('A`)百物語のようです2013( ) (852レス)
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抽出解除 必死チェッカー(簡易版) レス栞 あぼーん

406: 2013/08/19(月)00:00 ID:rOAjZfD60(1/33) AAS
平成XX年県立比府高校同窓会のご案内

拝啓 初夏の候、皆様におかれまして は益々ご健勝のこととお慶び申し上げ ます。
卒業から十年が経ち私達も二十八才となり、皆様も多方面でご活躍されているとご拝察しております。
地元を離れた皆様とは中々お会いできませんので、この機会に里帰りして旧友と酒を酌み交わし昔話で盛り上がりましょう。
また、私たちの活躍を陰ながら喜ばれ ている担任の長岡先生と副担任の朝日先生もご出席頂くこととなっておりますので、皆様お誘い 合わせの上ご出席くださいますようお 願いたします。

         平成XX年八月二十二日

         敬 具
407: 2013/08/19(月)00:02 ID:rOAjZfD60(2/33) AAS
白昼夢のようです

どんよりとくすんだ灰色の空。
それを見上げるわたしを、ガタゴトと運ぶバス。
行き先は、もうすぐ閉店してしまうデパート。
老舗で品揃えも豊富で、学生にとって格好の暇潰しの場所であったそこは、経営不振によって潰れることとなったのだ。

川д川(時代の流れってやつなのかなぁ)

はぁ、とため息をひとつ吐く。

「比府デパート前、比府デパート前。お降りのお客様は停車ボタンを――」
省15
408: 2013/08/19(月)00:03 ID:rOAjZfD60(3/33) AAS
川 ゚ 々゚)「さーだこ」

ふと、わたしを呼ぶ声がした。

川 ゚ 々゚)「貞子はやっぱり赤が似合うよ」

派手すぎないかな?

川 ゚ 々゚)「そんなことないよ、貞子は美人なんだからもっと自信持ちなよっ!」
省20
409: 2013/08/19(月)00:04 ID:rOAjZfD60(4/33) AAS
川д川(慣れてる場所なら平気かと思ったのに)

ガックリと肩を落としながら、わたしはそのまま惰性でエスカレーターに乗り続けた。
三階は生活用品やキッチン用品が置いてある。
時々そこで、彼氏のプレゼントのラッピングを選んでいた覚えがある。
わたしのではなくて、あの子の。

川 ゚ 々゚)「ケーキの箱、どれがいいかなぁ」

ピンクは?

川 ゚ 々゚)「ベタすぎない?」
省12
410: 2013/08/19(月)00:05 ID:rOAjZfD60(5/33) AAS
四階は紳士服とか時計とか、そういう大人の男の人が使うものが売られている。
わたしにはまったく縁がない売り場だけど、やっぱり彼女に連れられてここに来た。

川 ゚ 々゚)「ネクタイって、高いね」

ね、知らなかった。
でもそれ、本当に買うの?お小遣いなくなっちゃうよ?

川 ゚ 々゚)「だいじょーぶ、バイト始めたの」

そうなの?
省11
411: 2013/08/19(月)00:07 ID:rOAjZfD60(6/33) AAS
屋上は小さな遊園地と、喫茶店。
懐かしいパンダの乗り物やメリーゴーランド、小さな観覧車が、ひとりぼっちで佇んでいた。

川д川(でも、これ乗ってたんだよね)

子供の時に、ではない。
女子高生の時に、だ。
誰もいない隙に二人でパンダレースをしたり、メリーゴーランドに連続乗りしたり、そんなことばかりしていた。

百円玉がなくなって、喫茶店でお茶してお金を崩したこともあった。
大しておいしくもないコーヒーにミルクと砂糖をたくさん入れて、それを飲みながら彼女の話を聞いていた。
わたしはあんまり話すのが得意じゃないから、饒舌な彼女の話を聞いているだけで楽しかった。
話題のほとんどは、名前も顔も知らない彼女の恋人の話であったけど。
省11
412: 2013/08/19(月)00:08 ID:rOAjZfD60(7/33) AAS
川 ゚ 々゚)「教えても良いよ、って言われたら、一番に貞子に教えるね。だって大好きだから!」

うん、ありがとう……。

川д川(友達、か)

わたしの好きは、特別な好き、だけどあの子の好きは違う。
あの子の好きはあの人のもの。
あの人の好きも、あの子のもの。

川д川(妬ましい)
省18
413: 2013/08/19(月)00:10 ID:rOAjZfD60(8/33) AAS
薄暗がりのなかできょろきょろと視線を動かす。
いけないことをしている気がして、ドキドキする。
なにか怖いものがあるんじゃないかという不安と、非日常を楽しむ余裕。
それらがごちゃまぜになって、鼓動を早くさせた。

川;д川「わっ!?」

段差に足を取られて、転けそうになる。
その瞬間、ふわりと誰かに体を支えられた。

川д川(え……?)

