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第二汎用スレ

2293ニクス ◆/yjHQy.odQ:2018/07/30(月) 03:47:39 ID:1L6.qcoY
>>2291>>2292

「喜んでもらえるなら何よりだ」

軽い笑みで返す青年。
立ち上がるときも、明らかに音を立てないような慎重な姿勢と挙動。
二人の言葉と、促すようなキョウの対応に力強く頷いた。

「わかった。哨戒は任せる」

「その様子だとこの街での戦闘経験もありそうだ、万が一の時は頼らせてもらう」

「このなりでわかると思うが……俺は駆け出しもいいところだ。もし有効に扱えるアイテムが有るなら言って欲しい、貸与しよう」

火筒、煙幕、投げナイフ、簡易の呪い避け。
その他基本ポーションの濃縮ボトル……戦闘時の緊急延命用だ……などなど、ごくごく初歩的なものばかりであった。



「では、付いてきてくれ、この部屋を出てすぐ右の裏口から…………」



――そう、ニクスが続けながら、部屋の壊れた扉から踏み出そうとした、そのとき。
ニクスの腹部に凹みが浮かび、明らかに一歩踏み出そうとした彼を押し留めた。
それは横にした棒でつっかえたような痕。
よろめいたニクスは、二、三歩後方に歩んでから、ハッと前を見た。


もしヘルメスの探知が何かしら広域に展開しているなら、【それ】はニクスの挙動以前に発見できただろう。
【それ】は遥か遠方に現れながらも、エストに混ざる獣の血に警鐘を鳴らすに足る驚異を秘めていた。
そして、キョウ他全員、今王都の外にいる全ての存在に、【それ】は聞こえるほどの轟音と振動を以て、この地へ出現した。

「――――!!!」

虚空、見えない何かを穿ち抜き崩しながら現れたような轟音。
堅牢な城塞が崩壊する真只中のような響きは、十数秒ほど続いた。
直後に、地震。
ホコリまみれの棚からいくつかの調度品が落ち、割れた窓ガラスがますますひび割れ、床がきしむ。
そんな降って湧いたような天変地異の後……

ピタリと、それは止んで、何事もなかったように光源魔術の影がふわりと揺れた。


「……アルカンシエル……【通過】のタイミングだったのか」

「もしいち早く外に出ていたら……いや、通過なら問題はないと思いたいが、しかし……」

「……済まない、説明は後だ。とにかく先程の異変が俺たちに害をなすことはない、安心してくれ」

「右の裏口から外に出て、通用路から武具屋の方に移ろうと思う。何かいるとしたらその辺りだ、警戒を頼む」

「行こう。【巣】が俺たちを待っている」




「……俺は、何につっかえたんだろうか……?」


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