第8回電撃short3 (117レス)
1-

10: 難民358の作品その1 2003/05/02(金)01:52 AAS
 合格通知が来ていたので、入学手続きにいくと「あんたの名前はありません」と言われた。
どうやら、あの合格通知は誰かが仕組んだドッキリカメラだったようだ。
 そう考えてみれば、不審な通知だった。外は普通の長四茶封筒だったし、中にはインクジェ
ットプリンタで出力したみたいな紙が一枚。消印はうちの町内にある郵便局のだった。でも、
初めてだったからそういうもんだと思ってた。
 くそー、だまされた。
 俺はさっそく、ドッキリを仕掛けた奴に復讐することにした。犯人の目星は付いている。
俺より先に不合格が決まっていたノブアキ、こいつに間違いない。
 早速殺しに行った。俺の将来を台無しにしたんだから、殺されても仕方がない。俺は
バイト帰りのノブアキを暗い夜道で襲撃した。
省1
11: 難民358の作品その2 2003/05/02(金)01:52 AAS
 ノブアキはばれたことに驚いて抵抗したが、ノブアキ殺戮マシンを持っていた
俺の敵ではなかった。
「よくも偽者でぬか喜びさせてくれたな! 死ね!」
 ノブアキは最期まで自分の罪を認めなかった。
「助けてくれ!」と俺の足元に跪いて懇願するノブアキに止めを刺した後、俺は
考えた。ひょっとしたら本当に人違いだったのかもしれない。だとしたら、ノブア
キにはかわいそうな事をした。
 俺はハタと気付いた。
 そうだ。あいつだ。あいつが犯人だ!
 あいつとは前に付き合っていた彼女で、名前をつくしと言う。俺にふられた事を
省5
12: 難民358の作品その3 2003/05/02(金)01:53 AAS
「あんた誰よ!」
 最初の一撃を避けてつくしが叫ぶ。
「俺を忘れたのか!」
「あんたなんか知らない」
 つくしは俺が手にしたマシンを見て顔を引きつらせた。いい気分だ。俺は新しい男ごと
つくしをめった裂きにした。つくしは泣いて許しを請ったがもちろん許さない。
「おまえが送ってきた偽者の合格通知で、俺の人生はめちゃくちゃだ!」
「知らない、知らない、知らない!」
「うるせえ! 死ね!」
 新しい男も戦いに加わり、戦闘は激しさを増したが、俺はついに二人を成敗した。
省18
13: 難民381の作品その1 2003/05/02(金)01:53 AAS
 窓際から見える学生服の人達が羨ましい。 
 僕もあの事故がなければきっと今頃はあそこで友達と話し合っていたんだ。そう思うと何処か寂しい気持ちになってしまうのがわかった。
 入学式前日の事故。僕の人生はそこから変わっていったんだ。コンビニへ買い物に行った帰りに、信号を無視した僕はトラックに跳ねられた。
跳ねられ、蹲っていたその時は痛い、というよりも怖い気持ちが強かった。このまま死ぬのだろうか、もう一生誰とも口をきくことは出来ないのだろうか。自分でも不思議だけれどあの一瞬で
たくさんの事が頭に思い浮かんできたんだ。
 運転手がすぐに救急車を呼んでくれたおかげで一命は取り留めたけれど、代わりに僕は自由を奪われた。
足が麻痺して、歩くことができなくなったのだ。事故は自分の責任。それに、足が動かなくなった事も自分の責任だ。だから、込み上げてくる怒りは何処にもぶつけることが出来なかった。
数日たつと、その怒りさえ麻痺してきた。怒りが麻痺すれば、妬みが起こる。窓際から見える学生服を着こんだ彼らを殺したい、と思った事さえあった。
「春樹、大丈夫だよ。きっと足は動くようになる。お医者さんも言ってたでしょ? 動く確率は0%じゃないって」
 お母さんが毎日のように言うその言葉が胸に痛い。
省2
14: 難民381の作品その2 2003/05/02(金)01:54 AAS
寝室の中で一人になると僕はいつも春の陽気に誘われるように眠りにつく。夢の中の僕は二本の足で歩くことが出来るから。
夢に入ると僕はいつも一面の平野を歩いている。いつも同じ風景。緑色の草花が子犬がえさをもらう時と同じで必死に訴えかけるようにして日光を欲しがっている。
たまたま、その日の僕は平野に座り込んだ。ふと、見下げるとお尻の近くにつくしが生えている。そのつくしは口を持っていて僕に喋りかけてきた。
「君はいつもなにもしようとはしないね」
 僕はつくしが話している事よりもつくしが話した事に驚いた。
「だって、仕方ないじゃないか。なにもしようとしないんじゃない。出来ないんだもの」
 咄嗟にそう言ったのはつくしが僕を見下しているように思えたからだ。
「それは甘えだよ。足が動かなければ何も出来ないなんて本当に思っているの? 足が動かなくても必死で何かをしようとしている人はたくさんいるよ?」
「でも、僕はまだ子供なんだ。だいたい、君だってそこで土に植えられているだけじゃないか」
 僕の声は大きくなっていた。
省7
15: 難民381の作品その3 2003/05/02(金)01:54 AAS
 そこで、僕の夢は覚めた。
 おもむろに、窓の近くに置かれている棚を見れば、そこには花瓶がおいてあり中学時代の友人達から一本のつくしが送られていた。
 花瓶の横に手紙が置いてあり、その中には『春樹とはずっと友達でいたいから、今日からはいつもお見舞いにきます。だから、春樹も頑張れよ』
と、書かれてあった。
 その日から、僕はリハビリを初め、今もこうして努力を続けている。
 全ての人間には努力の終わりがなく、キリがない。だからこそ、必死で生きて栄光を勝ち取ろうとするんだ。
 僕も栄光を勝ち取る日まではきっと全てを諦めないでがんばり続けると思う。窓際から見える彼らにも生きていくことはすばらしい事なんだよ、と伝えたいな。
 

