避難所用SS投下スレ11冊目 (994レス)
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1: 2014/02/18(火)02:41 ID:0ZzKXktk(1/2) AAS
このスレは
・ゼロ魔キャラが逆召喚される等、微妙に本スレの趣旨と外れてしまう場合。
・エロゲ原作とかエログロだったりする為に本スレに投下しづらい
などの場合に、SSや小ネタを投下する為の掲示板です。

なお、規制で本スレに書き込めない場合は以下に投下してください

【代理用】投下スレ【練習用】6
したらばスレ:otaku_9616

【前スレ】
避難所用SS投下スレ10冊目
したらばスレ:otaku_9616
省18
975: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (2/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:44 ID:TiRezyjA(3/20) AAS
 いったい何がハルケギニアに起きているのか? そして宇宙人の目的とは?
 始まったばかりの舞台には、まだ多くの演出が隠されている。
  
 才人たちが魔法学院の遠足でアラヨット山に登っているのと同じころ、遠く離れたロマリアでもひとつの戦いが起きていた。
 ロマリアの上空を飛ぶ一機の戦闘機、XIGファイターEX。そのコクピットに座る高山我夢は、眼下に広がる景色とレーダー画面を交互に見ながら、サポートAIであるPALの報告を待っていた。
「見つけました、我夢。前方、およそ三万に空間のひずみがあります。ゆっくりと南へ向かって移動中です」
「いたな。ようし、パイロットウェーブ発射準備」
 補足した目標に向かって、ファイターEXはまっすぐに飛んでいく。そして一見なにもない空間に狙いを定めると、我夢は一瞬揺らいだように見えた空の一角を凝視してPALに指示した。
「PAL、パイロットウェーブ発射!」
「了解」
省11
976: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (3/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:45 ID:TiRezyjA(4/20) AAS
 メザードが無敵でいられるのは別次元に潜んでいるときだけ。すなわち、蜃気楼を吐くアコヤと一緒であり、居場所を見つけられれば貝を叩き割るのはたやすい。ガイアは頭上にエネルギーを集中させると、アグルから引き継いだ必殺技を放った。
『フォトンクラッシャー!』
 青白く輝く光の帯に貫かれ、メザードは断末魔の咆哮を上げると炎上して果てた。巨大なたいまつのように一瞬燃え盛り、黒い消し炭のようになって崩れていくメザードをガイアは憮然として見送った。
 以前にエースを苦しめた怪獣のあっけなさすぎる末路。もちろんそのときにガイアはまだこの世界にはいなかったけれど、破滅招来体に遣われて、置き去りにされたようなメザードの末路に一抹の哀れを覚えもするのだった。
 ともかく、これで破滅招来体がこの世界に持ち込んだ怪獣は、確認できる限りすべて撃破した。ガイアは変身を解除して我夢に戻り、ファイターEXのコクピットから通信機に呼びかけた。
「こちらファイターEX、波動生命体は撃破したよ。そっちはどうだい?」
 すると一呼吸置いてから、通信機から藤宮の声が返ってきた。
「こちらはこれからだ。少し待て、すぐ終わる」
 藤宮がいるのはロマリアの別の場所。人里からやや離れた山間部で、そのすそ野に彼は立っていた。
 山は一見すると平穏そうに見えなくもないが、あちこちにがけ崩れの跡が新しく残っており、この山が最近になって地殻変動に脅かされていることが見て取れた。
