プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!! (466レス)
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1: プチ住民 2003/01/31(金)19:21 AAS
愛好会スレのプチ住民の(゚ε゚)キニシナイ!!
おまいら、煽られちゃったり・放置されちゃったり、流れにのれずレスを外しても(゚ε゚)キニシナイ!!
そこにアキラたん(*´Д`*)ハァハァ(*´Д`*)ハァハァがあるなら(゚ε゚)キニシナイ!!
合言葉は(゚ε゚)キニシナイ!!
447: 盤上の月2(11)◆RA.QypifAg 2012/06/03(日)02:22 AAS
桜野がヒールを脱いで和谷の部屋に入ってすぐ目についたのは、畳上に散乱している和谷が門脇から借
りたアダルトDVDや和谷秘蔵のエロ本だった。
「―――ちょっと、これ何なのよおっ! アンタ達、本当に真面目に研究会やってんのお!?」
悲鳴のような金切り声を桜野は上げた。
「わあっ、ヤバッ!  桜野さんがいきなり来たからしまうの忘れてたっ!!」
和谷の顔は一瞬で蒼白する。
「慎ちゃん、どういうことなの!? 慎ちゃんも一緒になってコレ見てたの!?
もう信じられなあ〜い!」
「いや、桜野さん、これには事情があって……」
しどろもどろに伊角がなんとか場を治めようとするが、桜野はヒステリックになり伊角の言葉が耳に入
省18
448: 盤上の月2(12)◆RA.QypifAg 2012/06/03(日)02:25 AAS
どことなく今日の月は霞んでいて、柔らかい印象があった。
ヒカルは真冬に自分の部屋から眺めた時の、寒々とした冬の月を思い出した。
月は日によって見た目の感じが変わり、時には冷たく、または柔らかく見えるようにヒカルは感じる。
―――なんだか月って、塔矢みたいだなあ……。
息を弾ませて走りながら、ヒカルはそんなことを思った。

日本の囲碁総本山・東京市ヶ谷の日本棋院。
理事長の佐賀は、棋院の一室で今後の棋院経営について頭を悩ませていた。
佐賀は前理事長の任期終了後に就任したばかりの理事で、もともと囲碁愛好家であり、銀行経営退職後に棋
院理事を引き受けた立場にあった。
囲碁人口がここ近年激減を辿り、赤字経営の棋院は常に危険に晒されていた為、棋院は経営に疎い棋士
省14
449: 盤上の月2(13)◆RA.QypifAg 2012/06/03(日)02:26 AAS
桑原は、ふむっと一言を発し、その場でしばらく考え込む。
「確かに棋院は昔から有力なパトロンがいて、創立した経緯がある。空襲でこの市ヶ谷の棋院は1度跡
形も無く破壊され、パトロンの援助で立て直されたからな。
だがな、佐賀さん。スポンサーやパトロンも確かに大事だが、普及の方を力を入れるべきではないか。
根本的な問題はそこじゃろうて。
人に愛されない、見向きもされないものは、廃れていくのが自然の摂理であるならば、そこをなんとか
関心を持つように時間をかけて働きかけるしかなかろうて………。
ワシの戯言と聞き流してくれてええよ」
「桑原先生のお話は痛いほどわかります。だが時間が無いのです……」
「まあ囲碁が普及しないのは、この老いぼれにも責任がある。出来るだけ力になれればと思うとるよ。
省17
450: 盤上の月2(14)◆RA.QypifAg 2012/06/03(日)02:28 AAS
緒方だった。煙草を吸いながら緒方の視線は、ゆっくりと桑原の方へ移動する。
「おお緒方君じゃないか。調子はどうじゃ」
「……またリーグ戦で再度挑戦権を取りますよ」
無表情で緒方は、ぼそりと話す。
緒方は前回の本因坊戦の挑戦資格を取得して桑原に挑んだがタイトル奪取を逃し、桑原の本因坊防衛成
功を重ねる結果となった。
―――この老いぼれジジイ。タイトル死守しないで、年寄りらしく若手に早く寄越しやがれっ!