           終わり。
16
(1): 難民387の作品その1 2003/05/02(金)01:55 AAS
コメント:ラノベとは違う作法で書いてみた。

桜の木々はこの街に分散して存在しているけど
僕達の卒業式の当日であり、桜の開花予想日のど真ん中の今日は
街中が一本の桜みたいで、校門から見渡す僕の学校は
さすが地域一番の桜の名所と感嘆するしかない風景だった。
ポカンと開けている口に桜の花びらが入ってきた。

窓の外は真っ白な陽光に桜吹雪が眩しいかったけど
この美術室は、卒業式の喧騒から切り離された沈黙と
直射日光を遮断した上質な暗闇を保っていた。
僕は空のイーゼルを前に坐り、そんな美術室の油絵の具の空気を満喫していた。
省8
17
(1): 難民387の作品その2 2003/05/02(金)01:55 AAS
誰かがドアを開けて、辛気臭い美術室に進入してくる。
「私はオーストラリアへ行くわ」
この脈絡ない登場の仕方と話し方はアオイ先輩(僕と同級生なのに先輩と言われている子)だ。
「はぁ?」
「自慢の英語力を駆使して、豪州で一旗あげるってわけ」
勝利者の笑みといったものを浮かべたまま、黒板に一番近い窓を開けて、風を浴びた。
「意味がわかりませんよ……、なんつぅーか日本から、東京から逃げるんですか?」
「そこんとか勘違いするのがお子ちゃまだって言うの、こういう場合は戦略的撤退」
彼女は窓の外の春風に掻き乱される薄く染めた髪を手で押さえた。
「で、どの分野で成功するですか?」
省13
18: イラストに騙された名無しさん 2003/05/02(金)02:03 AAS
>>4-17
これで全部だよね。乙〜!
19: イラストに騙された名無しさん 2003/05/02(金)02:09 AAS
387は序盤が冗長だと思った。いらない描写が多いんじゃないかな。
でも先輩が登場してからは雰囲気が出て、かなりいい感じになった。
会話が切なくてほろ苦くて、清々しい泣きがあったよ。
ただ、ラストはオチてるのかオチてないのかよくわからなくて残念。
来客用のスリッパっていう小道具は、オチに持ってくるにはちょっと弱い気がするし。
20
(2): みーちゃん:1/3 2003/05/02(金)03:04 AAS
 空には、朧に月がかかっていた。
「――え、なに、美樹ちゃん?」
 どうやらぼんやりしていたらしい。慌てて私は、握った手をぐいぐいと引っ張る従妹の美樹ちゃんに尋ねた。黄色い帽子にランドセルを背負った美樹ちゃんは、
「みーちゃん、さっきからなんども、おねえちゃん、ありがとーっていってたのー!」
と、あどけない顔を膨らませる。
「ごめん、ごめん……いえいえ、どういたしまして」
 そうなだめながら、私は思い返す。ああ、そうか、さっきまで美樹ちゃんにつきあって公園で土筆を探していたんだっけ……?
 夜道を照らす外灯がぼんやりとした輪を作っていた。猫のさかり声が遠くの屋根から響いて聞こえ、シチューの香りがどこからともなく漂ってくる。
