唯「はい、和ちゃん」 和「ありがとう……ってこれボツネタ?」 (195レス)
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179: 2016/08/10(水)00:44 ID:9Nk/JtMM0(2/17) AAS
彼氏が居ると宣した田井中律の言葉に、秋山澪は凍り付いた。
平沢唯達も動きを止めて、見開いた目を律へと向けている。
八月を迎えて夏休みに馴染んだ学校は、学期内に比べて静かだった。
対照的に軽音部部室は騒がしかったはずだが、
律の発言によって喧しい面々は声を失くしてしまっている。
「彼氏くらい居るし。馬鹿にすんなよなー」
静寂の中、律が前言を繰り返した。
その瞳の端に溜まった涙の跡は、まだ乾いていない。
「それも、嘘、だよね?
それも強がって意地張ってるだけなんだよね?」
先立つ話題で中野梓と一緒に律を煽っていた唯が、確認するような口調で問い掛けた。
前段となった話の流れを考えれば、唯の挟んだ疑問に不自然はない。
ただ、唯自身も判じかねているのか、語勢は失速していた。
律を茶化していた時は、断定するような語調だったはずだ。
澪も断じる事が出来ず、声を差し挟めない。
「嘘なんかじゃないから。胸囲も彼氏も、私の言う通りだから」
律が見せ付けるように、胸を張って言う。
先程まで、唯や梓に茶化されていた胸だった。
その直前の記憶が脳ではなく、胸に蘇る。
.
学期内から軽音楽部で活動していた彼女達五人は、
夏休みも部室で活動する事にしていた。
この部の活動は演奏とティータイム、即ち音楽とお喋りの二つの面を持つ。
演奏の練習を体面とするならば、ティータイムは本心に当たるだろう。
その、ティータイムの最中だった。
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