省11
977: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (4/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:46 ID:TiRezyjA(5/20) AAS
 これは藤宮の発明品のひとつ、機械語デコーダー。怪獣の頭に信号を送り、ある程度の行動をコントロールすることができる。ただ、怪獣に強い意思があると反抗されて操れなくなってしまうが、寝ぼけて意思の薄弱なキャッシーには効果てき面であった。
 キャッシーはまだ全然寝たりなかったらしく、出てきた山の穴に頭を突っ込むと、そのまま地底に潜って帰っていった。藤宮はバイザーを外すと、返事を待っている我夢に向かって結果を知らせた。
「我夢、こっちも終わった。怪獣は無傷だ、周辺の地殻が安定しているのも確認してある。少なくとも数百年は出てくることはないだろう」
「お疲れ様。ごめん藤宮、君にもいろいろ手間をかけさせてしまって」
「気にするな。この世界の安定は、この世界とつながっている俺たちの世界の安定にもつながる。それに、今はとにかく不安要素を少しでも減らしていくほかはないだろう」
 藤宮は我夢に答えながら、バッグの中に残っている受信機の残数に目をやった。
 この数か月前に怪獣によって地殻が荒らされたため、眠っているだけだった地底怪獣たちが地上に現れる事例が増えてきており、藤宮はその対処に飛び回っていたのだ。
 怪獣は人間にとって脅威ではあるが、余計な手出しをしなければ無害であることも多い。何より、怪獣たちもまた自然が生んだ自然の一部なのだ、人間の都合だけで排除していけば、いつか自然のバランスが崩れ、そのしっぺがえしは人間に降りかかってくる。
 しかし、我夢と藤宮はそれぞれ順調に目的を果たしているはずなのに、あまりうれしそうな様子はなかった。
「藤宮、そっちのほうはその、平和かな?」
省8
978: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (5/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:47 ID:TiRezyjA(6/20) AAS
 以前に一度、立体映像で対峙したときの宇宙人の尊大な姿は忘れられない。奴はふてぶてしくも、自分たちウルトラマンに対しても脅迫じみた要求を突き付けてきたのだ。
 そのときに、その宇宙人が突き付けてきた要求の、破滅招来体でもやるかという悪辣さには一瞬冷静さを失いかけた。
 しかし、我夢たちの地球では、いわゆる〇〇星人といった宇宙人は現れていないが、ゼブブなどの例から地球外知的生命体の存在は確認されており、その宇宙人が要求の内容を確実に実行できるであろうことは、疑う余地がなかったのだ。
 宇宙人の要求を、結局そのとき拒絶することはできなかった。そして今日、我夢と藤宮はささやかな抵抗として、ハルケギニアに内包する災厄の芽を摘んでいっている。あの宇宙人は、自分たちウルトラマンと直接対決する気はないと明言したが、目的のためにこれから暗躍をはじめるとも宣言した。なにを仕掛けてくるか、想像もできないが、少しでもあの宇宙人の悪だくみに利用できるものを減らせば、それだけ救える者を増やすことにつながる。
 だが……我夢と藤宮は、それとは別に、ひとりの友人の心配をしていた。
「タバサ……」
 あの日以来、彼女も姿を消してしまった。
 万一のことがあったとは思わない。しかし、人間である以上、絶対がないということもわかっている。事実、自分たちも過去には何度も過ちを重ねた。
 だが、だからこそ信じてもいる。恐らく、今タバサが直面しているのは彼女の人生で最大の壁だろう……そのときに、あちらの世界で経験したことは必ず役立つはずだ。
 
