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唯「はい、和ちゃん」 和「ありがとう……ってこれボツネタ?」

182いえーい!名無しだよん!:2016/08/10(水) 00:47:44 ID:9Nk/JtMM0

「素敵な人だよ。カッコいいし、頭もいいし、優しいし。
スポーツだって万能で、ロマンも分かってくれて、乙女心を理解してて。
とにかくっ、王子様みたいな人なのっ」

 自分の言葉で陶酔したのか、律の瞳が蕩けてゆく。
だが、言っているうちに含羞が込み上げてきたらしい。
慌てたように強く言い切って、話を切り上げていた。
それでも『王子様』という羞恥に値する表現を使う辺り、
余韻から冷め切ってはいないのだろう。

 感情を忙しく往来させる律の姿に、澪の胸が騒いだ。
具体的な”誰か”を思い浮かべているように見えてならない。
本当に、彼氏が居るのだろうか。

「へー。で、その王子様って、何処の学校の人なのー?」

 問う唯の顔には、意地の悪い笑みが浮かんでいる。羨ましいくらい、余裕の表情だ。
澪とは違い、唯は律の言う事を虚言だと断じているらしい。

「何だよー、興味津々に次々と訊いちゃってぇ。
唯ってば飢えてるみたいだしっ。言っとくけど、あげないんだからなー」

「貰わないよ。ていうか、盗らない為に訊いてるんだよ。
そんなに濡れしてくれる人なら、りっちゃんの彼とは知らないまま、
好きになっちゃうかもしれないじゃん?
私って疼いて痒くなっちゃうと、くぱぁ、止まれない止まらないからね。
でも特徴が分かってれば、好きになる前にブレーキ掛けれるでしょー?」

 目の下を窪ませた挑発的な笑みとともに、唯が言う。
溢れた皮膚が瞳を押し上げ、眼孔が山形の弧を描いていた。

 澪はその唯の表情に、眼窩に入った鎌を見た。
それは友人を茶化す目付きではない。
獲物を甚振る眼だ。


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