「みーちゃん、つくしさんをあした、みんなに見せるのー! つっくしさーん、つっくしさーん、なんじゃーらほーい♪」
 美樹ちゃんはすぐ機嫌を直し、腕をぶんぶん振りながら、童謡の節を借りて元気良く歌い始める。
省3
21
(1): みーちゃん:2/3 2003/05/02(金)03:05 AAS
「――美樹ちゃんは、学校へ行くの、楽しい?」
「おねえちゃんはがっこうへ行くの、たのしくないの?」
 不思議そうに問い返され、私は言葉に詰まった。実はこの頃、色々な事がありすぎて少し人間不信となり、学校へ行くのが嫌で嫌でたまらなかったのだ。それが口調に出てしまったらしい。美樹ちゃんは心配そうな顔をして見上げてくる。
「そんなことないよ。今日はちょっと疲れているけど、いつもはとても楽しいよ」
 私は慌てて微笑を作った。いくら私が嫌でも、小学校に上がったばかりの美樹ちゃんにまで不安にさせる必要はない。
「よかったー! つくし、つくし、つくしー! つくしーをたべーるとー♪」
 美樹ちゃんはにっこり笑って、また元気に歌い出した。
 その楽しそうな顔に、だんだん私の気持ちまで明るくなってくるようだった。そう言えば、私にもこんな頃があったっけ……あの頃は毎日が楽しくて仕方なかったような気がする。いつからかな、小さなことにもすぐ幻滅して、何もかもが嫌になってしまう癖がついたのは? 本当に、ほんのちょっとした、些細なすれ違いなのにね……

 気がつくと、朧月を見ていた。ぼんやりした外灯、手の中には摘んだばかりの土筆。見回しても何もかもがそのままで、ただ美樹ちゃんだけがいなかった。
「……美樹ちゃん? ……美樹ちゃんっ!?」
省1
22
(1): みーちゃん:3/3 2003/05/02(金)03:06 AAS
「おばさん、警察に電話を! 美樹ちゃんがいなくなっちゃったんです!」
 玄関に出てきたおばさんはぼんやりと私を見つめ、怪訝そうに口を開く。
「――美樹がどうかしました?」
「だから、いなくなっちゃんです、ちょっと目を離した隙に!」
「でも、美樹は……」
 なぜ話が通じないのだろうと、じれったく靴を脱いで家に上がろうとした瞬間、不意に私は気がついた。ああ、そうか、美樹ちゃんは……
「……あ、いえ、何でもないです。すいません、突然、変なことを言い出したりして」
「いいえ――それより良かったら、夕食を食べていかない? あの子も喜ぶだろうし」
 おばさんがそっと目を伏せて勧める。私は黙って頷き、家にあがった。
 台所に行く前に六畳の和室に寄る。室内の簡素な仏壇の前には、赤いランドセルがぽつんと置かれていた。入学式の前の日、ようやく届いたランドセルを背負った美樹ちゃんは、嬉しさのあまり周りも見ずに道路へ飛び出していったのだと、おじさんは言っていた。あれからもう二週間も経ったんだな……。
省5
23: イラストに騙された名無しさん 2003/05/02(金)03:18 AAS
一本書いてみたので、添削をお願いしますm(__)m