省10
979: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (6/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:48 ID:TiRezyjA(7/20) AAS
 それに、もしそれによってハルケギニアが宇宙にとって危険な存在になると判断されたら最悪の審判が下されるかもしれない。そうなれば、この星の人々は……ジャスティスは、ジュリとして接したこの星の人間たちのことを思った。
 
 一方、青い月でも重大な戦いが終わろうとしていた。
『ナイトシュート!』
 ウルトラマンヒカリの放った光線に薙ぎ払われて、十数体の宇宙怪獣が宇宙の藻屑に変えられていく。
 青い月の光に照らされる青い戦士と対峙するのは、宇宙斬鉄怪獣ディノゾールの群れ。数にしたら数百体は下らないであろう、それの進行方向に立ちふさがるヒカリの存在は後続のディノゾールたちに明確な警告を与えていた。
「戻れ、ここから先はお前たちの場所ではない」
 ディノゾールたちは進撃をやめ、再度進撃を試みたとき、結果は再度同じく展開された。
 無理やり道をこじ開けようとして、宇宙の塵となった同族の残骸を後続の生き残りたちは数百の憎悪の眼差しで見つめた。ディノゾールたちは、眼下にある惑星に降りたかった。あの青い星には、ディノゾールが生きるのに必要な水素分子、すなわち水が無尽蔵にあるに違いないからだ。
 が、屍となった先鋒たちの犠牲は今度は無駄にはならなかった。ディノゾールたちは、黄金境の境にある激流の大河に身を躍らせる愚をようやくにして悟り、しぶしぶながら群れの進路を来た方向へと切り替えたのである。
省9
980: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (7/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:50 ID:TiRezyjA(8/20) AAS
 しかし、そうしたウルトラマンたちの奮闘も、あの黒幕の星人からすれば冷笑のタネでしかない。
 
