☆謎ラボ朗読アーカイブ☆ (31レス)
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774(代筆)
2014/08/10(日)08:25
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15: 774(代筆) [] パープルボール 今日の様に暑い夏だったと思う。 まだ地球温暖化なんて言葉も無かったしエアコンも普及していなかったから室外機からの不快な温風も知らなかったが、少なくとも今の自分みたいに重い汗はかいていなかったはずだ。 近所の路地で野球をやっていたんだよ。 野球といっても、ピッチャーとバッター、他に2人の守備がいるなんてお遊びだけどね。プラスチックのバットはオレンジと黒のジャイアンツ仕様。ゴムボールは駄菓子屋で買ったものを仲間で持ち寄る。 三角ベースにも満たないスペースだから真っ直ぐ高く遠くまで球を飛ばした奴の勝ち。ホームラン競争だ。 15m先のブロック塀の上を越えたボールはもちろんホームラン。 すいませーん、ボール取らせてくださーい、なんて言いながら勝手に門を開けて庭に入って探索。 それでも段々ボールは減ってくる。フライを屋根まで打ち上げると戻ってこないからだ。 いつものようにボールが尽きそうになった時「あの屋根の上には今まで打った球がいっぱいあるはずだよな?」 向かいの2階屋を指差して言ったのは間違いなく俺だと思う。 みなでそこを見上げた。3棟続く三角形の屋根の尾根にはお宝がゴッソリ。 生唾を飲む。 「でもあそこのオバちゃん怖いよ」 異を唱える者。 その屋根の家の主は、それまで住んでいた温和な老夫婦の片割れが消えた後、子供を怒鳴り散らすオバちゃんの住処になっていた。でもそのオバちゃんも実際には20代だったかもしれない。その連れ合いだった「お兄さん」はとび職で縄跳び三連飛びを軽々披露してくれるヒーローでもあった。ちょいと韻を踏んだよ。 さて774少年の姿はすでに屋根の上。 ベランダを支える鉄筋の支柱を登った記憶はある。 後からもう1人、今でも行きつけの洋食屋の息子が頂上制覇。 ふたりして息を飲む。 そこには想像を遥かに越えた数のゴムボールがゴロゴロ。 夢中で回収する。ボールをポンポン下に投げていくと登りつけなかった2人の称賛の声。スゲースゲーってね。 そこで洋食屋の息子がこの場に似つかわしくない震え声を上げた。 「774ちゃん、これなに…?」 小さな毛布に包まれた何か…の上には 774少年がお気に入りだった紫色の良く弾むゴムボールが。 「やったー!見つけたー!」 「いや、違うの、ナニこれ?」 洋食屋の木村君(仮)が触ろうとしない毛布からチラと背筋の凍る白いものが見えた。 「ほ、骨?」 「骨だよ、骨…」 「なんの骨だよ!?」 「わかんないよ!猫?猫!」 その後の記憶は無い。 夜。 昼間の好天と裏腹な豪雨になった。夕食時にくだんのおっかないオバちゃんが夜叉の形相で乗り込んできた。 「ウチの瓦割ったのあんたのガキでしょ! 雨漏り酷くてどうしてくれんのよ!」 怖かった。もちろん、屋根に登って瓦を壊した事は理解出来たんだか、なによりも毛布に包まれていたものに怯えたんだろう。 親は事実確認をしただけで叱らなかった。たいがいのヤンチャは許されたから此度も事なきを得たと774少年は思っただろうな。 翌朝、おっかないオバちゃんの旦那が平謝りに来たそうな。 足を引きずっていたから現場で怪我したのかな?って婆ちゃんが言ってた。 774少年は違うと思ったけど、毛布に包まれた骨のことは言えなかった。 その夫婦はその後すぐに引っ越していった。 お気に入りの紫色のボールは他のサルベージしたボール同様、陽光に晒され続けた為に使い物にならなくて捨てた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/10365/1407625793/15
パープルボール 今日の様に暑い夏だったと思う まだ地球温暖化なんて言葉も無かったしエアコンも普及していなかったから室外機からの不快な温風も知らなかったが少なくとも今の自分みたいに重い汗はかいていなかったはずだ 近所の路地で野球をやっていたんだよ 野球といってもピッチャーとバッター他に人の守備がいるなんてお遊びだけどねプラスチックのバットはオレンジと黒のジャイアンツ仕様ゴムボールは駄菓子屋で買ったものを仲間で持ち寄る 三角ベースにも満たないスペースだから真っ直ぐ高く遠くまで球を飛ばした奴の勝ちホームラン競争だ 先のブロック塀の上を越えたボールはもちろんホームラン すいませーんボール取らせてくださーいなんて言いながら勝手に門を開けて庭に入って探索 それでも段ボールは減ってくるフライを屋根まで打ち上げると戻ってこないからだ いつものようにボールが尽きそうになった時あの屋根の上には今まで打った球がいっぱいあるはずだよな? 向かいの階屋を指差して言ったのは間違いなく俺だと思う みなでそこを見上げた棟続く三角形の屋根の尾根にはお宝がゴッソリ 生唾を飲む でもあそこのオバちゃん怖いよ 異を唱える者 その屋根の家の主はそれまで住んでいた温和な老夫婦の片割れが消えた後子供を怒鳴り散らすオバちゃんの住処になっていたでもそのオバちゃんも実際には代だったかもしれないその連れ合いだったお兄さんはとび職で縄跳び三連飛びを軽披露してくれるヒーローでもあったちょいと韻を踏んだよ さて少年の姿はすでに屋根の上 ベランダを支える鉄筋の支柱を登った記憶はある 後からもう人今でも行きつけの洋食屋の息子が頂上制覇 ふたりして息を飲む そこには想像を遥かに越えた数のゴムボールがゴロゴロ 夢中で回収するボールをポンポン下に投げていくと登りつけなかった人の称賛の声スゲースゲーってね そこで洋食屋の息子がこの場に似つかわしくない震え声を上げた ちゃんこれなに? 小さな毛布に包まれた何かの上には 少年がお気に入りだった紫色の良く弾むゴムボールが やったー!見つけたー! いや違うのナニこれ? 洋食屋の木村君仮が触ろうとしない毛布からチラと背筋の凍る白いものが見えた ほ骨? 骨だよ骨 なんの骨だよ!? わかんないよ!猫?猫! その後の記憶は無い 夜 昼間の好天と裏腹な豪雨になった夕食時にくだんのおっかないオバちゃんが夜叉の形相で乗り込んできた ウチの瓦割ったのあんたのガキでしょ! 雨漏り酷くてどうしてくれんのよ! 怖かったもちろん屋根に登って瓦を壊した事は理解出来たんだかなによりも毛布に包まれていたものに怯えたんだろう 親は事実確認をしただけで叱らなかったたいがいのヤンチャは許されたから此度も事なきを得たと少年は思っただろうな 翌朝おっかないオバちゃんの旦那が平謝りに来たそうな 足を引きずっていたから現場で怪我したのかな?って婆ちゃんが言ってた 少年は違うと思ったけど毛布に包まれた骨のことは言えなかった その夫婦はその後すぐに引っ越していった お気に入りの紫色のボールは他のサルベージしたボール同様陽光に晒され続けた為に使い物にならなくて捨てた
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