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104: 『諦念と執念』 2013/08/17(土)03:50 AAS
最近、タバコを喫ってみた。
行動だけを真似て大人になれるわけでないが、ただのポーズとしては良いかと思い、喫ってみたが…あんなもの、よく喫えるものだ。
記憶にあった父のタバコ…エコーとやらを喫ってみたら、頭は痛くなるわ噎せるわ息は臭くなるわで、それこそ百害あって一理もなかった。その帰りにキョンがタバコを喫っていたのを見て取り上げて暫く説教をした。
ポーズを真似てもどうしようもない、と最もらしい理由を言い、タバコを取り上げて捨ててやった。我ながら身勝手だとは思うが、やはりあんな臭いを身に纏うのは堪忍願いたい。
…喫煙の効能は分かるが、臭いがダメだ。私には堪えられない。学内にある吸殻を見て溜息をつく。
進学校故に、皆ストレスがあるんだろうな。そう思い私は地面にあった吸殻を足で踏み躙り、地面に埋めた。
「…佐々木さんってタバコなんて喫ってたんだ?」
唐突に声をかけられ、私は後ろを向いた。そこにいたのは…
「涼宮さんか。驚かせないで。」
涼宮さんだった。
「持ってるなら、あたしにも頂戴。タバコってストレス発散にもなるんでしょ?」
「生憎と喫煙者ではなくてね。一度好奇心で喫煙したけど、気分わるくなっただけだったわ。」
涼宮さんは思い切り鼻白むとガムを噛む。私は近くにある自販機でジュースを買った。
「キョンと付き合ってるの?」
「…あれを付き合っていると呼べるなら、付き合っているんじゃない?ファジーなのよ。キョンに聞いても同じじゃないかしら。」
少なくとも、男女の仲ではあるが付き合っているわけではない。言葉悪く言えばセフレのようなもの。執着してきた彼の言うよう、爛れた関係だと言える。
「…セフレ?」
涼宮さんの言葉に、飲んでいたジュースを思い切り吹き出してしまった。
「…何でまたそんな直球に…」
涼宮さんは、とある情報筋だと言ったが…国木田くんあたりかしら?となれば中学の皆に知れ渡っていても不思議でない。一々否定するのも馬鹿馬鹿しい話ではあるが、肯定するのもどうかという話だ。
「セフレ…ねえ。」
強ち間違ってもいない関係だけに答えづらい。何より彼女に言質を取られてキョンの更なる迫害になっては目も当てられない。
「…あなたがそう思うなら、きっとそうなんじゃないかしら?」
お茶を濁して逃げようとした私だったけど、涼宮さんは私を真剣な表情で見詰めている。
「…どちらを答えても、キョンへの迫害の可能性がある以上、答えられない。そう思っているなら、正解は言ったも同然になるわよ佐々木さん。」
…鋭い。どうしてまたこんな聡明な人が下らないイジメなどやるのだろうか。対外的には傍迷惑な奇行癖の持ち主でしかないのだろうが、洞察力や観察力は人並み以上。それは能力喪失後も変わらないらしい。
「(でないと、自らがイジメの的になるだろうしね。)」
世の不条理を感じるが、それも彼女の資質のひとつだろう。だが。
「答えられない。それが答え。否定も肯定もしないわ。」
私は涼宮さんの目を見て言った。
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