酒場【バーボン渋澤シベリア支店】のようです (34レス)
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1: 2010/04/18(日)06:07 ID:Rj0yeEaE0(1/26) AAS
AA省
2: 2010/04/18(日)06:08 ID:Rj0yeEaE0(2/26) AAS
カランカラン!

 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「いらっしゃい」

店に入ると、白髪混じりの黒髪を撫でつけたマスターが貴方を出迎えた。
こんな時間帯にも関わらずカウンターやテーブルにはちらほらと先客の姿が見られる。

( *・∀・)つU  ∬´_ゝ`)

カウンターで酒を煽る青年と、スラリとしたシルエットのスーツを着た女性。
席を一つ挟んだ二人の間に会話はなく、マスターが時折女性の話に相づちをうつ。
省9
3: 2010/04/18(日)06:09 ID:Rj0yeEaE0(3/26) AAS
AA省
4: 2010/04/18(日)06:11 ID:Rj0yeEaE0(4/26) AAS
( *∀ )つU 「お姉さん、おかわり」

ミセ;゚ー゚)リ 「モララーさん、今日は少し飲み過ぎですよ」

( *∀ )つU 「いいんだ、頼むよ」

ミセ;゚ー゚)リ 「モララーさん・・・」

貴方の隣席、青年はカウンターに突っ伏しながら空のグラスを女性バーテン
へと突き出す。
彼女は少しカウンターに身を乗り出し、心配そうな面持ちで青年を伺っている。
省12
5: 2010/04/18(日)06:12 ID:Rj0yeEaE0(5/26) AAS
( *・∀・) 「俺は、アイツに何もしてやれなかった」

( *・∀・) 「それなのにアイツは最期まで俺に頼ってくれた」

( *・∀・) 「俺は、何も出来なくて、本当に何も出来なくてぇ・・・」

手を握りしめた彼の声は、次第に

( *;∀;) 「手を握ってやる事しか出来ない俺をォ、妹は昔み、みたいにっ」
省5
6: 2010/04/18(日)06:13 ID:Rj0yeEaE0(6/26) AAS
( *;∀;) 「おえには、もっと、ハインにしてやえる事が、きっとあった」
 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「・・・・・・」

( *;∀;) 「だえど、分からないンだ、今も、昔も
ハインあもう、ろこにもいらいのに!」

「・・・・・・」

( *∀ ) 「そう、・・・いないんだ。何処にも」

その一言で店内は言いようの無い静寂に閉ざされた。
外の吹雪く音と、氷粒がパチパチと窓を打つ音が、嫌に大きく聞こえた。
省2
7: 2010/04/18(日)06:15 ID:Rj0yeEaE0(7/26) AAS
 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「なにかな、姉者さん?マスターだなんて偉く久しぶりだ」

∬´_ゝ`) 「いつもは私ばっか喋ってるけど、今日はマスターの話が聞きたいな」
 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「随分と唐突だな」

∬´_ゝ`) 「たまには、ね」

( *∀ ) 「・・・・・・」
 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「・・・たまには、か。そうだな」

∬´_ゝ`) 「うん」
省7
8: 2010/04/18(日)06:20 ID:Rj0yeEaE0(8/26) AAS
AA省
9: 2010/04/18(日)06:23 ID:Rj0yeEaE0(9/26) AAS
 ('、`*川 「ラジオボーイの話だ」 (-_-)

(-_-)

俺達は皆、ラヂヲを待ってる。
テレビみたいに目に激しい沢山の情報なんていらない。
映画みたいな壮大なエンターティナーじゃなくていい。
小さな声でも、音がトンでても、ノイズが混じってても、
俺は耳を澄ませるからそれでいいんだ。

少し前の話し、宇宙人がやってきて地球の侵略を始めた。
世界は大混乱。東京をはじめ関東地方は壊滅。
自衛隊もほぼ全滅したと言っていいと思う。
省5
10: 2010/04/18(日)06:26 ID:Rj0yeEaE0(10/26) AAS
AA省
11: 2010/04/18(日)06:28 ID:Rj0yeEaE0(11/26) AAS
AA省
12: 2010/04/18(日)06:29 ID:Rj0yeEaE0(12/26) AAS
('∀`*川「ハハッあ―笑った笑った!」

