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長編SS投下用スレッド

103『諦念と執念』:2013/08/16(金) 11:39:51
学校での嫌がらせは確実に減りつつあるが、俺は別の問題に直面していた。それは。
「あんた、今度の土曜付き合いなさいよ。」
諸悪の根元たる団長様からの御達し。最も今は俺は無関係だけに言う事を聞く筋合いもないんだがな。
「お前が何を言いたいか、さっぱりだ。予定を話すなら、その日は佐々木と約束がある。よって参加は不可能だ。」
こう言っておけば、追求も来ないだろう。涼宮にしても、わざわざこうした面倒は避けたいだろうしな。
だが、この日の涼宮は違った。
「佐々木さんも一緒に来れば、何の問題もないわ。」
…一瞬、耳を疑った。少し参加しないうちに、随分とオープンになったんだな、SOS団は。
「断わる。お前と違って凡人たる俺は、これまでの学習の遅れを取り戻すのに必死なんだ。佐々木の教えのお蔭で、何とか成績が上昇しつつあるが、この流れを今更変えたいとは思わん。」
「お勉強、ねぇ。」
涼宮は溜息をついた。
「嘘つき。」
そう言うと涼宮は去って行った。一言、最近仲良くなっている阪中さんに今日は早退する、と伝えて。
勝手な奴だ。まだ巻き込み足りんか。あいつの辞書に満足という文字はないのだろう。
昼休み、屋上に行く途中。俺はまたぞろ久々の男に声をかけられた。
「お久しぶりです。」
大仰に溜息をつき、俺はそいつを無視しながら屋上へ向かった。そいつは後をつけてきたが、知った事でない。
涼宮絡みや、これまでの恨みつらみなら殴られてもいいが、過去の出来事ならともかく、今現在お前らと関わりたくねぇんだよ。
屋上はタバコを喫っている奴や、俺みたいに居場所のない奴が数人いた。こうした場所にいた事がある奴ならば分かるだろうが、こうした場所にいる連中には一種の連帯感がある。
ホームレスや不良が何故群れるか、という話だろう。所詮、人は一人でいるわけではないのだ。
声を掛けるわけでもなく、お互いに目配せをして終わるはずだった屋上は、異分子の登場に一気に非好意的な雰囲気となった。
イレギュラーの場所には、必ずイレギュラーがいる。類は友を呼ぶといっていい。別に孤高を気取る積りもなく、単に弾かれた者が集まり、身を寄せ合っているだけだが。
タバコを喫っていた奴が、こっちに向かって来る。どうやら古泉を排除にかかろうとしているようだ。
俺は古泉を無理矢理踊り場に連れて行き、後で話を聞くと伝えた。古泉は不承不承ながら納得し、階下へ行き…
屋上は何時もの静けさを取り戻した。タバコを喫っていた奴は、再度タバコに火をつけ、他の奴らは空を見上げたりグラウンドを見たり。
俺も潰れたパンを取り出し、口に含む。…どうやら、本当にここの住民として周りには認識されているらしいな。今更変えたいとは思わんが。
吹き溜まりにろくでなしが集まっているだけだ。その程度の話だ。
タバコを喫ってみたくて一度タバコを喫ってみたが、佐々木に怒られたのでタバコは止めた。大概には俺も主体性のない奴だな、全く。


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