緒方は心の中で、桑原に悪態をつく。
「ひょっひょっひょっ、ワシはいつでも待っておるぞ緒方君。
………そうだオマエさん、佐賀理事長から何か話を受けんかったか?」
省17
451: 盤上の月2(15)◆RA.QypifAg 2012/06/03(日)02:29 AAS
「ええ、ここ最近の内閣総理大臣は囲碁を嗜む方の就任がほとんどなくて……。
もしかしたら働きかけ次第では、普及に協力を得られるとつい皆で期待をしてしまって」
棋院職員は嬉嬉として、次々とまくりたているかのように話す。
「…………青木久治氏……か………」
表情をくもらせ、煙草の煙を吐きながら緒方は呟く。
「どうした緒方君?」
「青木氏は、塔矢先生の熱烈な支持者ですよ。青木氏の希望で、塔矢先生は指導碁を時々受け持ってい
た。相手が相手だから、塔矢先生も断れなかったようで………」
「………ふむ……、ややきな臭いのう……。
棋院がこのような時期だから、使えるツテは上層部はなんでも利用するじゃろうなあ……」
省10
452: CC◆RA.QypifAg 2012/06/03(日)02:32 AAS
(13)空襲でこの市ヶ谷の棋院→空襲で棋院……の間違い。
確か以前は別場所にあったと思った。うろおぼえ。
453: 盤上の月2(16)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)01:27 AAS
アキラは夕暮れを過ぎた頃、都内の自然が多い場所にある料亭へと向かっていた。
道の街路樹は桜並木になっていて、夜桜を楽しむ人が多く賑わっている。待ち合わせの料亭に入ると、
着物を纏った店員が個室へとアキラを案内する。
案内された個室は和室の畳部屋で、緒方と芦原が座椅子に座って夕食を兼ねた宴会をすでに始めていた。
窓からは日本庭園が見え、獅子威しが時々辺りに低く鳴り響いている。
「おっ、アキラ来たか! 先に始めてるぞ〜」
ほろ酔い気分の芦原が、グラスを右手に持ってアキラへと声をかける。
「アキラくん、久しぶりだな」
緒方も酒が入り、やや上機嫌になっている。
「遅くなりすみません、でももう2人とも出来上がってませんか?」
省18
454: 盤上の月2(17)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)01:28 AAS
「オレも食べるぞ〜、ほらアキラも熱いうちに食べろ」
箸で天ぷらをつまみながら、芦原はアキラに声をかけた。
「今、頂きますよ」
笑いながらアキラも天ぷらに箸を運ぶ。
「でも久しぶりだな。こうして3人で飯を食うのは」
緒方は芋焼酎のロックをぐいっと飲みながら、しみじみと言う。
「アキラの対局数が多くなってきたから、時間がなかなかあわないもんな。
今オマエ、名人戦と碁聖戦のリーグ入ってるだろ。オレも頑張らないと」
緒方と同様に芋焼酎のロックを口に流し込みながら、芦原は箸を動かす。
緒方は現在、十段・碁聖のタイトルホルダーであり、アキラは今後碁聖戦のリーグを勝ち抜き挑戦手合
省15
455: 盤上の月2(18)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)01:29 AAS
「ボクは、おともだちにいつもきらわれちゃうの……」
研究会の合間に緒方はアキラに碁を打った。アキラは緒方と碁を打つのをとても楽しみにしていると、
行洋から聞いていた。
正直、緒方はあまり子供は好きではなかったが、アキラは聞き分けが良くて大人しいので、相手にする
のは苦ではなく、それどころかとても自分に懐いてくれたので悪い気はしなかった。
研究会で塔矢邸の玄関に立つと、決まってアキラが駆けてきて「おがたさんだ〜」と、満面の笑顔で出
迎えてくれるのを、緒方は密かに楽しみにしていた。
人に嫌な思いをさせないアキラが友達に嫌われるというのを緒方は理解出来なく、いつか行洋にそのこ
とを訊いてみた。
行洋は視線を落として、静かに話し始めた。
省43
456: 盤上の月2(20)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)01:33 AAS
「ええ、そうなの?
