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●おまえら男ならヒカルたんハァハァだよな?Part47○

151パッチワーク 2006.09.21 アキラ:2006/11/06(月) 22:44:03
2006.09.21 アキラ
 9月20日、昨日は進藤の二十歳の誕生日だった。
 当日は日付が替わるのと同時にお祝いをメールで送った。返礼のメールはすぐ来た。でも怖くて、聴きたくないことを聴かされたくなくて電話はできなかった。
 二十歳、もう未成年じゃない。成人、大人として扱われる。これまで許されなかったこと、お酒や煙草が解禁になり、選挙権が与えられ。そして親の承諾なしに結婚できる。

 今日は二人とも手合いが入っているから、三日ぶりに進藤に会える。起きて最初にしたことは彼からのメールのチェックだった。彼からのメールは来ていなかった。今日会ったとき直接言われるのかもしれない。二ヶ月前のあの女の誕生日、彼は指輪を贈った。それを知って僕は覚悟を決めたはずだった。でも彼は婚約したとも結婚するとも僕に言わなかった。だから僕はあれはただの誕生日プレゼントだと一縷の望みに縋っている。

 彼はあの女を幼なじみだとしか言わない。でも彼は寝ているときあの女の名前を呼びながら僕にしがみついてくることがある。未だに自分の生理現象をコントロールできない、子どもの頃とあまりかわらない奥手で未経験な僕と違って一緒に風呂に入ったとき盗み見た彼はもう大人だった。今朝も僕は上手くできずにいる。彼がいれば、彼が手伝ってくれればそう思ってしまう。人に手伝ってもらうようなことじゃない。自分で、一人ですることだと頭ではわかっていても、自分の手を彼の手だと思うようにしても上手く行かない。彼に教えてもらってもう四年三ヶ月になるのに。最後に上手くできたのは十日前の朝、温泉地での宿泊セミナーで同室だった彼に手伝ってもらえたからだ。このときはヒゲの手入れもしてくれた。彼は毎朝手入れが必要だというのに僕は一週間に二回程度で十分なのにそり残したり、切り傷をつくったりとこちらも上手くできない。

 生理現象のコントロールもヒゲの手入れもよその家では父親が息子に教えることらしい。彼も父親やおじいさんそれに友だちが教えてくれたと言っていた。でも父は留守がちで碁以外のことではあまり僕のことを気にかけてはいないせいか、僕がいままでそのようなことで心配をかけたことがないせいか父に教わる機会は逸してしまった。芦原さんに頼めばよかったのかもしれないけれど気恥ずかしくて頼めなかった。僕が途惑っていたことに気づいたのは彼だけだった。

 だから僕はいつも勘違いをしてしまうんだ。彼に取って僕は特別だって、いつも気にかけていてくれるんだって。そんなことはないのに、これが僕じゃなくて越智君や社に対してだって同じことをするだろうし、彼の特別はあの女で僕じゃない。それはこの一ヶ月いやと言うほど思い知らされた。

 先月から彼の父親が長期出張になり、夜お母さんとあの女の二人だけでは不用心だからと彼は僕との検討の途中でも泊まらずに家に帰るようになった。最初は彼の家で検討をしようと誘われたけれど彼とあの女が一緒にいるのを見たくなくて「僕らの検討は五月蠅いらしいからきっと家族の方の迷惑になると。」断った。僕の頑なさを見てとったのか彼はそれ以上何も言わずにいつものように僕の部屋での検討に同意したけれど終電に間に合うように帰ってしまう。セミナーの時は父親が帰ってきてるからと泊まりの仕事を承諾したらしいけれど先月から父親が帰ってくる来月まで事務局に頼んで日帰りの仕事しか入れていない。セミナーでは前の日久しぶりに父親と話ができたとうれしそうに言っていた。

 もう、部屋を出なければいけない時間だ。大丈夫だ。彼があの女と結婚しても彼にとって一番大事なのは碁だし、碁のライバルは僕だ。碁盤を挟んでいれば彼と僕の間に誰も、あの女でも入ってくることはできない。碁盤を挟んでいる限り彼は僕のものだ。僕だけのものだ。誰にも渡さない。


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