「さて、ご覧いただきどうでしたか、ウルトラマンの方々のご活躍。いやあ、よく働かれますね本当に、過労死って言葉を知らないんでしょうか? 正義の味方って大変ですね」
 
「うん? どうしました悔しそうな顔で。ははあ、あの方たちが苦労しているのに自分たちは何もできないのが嫌だと?」
 
「いやいや感心ですねえ。でもそれじゃ何事も楽しめませんよ? 特に、この星の人間たちはちょっと前まで戦争で大変だったんですから、私が言うのもなんですが、せっかくの休暇を楽しませてあげなくちゃかわいそうですよ」
 
「では、気分転換にもうひとつ愉快な光景をご覧に入れましょう。私にとっては失敗談ですが、あなたがたには楽しめるでしょう。実はちょっと前、次の計画のために協力者を求めに行ったんですが、いやあ人選ミスでしたねえ……」
 
省9
981: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (8/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:51 ID:TiRezyjA(9/20) AAS
「待てーっ! コラーっ! ミジー星人ーっ!」
「うわーっ! お助けーっ!」
 アスカに追われて、三人のオッサンが荷物を抱えて町中を逃げていた。
 彼らは、ミジー星人が人間に化けたミジー・ドルチェンコ、ミジー・ウドチェンコ、ミジー・カマチェンコ。そして、追っているアスカは言うに及ばずウルトラマンダイナである。
 ただ、いくら両者に因縁があるとはいっても、この広い世界で両者が鉢合わせをする可能性はそう高くはなかっただろう。しかし、ミジー星人には運悪く、この世界でアスカは過去に数名の知己を作っていた。その中のひとり、カリーヌはアスカを過去の恩人であり戦友であるとしてすぐに探し出し、もう一人、シエスタの母であるレリアは魅惑の妖精亭のスカロンと親戚だったので、三十年ぶりのつもる話を魅惑の妖精亭でしようということになり……必然的に両者は顔を突き合わせることになったのだ。
「ああっ! お前ら、ミジー星人!」
「あああああああーっ! 逃げろーっ!」
 次元を超えて巡り合った因縁の両者。しかし、アスカは都合三回もミジー星人のせいでろくでもない目に合わされ、ミジー星人も連敗が重なった経験から、顔を合わすと即追いかけっこが始まった。
「待てーっ、逃げるな!」
「うわーい! お助けー」
省6
982: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (9/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:52 ID:TiRezyjA(10/20) AAS
 四面楚歌とはまさにこのことだろう。しかし彼らはそれでも逃避行を続け、今日も昼間、なんとか追っ手をまいたミジー星人の三人組は、人気のない空き家でこそこそと夜露をしのいでいた。
「今日でもう何日目かしら。これから、どうなるのかしらねアタシたち?」
「さあねえ、でも街から外には検問で出られないし、妖精亭にも今さら帰れないしなあ。どうなるんだろう」
 不安げなカマチェンコに、ウドチェンコも疲れた声で答えた。これまで宇宙人であることを隠して何とかやってこれたのに、まさかダイナまでこっちに来るとは思わなかった。ダイナにはそう、恨まれていないほうがおかしいということをやってきたので、追いかけられるのも当然なのだが、それにしたっていつまで続くのだろうか。
 持ち出してきた食料も残り少ない。魅惑の妖精亭の温かいまかない飯が懐かしい……
「妖精亭、どうなったかしらね。宇宙人をかくまってたって、ひどいことになってなければいいけど」
 カマが、心配げに窓から夜空を見上げてつぶやいた。いまごろ、スカロンのおじさんやジェシカたちもこの空を見上げているかもしれない。
 だが、その心配は杞憂であった。魅惑の妖精亭はこれといって掣肘を受けることもなく、今日も普通に営業に精を出している。
「さーあ妖精さんたち、今日もはりきってお仕事しましょう!」
「お父さん、料理がまだ出来上がってないから、わたし厨房を手伝ってくるね」
省10
983: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (10/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:54 ID:TiRezyjA(11/20) AAS
 が、手段がなければどんな壮大な計画も絵に描いたモチロンでしかない。ドルチェンコのやる気とは反比例して、もうこのトリスタニアにミジー星人たちが安住できる場所はほとんど残っておらず、もう明日にでも捕まるのは確実と思われた。
 だが、そのとき彼らの前に、あの宇宙人が姿を現したのだ。
 