オレはてっきり緒方さんが珍しく奢ってくれると思って、沢山食べるために来たんだけどな」
「芦原、いっぱい食え。豚のようにな」
「うわあ〜、ひっどいッスよ〜、緒方さ〜ん!」
芦原の横で声を出さずに肩を小刻みに揺らして笑うアキラを見て、緒方は重々しい口調で語り出した。
「アキラ君は、ニュースで新しい内閣が出来たことを知っているだろ?」
「ええ、青木さんですよね。新しい総理大臣になったのは。
お父さんが時々、指導碁へ行っていた方です。ちょっと驚きましたけど。
かなり前だけど、ボクの家にも来られたことがあったので覚えてます」
「あ〜、そういえば塔矢先生が指導碁していた数少ない人でしたよね。
省19
457: CC◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)01:35 AAS
18−19と一気に2個分うぷ出来るんだな。
一気と1個ずつのうぷと、どちらが読みやすいかなあ?
458: 盤上の月2(21)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:42 AAS
酒の酔いが回ってきたのか、緒方はかなり饒舌気味になっている。
「そりゃそうだけど、実際棋戦で食べていけるのはほんの一部だけですよ。
オレも指導碁やセミナーとかで随分助けられてるからな」
「おい、芦原。早くオマエもリーグ戦に来いっ!」
「わっ、わかってますよっ! 
オレやっと本因坊最終予選に残れたんですよ。なんとかリーグ入り果たしたいですよ〜」
「オレは前回挑戦者だから自動的にリーグ戦入りだ。芦原淹れてくれんか」
緒方は芦原へ空になったグラスを差し出した。グラスを受け取った芦原は、氷を追加して芋焼酎の入っ
た陶器をグラスに注ぎ緒方へと手渡す。芋焼酎の入っている陶器内はすでに空に近かった。
「ボク本因坊の最終予選に残ってますよ、芦原さん」
省18
459: 盤上の月2(22)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:43 AAS
刺身盛り合わせの皿を、芦原はアキラの方へ寄せる。
「うん、どちらかと言えば魚の方が好きかな」
喋りながらアキラは箸で刺身を取り、醤油をつけて口に運ぶ。
昔からアキラは食がやや細く、必要以外に口にすることがない。
対局時も食事を取ると気が散るため、あえて昼・夕食を取らないことがほとんどであり、碁以外の関心
事が抜け落ちているかのようだった。
「対局は体力消耗が激しいから下手すると一局で2〜3キロ落ちる。
対局日はアキラ君も食事を取るように癖づけたらいいとオレは思うがな」
「夕方ぐらいの時間は緒方さんはブドウ糖を取るんでしたっけ? 
オレはチョコレートとかよく食べるなあ」
省18
460: 盤上の月2(23)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:45 AAS
アキラ達の食事会があった翌日、ヒカルは自宅で朝から気が滅入っていた。
今日は日曜日で特に用事はないので、いつも通り1人で碁の勉強をしていたが、時々心によぎるアキラ
のことで考えがまとまらずに集中が出来ない。
「……こういう時は遊びに行って、気分転換すっかなあ……」
和谷は仕事が入っていて遊びに誘えない為、ヒカルは1人で出かける準備をして階段を下りていると、
ちょうど呼び鈴が聞こえた。
「はーい」
玄関のドアをヒカルが開けると、そこにはチョコレートケーキを皿に乗せて、両手で持っているあかり
がいた。
「ヒカル、久しぶりね、元気してる? ケーキ焼いたのだけど、良かったら食べて」
省17
461: 盤上の月2(24)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:46 AAS
「ごめん、ヒカル待った?」
「まあいいよ。ほら、行くぞ」
「うん!」
あかりは顔がゆるみっぱなしだった。ヒカルが遊びに誘ってくれたことが嬉しくて、有頂天になる。
「……遊びにっても、オレ最近碁ばっかりで全然出かけてないなあ。
和谷達とはたまにサッカーとかして遊ぶくらいだし。あかり、オマエはどこ行きたい?」
「えっとね、そうだ私、お姉ちゃんから映画券もらっているの。映画でも見に行かない?」
「映画か……、たまにはいいかもな」
「じゃあ決まりね」
2人は近くのバス停へ歩き出した。
省15
462: 盤上の月2(25)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:47 AAS
「そうだ、同じ年頃のヒカルがプロで指導碁が出来るってことに、興味持ってくれる人がいるかもしれ
ない!