「お怪我は、ありませんか?」
省17
414: 2013/08/19(月)00:13 ID:rOAjZfD60(9/33) AAS
夢でも見ているようだった。
現実味がなくて、その人の声以外になにも音がなくて。
世界が昔の映画のように、モノクロで霞んでいるような気がした。

川д川(真っ暗な中でそう思うのって変だけど)

ほどなくして、赤茶けたぼんやりとした灯りが見えた。
目を凝らすと、どうやら真ん丸のきのこみたいな、鼈甲色のランプが光源になっているようだった。

わたしの先を歩いていた人影がそのランプに近付く。
細い指が、ランプをトントンと触れるとそれは輝きを増した。

そこはカウンター席であった。
カウンターを挟んだ向かいには、サイフォンとピカピカのコーヒーカップが置かれている。
省19
415: 2013/08/19(月)00:15 ID:rOAjZfD60(10/33) AAS
少し躊躇って、わたしは口を開いた。

川д川「失踪しちゃったんです」

( "ゞ)「……どうして?」

川д川「……わからないんです。高校二年生の、夏の頃に」

目を閉じて、わたしはその夏のことを思い出す。
省12
416: 2013/08/19(月)00:16 ID:rOAjZfD60(11/33) AAS
(-@∀@)「お、今日も黒髪コンビか」

川 ゚ 々゚)「朝日せんせー!」

川д川「こんにちは、暑いですね」

(-@∀@)「まったくだねー、水分はちゃんととるんだよ二人とも。ところでくるうさんはこないだ面談しただろう?」

川 ゚ 々゚)「だってこのあと貞子と遊ぶもーん」
省13
417: 2013/08/19(月)00:17 ID:rOAjZfD60(12/33) AAS
面談が終わって、理科室に向かいました。
そこには誰もいなかったんですけど、隣の準備室からラジオの音がはっきり聞こえてきて。
開いていた扉から覗いてみたら、朝日先生が一人で段ボールに物を詰めていました。

川д川「先生」

(-@∀@)そ「お?おお、貞子さんか。あー、こっちに来るんだったら足元気を付けるんだよ、今薬品広げちゃってるからさ」

たしかに、床には大小様々な瓶が置かれていました。
ぽつぽつと空いているスペースを駆使して、わたしは先生のそばまで行きました。

川д川「びっくりさせてごめんなさい、くるうは?」
省6
418: 2013/08/19(月)00:19 ID:rOAjZfD60(13/33) AAS
川д川「そうなんですか?」

(-@∀@)「ただやっぱり、すぐ目の届くところで管理しなきゃいけないから、今度からは新しく鍵つきの棚を設置してそこに入れることになってるんだ」

段ボールに入れちゃうやつは、みんな古いから捨てちゃう予定だけど、と先生が言いながらガムテープで蓋をしました。

川д川「……くるう、遅いなあ」

(-@∀@)「電話してみたらどうかな?」
省14
419: 2013/08/19(月)00:20 ID:rOAjZfD60(14/33) AAS
( "ゞ)「あなたのせいではありませんよ」

川д川「…………」

( "ゞ)「悪いのは朝日先生ですから」

え?
思わず声が漏れる。
朝日先生が……?

( "ゞ)「かなりの量の薬品が床に並んでいたんですよね?」
省21
420: 2013/08/19(月)00:20 ID:rOAjZfD60(15/33) AAS
ぼやける声。
頭にじんわり染み込んで、溶けて、馴染んで。

川д川「…………夢?」

気付けば、喫茶店の外にいた。
扉は閉まっている。
チェーンも張られている。

川д川「……夢、だったの?」

もう一度呟く。
夢だけど。
でも、やっぱり。
省10
529: 2013/08/19(月)02:43 ID:rOAjZfD60(16/33) AAS
ちょwwwww
535: 2013/08/19(月)02:46 ID:rOAjZfD60(17/33) AAS
え、えっとじゃあ次の投下からは78から83本目ということでよろしいのかな…?
565: 2013/08/19(月)03:28 ID:rOAjZfD60(18/33) AAS
ワロタ
本当にやるのかと思ってびびっちゃったよ
えっと78本目いただきます

.,、
(i,)
|_|
568: もうしわけない先にいただきます、訂正で79本目です 2013/08/19(月)03:30 ID:rOAjZfD60(19/33) AAS
運命の女性のようです

( ・∀・)「…………」

いつもと同じように目覚めた僕の目に入ったのは、真っ赤な糸。
ベッド、床、居間。
どこまでもどこまでも続いていくそれに見覚えはなかった。

( ・∀・)(なんだこれ?)

手近にあった糸を手繰ろうと左手を伸ばして、
省15
569: 2013/08/19(月)03:31 ID:rOAjZfD60(20/33) AAS
(; ∀ )「……無理だ」

やむなくハサミを引き出しに戻し、恐る恐るもう一度触れてみた。
なんの変鉄もない糸だ。
綿でできているような、しかしいくら触っても毛羽立つことはなかった。
糸を引っ張ってみる。
……かすかに手応え、ピンと糸が張る。
どこかに繋がっていることはたしかだ。

( ・∀・)「…………」

僕は考える。
大学は今夏休みだし、バイトもない。
省13
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