「こんばんわ、ミジー星人の皆さん。お困りのご様子ですねえ」
「うわっ! なんだ、ど、どこの宇宙人だぁ?」
 
 すっと、幽霊のように現れたその宇宙人に、ミジー星人たちは腰を抜かして部屋の隅まで後ずさってしまった。
 しかし、宇宙人は気にした様子も見せずに、堂々とミジー星人たちに向かって話し始めた。
「これは失敬。私、こういう者で、あなた方がお困りなのをたまたま見かけましてねえ。同じ宇宙人同士、お助けしてさしあげたいと声をかけさせてもらったんですよ」
 名刺を差し出しながら宇宙人はあいさつした。しかしミジー星人たちも、見ず知らずの宇宙人から助けてやると言われてすんなり信用するほど馬鹿ではない。
省12
984: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (11/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:55 ID:TiRezyjA(12/20) AAS
「どうでしょう? 適当な理由が聞きたいならいくつか言って差し上げられますが、ではどうすれば信用していただけますか?」
「フン、お前が信用できるかなんてどうでもいいわ。偉そうなことを言えるだけの力を持っているか、そこのところどうなんだ? ええ?」
「ほほお、なるほど。あなた方も侵略宇宙人のはしくれではあるようですね。ではひとつ、最近トリスタニアの人間たちが変だとは思っていませんか? 実はあれ、私がやってるんですよ」
「なに? そういえば、最近街の連中がやけに能天気になってるように見えたが……お前、なにを企んでるんだ」
「さあて、でもあなた方には別に害にはなりませんのでご安心を。それより、あなた方には時間がないのでは? 私の話に乗るもよし、ここで夜が明けたら捕まるもよし、私は別にどちらでもかまいませんがねぇ?」
「あっ、そうだった!」
 ドルチェンコはそこで、やっと自分たちが追われる身だったということを思い出した。
 慌てて円陣を組み、もう一度話し合う三人組。
 相手の言う通り、夜が明けて捜査が再開されれば捕まってしまう可能性は高い。そして捕まれば、トリスタニアの人間は以前に起こったツルク星人の大暴れの記憶から宇宙人に対して厳しく、もしかしたら死刑にされるかもしれない。
 野望とプライドに、生存本能が勝るのに時間は必要としなかった。
省10
985: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (12/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:57 ID:TiRezyjA(13/20) AAS
 以来、ミジー星人。というかドルチェンコは、このワンゼットさえ再起動させられれば、ハルケギニアを征服できるとして野望の火を絶やさずにいた。その点、アスカの危機感は正しかったことになる。
 もっとも、起動できたらの話であるが。
「コケが生え始めてますねぇ。コレ、相当長いこと放置してたみたいですね」
 宇宙人が、もはやカムフラージュせずとも森に同化しかけているワンゼットのボディを眺めて言った。
 ミジー星人たちは返す言葉もない。それはそうだ、そんな簡単に直せるんだったらデハドー星人の面子にも関わるだろう。ミジー星人も高度な科学力を持つとはいえ、工場も資材もまともに揃えられないこのハルケギニアでは機械を自作することなんて、砂漠で米を作るくらいに難しい。
 ドルチェンコは、ポケットから携帯のストラップについている人形くらいのサイズのロボットを取り出し、ぐぬぬと悔しそうにつぶやいた。
「この、超小型戦闘用メカニックモンスター・ぽちガラオンⅡさえ完成すれば、ワンゼットを再起動させられるのに。ぐぬぬぬぬぬ」
 ワンゼットは完全な自律型のロボットではなく、実はデハドー星人のアンドロイドによって操られる搭乗型のロボットなのだ。ミジー星人たちは以前、ぽちガラオンをワンゼットの内部に潜入させて暴れさせることによって、もののはずみでワンゼットのコントロール権を奪うことに成功した。つまり、もう一度ワンゼットの内部にぽちガラオンを送り込めればワンゼットを起動させられるかもしれないのだ。
 もっともその隣で、ウドチェンコとカマチェンコがひそひそと囁きあっていた。
「ほんとはワンゼットの中に、前のぽちガラオンが残ってるはずだから、コントローラーだけ作ればいいはずなんだよねえ」
省10
986: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (12/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)13:59 ID:TiRezyjA(14/20) AAS
「ウフフフ、あら素直な人ですね。でも、身の程をわきまえている人は好きですよ。では、約束してもらえますか? あなた方のウルトラマンへのリベンジには手を貸しますが、そのタイミングは私に任せてもらうとね」
「わかったわかった。あんたの言うとおりにする、だから力を貸してくれ。ほらお前たちも、このとおりだ」
「お願いします」
 ミジー星人三人組の土下座は、滑稽と言うか哀れを感じさせるものであった。しかし、その卑屈な態度は宇宙人の優越心を非常に満足させ、彼はうんうんとうなづくと言った。
「よろしい。では、あなたがたの願いをかなえてあげましょう。このロボットを、私の修理で使いやすく直してあげましょう」
「おお、できるのか!」
「もちろん、生き物をよみがえらせることもロボットを直すことも変わりありません。簡単なものですよ」
 自信たっぷりな態度は嘘ではない。ある程度以上に力を持つ宇宙人にとって、倒された怪獣やロボットを同じ区分で復活させるのは別に珍しいことではないのだ。
 怪獣は生き物で、ロボットは作り物。これらは一見するとまったく別のものに思われる。しかし、かの怪獣墓場にはどういうわけかロボットの幽霊(?)も漂っており、キングジョーやビルガモの幽霊(?)もいるという意味のわからない状況が実際に起きているのだ。
 まさに宇宙にはまだまだ謎と神秘が数多い。そして、宇宙人はワンゼットの前に立つと、ミジー星人たちに向かって告げた。
省10
987: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (14/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)14:02 ID:TiRezyjA(15/20) AAS
 おのれおのれおのれダイナ、ガラオンさえあったならお前なんて!
 ミジー星人たち三人の(八割がたドルチェンコの)怨念がパワーとなり、その力を使って宇宙人はワンゼットに復活パワーを注ぎ込む。
 まばゆい光がワンゼットを包み、その光が晴れたとき、そこには雄々しく立つワンゼットの雄姿が……なかった。
「えっ?」
「あら?」
「こ、これは」
「あれまあ」
 四者四様の驚きよう。彼らの前にそびえたっていたのは、怒り、泣き、笑いの三つの顔を持つ頭だけの巨大ロボット、そうつまり。
 
