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469: 五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(10/20) 2012/08/22(水)06:27 AAS
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緑、赤、褐の三色が風のごとく木々の間を駆け抜け、
地面の落ち葉に踏み跡を残す。
ふと、先頭を走る緑の人影が立ち止まる。
残りの二人は一瞬飛び越えるが、すぐ地面に釘を刺したようにピタッと止まる。
「二人とも、隠れて」
緑の少女が小声で呟くと、赤と褐色は音も無く幹を登って気配を消す。
森奥からシュルシュルと草葉の掠れ音が近付く。
二匹の暗緑色のスライムが現われ、体中央にある目玉を輝かせる。
それを応えるかのように、少女の服の胸元にある妖眼も淡く光る。
「こちらに敵はいないわ。あなた達はあっちへ行って見張りなさい」
「「シュルルル」」
スライムは躯体をうねらせ、指示された方向へのろのろと移動した。
妖気が完全に遠のいてから、少女はほっと息をつく。
「もう大丈夫です」
「ハラハラするぜ。あいつらは何考えてるかまったく分からないし。
翠を襲ったりしないのか?」
「はい……私が心の中で念じれば、彼らには意思が伝わるみたいです」
木の後ろから出てきた灯に対し、翠はやや答えづらそうに顔を俯いた。
途中で何度かこうして妖眼蟲と遭遇したが、その度に翠が出てやり過ごした。
その不思議な光景に灯は驚くばかりでいた。
一方、睦美の考え方は堅実だった。
「識別信号みたいなものなのか。あの植物型以外の蟲にも通じるか?
以前私達が戦った金色のやつとか」
「あれは鈴華ちゃんの直属だから、私を敵とは認識しないだけで、
直接指示を下せるのは鈴華ちゃんだけだと思います」
翠は顔を赤らめ、「もうすぐ着くはずです」と再び先頭をとった。
森を抜ける道中、睦美と灯はむず痒いような、複雑な気持ちになった。
今の翠は、妖魔の寄生スーツを身にまとっている。
正義を象徴する五行戦隊の霊服と違い、
それは女性をより淫らに見せるための造形だった。
邪悪を示す妖力以外にも、翠の肢体から絶えず芳ばしい香りが漂う。
それは決してアロマなど上品なものではなく、
メスがオスを誘うときに放つ淫らな匂いであった。
そして翠自身は抑制しているものの、
彼女の仕草には無意識のうちに官能的な情緒が溢れ、淫花のように美しかった。
人一倍気配りな翠には、自分の身に起きている変化は当然気付いているはず。
それでも睦美と灯に心配をかけまいと、恥ずかしさをこらえて道案内を先導する。
その心内を思うと、睦美も灯もやるせなかった。
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