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にがしたポケモンたちの行方 避難所
10
:
名無しさん!!君に決めたい・・・
:2012/08/05(日) 21:00:53 ID:BLMxusGU
今書いているにがしたSSがある程度完成まで目途つけられたので、日付をズラして分割してアップさせていただこうと――
思ったけど、とりあえず現行スレはここでいいのかしらん?
戦の炎は森を包み、棲家を奪われたポケモンは四方へと逃げ惑っていく。そんな中、
炎の渦へと疾駆するポケモンが一匹。
その名はビリジオン。森と生き、森のすべてを守り抜くために与えられたその力で、
ビリジオンはただ一人の、そう、ニンゲンの命を救うために木々をすり抜け木の葉を
かき分け、幾朝も通い続けたニンゲンの家へと飛び込んだ。
たった二部屋しかない家の中で、彼女は机の上をきれいに拭き清め、ニンゲン二人分
の食事をいつも通りに用意していた。ビリジオンのための木の実も平皿にたっぷりと
盛られて、机から少し離れたカーペットの上へと配膳されている。いつもよりはるか
に多めの、平皿からはちきれんばかりの木の実の量は、彼女がこれから起こることを
知っている証だ。
息を切らすビリジオンに、彼女は無言で微笑んだ。ビリジオンは彼女をまっすぐ見つ
めて、呼吸を整え語気を強めた。
――さあ、何をためらう事があるのです!私の眠り姫よ、私の背にまたがりなさい!
――いいえ、それはできないわ。戦いでこの森を火に包んでしまったのは私たちニン
ゲンのせい。たとえあなたが赦しても、ポケモンたちは私を赦さないでしょう……。
――私は森の王者ビリジオン。この蹄の音を一度鳴らせば、森に住むすべてのものは
姿勢をただし、二度鳴らせば頭を垂れましょう。三度鳴らせばかれらは皆、私の
言うことを聞くのです。何も不安はありません、さあ!
――いいえ、それだけではないわ。私には、帰りを待つあの人がいるのですから……。
――あなたの想い人は遠い昔、はるか山の向こうの戦で斃れてしまった。私はそう、
とりポケモンから聞いたと話したではありませんか。
――ポケモンのいうことを、そのまま聞くニンゲンがどこに御座いましょう!私の愛
する人は、遠くはるか山の向こうで、私に会う日を心待ちにしているはずです!
――私はあなたを深く、深く愛しています。うそ偽りでなく、この想いは本物です!
愛する君に、なぜ偽りの言葉を投げかける必要があるのでしょう?
――なぜなら私はニンゲンで、あなたがポケモンなのだから。
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