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第8回電撃short3

22みーちゃん:3/3:2003/05/02(金) 03:06
「おばさん、警察に電話を! 美樹ちゃんがいなくなっちゃったんです!」
 玄関に出てきたおばさんはぼんやりと私を見つめ、怪訝そうに口を開く。
「――美樹がどうかしました?」
「だから、いなくなっちゃんです、ちょっと目を離した隙に!」
「でも、美樹は……」
 なぜ話が通じないのだろうと、じれったく靴を脱いで家に上がろうとした瞬間、不意に私は気がついた。ああ、そうか、美樹ちゃんは……
「……あ、いえ、何でもないです。すいません、突然、変なことを言い出したりして」
「いいえ――それより良かったら、夕食を食べていかない? あの子も喜ぶだろうし」
 おばさんがそっと目を伏せて勧める。私は黙って頷き、家にあがった。
 台所に行く前に六畳の和室に寄る。室内の簡素な仏壇の前には、赤いランドセルがぽつんと置かれていた。入学式の前の日、ようやく届いたランドセルを背負った美樹ちゃんは、嬉しさのあまり周りも見ずに道路へ飛び出していったのだと、おじさんは言っていた。あれからもう二週間も経ったんだな……。
――美樹ちゃんは本当に学校へ行きたかったんだね
 線香をあげ、私は無邪気な笑顔のままの美樹ちゃんの遺影に軽く手を合わせる。
――……ひょっとしたら、落ち込んでいた私を励ましに来てくれたのかな? 
 遺影の中の美樹ちゃんは無邪気な顔で微笑んでいた。
 私は手の中の土筆を、そっとランドセルの上に供えた。


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