先生が目尻の笑い涙を拭いながら言った。
それからしばらく、何を言ってるか分からない優しい歌に耳を澄ませていた。

('ー`*川「ここやっぱり良いね。音の入りも良いし」

何より気持ちいいし!そう言って先生は手足をほっぽって寝転がる。
あんまり先生が気持ち良さそうにしていたものだから、
俺も後を追うように寝転がる。

  「………」
省5
13: 2010/04/18(日)06:30 ID:Rj0yeEaE0(13/26) AAS
AA省
14: 2010/04/18(日)06:31 ID:Rj0yeEaE0(14/26) AAS
俺は本心からそう言っていたつもりだが、
先生は困ったように笑いながらそんな俺をみるばかりだった。

ラジオでは曲が終わりラジオDJがコメディアンにインタビューを始めている。
先生は立ち上がると、ラジオを拾い上げ愛し気にそれを撫でた。

 ('、`*川 「皆、このラジオを聴いてるのかな、待ってるのかな?」
 (-_-) 「皆待ってますよ、それくらいしか楽しみなんてないんですから」

先生は眉間にシワを寄せて、変なものでも見るような顔をする。

('、`*川 「じぃじ臭いね―!ま、あたしも好きだけど、ソォイ!」
省2
15: 2010/04/18(日)06:32 ID:Rj0yeEaE0(15/26) AAS
(゚_゚;;) 「ラジ夫ォォォッ!」

('、`*川 「キャァッチ」

しばらくの空中遊泳を楽しんだラジオは、
まるで巣に帰ってくるみたいに
再び先生の手に収まった。

(#-_-) 「なにするんでスか!?」

('ー`*川 「ぼんやりとラジオを待ってるだけなんて似合わないぞ少年」
省1
16: 2010/04/18(日)06:33 ID:Rj0yeEaE0(16/26) AAS
('、`*川  「大事なことも、楽しいことも、辛いことも、
       例えこの世界がもう終わるとしても」

先生ほど青空の似合う人はいないし、

先生ほど雲が、屋上のリノリウムの緑が、手に持ったラジオの赤が、

ふんぞりかえった笑みが。

先生ほど、俺にとって先生が似合う人はいません。
省2
17: 2010/04/18(日)06:35 ID:Rj0yeEaE0(17/26) AAS
  それから数日後。
先の暴動の煽りを受けた際に先生は暴漢の手によってこの世を去りました。
なんのことはありません宇宙人が手を下すまでもなく
最初からこの世界は終わっていたのです。

この地方の人間ではない先生が、何故この街から離れないのかを
後日知りました。
先生は東京の恋人を待っていたのですね。

ラジオからの情報によれば数日中に宇宙人が攻撃を再開するそうです。
あのラジオ番組は今も隙を見つけては流れています。
電波塔の大半は軍に占拠されているのに大したものです。
省5
18: 2010/04/18(日)06:36 ID:Rj0yeEaE0(18/26) AAS
(;-_-) 「ハァ、ハァ・・・やっぱ遠いな東京め!」

ギッコギッコ

そうそれと、じじ臭かろうがラジオは持って行きます。

耳を澄ますと、分かる気がするんです。

(-_-) 「お」
省5
19: 2010/04/18(日)06:37 ID:Rj0yeEaE0(19/26) AAS
AA省
20: 2010/04/18(日)06:39 ID:Rj0yeEaE0(20/26) AAS
 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「しかし、あの世界の顛末は今もよく耳にする。酷い時代だったらしい」

∬´_ゝ`) 「・・・馬鹿な子ね」
 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「そうだな、正気の沙汰じゃない」

「・・・・・・」
 _、_
( ,_ノ` )y━・ 「だが、それが男の子だ」

なあ、お兄さん。マスターはそう言って青年に笑いかける。
 _、_
省5
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