「ガラオン!?」
省10
988: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (15/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)14:04 ID:TiRezyjA(16/20) AAS
 しかし、宇宙人はミジー星人たちの”小物っぷり”を甘く見すぎていた。
「あら? あの人たちは?」
 ふと、隣を見た宇宙人はいつの間にかミジー星人の三人がいなくなっているのに気付いた。
 そして、どこに? という疑問の解消に、彼の努力は必要とされなかった。なぜなら、彼の眼前で、ガラオンが猛烈なエンジン音をとどろかせて動き出したからである。
 
「なっ! あ、あなたたち!」
 
 宇宙人は、ガラオンの起こす振動と排気ガスの勢いで吹き飛ばされかけながらも、動き出したガラオンに向かって叫んだ。
 もちろん、動かしているのはミジー星人たち三人に他ならない。
「すっごーい! エネルギーが、前のガラオンのときの何十倍もあるわ。これなら、いくら動き続けたってへっちゃらそうよ」
省15
989: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (16/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)14:07 ID:TiRezyjA(17/20) AAS
 ガラオンは土煙をあげながら、その不格好な見た目からは信じられないほどの速さで走っていく。
 まずい、このままではせっかく手間をかけて作り変えた舞台を台無しにされかねない。しかし、この宇宙人にはガラオンを力づくで止められるほどの戦闘力はなかった。
「ええい、仕方ありません! こうなったら、怪獣墓場から連れてきた星人か怪獣に止めてもらいましょう。計画が遅れてしまいますが、この際は仕方ない……ん?」
 そのとき、宇宙人のもとに、その怪獣墓場から連れてきた宇宙人のひとりからのコールが届いた。
 忙しい時に電話がかかってきたのと同じ不愉快さで、宇宙人はそのコールを無視しようかと思ったが、残っていた理性を総動員させて通話に応じることにした。
「なんですか? 今こちらは忙しいんですが……はい? なんですって」
 思念波での通信に応じて、相手の言葉を聞いたとき、宇宙人は思わず聞き返さずにはいられなかった。なぜなら、それは凶報というレベルではない問題を彼に叩きつけるものだったのだ。
「ちょっ! もう我慢できないって、怪獣墓場から連れ出してきたからまだ全然経ってないでしょう! ウルトラマンさえ倒せば文句ないだろうって、私はそういうつもりであなた方を連れ出したわけではって……切りやがりましたね!」
 一方的に通話を切られ、宇宙人は言葉遣いを荒げながら地団太を踏んだがどうしようもなかった。
 まったく、よりにもよってこんなときに。怪獣墓場で眠っていた怪獣や宇宙人の中から、ウルトラ戦士に恨みを持っていて、比較的実力のあるものを連れてきたつもりだったが、こんなに早く勝手な行動を起こすものが出るとは思わなかった。
省9
990: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (17/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)14:09 ID:TiRezyjA(18/20) AAS
 が、そんな平和な朝も、トリスタニア全域に伝わる馬鹿でかい足音によって中断を余儀なくされた。
「うわっはっは! 出てこいウルトラマンダイナーっ!」
 猛進するガラオンがトリスタニアの大通りを驀進する。トリスタニアの通りは、怪獣が現れたときに備えてかなり広く作り直されているのは以前に述べたとおりだが、それでもガラオンほどの巨体が走り回る轟音は、どんな寝坊助も夢の国から引きずり出して窓を開けて外を見させるパワーを秘めていた。
「なっ、なんだありゃ!」
 トリスタニアの市民たちは、貴族、平民をとらずにあっけにとられた。
 そりゃそうだ、街中を怪獣とさえ呼べないような奇妙奇天烈な物体が驀進していく。早朝なので大通りにはほとんど人通りはなく、引かれる人間はいなかったものの、ガラオンは早くもトリスタニア全体の注目を浴びていた。
 唯一、魅惑の妖精亭でだけはジェシカやスカロンがため息をついている。
「ドルちゃんたち、ほんとに困った人たちなんだから」
 しかし、呆然とする一般人とは別に、軍隊は怪獣らしきもの出現の報を受けて動き始め、そしてミジー星人たちのお目当てであるダイナことアスカも、カリーヌに借りているチクトンネ街の仮宿でベッドから叩き出されていた。
「あいつら、またあんなもん出してきやがって」
省14
991: ウルトラ5番目の使い魔 62話 (18/18)◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)14:10 ID:TiRezyjA(19/20) AAS
 しかし、そのときであった。ガラオンが突進の勢いのままに、そいつの真正面に飛び出してきたのである。
 
「うわわわわわ! ぶつかるぶつかる! ブレーキ、ブレーキッ!」
 
 ドルチェンコが悲鳴をあげ、ガラオンはキキーッと音を鳴らしながら急ブレーキをかけた。
 減速し、地面をひっかきながらガラオンはそいつの寸前で停止した。
 そして……
 
「……?」
「……?」
省10
992: ウルトラ5番目の使い魔 あとがき◆213pT8BiCc 2017/08/10(木)14:17 ID:TiRezyjA(20/20) AAS
今回は以上です。
始まったばかりでこの始末☆はてさてこの先どうなりますことやら
993: 2017/08/10(木)15:57 ID:vrpbj.56(1) AAS
ウルトラ乙

>「君の修理のおかげで使いやすくしてくれてありがとう」
∀?
994: ウルトラマンゼロの使い魔◆5i.kSdufLc 2017/08/14(月)13:54 ID:tnRMCI/M(1) AAS
新しい投下スレ立てました。

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したらばスレ:otaku_9616
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