀゚)「お前、冒険者か?」
省13
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