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F世界との交流その6

20reden:2013/02/07(木) 18:34:11 ID:8aRvpqr.0
では、次話投下します。






1941年9月17日
モラヴィア王国 王都キュリロス 東部城壁



 
 モラヴィア王都キュリロス。
 その東側城壁を守備していたのは、叛乱軍側に寝返った王都守備軍の大隊に軽武装の衛視隊を加えた2000名程度の混成部隊だった。
 小規模の砦や城塞都市の警備ならば問題のない兵数と言えるが、人口90万、城壁の直径70平方kmに達する大都市の側面防御を担うには到底足りぬ。
 もとより、叛乱軍が城壁を占拠した目的は、王都全域に張り巡らされた結界とともに王国政府と外部の通信・伝令を物理的に遮断するためであり、それ以上のものではなかった。
 モラヴィア魔道軍の主力は対ソ国境付近に張り付けられており、王都近辺に残された僅かな予備戦力を決起部隊によって撃破してしまえば、叛乱軍側にとって目的の妨げとなるような障害はなくなる。
 言ってみれば、王都の内側に向けて監視の目を光らせるのが目的であり、王都の外から―――しかも空挺降下によって、万単位の大軍が目と鼻の先に突如送り込まれてくるなど想像の埒外であった。
 只でさえ数の少ない兵力は、王都からの脱出を図る講和派を警戒して小部隊ごとに城壁上の望楼へと散っており、敵機襲来を受けて彼らが防御施設へと配置に着く前に、ソ連側の攻撃が始まってしまった。
 
 ソ連赤軍のうち、真っ先に戦闘を開始したのは都市外に降り立った主力ではなく、城址内へ降下した中隊規模の先遣部隊だった。
 防禦結界が展開される暇もなく、城門の内側に降下した落下傘兵によって迫撃砲が門扉へ、衛視隊屯所へと撃ち込まれ、たちまちのうちに城門周辺は混戦状態となる。
 城門の内側に降下したソ連兵はせいぜい中隊規模と少数であり、兵数的にはモラヴィア側が勝っていたが、その半ばは剣や槍で武装しただけの衛視隊であり、しかも広域に分散していた。
 慌てて駆けつけてきた少数の魔術師たちが火炎弾、魔力弾で応戦し、数人を吹き飛ばしたが、たちまち短機関銃の掃射を受けて薙ぎ倒されてしまった。

「ええい、狼狽えるな!侵入した敵は寡兵だ、四方から押し包んで塵殺せよ!」

 叛乱軍指揮官の怒声に近い命令が飛び、守備兵たちは数の優位を頼みに四方から侵入者たちを取り囲むように動くと、槍の穂先をそろえて一斉に突きかかり、城壁の上からは配置についた弓箭兵の矢が降り注ぐ。
 不意を打たれたとはいえ、見通しの良い城壁上に陣取った弓兵たちからは地上の落下傘兵を好きなように狙い撃ちにできるうえ、準備さえ整えば防御塔の魔道槍をはじめとした対軍用の魔道兵器による援護も期待できる。
 たちまち数人が矢衾に射抜かれて地に倒れる。
 一方の赤軍も負けておらず、地上からの応射を加える一方で、事前情報をもとに城門の防御施設を制圧すべく一斉に動き出した。
 使用する武器の威力において、ソ連兵のそれは守備軍を圧倒しており、寡兵にもかかわらず優位に戦闘を進めていくが、モラヴィア側もただやられているばかりではない。
 城門の防御施設という強固な【トーチカ】を有し、弓兵にしても見晴らしの良い城壁上から矢を撃ち下せば脅威となる。
 ましてや、赤軍将兵が身に着けている軍服は、防御力という点でこの世界の甲冑より遥かに劣るのだ。
 自軍に数倍する損害を敵に与えながらも城門上からの矢衾と魔術師による攻撃でだんだんと討ち減らされていく赤軍だったが、それも迫撃砲の榴弾によって門扉が破壊されたことで形勢逆転した。
 十分な数の結界魔術師を配し、結界防御が万全に行われていたならば重砲の破甲榴弾すら防いでのけるモラヴィア式城塞も、肝心の結界がなくては本来の防御力を発揮することはできない。
 防禦結界の展開も成されていなかった門扉は完全に破壊され、そこから城外の空挺軍主力が雪崩れ込むと、形勢は一気にソ連側に傾いた。
 破られた城門から城址へと乱入したソ連空挺部隊は、小隊ごとに素早く分かれると城址内へ突入し、この世界の歩兵の基準からすれば異常というしかない手際の良さで次々と防御施設を無力化していく。


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