ちょっと……を使い過ぎたかなあと気になっているんですが、うざったいでしょうか?
24: イラストに騙された名無しさん 2003/05/02(金)07:55 AAS
とりあえず、この中で何を決めるのか知りたいんだけど。
25
(1): イラストに騙された名無しさん 2003/05/02(金)16:44 AAS
>>323
避難板にレスがついているので簡潔に…。
不思議な雰囲気があった。これは作者の財産とおもわれ。
ただ、ラストに行くほど雑な印象を受けた。
>>344
一人の会話で話が進むが、ショート作品なのでありと思った。
しかし、話全体に絞込みの甘さのような雰囲気が漂っている。
プロット段階で練ったらいい作品になると思った。
>>358
3人も殺したと妄想しながら実際に殺したのは一人?
省26
26: 381 2003/05/02(金)17:13 AAS
ぬあ、漏れの作品読んでくれてありがとうございました。
後に出てきた作品がすごくよかったんで、少し出したの後悔してた所でした(藁
27
(6): 1/3 2003/05/02(金)20:27 AAS
便乗してさらしてみます。
 
 早々に大学への入学も決まり受験勉強も終わって、僕の前には膨大な時間が広がってい
る。友人たちの多くはまだ受験戦争の真っ只中にいて、僕にだけ時間があった。
 誰も遊びに誘うことができず、かといって家でだらだら過ごすのも今の僕には耐えがた
かった。理由は簡単だ。半年前、まだ十歳の弟が交通事故で死に、両親は抜け殻のように
なっているのだ。家の空気は鉛より重くなっている。あんなところで一日過ごしていたら、
きっと僕は窒息してしまう。
 無論僕だって、弟の死にショックを受けていないわけではない。しかし両親と僕とでは、
悲しみの表し方が違うようだ。僕は両親のように、そこまで悲しみに打ち沈んで、精神を
省15
28
(1): 2/3 2003/05/02(金)20:28 AAS
 年の離れた弟を、僕は疎ましく思っていたかもしれない。跳ね回ったり喚くその姿を、
鬱陶しく思っていた。かといって小さな弟にそれをぶつける訳にも行かず、僕は鬱憤を
溜めていって、弟もそれを感じていたかもしれない。弟は僕を怖がっていたんじゃないか?
嫌っていたんじゃないのか?
 僕は溜め息をついた。せっかくの旅なのに、僕は弟の事ばかり考えている。
 その日のうちに広島まで来て、宮島まで足を伸ばした。当然、厳島神社に行くためだ。
 安芸の宮島は風光明媚なところだった。島全体が豊かな自然に覆われ、何か神秘的な力
が宿っているようだった。
 閉門される間際になって厳島神社に入ったのだけれど、海に浮かぶその神社は、見事と
しか言いようがなかった。海上の鳥居は傾きつつある日もあって、それは美しかった。
省13
29
(1): 3/3 2003/05/02(金)20:29 AAS
「まー若いうちには色々あるけぇの。何を考えとるのか知らんが、あんた、自殺でもしよ
うとしとるように見えるよ」
 僕はぎくりとした。なぜかは分からない。もしかしたら僕は、それを旅の目的としてい
たのかもしれない。
「夕日の海は不吉に見えるけぇ、今度は日の出の時間に来てみ。いろいろ考えも変わるだ
ろうよ。たいぎぃかもしれんがな」
 老人は去っていった。僕はそのままぼうっとして、冷たい風に吹かれていた。
 その日は宮島で一泊し、翌朝は夜明け前から行動を始めた。老人の言葉が頭に残ってい
た。朝の島は霧に包まれ、厳粛とした雰囲気だった。
 走って身体を温め、神社に行く。神社は六時半から開かれ、日の出にはまだギリギリ間
省12
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