それに北斗杯ってインターネットで中継するんだよね。
ウチの高校、パソコンがあるから少し見れるかも。ヒカル、北斗杯頑張ってね!」
「ああ、もちろん頑張るよ。去年は緊張しちゃって前半グダグダだったからな
じゃあそろそろ昼飯にするか。ラーメンでいいよな」
「え〜、ヒカルは相変わらずラーメンが好きねえ。私、もっとおしゃれなところでお昼したいよ」
ヒカルとあかりはお互いの昼ご飯の主張をしながら、喫茶店を出る。あかりは道沿いの店のウインドー
に映る並んで歩く自分達を見つめた。
―――私とヒカル、2人並んでいると他の人達からは付き合っているように見えるかな?
省17
463: 盤上の月2(26)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:48 AAS
アキラの碁会場常連客である広瀬が、たまたま通りかかり偶然に2人を目撃していた。
楽しそうに話しをするヒカルとあかりは、他者から見て恋人同士に見えなくもない。
「まあ、進藤君もお年頃だしねえ……、いいねえ若い子は」
広瀬はヒカル達の姿が人だかりで見えなくなるまで珍しそうに目で追い、その後行きつけの囲碁サロン
へ足を運ぶ。
「いらっしゃい広瀬さん、北島さんはお先に来ているわよ」
碁会場にはいつものように受付嬢の晴美が、笑顔で広瀬を迎える。
「こんにちは市河さん、今日はいい天気だね」
「遅いよ、広瀬さん」
すでに席についている北島が、広瀬に苦言を放つ。
省22
464: 盤上の月2(27)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:51 AAS
第2期北斗杯選手代表選抜―――東京予選。
昨年と同じくヒカル・和谷・越智・稲垣が勝ち、選抜戦本戦へと進む。

第2期北斗杯選手代表選抜―――本戦
今年はヒカル・和谷が勝ち抜いて、代表選手枠を獲得。
社は以前から不調が続き、今回も本調子を取り戻せなくてあえなく敗退。
和谷は昨年の悔恨をバネに成長が著しく、出場者達も目を見張った。
今年の日本代表は、塔矢アキラ・進藤ヒカル・和谷義高の3名に決定となる。
アキラは選抜本戦の当日は仕事が入っており、日本代表枠を知ったのは仕事後に出向いた棋院で週間碁
の記者・古瀬村に問い合わせてからだった。

ロビーで古瀬村に声をかけられたアキラは、北斗杯・日本代表決定のメンバーを聞いて「そうですか…」
省16
465: 盤上の月2(28)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:52 AAS
晴美はカウンターへ戻り、緒方へ挨拶しながらアキラのほうへ顔を向ける。
「こんにちは緒方さん」
アキラは席を立ち、緒方に頭を下げて挨拶する。
「キミは家にいない時に大抵ここにいるのは、昔から変わらないなあ」
緒方はアキラの対面の席へ座る。
「………訊いたかい?  北斗杯のメンバーを」
「はい。緒方さん、もう耳に入ったのですか。いつも情報収集早いですね」
コーヒーを飲みながらアキラは、緒方の情報収集力の素早さに舌を巻く。
アキラと緒方の周りにいる客達は2人の会話を聞いてざわめくが、どことなく緊迫した感じがあるため
口を出せず静かに聞き耳を立てている。
省18
466: 盤上の月2(29)◆RA.QypifAg 2012/06/10(日)19:53 AAS
碁会場内は一気に活気付き、その騒ぎを眺めてアキラは徐々に気分が高揚していくのを感じた。
皆が一心に応援して期待する北斗杯を、今年こそ白星を勝ち取りたい。
強い決意がアキラの中に固まっていく。
「あとアキラくん。もう一つキミに伝えたいことがあるんだ」
緒方はコーヒーを手にしながら、ちらりとアキラを見る。
「実は、今年の北斗杯の団長はオレなんだよ」
その場にいる者達は、一瞬言葉を失った。
十代の少年達のまとめ役を行う緒方というのが、想像出来ないからだ。
「………緒方さんが……ですか……?」
聞き間違えたかと思い、アキラは目を丸くしてもう1度そのことを緒方へ問う。
省9
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